暇つぶしに行くD×D世界で祖龍がBalance Break!!   作:ぬくぬく布団

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布団「最終話までカウントダウンに入りました~」
ミラ「長かったわね」
黒「そうだな~」
紅「アーシアちゃん成分がたりぬぅ!」
雌煌「へっへっへ、今回も俺が登場するぜ!」
黒・紅「「なにぃ!?」」





ねる「はじまるはじまる」










第80話 赤龍帝の覚醒!

~一誠side~

 

美羅先輩に飛ばされた先は、身を隠す様な障害物の無い平地だった。そして、俺の目先に居るのはもう一人の赤龍帝―――東条転堂。最後に会った後、あいつは色んな所を襲って女の子をレイプするクソッタレだ!断じて許しちおけねぇよ!

 

転堂も一誠に気付いたのか、溜息を吐きながらあくどい笑みを浮かべた。対する一誠は、今までとは違う雰囲気を漂わせながら転堂を見据える

 

「おうおう、へんてこな場所に連れて来られたと思ったらお前もかよ。何?一対一で戦うつもりか?」

 

「あぁ、転堂。てめぇは俺がぶちのめすっ!」

 

「はぁ~、イキがんなよ。乳龍帝風情が真の赤龍帝に勝てるとでも思ってんのか?」

 

転堂は、王の財宝から龍殺しの武器をいつでも射出出来る様に構える

 

「こいつは龍殺しの武器だ!これに当たればあっという間におじゃんだぜ!」

 

「はっ!そうかよ!!バランスブレイクッ!」

 

一誠は鎧を纏い、翼を広げる。翼は今までの物とは違い、所々隙間が開いている。一誠が魔力を注ぐと、その隙間から赤雷の魔力が溢れ出る

 

「は?何だそ―――ぶがぁっ!?」

 

転堂の目で追えない速さで突っ込んで顔に一撃をお見舞いする。転堂は、鎧も展開していない状態での攻撃によろめきながら一誠に憤怒の感情を露にする

 

「よくもやってくれやがったな!主人公の俺様を傷付けた事を後悔しやがれ!」

 

王の財宝から放たれる武器を避けたり、掴んで迎撃したりとかすり傷を負う事なく対処する。これも全て美羅の地獄の特訓の賜物である。死に勝る経験は無いとはこの事だ

 

『そちらの俺よ、優劣をつけるこの戦いで力を発揮しないつもりか?』

 

『あまり舐めるなよ、この宿主は最高の潜在能力を覚醒させている。歴代最弱と名高いそちらと比べるまでもない』

 

「行くぞドライグ、バランスブレイク!」

 

転堂の方も禁手化して鎧を纏う。それは、スマートで無駄がない流線形の鎧だ。どこぞの鋼鉄の男を彷彿とさせるデザインだが、転堂のゲスな所を知っている一誠からすれば似合ってないの一言である

 

「・・・うわぁ、かっこわりぃ」

 

「実用性だ。無駄にゴツゴツしているお前よりもイカしてるだろ?」

 

「お前の性格で、そのセンスはだせぇよ」

 

『ブフッ、相棒そう言ってやるな。あいつ等はあの姿が強いと自負しているんだ。なら、俺達のやる事は一つだろう?』

 

「ドライグの言う通りだな。真正面からぶっ潰してやるよ!」

 

「ほざけぇっ!」

 

転堂は未だ懲りず武器を射出して一誠を近づけない様に徹底している。だが、一誠の動く軌跡が武器と武器の隙間を縫う様に動く事で対処する

 

「死ねぇええ!」

 

「危なっ!」

 

転堂はいきなり一誠の方に掌を向け、そこから赤いレーザーを放つ。しかし、一誠は少しだけ大きくのけ反ってその攻撃を回避する。これも美羅の地獄の特訓の賜物である。隙を見せた瞬間飛んで来る即死攻撃が飛んできたり、回避に手一杯な所にイレギュラーな即死攻撃を混ぜたり、ありとあらゆる可能性の攻撃に対処出来る様にと叩き込まれているのだ

 

「クソッ!」

 

「てめぇの攻撃なんて美羅先輩に比べたら薄っぺらなんだよ!」

 

