暇つぶしに行くD×D世界で祖龍がBalance Break!!   作:ぬくぬく布団

88 / 94
布団「え~、ここで読者にお伝えします。色々と考えた結果、一誠sideを物凄く減らして強引に後半へと移行します。かなり長々とやるのもあれだし・・・エタる可能性が高いのです。この話だけでも六回の書き直しの末に執筆しました」
ミラ「で?」
布団「許してつかぁさい。取り敢えず、ミラ様達は神と戦います!(※自称はメインディッシュ)」
ミラ「なら、さっさと書けるよね?」
布団「頑張って超展開?になる様に頑張る。実は、修学旅行に入る前位から原作を知らないのでね・・・。オリジナル展開とやっちゃいまーす。目下の問題は筆の乗りが重いという事です(;^ω^)」



第75話 超展開!?やっちゃったZE!油断と慢心!

~美羅side~

 

美羅達が転生者達を殲滅し終えて数ヵ月―――。周囲は何も起こらず、美羅は家で食っちゃ寝の自堕落な生活を送っている。卒業まであと少しで、それまでに自称神をヌッ殺す事にした

 

「と言う訳で、卒業するまでに自称神をヌッ殺すわ。卒業後はのんべんだらりなアウトドア生活!」

 

「・・・それはもう引き籠り生活ではないか?」

 

「自給自足だから引き籠りじゃないわ!」

 

「そ、・・・そうか」

 

美羅の圧にティアはタジタジになって追及を諦め、自分ものんべんだらりなアウトドア生活を送るのだろうと察した

 

「主の将来設計は理解したのだが・・・それ以外の者はどうするつもりだ?舞樹姉弟に関しては書類偽造などしていないぞ?」

 

「ここの管理をさせる」

 

「なるほど・・・強く生きる事だな」

 

美羅が計画している事―――この不思議ワールドを観察する仕事を転生者である春、俊屋、京矢の三人を中心に任せるのだ。そして、バトルジャンキーなヴァーリ、美猴、アーサーも監視要員である

 

「ジャンヌちゃんはリオ夫婦のお世話で手一杯、ルフェイちゃんはネルとレオナルドくんの保護者。これで完璧ね♪」

 

「見事に全員を巻き込んでいるな」

 

「えぇ~、外で碌な事を仕出かさない様にするだけよ?アザゼルからは、「ヴァーリの闘争本能は戦いで抑制される」や、「ラーメン巡りや製作も力を入れている」って言ってたのよ?」

 

「前者は分かる。しかし、後者は無理だろう?」

 

ティアはこの不思議ワールドを一通り見たが、ラーメン巡りなんて出来ないし、製作も出来ないと決めつけていた

 

「ちっちっち、ティアは甘いよ。巡りや製作と言ったでしょ。今まで見た事もない素材を使ってラーメンを作る事の厳しさ・・・生半可じゃないわよ」

 

麺もそうだが、出汁、具材、薬味等と数多の可能性を模索して完成させなければいけない事を考えると、途方もない険しい道のりだ。ラーメン巡りに関しては美羅に頼めば外の世界に行けるので、周期を決めれば良いだけだ。そして今現在、ヴァーリはラーメン作りに必要な素材を収集していたりする。美猴はヴァーリの付き添いで、アーサーもヴァーリ同様新しい紅茶の茶葉を作る為に素材を収集している

 

「皆が他人に迷惑を掛けず思い思いに行動する―――良い事じゃない?」

 

「・・・確かに、迷惑が掛からないのは良い事か」

 

「人が本当に輝く時は、誰もが凄いと思った時よ。傍迷惑だから神器に封じた・・・神器が暴走するかもしれないから管理する。私は、上から目線の自分勝手で可能性の芽を摘む行為が総じて嫌いなだけよ。あそこでもここでも変わらない。弱者を食い物にし、己が欲望の為だけに消費する―――悪意の負の連鎖は何処でも一緒ね」

 

「主、自由気ままな龍と人は違うのは仕方がない。価値観が全く違うのだからな」

 

「でも、人間社会で過ごす事も悪くはないと思っているでしょ?」

 

「・・・そうだな」

 

美羅は、種族は違えど人という種は嫌いではない。だが、この世界は歪な所が嫌いである。神器という物のせいで人生が滅茶苦茶になり、人外達に狙われ、挙句には討伐対象にされる。生きる希望が湧かずに自殺する者も沢山居るだろう。生き足掻く事もしない絶望があるのは世の常だが、これはそうではない。たった一人の神が考えなしに神器を生み出した事が全ての始まりである

