クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン 作:オービタル
皆より食堂を後にしたサリアは何やらもの凄く不満な表情をする。
「(皆…ほんと自分勝手、私だって好きで隊長をしてる訳じゃ…)」
っとそう不満を持つサリア、隊が身勝手な事ばかりとアンジュの好き勝手な行動と言う事にストレスを溜まらせていく事に徐々に耐え切れなくなり、彼女はそのままジャスミンモールへと向かう。
到着した所にジャスミンに札束を渡し、それにジャスミンに言う。
「…『いつもの』」
「…一番奥を使いな」
そう言ってサリアは『ある物』を持って試着室の一番奥を使いに行った。
同時にグレイス達がやって来た。
「取り敢えず、ティアのコミュニケーションの為だセシルさんとメタリカさん、ティアに似合そうな服をお願いします。」
「オッケー♪」
「分かりました。」
セシルとメタリカはティアに似合そうな服を探し出す。セシルとメタリカが選んだのは、ゴスロリ服であり、試着しようとジャスミンに問う。
「ジャスミンさん、試着室借りても良いですか?」
「一番奥を使いな」
そう言ってグレイスはティアを連れて、一番奥の試着室へと向かう。
「…あ」
とジャスミンは忘れていた事を思い出した。一番奥の試着室には確か…。
ティアが試着室のカーテンを開けた先には…。
「…?」
「え?」
何と何かの可愛らしいコスプレを着ていたサリアがおもちゃのステッキを持って、踊っていた姿がティアの目に映った。
一瞬の事にティアとサリアは呆然としていて、そしてたちまちに頭から大量の冷や汗が流れだして来て。気付いたサリアも気まずい表情をする。ティアは首を傾げ、普通の表情で、カーテンを閉める。
「ティア?」
「使われていましたわ」
「ありゃりゃ……」
グレイスは誰か使用されていた事に、気まづくなり、止めに行こうとしたジャスミンが遅かった事に手に頭を載せて後悔してしまう。さらにアンジュにもコスプレ姿を見られ、自体は悪化する。それは夜のことであった。
「力加減いかがですか?」
「悪くないんじゃない」
風呂場でモモカがタオルでアンジュの体を洗っており、ティアも湯船に浸かっていると、不意に背後のドアが開く音がし、サリアが現れる。
「「「?」」」
制服姿のまま、サリアが無言で俯きながら佇んでおり、明らかに不自然だった。アンジュを睨みつけ、腰からアーミーナイフを抜く。ギョッと驚くティアを他所に、サリアは一気にアンジュに襲いかかる。
「殺すっ!」
殺気を剥き出しに襲い掛かるも、アンジュは予測済みとばかりに、突き出されたナイフを持っていた洗面器で刀身を防ぎ、動きを拘束する。歯噛みするサリアと冷静に見やるアンジュにティアやモモカは訳が分からずあわあわと混乱する。
「何の真似よ!?」
「見られた以上、殺すしかない!もちろん!ティアも!」
「ただ見られただけで、何でナイフ突きつけるのよ!!それに何で殺されなきゃならないのよ!関係もないのに!」
「っ!?…関係…ない!?」
アンジュはアーミーナイフが刺さっている洗面器を風呂場に投げ捨てる。
「キャッ!」
ティアも急いで湯船から上がり、モモカの後ろに隠れる。
「関係ないですって!?私達はチームなのよ!なのにあんたが勝手なことばっかりするせいで!」
「後ろから狙い撃って、機体を墜とそうとするような連中の、なにがチームよ!」
アンジュはサリアの腕を掴んだまま、湯船へと投げ飛ばした。
湯船から起き上がるサリアだったが、投げ飛ばされた拍子に剥ぎ取られたのか、上半身が裸になっていることに思わず胸元を隠す。
そんなサリアを一瞥し、剥ぎ取った制服を捨てると、アンジュは鼻を鳴らして言い捨てる。
「連中を止めないってことは、あなたも私に墜ちてほしいんでしょ?」
その指摘にサリアは一瞬詰まり、アンジュはそれみたことかとばかりに言葉を続ける。
「あなた達に殺されるなんてまっぴらよ。だから私は、あなたの命令なんてきかないわ」
「いい加減にしなさい!!」
その自覚はあったのか、僅かにアンジュを動揺させ、サリアは再度掴みかかり、アンジュも反撃しながら力を入れるも、その反動で足元がおぼつき、縺れ合ったまま湯船に落ちる。
顔を出すアンジュにサリアは鼻声で罵倒する。
「私が隊長にされたのも! みんなが好き勝手いうのも! ティアにも秘密を見られたのも! ヴィルキスを盗られたのも!」
アンジュの胸を掴み、強く握り締めるサリアにやり返そうと手を伸ばすも、アンジュの手は空を切り、手応えがないことにアンジュは戸惑う。
客観的に…それでいて致命的な言刃にサリアは一瞬にして羞恥と怒りで顔を真っ赤にし、胸元を隠す。ワナワナと震えながら、眼に涙を浮かべ、アンジュを睨みつける。
「全部あんたのせいよ!」
「はぁぁぁぁ?」
あまりに支離滅裂な言いがかりにアンジュも思わず上擦った声を上げる。サリアは悔し涙を浮かべながらアンジュに掴み掛かり、アンジュも反撃する。二人が争っていると、背中から別の声が聞こえた。
「およ、なんじゃこりゃ?」
「あら、大変」
ヴィヴィアンとエルシャが眼前で繰り広げられている光景に眼を丸くする。
躊躇うティアとモモカも縋るように頼んでくる。
「あ、あの!アンジュリーゼ様を止めてください!」
「私からもお願いします!」
「ここはお風呂場だもの、溜まってた汚れは、しっかり落とさなくちゃ」
おおよその事情を察したのか、エルシャは何かを思いついたように室内に戻り、すぐに戻ってきた。手に二本のデッキブラシを持っており、戸惑う面々の前で、エルシャはデッキブラシをアンジュとサリア目掛けて放り投げた。
「はーい♪」
突然降ってきたデッキブラシを何の疑問も抱かずに二人はキャッチし、それを構えると今度はデッキブラシを使用しての激突に変わり、よりヒートアップしてしまった。
「あとは二人でゆっくりとさせてあげましょ」
エルシャがモモカの腕を取って引っ張っていく。その横で後ろ髪引かれるティアをヴィヴィアンが引っ張っていく。こちらは単に放っておいた方が面白いと思っているだけかもしれない。
「あ!アンジュリーゼ様!」
「このド貧乳が!」
「黙れ!筋肉豚!」
罵倒を浴びせながらエキサイトしていく二人を無視するのであった。その後、ぎを聞きつけたエマの雷が落ちるまで続けられ、お互いに殴り合いや叩き合いでズタボロになっていたアンジュとサリアは司令部に連行され、エマから延々と説教を受けられるのであった。だが、そのせいでティアがサリアに恐怖心を持ってしまい、顔を見ただけでグレイスの後ろに隠れてしまうのであった。だが、問題はさらに増えるのであった。