(完結)閃の軌跡0   作:アルカンシェル

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原作では優勝賞金は10万ミラですが、山分けすると少ないと思い50万ミラに水増ししています。




27話 繋がれた縁

 武術大会、本戦二日目。

 準決勝が行われているアリーナは試合開始が正午からにも関わらず、朝も早いうちから多くの人たちが少しでも良い席を確保しようと賑わっていた。

 だが、その流れに反してリィンはアルティナと一緒にグランセル城の前にいた。

 

「ここでいいか」

 

 橋の向こう側には湖の上に建つ王城を一望できる景観はかなりのもの。

 リィンは背負った荷物を降ろして、とりあえず写真を撮る。

 幸いなことにエステル達から鍛錬の中止について反対されることはなかった。

 むしろ、アルティナの落ち込んだ様子に彼女達の方からそうするようにと言う程だった。

 だが、むしろ問題はその後だった。

 この数年、剣の修行に没頭していたリィンは年頃の女の子が好む遊びというものが全く理解できなかった。

 それをエステルに相談したところ、提案されたのが――

 

「アルティナは釣りは初めてだよな?」

 

「ん」

 

 ギルドの隣に構える釣公師団から借りた道具一式を広げていく。

 簡易な椅子。バケツに水を張り、糸に釣り針と餌をつける。

 手本を見せるようにして、リィンは竿を振り、糸を垂らす。

 アルティナもそれに倣って糸を垂らす。

 

 ――これで本当によかったのだろうか?

 

 今更ながら、リィンは不安になる。

 何かしたいことは?と聞いてもアルティナはそう言ったことに自己主張するタイプではない。

 エステルに勧められるままに釣りに誘ってみたが、そもそもアルティナはそれがどういうものなのか分かっていないようでもあった。

 だが、じーっと糸が作る波紋を見続けるアルティナの横顔に少なくとも昨日までの消沈は見て取れない。

 

「なあアルティナ……」

 

「ん……?」

 

 糸から視線を外し、首を傾げるアルティナにリィンは静かに尋ねた。

 

「アルティナはいつまで俺を監視しているんだ?」

 

 その言葉にアルティナは驚き、息を飲んだ。

 

「別にそれを責めるつもりはないから、そのまま聞いてくれるか?」

 

 慌てた様子で立ち上がろうとするアルティナをリィンは言葉だけで宥めて続ける。

 

「昨日、あの後にヨシュアさんに言われたんだ……

 アルティナはおそらくどこかの組織が送り込んできた諜報員だって……それを聞かされて、俺は納得していた」

 

 日常生活を過ごす中でアルティナの行動には多くの違和感があった。

 最初こそは心を壊しているから行動が極端になっていると思っていた。

 だが、それにしてはアルティナの目は理性的で、トイレやシャワーにまで着いて回ってくる程だったが日常生活そのものにおける不備はなかった。

 それに加えて、出自不明の新型戦術オーブメントを持ち、それを十全に使いこなすことができているのにトランクの中で大人しく捕まっていたことも、今思えばおかしなことだった。

 

「まあ、監視される心当たりはあるけどな」

 

 《鬼の力》がその最たるものだし、彼女が情報部の人間ならばボース、ルーアンと彼らの自作自演の犯罪に介入したリィンを監視する理由にはなるだろう。

 アルティナはただ呆然とリィンの顔を見て固まって動かない。

 その反応にリィンはヨシュアの指摘が間違っていないことを確信して続ける。

 

「正直言えば、少し安心した……今まで身元が分からなかったけど、ちゃんとアルティナに帰る場所があるって分かって……

 だから俺を騙していたっていうことで、そんな顔をしなくていいんだ」

 

 慰めの言葉をかけてみても、アルティナの様子は変わらなかった。

 いつもの無表情。しかしそれでもその瞳には不安の揺らぎがあった。

 本心からの言葉なのだが、そんな風にアルティナを不安にさせた罪悪感を感じてしまう。

 それと同時に、あの人形染みた女の子がこんなにも人間らしくなったことに安堵も感じてしまう。

 

「なあ、アルティナ……それを踏まえた上で聞くけど、俺と一緒にユミルに来ないか?」

 

 何を言っているんだと、首を傾げてアルティナはリィンを見る。

 

「えっとだな……」

 

 その顔にリィンは考えていた言葉を言い淀みながら続ける。

 

「父さん達のことは俺が説得するから、シュバルツァー家で暮らさないかって話だ」

 

 意を決して捲し立てた問いかけにアルティナからの反応はない。

 

「いろいろ考えたんだけど、アルティナくらいの年の子にこんな仕事をさせる組織なんてどう考えてもまともじゃない」

 

 勝手なことだと自覚しながらもリィンは言わずにはいられなかった。

 アルティナのことは何も知らない。

 家族がいるのか、どんな生活を送ってきたのか、立場もあるし、組織から抜けられない理由だってあるかもしれない。

 しかし、それでも一つだけ確かに言えるのは――

 

