みんなでトランプをして遊んでいると、クシャクシャの茶髪の女の子がもうすぐ駅に着くと教えてくれた。彼女もマグル生まれだそうで、私と一緒ねと笑えば、ぱあっと顔を明るくさせてマシンガンのごとく話し始める。彼女はハーマイオニーというらしい。
ハーマイオニーの言う通り、数分後に減速が始まった。汽車が止まると、外にハグリッドが待っていた。私とハリーに再会できたのがよほどうれしいみたいで、ニコニコしながら両手で頭をガシガシしてくれる。私はともかくハリーは首が細いからやめて欲しい。ぺきりと折れてしまいそうだわ。
ハグリッドについて山道を登り、角を曲がると大きなお城が見える。あれがホグワーツ魔法魔術学校……ダイアゴン横丁でも思ったけれど、まるで中世にタイムスリップしたみたい。たくさんの窓に星が映って、きらきらと煌めいている。
小舟に乗って湖を渡る間もドラコは満天の星空に見とれているし、ハリーとロンはどんどん近づいていくホグワーツ城にはしゃいでいる。蔦が生い茂ったトンネルをくぐるときなんて「まるでインディ・ジョーンズみたいだ!」とハリーは目を輝かせた。(なおロン&ドラコはインディ・ジョーンズを知らなかった。今度見せてあげよう)
城影の船着き場に到着すると、ハグリッドがひとつひとつの船を検査して忘れ物をチェックする。子どもって何かしら忘れるよね、わかるわかる。前にプール遊びをしたときまさかの水着を忘れちゃった子がいて、てんてこ舞いしたもの……あら、またカエルが旅に出ちゃってたのねネビル。もうハーネスがなにかをつけた方が安心なんじゃないかしら。
ハグリッドは全員が船を降りたことを確認して、立派な扉を3回叩く。すぐに中から出てきたのはマクゴナガル先生。ハリーの瞳みたいなローブをお召しになった彼女は、今日も変わらず凛々しく明媚である。
「マクゴナガル教授、イッチ年生のみなさんです」
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」
先生に案内され、玄関ホールに通される。実家が庭ごと入りそうなくらい広い。ママが見たら昏倒しそうだわ……あ、まだ進むの?待って待って置いていかないで迷うから。
大広間に通す前に準備があるらしく、しばらく小部屋で待つように言い渡される。先生はきりりと顔を引きしめて私たちを見回した。
「ホグワーツ入学おめでとうございます。新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。寮は全部で四つあります。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、そしてスリザリン。どの寮も輝かしい歴史があり、偉大な魔法使いを輩出してきました。寮ごとに生徒に対しての加点と減点があり期末に最も得点を得た寮が寮杯を手に入れます。くれぐれも軽率な行動はしないことです。それでは準備がありますのでしばしお待ちを」
ローブの裾を優雅に翻し、マクゴナガル先生が退室する。ざわざわざわめく室内ではそこかしこで組み分けの儀式がどんなものかという予想大会が開かれている。ロンはすごーく痛いってフレッドから聞いたそう。
やだなぁ、殴打系ならまだしも斬撃系は好きじゃないなぁ。ぽそりと呟くと、ロンとドラコが信じられない!って顔で見てくる。やめろやめろそんな目で見るな、武道の経験があると相手の蹴りや拳で痣ができるのは日常茶飯事なんだよう。
隣でハーマイオニーがぶつぶつ呪文の練習をしているのを聞きながらロンの鼻についた泥を落としたり、ネビルのローブを整えたりして過ごしていると、ふたたびマクゴナガル先生がやってくる。どうやら準備が整ったようだ。
先生に先導されて大広間に足を踏み入れる。4つのテーブルに別れて各寮の生徒が座っているみたいだ、それぞれフードやネクタイの色が違う。
空中に浮いた無数のロウソクと天井に広がる空
これも魔法の一種らしいけど、どれだけ修行を積めばこんな大魔法が使えるようになるのかしら。