転堂の次の攻撃は鎖による捕縛だ。黒ずんだ鎖が一誠を縛ろうと飛んで来るが、それを回避すると同時に全方位から感じる殺意に反応した

 

「急く落ちろ!」

 

「ドラゴンショット・スプレッド―――――いっけええええええええ!」

 

一誠がその場で回転して小さな魔力を全方位に展開して発射、武器が現れたと同時に放たれた小さな散弾は全ての武器を弾き飛ばした。極小の魔力で切り抜ける技の一つだ。美羅の数多の雷球を避ける為には、少しだけの時間稼ぎもしくは直撃コースからずらしたりとの工夫が必要だった。そこで運良く手に入れた経験―――発生直後なら微量の魔力を配置する事で防ぐ事も出来るとなら、話は簡単だ

1.武器の先端を出さなければいけない

2.射出までのわずかなラグがある

例えるなら、カタパルトに乗せられた武器が射撃される間の準備時間に邪魔をすればいいだけなのだ。ただでさえ不安定とも言える場所から武器を射出するのだ。小さな力で照準をずらすだけでも人と言う小さな的には当たりにくくなる

 

「何故だ・・・何故俺の攻撃が・・・いや、これが弱いというだけだ。俺が弱いわけじゃない!」

 

「はいはいっと、言い訳乙」

 

「その頭蓋叩き割ってやる!」

 

一誠の頭上に山程の大きさの剣が振り下ろされる。あまりの脳筋戦法に頭を痛くなるが、大量の武器が降る。だが、それは一誠に直撃させるものではなく退路を塞ぐ為の壁だった。一誠は、これらの武器を破壊して避けようとも考えたが却下する。無茶な突破は相手の思うつぼであり、取れる選択肢が限られる

 

「行くぜドライグ!」

 

『おう!』

 

サイラオーグ戦での悪魔の駒の特徴を継承する進化ではなく、美羅との特訓で編み出した防御寄りの重装甲型の鎧・・・いや、正確に言うなら前者と後者を融合した姿で、上半身の筋肉が異常に発達したかの様な分厚い鎧となる。この鎧の最大の特徴は、美羅の一割の力ならば五発は耐えられるという破格な性能だ。だが、その反面移動速度が遅くなるという弊害を抱える事になる。だが、今の状況なら移動よりも迎撃や防御だけとなるのでぴったりと嵌るのだ

 

龍獣鎧の戦車(ルーク・ザ・ビースト)!」

 

巨大な剣が一誠に直撃する寸前で切り替え、両腕をクロスして防ぐ。鎧に罅は入らなかったが、物凄い重さで地面が陥没する。だが、美羅の攻撃に比べれば軽い。一誠は、両腕に魔力を込めて巨大な剣を吹き飛ばして転堂を見据える

 

「馬鹿な、イガリマを直撃して無傷だと!?どんなチート使いやがった!」

 

一誠は最初の鎧姿に戻して、籠手からアスカロンを出現させる

 

「ちっ!アスカロンかよ。だが、所詮は人が作った武器だ。全ての原点を内包する俺の前に見せたのは間違いだったな!」

 

転堂が片手を黄金の波紋に突っ込む。だが、直ぐに驚愕の表情を浮かべて手を戻した

 

「てめぇ!元の武器からかけ放てるな?明らかにオーラが違うのはありえないんだよ!」

 

「そんな事知らねぇよ。ただ、美羅先輩は必要だから俺にこれを再修復してくれたんだ」

 

「あのクソ女の仕業か!」

 

「てめぇの相手は俺だって事を忘れんじゃねえ!」

 

一誠のドラゴンショットが転堂に放たれる。しかし、それは浮遊する盾に防がれてしまったが、本命はアスカロンの斬撃である。それは盾を切断して転堂へと振るわれたが、バックステップで避けられ武器を大量に射出されて一誠は後退する

 

『おい、もうそろそろ本気で戦ってやっても良いんじゃないか?』

 

「こんな雑魚に本気を出すなんてありえねぇよ」

 

『始まってからダメージが入っていないだろう?奴等はそれ程成長してこの戦いに挑んでいると捉えてもいいだろう』

 