「それに、アルティナにあんな顔をさせる組織に俺はいて欲しくない。これは俺の我侭だ」

 

 昨日の意識を失っていた空白の時間。

 その後から様子のおかしいアルティナのことを考えれば、何らかの形で関わっていることは明白だった。

 しかし罪悪感に苦しむ彼女の姿を見れば、何をしたのかを追究する気にはなれなかった。

 

「アルティナがやりたくないことを聞かなくていい。アルティナはもっと自分のしたいことをしてもいいんだ……

 だからアルティナさえよければ、ヨシュアさんみたいに組織なんかから足を洗って、ユミルで普通の女の子として生きてみないか?」

 

 その言葉にアルティナは目を大きく見開き、今まで言葉を発したことのない唇を震わせて――身体が竿に引っ張られて傾いた。

 

「アルティナッ!」

 

 緊張からか竿を固く握り締めていたアルティナは、糸が引かれる力に抗えず湖に引きずり込まれる。

 それをリィンは既の所でアルティナの身体を抱き締めて、踏ん張る。

 

「くっ……重い」

 

 もちろんアルティナのことではなく、竿にかかる力のことだ。

 水面を暴れ回る糸の動きに掛かったのが本物の魚だと分かる。

 

「せーので引くぞアルティナッ!」

 

「んっ!」

 

 リィンの呼び掛けにアルティナはいつものように頷いて応える。

 

「せーのっ!」

 

 リィンの掛け声に合わせ、二人は手を重ね一緒に竿を力一杯引き、大きな魚を釣り上げた。

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

「大物だな……」

 

「ん」

 

 釣り上げられた魚はリィンが初めて見るものだった。

 未だに釣れたことのないリィンは、今日初めて竿に触れたアルティナに負けたことにちょっとへこむ。

 そんな現実逃避をしながら石畳の上に元気良く跳ねる魚に改めて目を向ける。

 

「どうしようか……」

 

 釣りは何度もしたことはあるが、未だに釣り上げた経験のないリィンにとってそこから先は未知の世界だった。

 やることは分かっている。

 口に刺さった針を抜き、魚を用意したバケツにいれるだけ。

 簡単そうにユン老師はやっていたが、見るからにぬめりのある体表と暴れる魚の在り様に気後れしてしまう。

 アルティナなど、すっかり警戒してリィンの背中に隠れてしまっているくらいだ。

 とはいえ、いつまでも尻込みはしていられないのでリィンは意を決して跳ねる魚を押さえつける。

 

「あれ……?」

 

 滑る手で何とか魚の身体を固定して、針を引っ張るがうまく抜けない。

 

「くっ……この……暴れるなっ!」

 

 四苦八苦しながらも釣り針を取ろうと奮闘するものの、やはり上手くいかない。

 

「ああ、それじゃあダメだよ」

 

 それを見かねて声がかけられた。

 

「ちょっと貸してくれるかな?」

 

 一言断って、壮年の男性はリィンの横に膝を着き手を伸ばす。

 

「ここを、こうするんだ」

 

「あ……」

 

 男はあっさりと針を抜き取ってしまう。その手付きの鮮やかさは、もしかすればユン老師以上に完成されていた。

 

「ありがとうございます」

 

「ははは、これくらい御安い御用だよ。君は釣りは初めてかい?」

 

「アルティナ、こっちの子は初めてです。俺は釣りそのものは初めてじゃないですけど、釣り上げたのは今日が初めてですね」

 

「そうなのかい? それにしては子供用の竿でこんな大きなリベールブナを釣り上げるなんて、妹さんは釣りの才能があるんじゃないか?」

 

「いえ、妹ではないんです。訳あって世話をしている子供なんですけど」

 

「それは失礼……しかし、ふむ」

 

 男はリィン達が使っていた竿を見て考え込む。

 

「あの、何か?」

 

「いや、見たところ釣公師団のレンタルの竿だと思ってね」

 

「分かるんですか?」

 

 確かに遊撃士ギルドの隣の店はそんな名前の看板を掲げていた。

 

「何を隠そう私はそこに所属している特級釣師でね――とあまり長話をするとお嬢ちゃんに悪いな」

 

 男は語り出そうとする気配を出しながらも、アルティナのことを見て自重した。

 

「私はロイドという。向こう側で釣っているから、分からないことがあったら聞きに来るといい」

 

「リィンです。どうもありがとうございました」

 

 離れて行く背中を見送り、リィンは苦笑する。

 

「本当にリベールの人たちは良い人が多いな」

 

 些細なことなのに当たり前のように手を差し伸べてくれるのはリベールの国柄とでも言うのだろうか。

 と、落ち着いたところで改めてリィンはアルティナと顔を合わせる。

 するとアルティナはどこかバツが悪そうに視線を逸らした。

 が、そこには昨日からの消沈の感情はだいぶ薄くなっていた。

 

