俺たちの世界は間違っている。   作:ゆきわぎ

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LMGをSMGに直しました!
すんません!


タッグ

「はははははは。ハチ公!まあまあ背ぇ伸びたんじゃねぇか?男らしくなりやがって!そろそろこれの1人や2人できたんじゃねぇのか!?恥ずかしがらずに言ってみろ!ん!?」

いや、うるさい。すごくうるさい。めっちゃ小指立ててる。

マンションの前で会ってから場所を変えようと言う事で、俺たちはサイゼリヤに来ていた。

この男、ファミレスでも御構い無しにうるさい。

 

「いや、いませんよ。あと他のお客様のご迷惑になるんでボリューム下げてください。」

 

店員さんも注意しようとこの席を遠目に見ながらおろおろしていた。まあ、この男相手ではなかなか勇気が出ないだろう。あ、いま店員さんと目があった。あれ?めっちゃ逃げられた。え、俺?俺なの?

 

「おお、すまん。久しぶりに会えたからな。ふふふ、若い奴の成長は嬉しいもんだ。ん?どうした。目がひどいぞ。」

「…なんでもないです。ともかく。俺の今回の相方は千川さんですか。」

「おう俺さ、ハチ公。よろしくな。」

 

この人は”悪逆”千川大毅。俺と同じく会社と契約している傭兵だ。

年齢は36、身長は198、これでも純日本人である。短く刈り上げられた髪に整えられた顎髭。右頬に走る傷。獣のように鋭い目と整った顔立ちは、盛り上がった筋肉と相まって、ザ・兵士といった風貌である。

この人と俺とは部署が違う。俺は暗殺部門。この人は多対多だったりの通常の戦争に派遣される兵士部門。

因みに砂上さんが俺をハチくんと呼ぶのは本名からだが、この人のは違う。俺のIDからだ。会社に入ってからあだ名がつくまで、(もちろんつかない人もいるが。)俺たちはIDで呼ばれる。俺のIDはA-88、アサシン88番目というわけだ。だからハチ公。この人とは影喰らいの名前がつく前からの付き合いなので、最初の任務でそう呼ばれ始めたのだ。

恵理さんはO-169、千川さんはS-1035だ。恵理さんは若手だが、千川さんは中堅、しかも比較的あだ名の付きにくい兵士部門の中で入社ふしてすぐにあだ名のついた実力派である。あだ名の由来はこの人の戦い方。この人はとにかく腕力が強く。弾が尽き、ナイフが折れても素手で戦う。人の頭を引っこ抜いたりぶん殴って顔面崩壊させたりガチで鯖折りしたりと。あまりに暴力的な戦闘スタイルから、戦場で敵と味方から尊敬と畏怖をこめて”悪逆”と呼ばれるようになったらしい。

実際一緒に任務に出た時はやばかった。戦術なんてあったもんじゃない。人がゴミのようでした。

「いやあ、お前と組むのも久しぶりだなあ。イギリス行って核のボタン止めた時以来か。」

「…そっすね。一年ぐらいですか。」

そう、そういうこともあったのだ。懐かしい思い出だ、あの時のミッションはマジインポッシブルだったわ。

この人と組んだ時にはとある法則がある。それは任務の内容がアメリカンになることだ。無駄にスケールがでかい。色々爆発してたくさん敵が出てくる。それが元で社内では”ハリウッド”とも呼ばれたりしている。

 

「懐かしいなあ、お前もあんときゃベソかきながら戦ってたもんなあ。俺にもしんどい仕事だったからしゃあねえがな。」

「そりゃ手持ちの弾数と敵の数が合わなくなったら絶望するでしょ。あれマジでどっから湧いてたんですか、クローンヤクザとかの親戚だったんじゃないすかね。」

「まあ、ドイツ語でスッゾオラーとか言ってたがな、多分人間だろ。」

 

あの時の敵は、そう、ナ○スだった。

敵までハリウッドなのである。

 

絶対今回も大変な事になる。

なぜよりによってこの人なのか。もっといただろう。”無綴兄弟”とか、多対多なら”青山羊”とかでもいいし。

 

「なぁに、ちょうど一つ仕事が片付いて暇しててな、んで日本に帰ってた時にたまたま声がかかったのよ。前の仕事もやばかったぞ?荷物届けるだけの簡単なお仕事かと思いきや、ブツの中身が女でな?しかもよくわかんねえ奴らに追われるし。いろいろあって最終的に依頼主ぶっ殺して解決したわけよ。」

 

トランス○ーターかな?

やべえ、ハリウッドフラグバリ3だわ(ダサい)。大丈夫だよね?ナパーム弾とか落ちてこないよね?