「へーへー、やりゃあ良いんだろ?これ使うとつまんねぇんだよ」

 

一誠は警戒して一歩を踏み出せずにいた。自身が優勢なのは理解していたのだが、相手の様子に違和感を覚えて止まったのだ。転堂は、黄金の波紋から小瓶を取り出して中身を飲んだ。だが、一誠が感じる雰囲気は飲む前と何ら変わらなかった

 

「貴重な秘薬を使わせたんだ。直ぐに駄目になるなよ。―――――ついてこれるか?」

 

「ぐはっ!?」

 

転堂がにやりと笑みを浮かべたと同時に、一誠の頬に衝撃が走る。装甲が砕け、素顔が晒された時に見えた拳―――転堂に殴られた事をようやく理解した。そこからボディ、顎、リバー、テンプルと急所を確実に抉る攻撃一つ一つも強く、体の芯に残る重さの攻撃だ

何故?どうして?手加減をしていたのか?と様々な疑問が頭を過る中、一誠は途中で意識を飛ばす。そこから滅多打ちされ途中で意識を覚醒させる

 

「ぶっ潰れろやぁああああ!」

 

「っ!!」

 

一誠がスウェーで転堂の拳を避け、膝に力が入らず地面に倒れた所に再び拳が降ってくる。それは翼に魔力を回して距離を取る。かなり離れる事が出来た一誠は、膝を付いて流れる血を拭う

 

「いっづ~、いきなり力が跳ね上がるとかドーピングじゃねぇか」

 

『能力向上の秘薬なのだろう。恐らくだが、効力は数日に及ぶ可能性が高い。奴自身が貴重な秘薬と言った事から、出し惜しみなしと捉えていいだろう。ノーリスクで覇龍になれる事も考慮しろよ?』

 

「ったく、予想よりヤバイってのだけは分かったぜ」

 

想定が甘かった―――俺は俺で転堂の限界がここだって決めつけていたぜ。そのせいで要らないダメージを負ったが、完全に手も足も出ないなんて事にはならねぇ!

 

一誠は、気折れしない。特に、目の前に居る転堂相手には絶対に引きはしない

 

「ドライグ、飛ばして行くぜ!」

 

『おう!』

 

「『Full power fusion(全力全開の融合)!』」

 

一誠の纏う鎧が変化する。全ての駒の特性と、ジンオウガの力―――その全てを融合させた禁手の限界突破。後にも先にも一誠だけが成しうる極地の一つだ

 

「何だそれは!」

 

『ありえん。・・・他の生物との融合だと!?』

 

転堂達は驚愕する。己の知らない進化をしている一誠を見て、明らかに別側面の力を手に入れている事に舌打ちをする。だが、秘薬を使っているこちらが有利な事には変わりないと判断して、一誠をぶん殴る。だが、一誠に攻撃が直撃しても返しのボディーブローに身体が苦の字に折れる

 

「がはあっ!」

 

転堂は膝を付きながら一誠に向けて龍殺しの剣を射出。一誠は、それらを獣の様な野生の動きで全てを回避して一度距離を取る

 

「どうした、お前はこの程度の力かよ!」

 

一誠は、返答代わりの武器を拳で粉砕する。本来なら突き刺さるのだろうが、一誠の拳は剣よりも頑強となっているのでそれを易々と砕く。明らかに転堂よりも破壊力のある拳、それがもろに腹部にぶち込まれた転堂は中々立ち上がる事は出来ないだろう

 

「くそがっ!てめぇはこいつでぶっ殺す!