しっかり星空を堪能して先生たちが座る長机に視線を戻す。マクゴナガル先生が静かに椅子と帽子を置きしばらく待てば、なんと帽子が歌い出した!どうやら新入生の組み分け時に毎年違う歌で歓迎してくれるみたい。中に人でも入っているのかな、喋り考える帽子なんて初めて見たわ。
じーっと組み分け帽子を見つめていると、女の子が呼ばれて駆け出した。とうとう組み分けの儀式が始まったようだわ、私はダーズリーだから……Dね。早めに出番が来てしまうわ……
「ダーズリー・カメリア!」
「やだもう呼ばれちゃった、一足先に失礼するわね!」
「行ってらっしゃいメリー!」
「行ってくるわー!」
たかたかたーと帽子に向かって歩き始める。英雄もといハリーと仲良く話していたせいか、降り注ぐ他人の目が少し鬱陶しい。まあ実害がなければどうでもいいんですけどね!幽霊でも見たかのような真っ黒い先生の視線を受け流して、椅子に座り帽子を被る。とたんに穏やかな声が脳みそに流れ込んだ。
「おやおや、リリー・エヴァンズの血縁がもう1人来るとは予想外じゃ」
「あら、叔母様をご存じですか?」
「もちろんじゃ。正義感が強く優しい、まさにグリフィンドールの鑑とも言える子じゃった……君によく似ておる」
「そうですか……ふふ、くすぐったいわね」
「君は……なるほど、愛を与えるものか。いっそ狂気的なまでの母性を制御するか、解き放つか……ハッフルパフ、いや違う。母性の底に苛烈さがある……ならば……グリフィンドール!」
帽子が高らかに叫ぶ。微笑むマクゴナガル先生に促されグリフィンドールの机に向かうと、厚い歓迎を受けた。乗車時に手伝ってくれたフレッド&ジョージにぎゅっぎゅっとされながら次の組み分けを見守る。
ハーマイオニーもグリフィンドールだ、嬉しいな。抱きしめられたままぱっと腕を広げると、ハーマイオニーは恥ずかしそうに胸へもたれ掛かる。よしよしかわいいねぇ君はよしよし。
世にも奇妙な4人団子体勢のまま新しいグリフィンドール生を歓迎する。ちょっと長めに悩まれたハリーも無事こちらに来た。ドラコは残念ながらスリザリンだけど、ロンもグリフィンドール。仲良くなった人間がほぼ同じ寮でうれしいです。いっぱい愛でてしまおうね。
「よしよしハリーよく来たねぇ」
「メリー!!!フレッドジョージどいて僕が抱きつけない!!!」
「「なにおー!僕達が先なんだぞ!」」
「喧嘩しないの!半分こ!」
「カメリア、人間は半分こできないわ……」
わちゃりわちゃりとしている私たちを校長先生が穏やかに鎮める。軽い挨拶が終わったと同時に、金の皿がご馳走で埋め尽くされた。
ローストビーフにローストチキン、ポークチョップ、ラムチョップ、ソーセージ、ベーコン、ステーキ、ゆでポテト、グリルポテト、フレンチフライ、ヨークシャープティング、ベイクドビーンズ、にんじんのグラッセ、グレービーソース、ケチャップ、謎のキャンディ。最後以外はどれもこれも美味しそうだ。
ハリーは全部を皿に乗せることにしたみたいだ。私は……まずサラダが食べたい。血糖値の上昇を穏やかにしなければすぐに太ってしまうからね、先に食物繊維を取っておこう。
ところで、我がダーズリー家の子どもたちはみな運動を習慣づけているせいか食事量が多い。だいたい成人くらいか、その1.2倍くらいは食べる。つまりどういうことかと言うと。
「………………ハリー、カメリア、どこにその量入ってるの?」
「?胃じゃない?」
「胃よね」
「違うわカメリア、ハリー。ロンはその体型でその量の食事を取れることが信じ難いの。私だって同感だわ!」
そんなこと言われたって……良質な筋肉とパフォーマンスには動物性タンパク質が必要不可欠なんだ……植物性タンパク質よりアミノ酸配合バランスが整っているからね。特に牛乳と鶏卵はいいぞ、およそパーフェクトな必須アミノ酸含有バランスだもの。
ゴブレットになみなみと注がれたミルクを嚥下してナプキンで口元を拭う。はあ、おなかいっぱいだわ。明日の朝練は気合い入れてやらないとね……うそ、デザートもあるの?食べます。手始めにアップルパイとバニラアイスクリームをください。
ハリー と カメリア に 大食い 要素 が 加わった !