 

「神器って消えちゃえば良いのにね。そうすれば、もっと輝くかもしれない人が増えるかもしれないし、少なくなるかもしれない」

 

「神器が消えたら・・・確実に人間を眷属にするという輩は少なくなるだろうな」

 

「0にはならないけどね。行き過ぎた宗教と言う名の洗脳教育も醜いけどね」

 

ジャンヌの故郷で起きた事件。村人を洗脳し、虐殺し、心から追い込む。少しでも間違えば、異教だの魔女だのと決めつけられて処刑される。負の連鎖は何処にでも存在する

 

「でも、全てには始まりがあり―――終わりがある。それをするのは、何時だって理不尽な存在・・・・・まぁ、そういう事よ」

 

「・・・・・自称神と言うやつの事か」

 

「最初はまともだったのかもしれない。だけど、何処かで歯車が狂った、間が差したかもしれない、狂気を見た、大罪に感化された。様々だけど、地球の始まりともいえる神が退屈を埋める為に手を出しても許されるレベルを超えた。人だった頃には自制心もあったのだろうけど、急に何でも出来る力を得た事による傲慢ね」

 

「それほどまで最初に居た神なのか?」

 

美羅の言う自称神とは、人が生まれた時に生誕した神だ。それよりも前に居た神は存在して居たのだろうが、今は居らず、異質な力を持つ自称神に美羅はある予想をしていた

 

自称神は他世界にまでも手を出す力を持っている。だけど、私がこの世界に来た事を察知出来なかった事から、その力は後付けされた物の可能性が大。自称神から感じる他の神気―――その力は自称神よりも小さいとはいえ、何も見えない所から感じられる。血を浴びた事による力の取得しか考えられないわ

 

神とは何か?と問われても、殆どの人はあまり理解出来ないだろう。人の形をしている?神々しい形をしている?そんな物はただの器に過ぎない。神を神たる存在にしているのは、魂と血である。情報量の多いその二つなら、神としての力を持つだろう

 

人の魂に上書きされた神を超える力に、神の血を浴びた―――亜神の出来上がりってね?己よりも前に生きている神は居ないから、創生神は俺だと大きく出れる。一度オーディンや他の神々を見たけど、皆が記憶を弄られてるわ。これは色々と想定して動かなければいけないかな~?

 

一方、一誠達の方では激動の日々を送っていた。修学旅行では転生者達の襲撃を受け、旧魔王派がテロを起こして巻き込まれ、アーシアを手に入れようとした悪魔は鉄拳制裁で吹っ飛ばされ、もの凄くしょうもない事で禁手化に至り、冥界で変態な歌が流行らせ、日本を旅行していたオーディンの付き人のヴァルキリーの一人を眷属にしたり、レーティングゲームで更なる進化をしたとの事だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に意味が分からず、美羅は頭を抱えたくなった。襲撃やテロに巻き込まれるのは理解出来るし、あの手この手で眷属を増やしてレーティングゲームをするのも分かる。だが、しょうもない事で禁手化するのは予想外だ

 

KY赤髪の胸を突っついて禁手化なんて普通する?こう・・・生存本能が働いて至るんじゃないの?

 

美羅の言いたい事は物凄く分かる。この報告を聞いた当時の黒達は、目を点にして「うっそだろ?」と思った事をそのまま呟き、D×Dの小説を読んでいた俊屋は「・・・やっぱりか」と何処か諦めて顔を手で覆っていた。特にジャンヌは、「キモッ」と素直な感想を吐いた

ここまでなら我慢すれば良いのだが、ルフェイが何処からか仕入れた特撮番組「乳龍帝おっぱいドラゴン」を気に入っていたのだ。「何だこれは!?」と流石にヤバイと感じた美羅とジャンヌはあの手この手で取り上げる。だが、それがいけなかった。美羅とジャンヌはネルの口撃、「ルフェイお姉ちゃん虐める二人共大っ嫌い!!」という言葉に撃沈した。結局没収した物は返品して、なるようになれと放り投げる事にした

 

「・・・ネルの口撃って効くわね」

 

「・・・そうね。純粋だから染まらない事を祈るわ」

 

「・・・そこにオーフィスも加わって一緒に歌っていたわよ」

 