我、目覚めるは

覇の理を神より奪いし二天龍なり

無限を嗤い、夢幻を憂う

我、赤き龍の覇王と成りて

汝を紅蓮の煉獄に沈めよう」

 

転堂が歌を歌い終わると同時に、その体が光に包まれ巨大な龍と化した

 

「でっけぇな。これが覇龍ってやつか」

 

『ああ、俺達も出来るが―――』

 

「やるだけ無駄ってやつだ。力が増すのは当然としても、的が大きくなった事は色々と良い事ずくめだぜ!」

 

一誠は美羅達のやり取りを見ていたからこそ理解していた。覇龍になる事で力が増大するのは分かっていた事だが、その分攻撃速度が遅くなって耐久力が上昇する程度だ。それに対処する方法は、一撃に力を集約させると効果的だ

美羅とのデスマーチで覇龍になった事がある一誠は、あっという間にズタボロにされた事もあり覇龍はデメリットが大きいと判断したのだ。一誠は、腕と背にブースターを増設して右拳を大きく変化させる。転堂の大振りの攻撃を丁寧に避けながら、走って少しずつ近づき―――ブースターを噴かす

 

「くぅぉおおおおおおおおおおおおおお!」

 

左足を回転の軸として回転しながら接近、転堂が一誠を吹き飛ばそうとした右手に拳をぶつけた。本来なら対格差から吹き飛ぶのは一誠の方だ。しかし、推進力と遠心力を得た破壊力重視の拳は相手の拳を吹き飛ばす程の破壊力を有していた。転堂は、巨体を浮かして吹き飛んだ

 

「何故だ!人間の身体でどうしてこんな力がある!?」

 

『落ち着け、恐らくあの形状・・・ブースターによる威力増加な筈だ。インパクトの瞬間に倍化をすればこの疑問も解ける』

 

恐らくどころか、転堂は一誠が以前と変わっていないと思っている。だが、今の一誠の身体は神龍ボディとなっている為、瞬間倍化はお手の物である。それこそ、魔王と同等近くまで成長していると言っても過言ではない

 

「『Niflum Smasher(光雷の極光)!』」

 

雷の本流が転堂に放たれ、それに対抗して胸部から極太のビームが放たれる。威力は拮抗しているかと思いきや、それは最初の一撃だけだった。一誠のビームが転堂の放つビームを押し込み勝った

ビームの光が晴れると、覇龍が解けた転堂が血まみれで立っていた。そして、この現状についてようやく理解する事が出来たらしく憤怒している

 

「クソッ!クソッ!クソッ!クソォオオオオオオオオオ!てめぇ、神龍の身体を手に入れやがったな!じゃなきゃこの魔力量に頑丈さが成り立たねぇ!」

 

「だったらどうしたってんだよ」

 

転堂は、自身のすぐ傍に黄金の波紋を出して手を突っ込み黄金の鍵を取り出した。そして、突っ込んだ方の手には黄金の手甲が装着されていた。一誠は警戒し一挙一動を見逃さずいつでも襲撃出来る体勢を取っていると、転堂が手に持った鍵を捻る。すると、鍵先から幾重にも分かれた赤い線が浮かび上がり―――収束。黄金の鍵は無くなり、代わりに武器とも呼べない様な円柱状の剣が握られていた。一誠はその剣みたいな物を見た瞬間、全身に鳥肌が立った

 

「っ!?ドラゴンショットォオオオオ!」

 

あれはもの凄く危険な代物だと感じた一誠は、すぐさまドラゴンショットを放つ。そのまま直ぐに突進しようとしたが、ドラゴンショットの魔力が易々と割かれて赤い暴風が一誠を吹き飛ばす。大地を転がり体勢を整え終えた一誠が最初に目にしたのは、三つの円柱が回転して赤い暴風を吹き荒らしていたのだ。その赤い一筋が地面を撫でると、地面が抉られていた

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!」

 

赤い暴風が一誠に襲い掛かった。一誠は腕を盾にして攻撃を少しでも防ごうとしたが、強化された筈の一誠の鎧をいとも簡単に引き裂いて吹き飛ばした

 

「ぐあああああああああああああああっ!」

 

美羅の雷神拳以外では破壊されない自信があった鎧が引き裂かれ、全身血だらけになった一誠は地面に倒れ伏す。しかし、絶対に敗けられない戦いなので気合いと根性だけで立ち上がる。だが、そんな単純な物だけで切り抜ける事は出来ないのが常である。再度、赤い暴風が準備されており、先程の一撃よりも強風が吹き荒れていた。もし、あの暴風をもう一度受ければ確実に死ぬだろう

 

「ハハハハハハハ!このエアに勝る武器は存在しないんだよ!」

 

