クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第九話:孤高の反逆者・後編

一晩が去って翌日後、グレイスが気持ちよく爆睡中。

 

『第一種遭遇警報発令!パラメイル第一中隊出撃準備!』

 

ドラゴンが出現し、格納庫は慌ただしくなっている。

ライダーたちはそれぞれのパラメイルに乗り込む。

 

「総員騎乗!」

 

ドラゴン出撃警報が鳴る中、サリアが号令をかける。

 

「今日もフォローよろしくな、ラルス」

 

『了解』

 

グレイスは準備をしながらラルスに語りかける。と、アンジュを見てみると何処か様子がおかしかった。何か小さい物を手に取って舌打ちをしていた。

 

「グレイス!出撃前の最終確認を。BMA内装系異常は無い?」

 

「うん、大丈夫。異常はない」

 

メイに確認を促されたグレイスはリベリオンに異常が無いか、ラルスに確認した。そして、出撃準備は完全に整った。

 

「サリア隊、発進します!」

 

隊長のサリアが発進したのを皮切りにパラメイルが次々と発進していく。

 

「サリア隊、グレイス機、発進します!」

 

フィオナも発進して大空へと飛び立っていった。全ての機体が発進して、空中でフォーメーションを組んでいく。そして、

 

「総員、戦闘準備!ドアが開くぞ!!」

 

サリアの声と共に前方にシンギュラーが現れて、中からドラゴンが続々と出てきた。それを合図にパラメイルは攻撃を開始する。が、アンジュは隊列から離れるとドラゴンの群れに突っ込んでいく。

 

「アンジュ!前に出すぎよ、勝手に突っ込まないで!!」

 

サリアが咎めるがアンジュは構わずに突進し、ドラゴンを撃墜していく。

 

(まったく、アンジュさんは相変わらずだなぁ…)

 

グレイスは呆れつつも目の前のドラゴンを次々と撃墜していく。その時だった。

 

突如、ヴィルキスから黒煙が舞い上がるとそのまま海へ向かって失速していく。

 

「え!?な、何が起こったの?ヴィルキスが……」

 

アンジュは必死に体勢を立て直そうとするがコントロールが聞かない。すると、

 

「助けてやろうか?痛姫様」

 

ヒルダがヴィルキスの隣にやってきて、アンジュを挑発する。

 

「くっ。失せろ、ゴキブリ!」

 

アンジュは何とかヴィルキスをアサルトモードに変形させる。だが直後、スクーナー級がヴィルキスにまとわり付き、ヴィルキスもろとも海へと落ちていった。

 

「ヴィルキス!!」

 

サリアはヴィルキスの元へ向かおうとするが、シンギュラーからブリッグ級が現れてそちらの対処を優先せざる負えなくなった。

 

 

それから、第一中隊の努力の甲斐あってブリッグ級は海に墜落していった。同時に作戦も完了した。

 

「各機、損傷も飛行に問題なし。アンジュ機はロスト」

 

「ご苦労だった。全機、帰投せよ」

 

ジルは第一中隊に帰投命令を出す。するとサリアが通信を入れてくる。

 

「あのっ!ヴィル……アンジュ機の捜索許可を頂けませんか?破壊されたわけではないし、今すぐに回収すべきかと」

 

「はあ?冗談でしょ。戦闘終えたばっかでクタクタ、燃料もカスカス、なのに痛姫様とポンコツ機を探せって言うのかい?隊長さん。」

 

「……」

 

ヒルダにダメ出しされて、サリアは言葉に詰まる。

 

『ヒルダの言う通りだ。後で回収班を出す。中隊は全機、帰投!』

 

ジルからも帰投する様に言われ、サリア達はパラメイルをフライトモードに戻す。

 

「アンジュさん、大丈夫かな?」

 

「このまま帰るなんて見捨てるみたいで気が引けるけど、仕方ないよね」

 

「大丈夫だよ。アンジュさんはあんな事で死んだりはしない。絶対に…」

 

フィオナはアンジュが落ちていった海を見る。ヴィルキスは影も形も無かった。アルゼナルに戻ってからどうしようかと考え始めた。その時だった。

 

「!?」

 

グレイスの視界にノイズが浮き出る。

 

「何だ!?」

 

するとリベリオンが、強制的に駆逐形態へと変形する。

 

『グレイス、何をしているの?もう、戦闘は終わったのよ』

 

 サリアが通信を入れてくるが、グレイスの耳には聞こえてなかった。

 

『後方に敵影発見。』

 

ラルスがそう報告し、後ろを振り向くと、そこにいたのは銀と黒、関節部は金色、紫色のカラーリングにピンクの模様が塗られており、背部に巨大な手裏剣を背負ったリベリオンが腕を組んでいた。

 

「っ!!?」

 

グレイスは驚き、後方に下がりながら防御体制をする。

 

「何だあの機体は!?レーダーにも反応がなかった!?ラルス!あの機体は!?」

 

『グレイス様、ここは撤退してください。今の装備では、『ハーミット』には勝てません。』

 

「『ハーミット』?それがあの機体の名前なのか?」

 

『"ハーミット"と"リベリオン"は謂わば兄弟機、本来ならば、武装強化し、挑むべき存在。』

 

ラルスがそう言う中、パメラが第一中隊に報告する。

 

『せ、戦闘区域に未確認機体が出現しました!!』

 

驚きを隠せないパメラの声が第一中隊の各機に響く。

 

「な、何なの?あれ……」

 

「おいおい。一体、どうなってんだよ!?」

 

「なんじゃあ、あの機体!?」

 