胃が痛いとはこの事だ。「平穏な日々?なにそれ美味しいの」と言わんばかりに、美羅は一誠が悪影響を与えている事に憂鬱になる

 

「・・・何処かに消しても良い奴現れないかな~。無性に腹が立つんだけど」

 

「・・・奇遇ね。私もよ」

 

美羅とジャンヌが気分転換にショッピングを楽しんでいると、携帯電話が鳴る。連絡相手は紅で、「珍しいわね」と呟き、ため息を吐きながら通話ボタンを押す

 

「今ジャンヌちゃんとショッピングしてるんだけど?」

 

『     』

 

しかし、何も返答が来ない。間違って電話をしてきたのかと思い切ろうとした

 

『やー!オーフィスお姉ちゃん虐めちゃやー!』

 

小さいけれどネルの泣き声が聞こえた。一緒に居たジャンヌも内容を聞こうとスピーカーに耳を当てていたので聞こえた。これは異常事態だと分かり物陰に隠れて兵藤家へ転移すると、家が崩壊していた

 

「襲撃・・・よね」

 

「やられた・・・雌煌が居るから襲う事はないだろうという決めつけが裏目に出たわ」

 

「強敵が居る事は間違いないわね」

 

「向こうに行くわよ」

 

ジャンヌは美羅の肩に手を置いて不思議ワールドへと転移。最初に眼に入った光景は、崩壊した別荘と体の至る所に傷を負い大地を赤く濡らす二体の竜―――リオレウスとリオレイアの二体だった

 

「レウ!?レア!?」

 

ジャンヌは二体の元に急いで駆けて近づく。二頭の傷は深く、ジャンヌと出会って安心した様に瞼を落とした。出会ってから一年も経っていないが、家族同然の竜が殺された。一度でなく二度も大切な家族が殺された事に、ジャンヌの身体から黒炎が揺らめく

 

「・・・・・何でよ。どうして・・・私は・・・」

 

ジャンヌは死んだリオレウスとリオレイアの前で泣き、美羅は遠くから聞こえる声を聞いて即座に移動する。空を跳んで移動していると、まるで八つ当たりの様に殺されたモンスター達の死体が転がっていた。戦闘音もそうだが、遠くから聞こえる声―――悲鳴と笑い声が聞こえる。美羅は流星の様な軌跡を描いて、目的地へと急降下。着地の衝撃で地面が抉れ、大地が揺れる

土煙が舞う中でも分かる気配。以前見逃した英雄派と呼ばれる四人と、ちぐはぐな力を纏う何かと、神気が四つ。そして、弱体化した馴染の気配が三つ・・・黒と紅とオーフィスの三人だ

 

「随分とまぁ好き勝手やってくれたわね」

 

『ほう、ようやくお出ましか』

 

『ねぇ~、早く終わらせたいんだけど~?』

 

『これが我らが動く程の猛者だと?ハーデス、何かの間違いではないか?』

 

『無手と侮るな。これは人間の枠組みを外れた化物の存在だ』

 

おうおうおう、私を人間の化物扱いか。私は龍なんだけど?・・・まぁ、勘違いしてくれているならそれでいいわ。説明めんどいし・・・

 

美羅は神気を発する四人の方を見て、ため息を吐きながらどうやって消そうかと思考する

 

「えっと~・・・ハゲーズとタルタルソースとエレボスとソックスの四神ね。これは私に対しての宣戦布告と捉えても良いわよね?」

 

『ハーデスだ!』『タルタロスだ!』『私はニュクスよ!誰がソックスよ!』

 

「もっと覚えやすい名前にしなさいよ・・・。渾名でいいじゃない。まぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで殺すけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大胆不敵な発言に、四神の眉がピクリと動いた。相当お冠のご様子だ

 

『あ~あ、そんな事言っちゃう娘にはお姉さんが殺しちゃうんだぞ♪』

 

「お嬢ちゃんに倒される程弱くないわよ」

 

『おじょっ!?』

 

神様をお嬢ちゃん扱いする美羅に、この場に居るほぼ全ての者が「何てこと言いやがる!?」と心の中でツッコミを入れる

 

『ふんっ、可愛げのない娘ね!あっ、今の内に良い事を教えてあげるわ~。ドレスチェンジ♪』

 

ニュクスの言葉と同時に、身に着けていた服が変わった

 

『これぞ処女を殺す服よ♪処女の攻撃は通じないし、触れるだけで即死するのよ♪』

 