転堂は勝利を確信して笑みを零している。それすなわち、慢心しているという事だ。しかし、一誠が新たに作った必殺技があれに通用するかと言われれば、それは全てNoだ

 

「これで終わりだ!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!」

 

一誠の全てが通用しない大ピンチ。だが、それを見越しているのは美羅の想定内だ。一誠は、この戦いの直前に美羅に手渡された太刀の存在を思い出し、本当にヤバイ時は今だと判断して籠手から刀身を出して全力で振るった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一刀―――暴風が真っ二つに切り裂く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転堂が放ったエヌマ・エリシュの暴風は切り裂かれ、一誠が振るった刀身は折れた。だが、このチャンスを逃す一誠ではなく、翼のブースターを噴かして転堂に突撃した

 

「転堂ぉおおおおおおおおおおおお!」

 

転堂が咄嗟に射出した武器に足や肩を貫かれるが、急所は防いで全力でぶん殴った

 

「ぐぶあっ!?」

 

転堂は吹き飛び、手に持っていた剣を取りこぼした。一誠はその剣を持って転堂が再び手にする事を防ぐ。とはいえ、一誠の拳は転堂の胸部に放たれており、胸部の骨を砕いたのだ。まず間違いなく即死だが、無駄に頑丈になった転堂は生き延びていた

 

「ごふっ、お、俺はオリ主だ。俺が最強なんだ。俺が主人公なんだ。全部俺の物なんだっ!」

 

一誠はトドメを刺さなければいけない事は分かっているのだが、体が言う事を聞かない。無茶をし過ぎたガタが一気に噴き出しの反動だ。転堂は動けない一誠を憤怒の籠った眼で睨みながら、黄金の波紋を出そうと片手を上げた。流石の一誠も舌打ちして、動こうとしたが地面に倒れる。だが、転堂が手を上げても黄金の波紋が現れる事はなかった

 

「な、何でだ!何で出ない!?」

 

転堂の方も出ない事に驚いているのか、何度も何度も手を上げ下げしている

 

『出ないだと?我の物を自分の物であると申すか、盗人』

 

一誠は誰も居ないこの場所に、初めて聞こえる声に戸惑いを感じている。新しい敵かと思い、上体だけは起こして砕けそうな痛みに耐えながら攻撃出来る様に構える。だが、そんな事よりも転堂の表情が青褪めている事に気付いた

 

「我の財を我が物顔で使い、世界の運命を乱し、星をも壊そうとする盗人よ。貴様は我の敷いた法に何度も破った。貴様だけはこの俺手ずから殺す」

 

一誠は隣から声が聞こえ、視線を向けると、眩しい黄金の鎧を身に着けた金髪赤眼の男が居た。圧倒される程の威圧感と同時に感じる王のカリスマに言葉が出ない

 

「我の武器を略奪し、あまつさえ敗北するだけに留まらず至宝のエアすらも触れたのだ。本来なら汚物として早々と処分するが、盗人よ、貴様は楽に殺さん」

 

黄金の王が黄金の波紋から薬と思われる液体を取り出して転堂の口にその中身を落とす。すると、転堂の傷がじわじわと癒えるそれは、数十秒すれば全回復するだろう

 

「あ、あの!この剣は王様の物なんですか?」

 

「雑種、その穢れた手で我の至宝を持つとは死にたいか?」

 

「す、すいません!」

 

「・・・だが、あの盗人に使わせんとする為に守護するその心意気、そして純粋なる思いは罰を軽くする事で赦してやろう。雑種、貴様には後程幾つか聞く事がある。これを飲んでおけ」

 

「あ、ありがとうございます?」

 

一誠は黄金の王にエアと呼ばれた剣を返却して、結末がどうなるかを見届ける事にした。自分が倒すと言っていたが、王様の武器を勝手に使っている事を初めて知ったので全てを任せる事こそ最適だと判断した。そして、黄金の王から手渡された液体を飲むと、全ての傷が癒えた

 

「さて盗人、回復したな?我が先程飲ませたのは欠損であろうと徐々に癒す希少な霊薬だ。これより貴様の処罰を開始する」

 