「一つだけ覚えておいてくれるか?」

 

「ん……?」

 

 リィンの言葉にアルティナは首を傾げる。

 

「君がどんな身の上の人間だったとしても、俺やアネラスさん達の願いは一つだけ……

 アルティナが幸せに笑っていられること。それさえできるなら、俺への負担なんて気にしなくていい。だからあんな顔をしないでくれ」

 

 そう言ってリィンはいつものようにアルティナの頭に手を伸ばし――アルティナが一歩距離を取って、その手は空を切った。

 

「ア、アルティナ?」

 

 撫でようとした手を避けられたことに少しショックを受ける。

 これがいつもアネラスが感じているものかと、場違いな感想を考えながらリィンはアルティナの反応を窺う。

 だがアルティナのじとーという眼差しはリィンの言葉を拒絶するものではなく、その魚を触った手で触らないでくれと訴えるものだった。

 

「あ……すまない」

 

「ん……」

 

 よろしいと言わんばかりに頷くアルティナにリィンは苦笑をもらした。

 

 

 

 

 正午が近付いた頃になると、再びロイドが声をかけてきた。

 曰く、釣った魚は釣公師団の支部で調理してあげるから一緒に来ないかという誘いだった。

 ありがたくその提案を受け入れ、新鮮な魚料理で昼食を済ませたリィンとアルティナはロイドにお礼を言い、隣の遊撃士ギルドに入った。

 

「うわーん、アルティナちゃーんっ!」

 

 と、中にいたアネラスはアルティナの姿を見ると泣きながら突撃してきた。

 さっと身を翻したアルティナにそれを回避され、アネラスは壁に顔をぶつけ、へたり込む。

 

「どうかしたんですか?」

 

 リィンは何事もなかったようにそんなアネラスを放置して、グラッツ達に尋ねる。

 

「ははは、大したことじゃねえよ。今日の武術大会で負けただけだ」

 

「っ……相手はもしかして情報部ですか?」

 

「いや、ジンさん達のチームだ」

 

「あ……」

 

 それを聞いてリィンは居たたまれなくなる。

 昨日、情報部対策とはいえエステル達と特訓をしたリィンからすればアネラス達に恩を仇で返したようなもの。

 

「気にすんな」

 

 だが、そんなことを考える前にグラッツは事も無げに言った。

 

「あんなのいつもの絡む口実だ。負けたって言っても納得の行く内容だったし、お前を責めているわけでもないさ」

 

「そう……かもしれないですけど」

 

「むしろ何でエステル達の特訓に付き合ったのか理由を知りたいが……まだ聞かない方がいいんだろ?」

 

 その言葉はむしろリィンではなく、受付のエルナンに向けたものだった。

 エルナンはにこやかな顔を作るだけで何も言わない。

 リィンはボースとルーアンで関わったから事情を知っているが、武術大会に余計な気負いをさせないために情報部の暗躍についてはアネラス達に伏せていた。

 もっとも、強引に大会に出場したエステル達に何かがあると勘付いているようではあったが。

 

「それよりアルティナとはちゃんと話せたのか?」

 

「グラッツさんもやっぱり気付いていたんですか?」

 

「最初の状況からして怪しくはあったからな、保護したというよりも保護させられた……

 それに最新の戦術オーブメント、帝国ギルドを襲撃した猟兵が用意した人間爆弾の可能性も警戒はしていたんだぞ」

 

「そうだったんですか」

 

 時期的に考えれば確かにその可能性もあった。

 

「それじゃあアネラスさんが四六時中アルティナに構っていたのは監視の意味があったんですか?」

 

「いや、あれは素だな」

 

「ですよね」

 

 自分で言っていて、そして今も慰めてもらおうとしてアルティナにまとわりつくアネラスにリィンはため息をもらす。

 

「ところでエステルさん達はどうしたんですか?」

 

「あの二人なら知り合いの新聞記者に会うとか言っていたな」

 

「そうですか」

 

 ならばいつ戻ってくるかは分からない。明日の午前中は鍛錬に付き合えそうな旨はエルナンに伝言しておけばいいだろうか。

 

「よーし、アルティナちゃん、アイス食べに行こうっ!」

 

 アルティナを捕まえたアネラスは嬉しそうに声を上げる。

 呆れたようにため息を吐くアルティナだが、決して本心から嫌がっているようには見えなかった。

 

 

 

 

 武術大会、本戦三日目決勝戦。

 試合はすでに始まり、エステル達と情報部の黒装束たちは激しい攻防を繰り広げていた。

 

「大丈夫、弟君?」

 

「だい……じょうぶです」

 