「・・・はぁ?」

 

美羅からすれば、「えっ?それだけ?」と呆れ果てたリアクションなのだが、相手は美羅が手を出せない現状に驚いていると勘違いする

 

「ん~・・・まぁ、四神についてはどうでもいいや。それよりも、それ何?キメラ?」

 

美羅が指差したのは、上半身が堕天使で下半身が東洋の龍の複合体だ

 

『あぁ、こいつは龍喰者(ドラゴン・イーター)―――名はサマエルだ。貴様の下僕の二体とオーフィスの力を削ぐ為に利用しただけだ』

 

これがドラゴン・イーター?権能か何かで力を奪う感じではなさそうね

 

美羅がサマエルをジッと見ていると、龍化している黒と紅の影からすすり泣く声が聞こえる。後ろを振り返ると、リアス達と兵藤夫婦が泣いていたのだ。美羅はこの時点で、「あぁ・・・一誠君の身体がおじゃんになっちゃったのね」と判断した

 

『サマエルに挑んだ人間の名前って何だったか・・・。確か赤龍帝と呼ばれていたな』

 

『あぁ~、あの童貞の男の子ね。サマエルの血を浴びただけで溶けちゃったのよね』

 

『やはり人間は脆弱だな』

 

言いたい放題である。だが、それは強者故の慢心でもある。美羅だって、こんな事態にはならないだろうと慢心していたので、「慢心乙w」なんて言えなかった

話は戻り、美羅は縁探知で一誠を探ると生きていた。但し、魂だけの存在となっており、グレートレッドの赤の傍に居る事が判明した

 

「な~んだ、一誠君生きてるじゃない。体は粉々になっても魂までは~って奴ね」

 

『え?』

 

泣いていた者達は美羅の言葉に呆然とし、一誠を殺したと思い込んでいた四神は驚愕していた

 

『馬鹿な!?魂が冥府へと落ちたのは確認したのだぞ!』

 

『落ち着けハーデス。我らの油断を誘う罠かもしれんぞ』

 

『・・・そうだな。我が間違う事はありえん』

 

落ち着きを取り戻したハーデスは、サマエルに攻撃命令を下す

 

『サマエルよ、あの女を殺せ!』

 

『■■■■ーーーーー!!』

 

まるで何も考えずに突っ込んでくるサマエルを見て美羅は再び考察を再開する。繰り出される攻撃をひらりひらりと躱し、触らない様に徹底する

 

これは・・・かなりの劇毒ね。神龍であれどその身を汚染される程と来たか・・・。しょうがないなぁ~

 

サマエルの攻撃を大きく避けた美羅は、赤雷でサマエルを押し出して距離を取る

 

「えっと、雌煌は・・・古塔の頂上で寝てるのね」

 

美羅は、指パッチンで雌煌を傍へ強制転移させ―――

 

「起きろっ!」

 

雷・神・拳

 

ズッゴンッ!

 

超強力な拳骨が炸裂し、クレーターが出来上がった

 

「いっでぇえええええ!?俺を殴ったのは誰だクソッタ・・・レ・・・・・」

 

美羅の顔を見た雌煌は、自分がやらかした事にようやく気付いたらしく頬を引き攣らせた

 

「わ、罠だ!これは罠だ!!あそこで高みの見物を決め込んでいる奴等のせいだ!!」

 

「もう一発いっとく?」

 

「ごめんなさい」

 

雌煌は、奇麗な土下座をした。最初から逆らうなと言いたいが、基本馬鹿なので反省はしない。すると、土下座をしていた雌煌はようやく気付いたのか、黒と紅の力が削がれている事に気付いた

 

「おいおい、黒に紅。お前等弱体化してね?」

 

『黒歌達を護る為にちょっとしくじってな』

 

『アーシアちゃんを護る為ならば仕方がない犠牲だ』

 

「この程度の呪いで弱体化するとか雑魚いぞ。なぁなぁ、俺も殺っていいだろ?参加させろよ~」

 

まるで駄々っ子の様にバッタバッタする雌煌の顔を、美羅は踏みつけて命令する

 

「離れて御守りしなさい」

 

「あっ、はい。すみません」

 

掌くるっくる~した雌煌は、おとなしく皆を避難させる。怪我をしてボロボロな皆を見送り、軽くストレッチしてコンディションを整える

 

