Aqoursとすこしふしぎな物語   作:ヴェルミナティー

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善子とヨハネ 後編

「・・・・・・」

 

ずら丸はなんとも言えない表情を浮かべている。

 

「続き、聞く?」

 

無言で頷くずら丸に促されて、私は続きを語り出した。

 

 

 

 

 

 

 

気が付いた時、私は暗い場所にいたの。

感覚としては、海のなか?

でも、どんなにもがいても、暗い、闇の底に堕ちていくの。

 

「私、どうなっちゃうの...」

 

そう呟きながらも、なんとなくわかっていたの。

このまま堕ちていけば、私は...

 

「死んじゃうの?」

 

ゾッとした、必死にもがいた。

なにも変わらなかった。

 

嫌だった。死にたくなかった。

もう、お母さんにも、お父さんにも会えないなんて...

そして...

 

「ヨハネ...」

 

あの子に謝れないなんて。

 

「ごめんなさい...ごめんなさい...」

 

ごめんなさい、その言葉が口から漏れるたびに涙が溢れたわ。

自分の間違いにやっと気が付いて。

何もかもが手遅れで。

でも、そんな時...

 

 

『もう、本当に馬鹿ね。善子』

 

あの子がいた。

 

「ヨハネ?なんで?」

 

どうして?

 

『忘れた?私はあなたなのよ?」

 

確かにその通りだった。

 

ヨハネもまた、私と一緒に堕ちていた。

 

「ごめんなさい、ヨハネ...」

 

自然とそんな言葉が漏れた。

 

『気にしてないわ』

 

優しく微笑みながら、そう言ってくれたヨハネに、私は...

 

「ごめんなさい...ごめんなさい、ヨハネ」

 

泣いて謝り続けた。

 

 

 

『もう、気にしてないって』

 

ヨハネがそう言ってくれて、私はやっと泣き止んだ。

でも私達はずっと堕ちていて。

私はもう、諦めかけていて...

 

「ヨハネ、ずっと一緒にいてくれる?」

 

『ずっと一緒もなにもないでしょ?』

 

そう微笑むヨハネに私は安心した。

でも、

 

『善子』

 

ヨハネが真剣な表情で私の名前を呼んだ。

そして、そのまま続ける。

 

『善子。あなたは確かに不幸だし、ちょっとズレてるし「おい」今はまだ、孤独がカッコいいって思ってるかもしれない。だけど、いつか。いつかきっと、あなたにも素敵な出会いがあるわ。そしてその出会いが、あなたに見た事ない素敵な景色を見せてくれる』

 

「・・・・・」

 

『あなたは、決して孤独じゃない。ほら!』

 

ヨハネが指差した先、そこに一筋の光があった。

そこからお母さんが、お父さんが私を呼ぶ声が聞こえた。

私はもう一度、ヨハネを見る。

ヨハネは笑顔を浮かべながら、私を抱きしめる。

 

「ヨハネ?」

 

『だからあなたは...』

 

そう言ってヨハネは、

 

『生きなさい』

 

 

 

 

私を光の方に押し出した。

 

 

 

 

「...っ!?ヨハネ!?」

 

光に向かって進む私、反動で闇の底に沈んでいくヨハネ。

 

『何度も言うけど、私はあなた(善子)。あなたが生きてる限り、私はあなたと共に在り続けるわ』

 

そうかもしれない、けど、だけど...

 

「ヨハネ!ヨハネっ!」

 

あの子の名を呼び続ける。

私達の距離は離れ続ける。

 

あなた(善子)にヨハネの祝福を...』

 

それが、私が最後に聞いた、ヨハネの声...

 

 

 

 

 

 

 

次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。

お母さんもお父さんも、大泣きでね。

私も泣き出して、もうメチャクチャよ。

 

怪我の割に、後遺症なんかなくってね。意外とすぐに退院できたわ。

 

それで、久しぶりに学校に行ったら...

 

「善子ちゃん!」

 

あの時、私を遊びに誘ってくれた子を筆頭に、クラスメイトが私を心配してくれてたわ。正直、嬉しかった。

それからはその子達と過ごすようになってね。

まぁ、その子は中学進学と同時に引っ越しちゃったんだけど。

 

色んなことが、少しいい方向に進んで行ったわ。

アンラッキーについてはともかくね。

ただ一つ、あの日以来。ヨハネの姿が見えなくなった事を除いては。

 

 

 

 

 

ヨハネが本当に存在したのか、私の妄想の存在だったのかは正直わからないわ。

でもね、私がいる限りあの子(ヨハネ)は確かに存在した。私が、津島 善子(ヨハネ)であり続ける限りね。

 

 

 

全部話し終えた私は、

 

「どお?信じられないでしょ?」

 

ずら丸に問いかけたんだけどぉー!?

 

「ひっぐ、うっぐ...」

 

なんか、泣かれてわ。

 

「ちょっと、なに泣いてるのよ」

 

「ひっぐ、だっで...」

 

あーもー、しょうがないわね。

 

「ほら、ハンカチ」

 

「ありがど、よしこちゃん」チーン

 

「こら!鼻かまないでよ!」

 

もう、これじゃ涙拭けないじゃない。

しょうがないから、私は二年生組の方を見て、

 

「ごめん、梨子さんか曜さん、ハンカチ持ってない?」

 

って聞いたんだけど...

 

「・・・・ぐすっ」

「・・・・・ひっく」

「ううう・・・」

 

ちょっと、なんであんた達なんで泣いてんのよ...

と思った瞬間、

 

「うゎ〜ん!ごめんよ善子ちゃ〜ん!」

 

千歌さんが抱きついてきた。

 

「軽い気持ちで聞いてごめんよ〜!」

 

ちょっ!涙で顔がグチャグチャ...それを擦り付けないで!

曜さん達も止めなさいよ!

 

「千歌さん、およしなさいな」

 

ほっ。ダイヤさんが止めてくれたわ。

 

「善子さん...感激いたしました!!(泣)」

 

あんたもか!!

 

ちょっともう!なにこのカオス!!

あぁ!これも私が堕天使なのが悪いのね...

なんて言ってる場合じゃなさそうね。

 

「う〜ん...うゆ?」

 

あっ、ルビィが起きた。

 

「ちょっとルビィ!あんたの姉だけでも止めて!」

 

私がそう言うと、ルビィは周囲の状況を確認し、

 

「・・・・・うゆ」zzz...

 

もっかい寝た...てっコラ!

 

「もー!何なのよ!もぉー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

善子ちゃん。

おらは、善子ちゃんの話し、信じるずら。

だって、おらには見えたずら。

 

窓に写った、照れくさそうに笑う。

()()()の姿が...

 

 

 

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