 リィンは顔を蒼褪めさせて彼女達を応援するどころではなかった。

 試合が始まる少し前から人の多さに酔ったのか、気分が優れない。

 

「おいクルツ、お前も顔が真っ青だぞ?」

 

 並んで席に座っているクルツにグラッツが同じ様な言葉をかける。

 

「さっきから眩暈がしてね。体調は悪くないんだが、あの時の後遺症か?」

 

「後遺症って、昨日の試合でどこか打ち所でも悪かったのか?」

 

「違う違う。三ヶ月ほど前の事故さ。仕事中に失敗したらしくてあちこちに怪我を負ってね」

 

「随分と曖昧な言い方だな……三ヶ月前っていうとちょうど空賊事件の頃か?」

 

「ああ、恥ずかしながら事故前後の記憶が曖昧でね。どんな仕事をしていたのかすぽっと忘れてしまったのさ……

 医者は事故のショックじゃないかって言っているんだが……」

 

「あの、クルツさんそれは――」

 

 自分と同じ様に記憶に不自然な穴があり、そして同じ様に気分が悪くなっている。

 違う点はリィンにはこの気分の悪さに既視感がある点だった。

 が、それを口にしようとしたところで周囲の歓声が一際大きくなる。

 

「「太極無双撃っ!」」

 

 二人の息の合ったコンビ技がロランスを捉えた。

 そして残った他の三人の黒装束達を――

 

「「メテオブラストッ!」」

 

 オリビエが撃った導力弾を背に受けて加速したジンの体当たりが三人をまとめて吹き飛ばした。

 

「勝負あり! 蒼の組、ジンチームの勝ち!」

 

 審判が判定を下すと、今までにない歓声と拍手が一斉に鳴り響く。

 

「勝ったのか……」

 

 付け焼刃のコンビクラフト。

 エステル達の方はともかく、オリビエとジンがそれを使うとは聞いていなかったリィンは瞠目するも素直に賞賛の気持ちが湧いてくる。

 

「あれ、どうしたの弟君? これから表彰式だよ?」

 

 おもむろに立ち上がったリィンにアネラスは首を傾げる。

 

「ちょっと野暮用があって、アルティナは――」

 

 そこまで言ったところで、彼女はすでにリィンに倣って席を立っていた。

 

「少し時間が掛かるかもしれないですから、先にギルドに戻っていてください」

 

 そう断ってグランアリーナを後にしたリィンが向かった先は帝国大使館。

 大会の途中ではエステル達に迷惑がかかると自重したが、大会が終わった今なら何の憂いもない。

 むしろ、これは英断とも言えるだろう。

 リベール王国の王族が主催する晩餐会。立場も弁えずに傍若無人に振る舞うお調子者の姿は簡単に想像できる。

 なのでリィンは心を鬼にする。

 

「決して女装させられた腹いせじゃないから」

 

「ん……?」

 

 独り言に首を傾げるアルティナにリィンは何でもないと言って、受付に用件を伝えた。

 

「ミュラーさんに会いたいんですが、用向きはオリビエさんのことなんです。取り次いでいただけますか?」

 

 

 

 

「ひどいじゃないかリィン君、ボクを売るなんて!」

 

「人聞きの悪いこと言わないでください。どちらかといえば黙って武術大会に出ていたオリビエさんが悪いんです」

 

 ミュラーに首根っこを掴まれ泣き喚くオリビエにリィンは毅然とした態度を取る。

 

「そういうことだから晩餐会は諦めろ」

 

「そんなー」

 

 ミュラーの言葉にオリビエはがっくりと肩を落とす。

 

「だがまあ、駐在武官殿……

 貴方の懸念はもっともだが、オリビエがいてくれたことで俺達が大会で優勝できたのも事実……

 あまり怒らないでやってくれませんかね?」

 

「ああ、ジンさん。君だけだよ、そう言ってくれるのは」

 

「賞金の50万、四人で10万ミラずつ分けて残りの10万ミラで旨いものをみんなで食べるといい」

 

「おおっ!」

 

「はぁ……あまり甘やかさないでもらいたいのだがな」

 

 そうミュラーは言うが、拒むことはしなかった。

 

「これでアネラス君やカルナ君、サラ君にアンゼリカ君それにリン君とアルティナ君……ああ、ボクの楽園はそこにあったのだね」

 

「オリビエさん」

 

 最後の方に上がった名前を聞き逃せずにリィンは笑顔で凄む。

 

「それは当然、ミュラーさんや他の遊撃士の人たちも一緒ですよね?」

 

「も、もちろんだともリィン君。普段から苦労をかけているからね、存分に飲み食いしてくれたまえ」

 

 冷や汗をかきながらリィンの言葉に頷くオリビエ。

 

「できれば苦労をかけないようにしてもらいたいのだがな」

 

 嘆きながらも、それ以上のことは言わずむしろミュラーはリィンに向き直った。

 