第一中隊の面々も驚きを隠せない。するとアンノウンは

背部の巨大な手裏剣を抜き、構えるとリベリオンに向かって投げ付ける。グレイスはリベットガンのバイブレーションブレイドを構えると、手裏剣が五つに増えた。

 

「っ!?」

 

グレイスは必死に手裏剣を回避すると、手裏剣はアンノウンの所へ戻って来た。そしてアンノウンはまた手裏剣を投げつけようと構えると。

 

「グレイスから離れろぉ!!」

 

ヴィヴィアンがブーメランブレードをアンノウンに向かって投擲する。それに気付いたアンノウンは手裏剣を投げ、ヴィヴィアンのブーメランブレードを弾く。アンノウンは手裏剣を拾い上げると、左右の手をうち1組で人差し指を立て合わせる。

 

次に2手内に組み、中指を立てて人差し指を絡ませる。

 

次に左右互いに組み、中指・薬指の交叉にからみ、親指、薬指、小指を立て合わせる。

 

次に左右互いに指を組み合わせ、人指し指を立てて合わせる。

 

次に2手各々外へ組み合わせる。

 

次に10指互いに内に組み入れる。

 

次に右の4指を握り、指先を立てて左手に親指を握る。

 

次に左右の親指の指先の端をつけ、余り4指を開く。

 

最後に左の手をうつろに握り右の手上に置く。

 

『臨!!兵!!闘!!者!!皆!!陣!!烈!!在!!前!!』

 

ハーミットから気高い声が発声すると、ハーミットの形が変わっていく。装甲が軽量級へとなり、スラスターウィングから紫に光る翼を放出する。

 

「何!?」

 

リベリオンと同じ、装甲や形が変形した事に驚くグレイス。するとハーミットから通信が入る。

 

『"ΑΩ⊇πⁿ∩∈ ∵∮∧?"(この期に及んで、貴公は最初から最後まで逃げるのか?)』

 

通信からは、聞いたこともない言語で話される。

 

「??」

 

『∋∌∟ … ∷∮θθξρπ⊇⊅∥∥008……(あの時…10年前の反逆を引き起こし、コードネーム"MMD-008"を逃がそうと、企て、頭領である父を殺そうとした輩め……)』

 

するとハーミットのコックピットが開き、中から黒い短髪、黒紫のマフラー、忍者のようなライダースーツを着た青年が鋭い眼差しをする。グレイスはコックピットから出て、青年に問う。

 

「君は一体何者!?何でリベリオンと同じ機体に!?」

 

すると青年はポーチから何かを取り出し、グレイスへ投げ渡した。グレイスは青年から投げ渡してきた物をキャッチする。それはグレイスが首に付けていると同じ、赤い宝玉であった。

 

「……今回だけは見逃してやる」

 

「え?」

 

「次は…徐々に記憶を戻してから、兄弟達と共に相見えよう……。」

 

青年はそう言い、ハーミットに乗り込み、機体を動かし、目にも止まらぬ速さで彼方へと飛んで行った。

 

『未確認機、逃走を確認』

 

「どういう事なんだ?」

 

グレイスは受け取った赤い宝玉を見る。すると目の前の世界が一変し、煉獄の炎で焼き包まれた街のど真ん中に立っていた。

 

「何んだ!?」

 

建物は何かに銃弾や破壊された跡があり、パラメイルや見たことのないロボットの残骸だらけであった。

 

「何だ…これ……?」

 

すると炎の中から、何かが飛び出してきた。それは黄金の長髪、碧眼、赤いアーマーをしたグレイス。彼の腕にクリオネとクラゲの様な透明感をした人魚みたいな少女をお姫様抱っこで抱えており、彼女の足と言うより尾ビレから血が流れながらも、炎が吹き荒れる街の中を走っていた。

 

「あの娘は?」

 

すると少女が、頬を赤くしながら、赤いアーマーをしたグレイスに言う。

 

「いいのよ!」

 

「……任せろ!」

 

グレイスに似た青年は、後ろから来るロボットのアームキャノンの攻撃を見ずに、華麗に回避する。

 

「これって……僕の失われた記憶?」

 

するとグレイスに似た青年がホルスターからマグナムを抜き取り、少女を抱えたままロボットを撃つ。弾丸がロボットの頭部を貫通、そして爆散し、彼は走り続ける。少女はそんな青年の顔をじっと見る。

 

「……」

 

「……?」

 

「!……」

 

少女は青年の勇ましい姿や顔を見続けられたことに、顔を真っ赤にする。すると目の前が光で包まれ、元の目の前の世界に戻る。

 

「っ!?…今のは?」

 

グレイスは胸を抑えていると、サリアが通信する。

 

『グレイス!返事して!』

 

「え?……あ、はい!」

 

グレイスは返事し、その後アルゼナルへ帰投する。その途中、グレイスはさっきの映像を思い浮かべる。

 

「(あれは一体、何だったんだろう?……それに、あの娘は一体……)」

 

グレイスはそう考える中、アルゼナルに帰投するのであった。

 

 

「いや~大漁大漁♪これでしばらくは食料に困る事はないな」

 

無人島でタスクはたくさんの魚を獲る事ができて上機嫌だ。ふと、彼はある事を思い出す。

 

「そういえば、グレイスが此処を去ってから随分経つけど…無事にアルゼナルへ着いたのかな?」

 

タスクはかつて出会った青年、そして彼に名前を付けたグレイスの事を思い馳せていた。アルゼナルへ連絡を取る事も考えたがタスクは首を振る。

 

(いや、そんな事できるわけないか。今の俺にそんな資格はない……)

 

タスクは苦悩しながらも気を取り直す。彼が砂浜へ行くとそこには白いパラメイルが横たわっていた。それを見たタスクは目を見開く。

 

「あれは……ヴィルキス!?」

 

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