春斗は全身全霊を込めて襲撃者を殴り飛ばした。
殴った勢いで襲撃者が手すりを超えて下へ落ちていく。
「…!やべ…!」
マンションの下を見る。
襲撃者は自転車小屋の上に倒れていた。
「大丈夫かなぁ…」
たとえ殺されかけたとはいえ、見捨てるほど春斗は外道ではない。
すると倒れている襲撃者がピクっと動いた。
どうやら生きているようだ。
「ひとまず救急車ぐらいは呼んどくか」
119番に連絡し終えると春斗は周りを見回した。
辺りは焼け焦げ、スプリンクラーもみごとに炸裂してしまっている。
「これって後で修理費払えとか言われないかなぁ…」
などとブツブツ言っていると
「あ…」
と、コハルが何かを言おうとした。
「あなたも…超能力者…なんですか…?」
春斗はふぅ、と息を吐いてから
「うん、実はそうなんだ」
と答える。
バッ!とコハルが身構える。
春斗は両手を左右に振って
「違う違う!僕はコハルを襲ったりなんかしないよ!」
と、弁解する。
そうですか…とコハルは身構えるのをやめた。
どうやら信じてくれたようだ。
「ちなみにあなたはどんな能力なんですか?」
と、小春が尋ねる。
「えーと、僕の能力は
「
と、コハルが小首をかしげる。
「うん。他人の能力をコピーする能力なんだ」
と、春斗は詳しく説明する。
「では、さっき燃やされなかったのは…」
そう、なぜ二人が無傷だったのか。
それはコハルの
「さてと…これからコハルはどうするの?」
「…え?」
「だから、これからどうやって超能力者から逃げるのかってこと。さっきのやつはどうにかできたけどまた来るんでしょ?一人だとさっきみたいなことにならないとも限らないし」
「それは…」
と、コハルは黙り込む。
この人の言っていることは正しい。
現にさっきはこの人がいなければ死んでいた、とコハルは思った。
「で、でも…他に頼れる人なんて…」
と、コハルが言うと
「だったら、僕のうちに来ない?」
「…え?」
思いもよらない提案にコハルは驚く。
「でも、また迷惑をかけてしまいますし…」
コハルが断ろうとすると、
「その…僕も超能力者だし。コハルの事情を知っちゃったからには放っておけないよ」
「でも…!」
「それに、さっき言ったでしょ。僕がコハルを守るって」
コハルの目に涙が浮かぶ。
記憶喪失で、今までひとりぼっちで超能力者から逃げてきたのだ。
どんな子でも本質は一人の女の子なのだ。頼れる人ができて、いままでの不安が溢れだしたのか泣き出してしまった。
春斗は泣き止むまでずっと介抱し続けた。
「────泣き止んだ?」
「はい…ありがとうございます。もう大丈夫です」
まぶたを真っ赤に腫らしてコハルが言う。
「それじゃあ、まあ…これからよろしく、コハル」
「はい、よろしくお願いします…えっと」
「そういえば名前まだ言ってなかったね。僕は真壁春斗」
「春斗さん…名前が同じ『はる』ですね」
ニコッと嬉しそうにコハルが言った。
コハルの笑顔に見とれていると、ふと何か忘れているような気がした。
「あれ?何か忘れてるような気がするんだけど…」
そう、とても重要な事を…
「そういえば春斗さん、それ制服ですよね?学校に行こうとしていたのでは?」
………あ。
バッ!と部屋の時計を見る。短い針は9と10の間にあった。
「……………………」
完全にカンペキに文句なしの大遅刻である。
春斗は自分が高校生だという現実を思い出して涙目になる。
「そ、それじゃあ、学校に行ってくるよ…」
「はい、いってらっしゃい、春斗さん」
「うん、いってきます、コハル…」
家のドアを閉める。
そういえば「いってきます」、「いってらっしゃい」を言い合ったのはいつぶりだろうか、少し嬉しくなりながら学校へと急ぎ足で向かう。
加筆修正しまくった結果全4話になってしまいました…
遅刻で教室に入った時の視線ってなんか嫌ですよねw(遅刻したことあるのかよ)
ぜひ感想や意見、アドバイスなどお願いします。