クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン 作:オービタル
無人島から無事に帰還したグレイス達は、隣島で倒れていた少女の身柄を確保し、アルゼナルに帰投する。少女は検査の為、ジルに連れられる。グレイスは尋問室のドアの前で待っていた。
「……(それにしても、あの子何であんな所に倒れていたんだ?…それに…)」
グレイスは少女から取り出した弾丸を見る。
「(何であの子の横腹にこれが?…それだとしたら、普通にアルゼナルに送れば良いことなのに、もしかして重要人物?)」
グレイスがそう考えていると、ドアが開く。中からアルゼナルの制服を着た少女とジルが現れた。
「グレイス、コイツを医務室まで案内しろ。見たところ……お前と同じ記憶喪失だ。」
「僕と同じ……分かりました。」
「頼んだぞ」
「イエス、マム」
グレイスはジルに敬礼し、少女を医務室まで向かう。グ医務室にはやや酔っ払ってるマギーがいた。
「酒臭…」
グレイスは予めに持っていた洗濯ばさみで鼻を摘み、少女は鼻を抑える。
「おや、その子が例の少女かい?」
「そうだ。というか、マギー先生。あなたはまたお酒を飲んでいたのですか。顔が赤いですよ」
「大丈夫よぉ。ほんの少しだけだからさぁ、ヒック」
「あなたの少しは多いんだから、」
マギーの体たらくに呆れるグレイスだったが、すぐに気を取り直す。
「あんた、何も覚えていないのかい?」
「はい…」
「この世界のルールや自分の事も?」
「はい……」
少女は酒の匂いに顔を顰めながらも答える。
「……困ったねぇ、グレイス以上の記憶喪失とは…初めてだよ」
「僕以上に…ですか?」
「ジルが言うには、気が付いたらアンタが目の前におって、弾丸を取り出していたと……それだけのことだ。他は何も覚えていない」
「……」
「まぁとにかく身体検査と簡単なカウンセリングするから、あなた。ここに座ってもらえるかしら…グレイスは出た方が良いと思うぞ♪」
「分かりました」
グレイスはそう言い、部屋の外に待つ。それから、少女はマギーからいろんな検査を受けた。身長や体重の測定、注射での採血、全裸にされて身体の隅々までも調べられた。それが終わると今度はカウンセリングが行われた。文字の読み書きから始まり、マナやノーマの事、この世界の国の名前など様々な事を質問された。しかし、少女自身の事に関する質問には何も答える事はできなかった。ちなみに、マナが使えるかどうかの実験もして、使えなかったので普通のノーマと認定された。外で待っているグレイスの所に、ジルが来る。どうやらマギーから来てほしいとの連絡があったらしいと、ジルは医務室に入り、数分経つうちに、扉が開き、少女を連れたジルが現れると、ジルがグレイスに言う。
「グレイス、今日からコイツの担当を任せる。それと名前はお前に任せる…以上だ。」
「え?…はい」
ジルはそう言い、去るのであった。取り残されたグレイスと少女は黙ってみる。
「え〜っと……取り敢えず、アルゼナルを案内するから……」
「……はい」
グレイスは少女を連れて、アルゼナル内を案内する。先ず来たところはジャスミンモールであった。
「ここがジャスミンモール、アルゼナルで唯一の購買所であり、日用品からパラメイルの武装まで幅広く扱っている。キャッシュは主に此処で使われが…後、ビリヤード台やクレーンゲーム、バスケットコート等の遊具もあって、戦いに明け暮れるノーマ達の憩いの場でもあるんだ♪」
「憩いの場……」
彼女はジャスミンモールを眺めていると、グレイスの所に番犬であるバルカンが近付いてくる。
「あ、バルカン」
グレイスはバルカンの頭を撫でる。
「さて、次は…あれ?」
目の前にいた筈の彼女がいなくなっており、辺りを探していると、バルカンがジャスミンモールの方に吠える。
「ん?」
ジャスミンモールの遊具等の所に、何やら人が集まっていた。よく見ると、突然いなくなった彼女がおり、ロザリーやヒルダ、クリスに喧嘩を売られていた。どうやらロザリーがゲーム機に見ている彼女を見て、初心者狩りを始めようとしていた。さっそく対戦ゲームでいざ勝負となるが……。