「ところでシュバルツァーだったな……中々見所のあるようだ。本国に戻ったら俺の部下にならないか?」

 

 某工房長のようなことを言い出したミュラーにリィンはため息を吐いて空を仰いだ。

 

 

 

 

「それではっ! ここにみんなの健闘を労って、乾杯っ!」

 

 オリビエの音頭に合わせ、そこに集った面々は一斉にグラスを鳴らす。

 

「タダ酒最高っ!」

 

 ジョッキを一気に空にしてサラが叫ぶ。

 

「サラさん……先に言っておきますけど今日は送ったりしませんからね」

 

「大丈夫大丈夫、銀閃がいないんだからこの間みたい飲み方はしないわよ」

 

「だといいんですけど。そういえば予選で負けてから姿が見えませんでしたけど、何をしていたんですか?」

 

「ん……? ああ、確かリィン君は知っているのよね」

 

 サラは周りを気にして声を小さくする。

 

「実はエルナンに頼まれて、地下水路から王城へ続く隠し通路がないか調べていたのよ」

 

「そんなものがあるんですか?」

 

「昔からお城には、もしもの時を考えてそういうものが用意されているものなのよ……

 でもダメね。流石に王都全体の地下水路から当てもなしに見つけるのは無理だったわ……

 ま、無事にあの二人が優勝してくれたからいいんだけどね」

 

「お疲れ様です」

 

 リィンは労うよう酌をする。

 リィンも最終日に鍛錬の場としてその地下水路に入ったが、流石に王都全体を張り巡らされた水路は広大に入り組んでいて、その上魔獣もいた。

 そこをたった一人で探索を任されることの苦労は想像するだけでも分かる。

 しかもそれが徒労に終わってしまったはずなのに、おくびにも出さない姿にやはり彼女もまた凄腕の遊撃士なのだと理解させられる。

 

「リィン君、聞いてくれたまえっ!」

 

 と、そこに尊敬できない四大名門の令嬢が現れた。

 

「どうしたんですかアンゼリカさん?」

 

 嫌な予感を抱きながらリィンは聞き返す。

 

「実はこの数日、街に繰り出してナンパをしていたのだが」

 

 サラと同じ様にこの数日見かけないと思っていたら、そんなことをしていたのかと呆れる。

 もうこの時点で聞きたくないと思ってしまったのだが、アンゼリカは構わずに捲し立てた。

 

「ルーレでは私が声をかけて振り向かない女の子はいないのに! いないのに! おのれユリア・シュバルツ!」

 

 妙なプライドを砕かれたのか、アンゼリカは会った事もないはずのユリアに対抗心を燃やす。

 いろいろと突っ込みどころが多いのだが、それをするとさらに疲れることになりそうなので無視して話題を変える。

 

「そういえば、アンゼリカさんはこの後でジンさんと手合わせするんでしたよね?」

 

「ああ、試合の場で戦うことはできなかったから別にいいんだが、何もせずに帰っては師匠に申し訳も立たないのでね……

 だが、もしよければリィン君も一緒にどうだい?」

 

「俺もですか?」

 

「ああ、今日の試合を見る限り一対一ではこちらの負けは目に見えているからね……

 鍛錬と言ってしまえばそれまでだが、やはり勝っておきたいじゃないか」

 

「まあ、その気持ちは分かりますけど」

 

 とはいえ、他流派と戦うことは滅多にないし。

 それでなくてもいろいろとアドバイスをもらったジンと手合わせすることは悪いことではないかもしれない。

 

「そうですね。ジンさんがよければそれもいいですね」

 

「ああ、その時はよろしく頼むよ。ついでにアルティナ君も一緒にどうかね?」

 

「ん……?」

 

 突然話を振られてアルティナは首を傾げる。

 

「いっそクレアさんの代わりにアルティナ君を入れて、優勝チームと戦うというのもありかな?」

 

「それは話を膨らませ過ぎですよ」

 

 楽しそうに想像を膨らませるアンゼリカにリィンが苦笑していると、そこにオリビエがやってきた。

 

「やあ、楽しんでいるかな?」

 

「オリビエさん」

 

「これはこれは、本日はこのような催しに招待していただきありがとうございます、オリビエさん」

 

 恭しくアンゼリカはオリビエに頭を下げる。

 そんなアンゼリカの態度にリィンは呆気に取られた。

 

「意外ですね。四大名門だっていうのに気軽に頭を下げるんですか?」

 

「ははは、私は不良娘だからね。権威を笠にして威張り散らすのは私の好むところではないし、それに……」

 

「それに?」

 

「オリビエ殿のような良い男性になら頭を下げるのも吝かではないよ」

 

「おやおや、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」

 

 いえいっ! と手を叩き合う二人にリィンは似たもの同士かと納得する。

 

「時にアンゼリカ君。君はこのリベールという国をどう思うかい?」

 