「さ~てと、殺りますか。ソックスは最後で、その服をひん剥いて四つん這いにしてあげるわ」

 

『調子に乗り過ぎじゃないかな~?』

 

美羅と四神はやる気満々で、開戦の火ぶたが何時開いてもおかしくない状況の中、曹操が待ったをかける

 

「待て、貴様の相手は俺達だ」

 

「めんどいからパス―――と言うよりも、相手は元お仲間のジャンヌちゃんだけどね?」

 

「何?」

 

直後、空から赤い軌跡が美羅と曹操の間に着陸。その正体は、ロケット龍ことバルファルク。そして、その背に乗っていたジャンヌが地面に降り立ち、バルファルクは再び空へと飛んで行った

 

「ジャンヌ・・・か?」

 

「やけに黒々していやがるな」

 

英雄派の面々が久しぶりに見たジャンヌの姿を見て、最後に見た姿と変わり過ぎている事に多少驚いている

 

「・・・竜を殺したのはお前達か」

 

四神達は、「人間にやられたトカゲか」と呆れ、曹操達は最初に立ち塞がった大型の竜を思い出した

 

「ん?あぁ、赤い竜と緑の竜か」

 

「ちょいと頑丈だったが倒したぜ」

 

「竜殺しは僕の専売特許ですからね」

 

「見た事もない竜だったから鱗を少々頂いたな」

 

自分の力を誇示し、未知なる物を手に入れるのは当然だと宣言する彼等はジャンヌの逆鱗を踏んでしまった

 

――ろす

 

「何?」

 

「殺す殺す殺す殺す!お前達皆殺してやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ジャンヌside~

 

ジャンヌはどす黒い黒炎を迸らせ、創った聖剣を射出―――転堂が使用する特典の王の財宝と似た攻撃を行う

 

ドドドドドドドドッ!

 

幾多もの聖剣が飛来、自称英雄達は武器で弾き、魔力で撃ち落とし、避けたりと致命傷を負わない事にジャンヌはイラつく

 

「死ね!死んでしまえ!家族を奪ったお前達なんて死んでしまえ!!」

 

黒炎を彼等の足元に生み出すが、ギリギリで避けられる。一分一秒でも早くこの世から消したい奴等が足掻く事に、ジャンヌのイライラは更に大きくなる

 

「ジャンヌ、君がそこまで人外に絆されるとは思っていなかった。今から君は死すべき人間だ!」

 

「あんた等なんかに殺される程柔くないのよ!」

 

「曹操ばかりに気を取られてんじゃねぇぞ!」

 

死角からヘラクレスの拳が迫るが、ジャンヌは片手で捕まえ爆発。ヘラクレスの神器の爆発は大地を大きく抉る程の威力を持っている。しかし、この不思議ワールドではその程度の攻撃は日常茶飯事だ。つまり―――

 

「これで一人」

 

「うそだr―――」

 

ジャンヌの頭上を起点に、いつの間にか空に停滞していた太陽の如き巨大な黒炎の塊が落ちた。大地は焼け、凄まじい熱量がヘラクレスを消し飛ばす

 

「ヘラクレス!」

 

「あの炎は一体何なんだ!?分からない・・・何なんだあれは!?」

 

「ヘラクレスがああも簡単にやられるなんて・・・」

 

ジャンヌは、次の獲物を剣マニアのジークフリートに定めた

 

「獄門よ、行く手を閉ざせ―――憤怒の柱(ジ・ザイル・ディスカルズ)!」

 

黒炎の柱をジークフリートの周囲にそびえたたせた後、幾多もの巨大な断頭の刃を頭上展開する

 

「罪過をその身に受けろ、黒き咆哮の狂乱(スラッズ・ブレン・ラズィル)!!」

 

ジークフリートの首を狩る様に追尾するが、曹操の神滅具によって柱と刃も打ち消される。だが、それは想定内。ジャンヌは両手に黒炎を収束し、標的をジークフリートと曹操に絞って放つ

 

「六つ首の黒竜よ世界を喰らい尽くせ、焼却天理・鏖殺竜(フェルカーモルト・フォイアドラッヘ)!!」

 

左右の手から計六つの竜をを模した黒炎が放たれ、二人に向かう。黒竜の火力は凄まじく、曹操とジークフリートは放たれたと同時に禁手で相殺しようとする。曹操は禁手で得た力の一つであろうボウリング大の玉を操って威力を削った後槍で潰す。ジークフリートの方にも玉で援護したのだが、ジャンヌ自身が凄まじい速さで接近して聖剣と魔剣の鍔迫り合いとなる

