俺たちの世界は間違っている。   作:ゆきわぎ

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知ること

人はなぜ殺してはいけないのだろうか。

 

法律できまってるから?

 

理由なんかない?

 

現代の日本人が人を殺してはいけないと思い込んでいるのは義務教育のせいだろう。戦後日本は先進国になるため、国民みんなに高い道徳心や、倫理感を持っていて欲しかったのだろう。

 

国民それぞれが犯罪は犯してはならないと思っていれば、取り締まらなければいけない事件も減るだろう。何より人が死ぬのは国力の低下につながる。

 

人を殺さない事は正しいし、当たり前のことだと思う。

 

でも、必ず人を殺す必要性にせまられる時はある。家族や友人が殺されそうなとき。沢山の人が殺される可能性のある時。はたまた、殺すしかない様な人間と出会ったとき。

 

彼は選んだ。殺すことを。殺してでも守る事を。救うことを。

 

彼は有望だ、いい”済崎”になるだろう。

 

 

5人の男の死体に囲まれて俺は立っていた。

初めての殺人はあっけないものだった。

麻薬の中毒者の怖いところは、理性のリミッターが無く、どんなことも平気でやることらしい。

 

縛られていた女性が、無事な右目で茫然と俺を見ていた。助けに来たのか新たな脅威か判断がつかないのかもしれない。

カトリアさんへの任務完了の報告とか、救急車とか、やらなければいけない事はたくさんあったと思うが、気付けば俺は女性の方へ歩いていた。女の人はビクッと肩を揺らす。

 

俺は静かに片膝をつき、女の人の頭を抱きしめた。

 

「もう大丈夫です。助けにきました。」

 

酷い事件に巻きこまれたりしたひとには。それがトラウマになりきる前に対処しなくてはならない。心を癒やすのに効果的なのは人肌らしい。俺にその役目が果たせるとは思えなかったが、何かせずにはいられなかった。

 

肩で女の人が泣いてるのを感じた、少しでも和らげばとおもう。

 

少しして、女の人は緊張の糸が切れたのか眠ってしまった。

とりあえず、その辺になぜかあったペンを添え木にして、指に処置をしておいた。そのあとは女の人にパーカーを着せて背負い、男の額に刺さっていたナイフを抜いて小屋をでる。証拠隠滅に火をつけようか迷ったがカトリアさんに聞いてからにしよう。

 

ドアを開けると10メートルぐらい先に、師匠とカトリアさんがいた。

 

「師匠。どうしてここに?」

「いやー、心配になってな…。」

「ほら、大丈夫だって言ったでしょう?彼は自分で選べたわ。」

 

カトリアさんは朗らかに笑っていたが師匠は複雑そうだった。申し訳なさそうにも見える。

 

「さ、その子の手当てをしないと。後は任せてもらえる?ちゃんとした医者とカウンセラーに診せるわ。」

 

すると後ろから黒服の人たちがくる。見るからに丁重に扱いそうにない人達だったので、少し迷ってカトリアさんをみる。

 

「ふふっ。大丈夫よ。その子のことも含めて依頼だもの。今回の仕事は、ちょっとしたお金持ちから娘を探して欲しいと言われてね?この辺では最近強姦殺人事件が多かったから、急いで探したのよ。その子を手当てして親に渡せば終わり。」

 

それを聞いて、まだ少し不安だったが、とりあえず任す事にした。

 

「あんたらは何者なんですか?」

その言葉を聞くとカトリアさんは更に笑みを深め、師匠は対照的に苦い顔をした。

 

「私はOLよ?勤め先は民間軍事会社だけどね。こっちの啓介とは傭兵と雇い主の関係よ。彼はこれでも名前を出すだけで相手が降伏するほどのビックネームだったんだから。」

「やめろよ、ったく。」

 

民間軍事会社といえば近年成長している軍事産業だ、兵器ではなく。兵士を売る会社。運用にリスクを伴う自国の兵士より、兵士を買って派遣してもらう方が何かと都合がいいらしい。他にも弱い軍隊の戦闘行動を指南したりするらしい。

 

「あなたも将来有望よ?今のうちに我が社と契約しておかない?」

「馬鹿、やめろ。それは本当にまだ早い。」

「あら残念、止められちゃったわ。まあ、考えていてね。でも仕事は簡単なのから持ってくるわね。そんな顔しないで、経験は必要でしょ?」

 

これから俺はどうなるのだろうか。不安もあったが、今はあの男達みたいな奴らを1人でも多く減らしたいと思っている。

 

師匠がはあとため息をついて話し出す。

 

「八幡、少し予定が早まったが、明日からもっと殺人に寄った訓練を始める。引き返すなら今だ、まだ間に合う。お前は、この先を望むのか?」

俺の答えは決まっていた。

 




もう少しで原作に入ります。また、八幡の中学での立ち位置は、少し変わっています。しかしぼっちです。
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