「どう……とは?」

 

「いや、深い意味はないよ。率直な感想を聞いてみたいと思っただけさ」

 

「そうですね……まず良い国であることは間違いないですね」

 

 オリビエの質問にアンゼリカは真面目な顔をして答える。

 

「戦争から十年。まだその傷跡は残っているはずなのに、帝国人である自分やリィン君を蔑むことなく受け入れてくれた懐の深さは帝国にはないものです」

 

「なるほど」

 

「それに世界の広さを思い知らされましたね……

 リィン君は別としても、私はこれでも少しは武術の腕には自信があったんですが、オリビエ殿と組んでいた同い年くらいの美少女と美少年には及ばなかったでしょう……

 そして、私が声をかけても靡かない仔猫ちゃんたちがいるなんて……」

 

「アンゼリカさん……」

 

 途中まで良い話だったのに最後で台無しにされてリィンは脱力する。

 しかし、そんな話でもオリビエは楽しそうに笑う。

 

「うん……大変参考になったよ。お礼と言ってはなんだが、アンゼリカ君にこれを上げようじゃないか」

 

「これは……写真ですか……ふむ……」

 

 今までにないくらいに嫌な予感がした。

 

「黒髪のストレートロング……薄幸そうな儚げな女の子……リベールにこれ程の美少女がいたとは……」

 

「ふっ……彼女の出生は少々複雑でね……とある雪山で帝国の貴族に拾われた浮浪児……

 そのまま、その貴族の養子となったのだが、果たして帝国人なのか、王国人なのか、それともカルバードの人間なのか、彼女もそれより前のことを覚えていなくて分からないのだよ」

 

「ほう、それはまたミステリアスで唆られますね……お名前を伺っても?」

 

「彼女の名前はリン・シュバルツァー……ボクの初恋の人さ」

 

 次の瞬間、リィンはアンゼリカの手から写真を奪い細切れに破り捨てた。

 

「何をするんだリィン君っ! いやリィンお兄様、義妹さんを是非私に紹介して――」

 

「アンゼリカさん、少し黙っていてください」

 

「はい」

 

 リィンの一言にアンゼリカは素直に頷く。

 

「オリビエさん……」

 

「何だいリィン君?」

 

「写真……撮っていたんですね? 他の写真は? それに感光クォーツは?」

 

「リィン君、ダメだ。これはボクの家の家宝にするって決めたんだっ!」

 

「そうですか……遺言はそれだけですか?」

 

「リィン君……」

 

 オリビエはふざけた調子を一変させ、真面目な顔をする。

 流石に冗談じゃないと感じたのか、素直に――

 

「優しくしてね。ポッ……」

 

 とりあえずリィンは力一杯オリビエをぶん殴った。

 

 

 

 

「はぁ……全く……」

 

 眠たそうにし始めたアルティナを連れ、宴を途中で抜けたリィンはホテルに向かう道を歩く。

 こんな風に馬鹿騒ぎをするなんてユミルにいた時には想像もしていなかった。

 カシウス・ブライトには会えていないがリィンがリベールに来た目的は果たしてしまった。

 後の心残りは今手を繋いで歩いている女の子のことだけ。

 

「あれ……?」

 

 アルティナのことが気がかりなのに、脳裏にはエステルの顔も浮かんだことにリィンは首を傾げる。

 そんな困惑をしているリィンにアルティナが首を傾げる。

 

「ん……?」

 

「いや何でもない」

 

 エステルやヨシュアにアネラス。不本意だがオリビエとの出会いも含めて多くの印象に残る旅だった。

 しかし、それは他の人たちも同じはずなのに何故エステルだけに名残惜しいと感じてしまうのか、リィンは全く理解できなかった。

 と、そこまで考えたところでいきなりアルティナが体当たりをしてきた。

 

「アル――」

 

 たたらを踏んで後ずさった足元に矢が突き刺さる。

 

「っ……」

 

 リィンはすぐにアルティナの身体を抱きかかえ、物陰に避難する。

 暗い夜道。

 襲撃者の姿は見えない。

 襲われる心当たりは情報部くらいだが、果たしてこの状況で仕掛けてくる必要性があるのだろうか。

 街はテロリスト対策で軍の人間が見回りをしている。

 敵がその軍なのだから少しの抑止にもならないだろうが、だからといって街中で仕掛けてくるとは予想していなかった。

 

「アルティナ……一人でみんなのところに――」

 

「んん」

 

 言っている途中でアルティナは首を横に振ってリィンの提案を拒む。

 

「分かった。とにかく一緒にみんなのところに――」

 

 戻ろう。そう言おうとしたところで月明かりに影が差した。

 上を見上げると、白装束に身を包んだ何者かがボウガンに仕込んだ刃を突き刺すように落ちて来た。

 

「っ!」

 