黄金の波紋から一つの武器が目にも止まらない速さで射出されて、転堂の片腕を切り飛ばした

 

「ギャアアアアアアアアア!」

 

「喚くな」

 

次々と武器が射出されて、転堂を殺さない範囲内で傷を負わせる。そして、転堂が回復するまで待ち再び攻撃を幾たびも繰り返す。一誠はただ黙って転堂がしてきた事を思うと自業自得だと思う

 

「さて、これより次の裁定を開始する」

 

黄金の波紋から新たな武器を取り出し、転堂の指を切断する。だが、その指が治癒する事はなかった。次は霊薬と同じ容器に入った薬品だ。それを無理やり飲ませ、ナイフで腕を突き刺す

 

「ヒギャアアアアアアアアア!?イダイイダイイダイイダイイダイ!?」

 

「不死殺しの武器による治癒阻害、痛覚倍増の薬、常時高温のナイフだ。地獄の痛みだろう?」

 

一誠は、この黄金の王様と敵対した場合は手も足も出せずに殺されるだろうと確信した。底が知れない感覚は、美羅と雌煌に似た物だ。そして、ようやく最後の処罰が下される

 

「最後の裁定だ。これで俺の裁決は終わる。早々にこの世から消えて無くなれ」

 

「イヤダ、シニタクナイ!シニタク―――」

 

転堂の周囲に不死殺しの武器が埋め尽くされ、一斉に射出され大爆発を起こし、転堂は肉片一つ残さずに殺された

 

「雑種、次は貴様の裁定を行う」

 

一誠はビクッと震え、冷や汗を流す。自分も転堂と同じ様に殺されるかもしれないと

 

「ふっ、そう身構えるな。先ずは先程言っていた事についてだ。我の目から見ても貴様はエアの二撃目を防ぐ事は出来ない筈だ。どうやって防いだ」

 

「えっと・・・信じてもらえるか分からないんですけど・・・この太刀を思いっきり振るったら暴風を斬る事が出来ました」

 

「これは籠手と一体化しているのか?」

 

「なぁドライグ、これって一体化しているのか?」

 

『いや、装備品としている。太刀を取り出す事は出来るぞ』

 

「だ、そうです」

 

黄金の王は顎に手を当てて少し考えた後、裁定を下す

 

「その太刀を我に献上せよ。そうすれば今までの不敬を赦してやろう」

 

「なっ!?」

 

自分の命を救ってくれた武器を献上する。それに、美羅から手渡された大事な物だ。そう簡単に首を縦に振る事は出来なかった

 

「・・・」

 

「どうした、早く献上せよ。それとも、貴様を殺してやろうか?」

 

「でき・・・ませんっ!」

 

「ほう?」

 

一誠は体を震わせながら黄金の王の言葉を拒否する。それと同時に武器が射出されて頬を掠める。威嚇の一発だろう。だが、一誠は黄金の王の目を真っ直ぐに見続ける

 

「次は当てるぞ?」

 

今度は確実に当てるつもりだ。それでも一誠は引かずにいると

 

「おう、一誠そっちは終わったか~?」

 

「え、雌煌?」

 

敵を倒し終えた雌煌が一誠の場所へとやって来たのだ。黄金の王は雌煌を見て舌打ちをする

 

「チッ、何の用だ破壊の龍」

 

「お~ん?いや、何やってるのかってな?お前とは初対面だが・・・成程、抑止が重い腰を上げたのか?」

 

「たわけ!俺手ずから繋げたにすぎん!」

 

「あ~あ、抑止は馬鹿だなぁ~。美羅の奴隷行き確定じゃねぇか」

 

「そちらの星の管理者である祖の龍はしっかりと仕事をしている様だな。こちらよりも上手く世界が周っている」

 

「いやいや、大戦が起きちまったからそうでもねぇよ。ま、あれが起きたからしっかりと仕事をしているって事だな。んで?一誠に武器向けてるが、敵か?」

 

「戯け、俺の至宝に触れた雑種に武器を献上しろと言ったまでだ」

 

「あぁ~、そりゃあ仕方がねぇな。ほれ、渡しておけ」

 

「で、でも・・・美羅先輩に怒られるんじゃ」

 