 

「潰れろっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

ジャンヌの押さえつける力が凄まじく、ジークフリートの足元が陥没する。鍔迫り合いしている魔剣は砕けはしないものの、何時砕けてもおかしくないと錯覚させる程ミシミシと鈍い音が鳴る。すると、二人を包む様にゲオルグの霧が漂っている事に気付いたジャンヌは飛び退いて距離を取る

 

「ちっ、あのまま気付いてなければ良かったものを」

 

「ちぃっ!」

 

ジャンヌがゲオルグに向かって駆けだそうとした瞬間、曹操の操る玉が複数襲い掛かる。燃やそうとすると黒炎の火力が弱まるので、聖剣で一つ一つを弾く。だが、ある一つの玉に聖剣をぶつけた瞬間、聖剣が砕け散った

 

「なっ!?」

 

咄嗟に新たな聖剣を生み出して壁にしようとしたが、聖剣は生まれず玉はジャンヌの腹部に直撃する。しかし、咄嗟の判断で後ろに飛んだので威力は三割減と言った所だ

 

「こっんの!」

 

黒炎を放とうとするも、不発―――。ジャンヌは、自分の力が封じ込められている事にようやく気付いた

 

「何で?・・・ッ!?その玉か!」

 

「ご明察だ。そんなジャンヌに良い事を教えよう。この二つの玉の特徴は異能殺しと武器破壊だ。その不可思議な炎を殺し、聖剣を悉く破壊しよう」

 

「俺の扱う霧で力を削ごうか」

 

「人外へ寝返った裏切者には丁度良い末路ですね」

 

黒炎を封じられ、聖剣は破壊されるこの状況にジャンヌは絶体絶命に陥る。しかし、だからと言って諦める事はしない。自分が死のうとも、曹操達だけは己の手で殺すと誓ったのだ

 

「力を封じた―――だから何?私はお前達を絶対に殺す!」

 

黒炎を封じられたからと言っても、心の奥底で滾る復讐の炎は消える事はない。相手を必ず殺すまで消える事はありえない。ジャンヌは聖剣を再び握り、周囲に展開する。武器破壊の玉が一個ならば数を用意すれば問題はないのだ

 

「考えたな。だけど、俺は言った筈だ。特徴は武器破壊―――玉が当たれば必ず破壊されるとでも思っていたのなら、過小評価されたものだな」

 

光っていない玉が輝くと同時に、全ての聖剣が砕け散る

 

「そ、そんなっ!?」

 

「よそ見をする暇があるのか?」

 

「くっ!」

 

曹操が槍を横に突き立てると同時に、ジャンヌは背後から嫌な予感がしたので横っ飛びで回避する。先程までたっていた場所には曹操が持った槍が生えていたのだ

 

「転移系の玉か!」

 

「観察眼は鍛えられているか。・・・ゲオルグ、ジークフリート、面倒になる前に殺るぞ」

 

「ああ、丁度俺の霧がジャンヌを捉えた」

 

「こっんのぉおおおおお!」

 

手足に枷をされたジャンヌは、いきなり体が重くなる。いや、身体能力が低下したと言った方が合っているだろう。油断はしていなかったが、相手の掌で踊らされた事に苛立ち、ジークフリートの魔剣が迫り来る

バックステップは間に合わない。横にズレる事も出来ない。ならば、残された手は前進を躊躇なく選択して、直撃する寸前に前に出てジークフリートの手を握って二刀の斬撃のみ回避。だが、残りの二刀は腹に突き立てられる

 

「ぐっ、がああああああああ!こんちくしょう!!」

 

ガツンッ!

 

激痛がジャンヌを襲うが、頭突きでジークフリートを突き放す。予想していなかったジークフリートは、まともに直撃してジャンヌの腹に刺していた二刀を手放してしまった。ジャンヌはそのままヤクザキックでジークフリートを蹴り飛ばして地に膝を付く

 

このまま剣を抜けば失血死は確実ね。炎も聖剣も封じられ、身体能力のデバフ・・・正直人一人道連れにする事も厳しいわね。―――だけど・・・だけどっ!あいつらは刺し違えても殺す!