 転がるようにその場から飛び退く。

 が、白装束は空振ったボウガンを素早く構え直して矢を射る。

 

「ぐっ……」

 

 後ろから肩を貫かれてリィンは呻く。

 それを見たアルティナは抱えられたリィンの腕から飛び降りると、白装束に向かって戦術オーブメントを構える。

 光弾が飛び、白装束はそれを避けると身を翻して駆け出した。

 清々しいまでの逃げっぷりに一瞬面食らうが、アルティナはすぐに我に返ってその後を追い駆けた。

 

「待て、アルティナッ!」

 

 あまりにあっさりと逃げるその様子にリィンは罠を危惧するが、アルティナは呼び掛けに応えず走って行ってしまった。

 

「くそっ!」

 

 このまま追い駆けるか、店に戻って応援を呼ぶか。

 逡巡は一瞬、リィンはすぐにアルティナの後を追い駆けた。

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 

「ここは教会?」

 

 白装束を追い駆けてアルティナが入って行ったのはグランセル大聖堂。

 ユミルにも七耀教会はあるが、流石にリベールの首都にあるだけにユミルのものよりも大きかった。

 夜だというのに開け放たれたままの扉。

 リィンは治癒術をかけた腕の調子を確かめて、中に踏み入った。

 

「アルティナッ!」

 

 声を上げて呼んでみても、返事はないし戻っても来ない。

 警戒心のアンテナを最大にしながらリィンは静かに中へ入っていく。

 月明かりが照らすステンドグラスの荘厳な情景も、今のリィンには目を奪われるものではない。

 

「アルティナ、どこにいる!?」

 

 二度目の呼びかけにも応えはない。

 アルティナ。白装束。

 どちらの姿もない。

 この建物に入って行ったのが見間違いだったのかと思うが、同時に不信さも感じた。

 扉が無用心に開いていたこともそうだが、これだけ声を上げているのに誰も現れない。

 とにかく手掛かりを探すと、怪しいものはすぐに見つかった。

 不自然に空いた壁。

 その奥には地下へと続く螺旋階段。

 耳を済ませると、そこから戦闘の音らしき反響音が聞こえてくる。

 

「っ……」

 

 気付けばリィンは走り出していた。

 長い螺旋階段を一気に駆け抜け、開いたままの石の扉を抜け――

 

「ここは……」

 

 流石のリィンもその光景には一瞬目的を忘れて目を奪われた。

 地下とは思えない程の大きな広間。見たこともない造りの建築物。

 いったいそこが何なのかリィンの知識の範疇を超えた存在にリィンは自失するが、すぐに我に返る。

 

「アルティナッ!」

 

 その姿はすぐに見つかった。

 中央の台座の上に横たわるアルティナにリィンは駆け寄ろうとして足を止めた。

 

「っ……」

 

 台座の横にたたずむ白装束。

 裾の長いコートに口元まで覆い隠した襟。そして目深に被ったフード。全く顔を見せようとしない怪しげな風貌。

 

「まずは手荒な方法でここに呼んだことを詫びよう」

 

 聞こえてきた声は若い男のものだった。

 

「何が目的だ!? アルティナに何をした!?」

 

 リィンは太刀を抜いて、その切っ先を向けて問い詰める。

 

「あまりに暴れるので、これには少し眠ってもらっただけだ」

 

「これ……?」

 

 その言い方にリィンは眉をひそめた。

 

「その言い方だと、目的は俺か?」

 

「ああ、その通りだ。リィン・シュバルツァー」

 

 名前を呼ばれたことにリィンは特に驚くことはしなかった。

 目的があって接触してきたのなら事前に調べていても不思議ではない。

 

「何のようだ?」

 

 白装束の一挙一動を警戒しながらリィンは尋ねる。

 

「まず最初に確認させてもらうが、お前には不自然な記憶の空白があるな?」

 

 確信があっての言葉にリィンは黙って頷く。

 

「それは何回だ?」

 

「思い出せるだけで三回」

 

「一番近いのではいつだ?」

 

「二日前」

 

「……なるほど」

 

 リィンの答えに納得したのか、白装束は考え込む。

 

「こっちの質問にも答えてもらおうか、お前は何者で、何が目的だ? 顔くらい見せたらどうだ」

 

 今までの言葉と、アルティナと対立していた様子から見る限り、彼女の組織の人間ではなさそうだった。

 

「生憎で悪いが、私の正体を明かすわけにはいかなくてね……悪いが要件だけ伝えさせてもらおう」

 

 リィンの質問を無視して白装束は続ける。

 

「君の身体には《聖痕》が刻まれているはずだ。それを確認させてもらいたい」

 

「《聖痕》……?」

 

 その言葉に思い浮かんだのは胸の痣の上に刻まれている紋様のことだった。

 だが、それを肯定せずに会話の主導権を取るために惚ける。

 