「は!速すぎる!!?」
必死にコマンドボタンを押すロザリー。対戦相手はいなくなった彼女であり、素早い操作で、ロザリーのアバターを叩きのめしていく。
「あり得ない!あり得ない!あり得ない!!」
ロザリーはズルをしようと裏技をするが、彼女はそれも読んでいたのか、さらに加速し、裏技の効果を無効化にする。
「んなアホな!?」
するとどうやって操作しているのか、彼女のアバターがロザリーのアバターに向かって指を前後にクイクイっと動かし、挑発させる。
「なめやがっ!!?」
一瞬だが、彼女のアバターの拳がロザリーのアバターの腹部に炸裂し、百烈拳で体力を奪う。そして残りの体力が一になると同時に、止めの蹴りが炸裂した。画面上にロザリーのアバターが負け、彼女のアバターが勝ったことに、ロザリーは腰が抜ける。
「馬鹿な……普通の新入りに負けるなんて」
ロザリーはあまりのショックに力も入れなかった。グレイスは心配そうに彼女に話す。
「大丈夫?」
すると彼女はピースサインと笑顔で返す。
「ロザリーさん大丈夫ですか?」
「……」
「まぁ、新しく入った子にはそういう人はいますから…」
「違う」
「え?」
「アイツは紛れもなくヤバイ奴だ……」
「どういうことですか?」
するとグレイスが画面に表示されているアバターの体力やタイマーを見る。
「え!?」
タイマーは60秒間であり、それが50秒でストップしており、彼女のアバターの体力はフルであった。
「まさか!?あの子…ノーダメで10秒でロザリーさんをノックアウトしたの!?しかも難易度をハードにしてる!?」
まさかの結果に、ロザリーは彼女の方を向く。
「アイツの動き……本物の"怪物"だ」
ロザリーは彼女の実力に差が付き、凄い表情で睨んでいた。
そして食堂やパラメイルの格納庫の説明もしていく。部屋はグレイスの部屋を使って良いと、ジル司令に許可された。グレイスは彼女……名前を『ティア』と名付けた。("ティア"とは…英語で『涙』を意味しております。)
夜になり、グレイスとティアは食堂で一緒にご飯を食べていた。今日はエルシャ特製のカレーだから、運良くあのノーマ飯を食べずに済む。
「どうかな?エルシャのカレーは……」
「…美味しいです」
「そっか、良かった」
グレイスは感心していると、サリア、ヴィヴィアンが近付いてくる、
「グレイス、その子の隣良いかな?」
「ティアの隣ですか?…良いですよ♪」
サリアはティアの隣に座る。サリアは何やら、厳しい目でティアを監視する。それに気付いたティアはサリアに問い掛ける。
「どうかしましたか?」
「いえ、別に……」
「?」
食事を終え、部屋でティアと共に待機していると……警報が鳴り響く。グレイスは急いで部屋から出ると、ティアがグレイスの手を掴む。
「!?」
「……気を付けて行ってください…グレイス君」
「…分かった」
グレイスはそう言い、急いで格納庫へと向かっていった。グレイスの部屋で一人だけとなったティアは部屋の灯りを消す。すると彼女の足に変化が起きる。
「う!!」
足から赤い鱗が浮かび上がり、横腹にエラ、手には水掻き、耳にもヒレ、そして足が完全に一体化し、尾ビレを生やしたこの世とは思えない程の美しい人魚へと変異した。
「あのグレイスと言う少年、もしかして、私の事も覚えていない……こんな時、御兄様や彼女達がいれば……」
ティアは胸に手を当て、悲しそうな表情をする。
一方、アルゼナルではない、何処かの施設。薄暗い中で白衣を着た金髪の小さな女の子がパソコンで何やら情報を探っていた。彼女の後ろには、数人の影が立っていた。
「よぉ〜し!お前達、アルゼナルに行く準備は出ているか?」
陽気な少女はその影達に、宣言すると、影達は頷く。格納庫では、輸送機に見せかけた船があり、輸送機に、双頭の蛇と騎兵銃のマークが描かれていた。
何かグダグダですみません。次回からは、ついにモモカとオリジナルキャラの登場です。