「まっ、気合い入れていこうぜ!」

 

…帰りてえ。

 

 

そのあとは、別れてお互い装備を整えにそれぞれのセーフハウスに向かった。

今回の任務は暗殺ではない、それなりに装備も変えていかなくてはならないだろう。不謹慎ではあるかも知れないが、任務の前に装備を整えるのも楽しかったりする。

 

と、言うわけで。

 

今日の装備は、耐熱性のインナー、防刃のパーカー、その上から防弾ベスト(10万円弱)、SMG(MP7)ダットサイト三点スリング付き、ハンドガン(いつものやつ)これは大腿部にホルスターで装着。ナイフのシステムは右の前腕部にくっつけている。マシンピストルの弾倉は三連のをベストの前にくっつけて、ハンドガンのは左の脇腹につけている。念のために救急ポーチも左大腿部につけて準備完了である。色は黒に統一されている。

しかも、なんと今回、今日届いたばかりの新兵器を持ってきている。

ふふ、使うのが楽しみだ。

 

「影喰らいさん、今日の作戦は、まず影喰らいさんが倉庫に侵入、中で取引が行われているのを確認したら悪逆さんが倉庫に攻撃、これは陽動です。相手が混乱している間にその場にいると思われるラバーズの現場指揮官を捕まえて下さい。船で逃げようとすると見積もられるので、そのままジャックして逃走とかもいいですね。頑張って下さい!」

 

日曜夕方、神奈川県某所。

俺は千川さんと合流し、千川さんの車に乗せてもらっていた。

千川さんの装備も基本俺と同じだが、メインはアサルトライフル(スカーライト)グレネードランチャー付き、ハンドガンはジェリコ、帽子もかぶっていてライトが組み込まれている。色はデザート迷彩らしい。逆に目立たない?

そして、持ってきたのはそれだけではないようだ。

 

「…凄い量ですね…。」

「だろお?今日は気合い入れてお気に入りをやましこ持ってきた。楽しくなるぜ?」

 

俺が見たのは後部座席である。ケースにこそ入っているが、何が入っているかわ明白だ。

スナイパーライフルに無反動砲、HMGに凄い量の弾薬だ。グレネードランチャーの弾や手榴弾もある。

絶対ハリウッドだ、間違いない。爆発オチが目に見えている。

 

「ん?お前、左手首についてるやつは…。」

 

おっと、バレてしまったらしい。

ふふ、そう。これが、これこそが俺の新兵器。

 

その正体に気付いた千川さんは、大きく目を見開き、小さく震え始める。

やはり、この人には”これ”の価値がわかるらしい。

 

「お、お前、そりゃあまさか…。」

「くくくく、そう、そのまさかですよ。」

「え、え、なんですか。声しか聞こえないんでわかんないんですけど。何があるんですか。」

 

恵理さんも気になってしまったらしい。きっとこいつの名前を聞いたら腰を抜かしてしまうだろう。

 

「そう。こいつは…、アサ○ンブレードです。」

「う、う、うわああああああああ!!!」

「…?え、えーと、わ、わああああ。

いや、なんですかそれ?会社から暗殺部門に配られたとかです?」

 

千川さんは名前を聞いた途端、感極まったのか叫び出してしまった。(運転は器用にこなしている。)しかし、恵理さんは、ピンときていないようである。

あれー?おかしいな。いや、あれですよ、フード目深にかぶって色々ぶっ殺していく伝説の暗殺教団に伝わるあれです。

 

「お前、それをどこで…?」

「ふっ、特注で作ってもらいました。結構かかりましたけど。」

 

そう。俺の金の使い道なんて本か装備しかないのである。いや、まあ他にも少しはあるけど。なんとなく欲しかったのでつくってもらった。

 

千川さんは俺も買おっかなー。とうんうん悩んでいる。

 

「…男の子ですねえ…。」

 

と、恵理さんは呆れ気味だった。

 

 

そんなこんなで件の倉庫である。

 

「んじゃ、なんかあったら無線で連絡してくれ、俺はここで合図待ってるから。」

 

事前に見た資料には、倉庫には横にも入り口があり、待合室やら当直室がある。まずはそこから入って中の様子を探る。

しかし、倉庫についてから、なにか漠然と、いやな雰囲気を感じ取っていた。

 

「…ハチ公。なんかおかしい。車はあるが人の気配がしねえ。いや、これは隠れてるな。公にはやれない事だっつても、この警戒度はおかしい。やーな空気だ、気をつけろ。」

 

ちょうど千川さんから無線が入る。外から見ている千川さんも何か感じているらしい。

扉に手をかける。ゆっくりと開く。右手にLMGを握り、ストックを脇に締めている。

 

するりと中に入り、左手で音を立てないようにゆっくりと扉を閉める。

電気がついていない。もちろん点けたりはしないが、明かりがない。やはり何か妙である。

 

とりあえず扉を入ったら右だ、すっと壁際に移動し、銃をかまえ、左肩を壁に付けるようにして歩く。突き当たりを左に曲がれば倉庫本体だ。人の声は聞こえない。

 

あと少しで突き当たりだ。

そこで、その突き当たりの壁に何が紙のようなものが貼られてることに気付く。

 

…貼り紙?中国語…か?

一気に嫌な予感が膨らんでいく。

頭の中で、一つの考えが形を持つ。

 

最近あまり中国語には触れて無かった上に、手書きらしく。解読に時間がかかる。

そして、その内容を理解し、全身の皮膚が泡立つのを感じた。

 

”くたばれ影喰らい”

 

瞬間、轟音と衝撃。

 

俺の意識はそこまでだった。

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