「何のことか分からないな」

 

「疑う気持ちは分かるが、俺はそれを刻んだ人間と対立している組織の人間だ……

 お前はこのままだと、その《聖痕》を刻んだ者の操り人形にされるだろう」

 

 一概に無視することのできない言葉にリィンは黙り込む。

 

「それに加えて君に掛かっている記憶封鎖を解くこともできる」

 

「それで、お前は俺に何をさせようって言うんだ?」

 

 目の前の男がただ善意でそんなことを言っているとは思えない。

 

「君には暗示をかけた男を殺してほしい」

 

「…………話にならないな」

 

 自分の記憶を弄った人間とはいえ、見ず知らずの人間から人殺しをしてくれと頼まれて頷けるほどリィンは歪んでいない。

 

「まあ、話は最後まで聞け……

 その人物は外道の極みにいるような男だ。良心なんて捨てて、殺しておく方が世のためだとは思わないか?」

 

「そもそもお前の話を信じる根拠がない」

 

 白装束の説得をリィンは一言で切り捨てた。

 

「だいたい、俺の記憶を弄ったのがお前じゃないって保障はどこにある?」

 

「…………確かにそれは証明できないな」

 

 リィンの指摘に白装束は頷く。

 

「それに何よりもお前、俺に対する敵意が隠し切れてないぞ」

 

 その指摘にフードの中で隠れた視線の強さが変わった。

 

「交渉決裂やな……ほな、無理矢理利用させてもらおか」

 

 独特の訛りがある言葉に口調が変わる。そして白装束はおもむろにボウガンを構え、撃った。

 

「ふっ!」

 

 矢の軌道を読み、斬り払うでもなく掻い潜り、白装束に肉薄して太刀を一閃。

 白装束は大きく跳んで距離を取り、新たな矢をボウガンに番え――

 

「千の棘をもってその身に絶望を刻み、塵となって無明の闇に消えろ」

 

「なっ!?」

 

 あまりの光景にリィンは絶句する。

 数え切れないほどの矢が宙に浮かぶように現れる。

 

 白装束の言葉を信じるならば千にも及ぶ圧倒的な脅威。

 リィンは迷うことなく、台座に横たわるアルティナを庇うように前に出て、鬼の力を解放するべく胸に手を当てる。

 

「神気――」

 

 だが、そこにいつも感じていた焔は何も応えなかった。

 焔は存在する。

 しかし、まるで何かが焔とリィンの間にあるかのように邪魔をしている。

 初めての感覚に困惑している間に、白装束は宙に浮かぶ槍と同じものを装填したボウガンを構え――

 

「砕け、時の魔槍」

 

 それを撃つのを合図に宙にあった矢が一斉にリィンに撃ち出された。

 

「くっ!」

 

 動揺を切り捨てて、リィンは千の棘を迎撃する。

 致命傷になりそうなもの、そして何よりアルティナに命中しそうな軌道の矢をとにかく切り払う。

 だが、圧倒的な物量に抵抗は空しく落とし損ねた矢にリィンは胸を貫かれた。

 

 

 

 

 

 突然の覚醒にリィンは飛び起きる。

 

「ここは……ホテルの部屋?」

 

 見回した景色は、この一週間寝泊りしていたホテルの一室だった。

 自然とアルティナの姿を探すと、隣のベッドで穏やかな寝息を立てて眠っている。

 

「夢だったのか?」

 

 貫かれたはずの胸に手を当ててもそこに傷はない。

 しかし、夢と割り切るには現実的だったし、先に受けた肩の傷の痛みは本物だった。

 

「リィン君。起きてる!」

 

 そこまで考えていると、ドアを叩く音とその向こうからエステルの声が聞こえてきる。

 

「あ……はいっ! 起きてます。今開けます」

 

 身体にかかっていたシーツを乱暴に除けてベッドから下りようとしたところで、ゴトリと重い音が床を叩いた。

 何事かと思って覗き込みリィンは息を飲んだ。

 

「これはあの時の矢……」

 

 床を転がったのは夢でリィンの胸を貫いたはずの矢にされた槍だった。

 

 

 

 




 柄の悪いシスター
「いつかやると思っていた」

 メガネの教官
「いけませんね。これは渾名を《外道神父》と改名させるべきでしょうか?」

 不良グループのリーダー
「相手に同情するけど、その不幸ぶりは何かの《異能》なのかな?」

 はらぺこ見習いシスター
「私の知らない間にそこまで堕ちてたなんて……姉様、ごめんなさい」

 ヘタレネギ頭
「ちゃうねん……
 《鬼の力》を使われると思ってぶっ放したら、それを抑制する《聖痕》が刻まれとったんや。ワイは悪くない」

 メガネの考古学者
「心外だな。私は親切心で彼が望むだろう《聖痕》をつけてあげたというのに、ふふふ」



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