一誠が心配しているのは、美羅が激怒しないかどうかだ。どっちの選択肢を取っても死ぬのならば、男として立派な方を選んだだけだ

 

「・・・しかも、刀身折れてるから」

 

「その程度気にしねぇだろ。な?」

 

「我の至宝の全力までとはいかんが、攻撃を斬り裂いたのだ。普通であればどのような攻撃だろうと歯牙にかけぬのだぞ?ならばこそ、刀身が折れようとも、その武器にはそれだけの価値がある。それに、その太刀は人が作った物ではないのだ」

 

「え?ちょっと待って下さい!美羅先輩は人間ですよ!?」

 

「阿呆。奴は星の管理者であり、祖の龍。人間ではない」

 

「   」

 

「あ、一誠がキャパオーバーしてやがる」

 

よくよく考えれば人間ではありえない事を平然とやっており、黒達も龍―――同じ世界でとなると美羅も龍の可能性があるという事にようやく気付いた

 

「マジか・・・マジかよ・・・」

 

「さて、奴の素性を教えたのだ。おとなしくそれを渡せ」

 

「あ・・・はい」

 

一誠は名残惜しそうに黄金の王に太刀を渡す為に籠手から取り出すと、折れたはずの刀身は元通りに修復されていた。頭の中で?が飛び交い、何が起きたのかさっぱり理解出来なかった

 

「フハハハハ!これはいい!自動修復機能が備わっているな。ニホントウだったか?洗練されたデザインで単調な形だが、それがまたいい味を出している」

 

どうやら黄金の王のお眼鏡に叶った様だ。上機嫌に黄金の波紋の中に太刀を収め、ふと気づいた事を尋ねてきた

 

「そういえば、あの太刀の名前は何だ?」

 

一誠は、ただ単に渡されただけで名前を知らない

 

「天上天下無双刀だ。後にも先にもそれ一本だけだから大事に使えよ?」

 

「フハハハハ!天上天下無双刀とは良いネーミングセンス、英雄王の我にピッタリではないか!」

 

「え、英雄王って事は、ギルガッメシュ王!?」

 

「ん?雑種、我が誰なのか気付かなかったのか?」

 

「色んな不敬を働いて申し訳ございませんでしたああああああ!」

 

俊屋から色んな事を聞いていた時に、熱を入れて語っていたのはギルガメッシュの事についてだった。やれ何処が凄いのか、カリスマが溢れている等沢山覚える事があり、ようやく思い出したという事だ

 

「まぁいいだろう、今の我は気分が良い。その不敬を赦そう」

 

「それよりも早く帰らなくてもいいのか?」

 

「ふむ、座に居る友にもこの太刀を早く見せたいから我は帰る。祖の龍に言っておけ、抑止はこちらで言う事を聞く様に脅しておくとな」

 

ギルガメッシュは金の粒子となって帰って行った。一誠は呆然としており、尻もちをついて苦笑する

 

「英雄王にも驚いたけど、美羅先輩が龍だって事に驚いたなぁ・・・」

 

「まぁ、美羅の心配は要らねぇよ。あいつを本気で怒らせて生き残れた奴は誰一人いないし、外敵も消し炭にしたりとしていたからな。例えるなら俺等の世界のクトゥルフ系の神とか」

 

「ふぁ!?」

 

「あいつ等気持ち悪かったし、強かったしで楽しかったんだがなぁ~。如何せん美羅が本気でブチギレてあいつ等は概念もろとも消されたのさ」

 

これは知って良かったのか悪かったのか分からない知識だ。だが、確実に美羅が負けないという事が分かり、一誠は自称神に黙祷した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、「自称神様、覚悟は良いか?」
最後の雌煌の暴露はヤバイの一言!ハイスクールD×D世界や型月世界のクトゥルフ系ではなく、モンハン世界のクトゥルフ系=SAN値がお亡くなりになる程です。尚、もんの凄く強く、龍大戦が始まる前に戦っていたのである
仕方がないよね。やばい相手と戦っている最中に人間達の様子なんて見れないって!その結果が龍大戦なのさ!起こるべくして起こったんだよ!!
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