 

心の奥底で炎が煮え滾り、憤怒と憎悪を孕んだ眼で曹操達を威圧する

 

「瀕死にも拘らずこの殺意・・・窮鼠猫を嚙む―――か」

 

「刺し違える可能性もありそうですね」

 

「だが、身体機能も低下しているんだぞ?そう簡単には解けない」

 

互いが牽制していると、ジャンヌの頭に二つの紅い玉が直撃した

 

「あいたぁっ!?」

 

これは曹操達も驚き頭上を見上げると、ジャンヌをこの場所に届けた龍が頭上を旋回して飛び去って行った

 

「あんのロケット龍は後でぶん殴ってやると思ったけど、これを見せられれば撤回してあげるわよ」

 

ジャンヌが手に持つ紅い玉は二つで、そのどちらにも言い知れぬ存在感と圧があった

 

「あんた達には分かんないわよね。力を誇示する為だけに敵を倒す。・・・それは、相手が襲ってきのなら誇っても良い事でしょうね。でも、あんた達は襲撃者で自然の破壊者。誉る事は何も無い。分かる?これは、この紅玉はあの二頭の竜の物よ。私に破壊者を殺せと熱量を持って訴えかけている!」

 

「人ではなく竜だが、死人に口なしという言葉は知っているか?死ねばそれで終わりだ」

 

「自分達の事は棚に上げてそれを言うのね。・・・・・だから、私はあんた達を殺す為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間を辞める!!

 

ジャンヌは、自分の腹を貫いている二本の魔剣を引き抜いた。ドロドロと血が零れるが、歯を食いしばって意識を保つ。そして、誰も試していない・・・いや、一人だけ居た。極限まで追い詰められ、仲間の為にそれを受け入れた男―――兵藤一誠だ

ジャンヌは一誠がそれをした何て聞いてはいなかったが、美羅からこんなことした馬鹿が居たよ~程度で聞いた事を思い出したのだ。しかし、今回は規模が違う。一誠はあくまでもジンオウガの角の素材を籠手に吸収させたが、ジャンヌが行うのは生身で紅玉を受け入れる事だった

 

「復讐は我が心に!無念はこの玉に!全てを此処に捧げる!」

 

ジャンヌは躊躇う事無く貫かれて穴の開いた腹部と心臓に紅玉を叩き入れた

 

「ぐっ!我・・・が炎・・・消・・・え・・・る事・・・なかれ!!」

 

今までの黒炎とは桁違いな熱量の炎がジャンヌを包んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱い、熱い、熱い、熱い、熱い―――でも、心地良い。私の身を炎が包んでいるのにも関わらずこんな事を思うのはもう死んだからなの?

 

炎に包まれているのに息苦しくもなく、体が焼ける事もない。このままずっと包まれて居たいと感じる程優しい炎だった

 

このまま居たい。だけど、私は成すべき事がある

 

そっと腹部を指で撫でると魔剣で貫かれた筈の腹部の穴は塞がっていた。そのまま何も考えず、無意識に指を胸元までなぞる。すると、心臓の鼓動に合わせて炎が揺らめく

 

そうだ・・・私はレウとレアの紅玉を取り込んだ。これは夫婦の消えぬ炎の意思―――死んだけど、護るという意志だけは残って私に託したという事なのね。全く、子供が居るんだから死んじゃあ駄目じゃない。でも、今度は私が護る。託されたこの力で仇を取り、護り抜く!だから、付いて来なさいよ!!

 

ジャンヌの意識が完全に覚醒すると同時に、身を包んでいた炎が散る。その場に佇むジャンヌの姿は、赤から緑のグラデーションに染まったスカートと、黒色の胸当と、左右に緑と赤の籠手を身に着けていた

 

「あぁ、そうだ。私は生きて役目を引き継ぐ。そして、それを邪魔する奴等は殺す。ただそれだけよ!」

 

その言葉と同時に、炎が巻き上がり赤のティアラと緑の耳飾りが顕現する。本当の意味で人間とモンスターが手を取り合ったイレギュラー中のイレギュラーがこのD×D世界に初誕生した

 

「覚悟は良い?今の私は手加減なんて知らないし、そんな事をしないわ。泣いて喚こうが止まらないんだから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジャンヌちゃんが遂にD×D世界初の新人類になりました。・・・新人類だよね?
え?亜人?・・・細かい事は無し無し
並みの禁手化よりも凄まじい力を手に入れたとだけ伝えておきましょう。曹操達はどうなるのかって?次回をお楽しみにね!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。