クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン 作:オービタル
各国の中の国『ガリア帝国』。元首はミスルギ皇国と同じ皇帝であり、支配権度はミスルギ皇国よりも高く、ノーマをその場で射殺されるか、連行されるか、奴隷にされるかの三つの選択権に分けられていた。その帝国で大事件が起きた。逃走中のノーマを追いかけていた憲兵二名が行方不明となり、翌日…行方不明となった憲兵二名が川原で無惨な姿で発見された。他の警官と刑事は現場の状況目のあたりにし、あまりにも無惨な死体に刑事たちは吐き気をしており、中にはトラウマになりそうな者もいた。捜査もするが、何も根拠も跡もなく、人々からはこの虐殺事件を『姿なき殺人鬼事件』と呼ばれるようになった。
さらに、ローゼンブルム王国にも大事件が起こった。湖を航行していた遊覧船に乗っていた乗客乗員100名が突然船と共に沈み、この事件で一人の生存者を保護し、生存者の証言からは「湖の悪魔」との事であった。王国はその湖を調査するが、根拠もなかった。しかし、表向きはそう発表されているが、裏ではあの事件で、捜査していた人が、蛸のような巨大生物が泳いでいたとの事であった。
この二つの事件に各国の元首達は頭を悩まされていると、ヴェルダ王朝で新たな事件が起こった。ヴェルダ王朝女子学院生達、教師を含めた全員が、海岸で骨となって見つかったの事。その残骸の中に奇妙な写真が撮られていた。
それは全身が葉っぱや苔、腕が葉がついた弦、脚は大きな華と一体化しており、弦で人を捕まえていた。
もう一体は、体が鋼鉄で覆われており、上半身ドラゴン、下半身が馬、そして両腕に2本の大剣を持って人を切り裂いていた。最後は、甲殻で覆われた蛸が、人を海の中に引きずり込んでいた。このような恐ろしい生物と今までの事件が繋がり、三体の未確認生物を『Unidentified Mysterious Creature』通称"UMC"と呼称とした。その未確認生物と呼ばれる化物が起こした事件は、世界各国にも提示されるようになり、さらに他の生物を多く見られるようになったと……。
「9年前……その事件は今も続いており、ミスルギ皇国やエンデラント連合にも見られるようになった……」
ミスルギ皇国の森林でタスクは、昔の新聞を……読み上げる。
「人を喰らいし生物"UMC"……この近くの森の中に彼女……"深緑のナナリー"がいる筈…」
タスクはそう言い、森の奥を探索する。奥に入ると、明るかった筈が、薄暗く気味が悪くなり、霧が立ち込む。
「何だか、血の気が引くなぁ……」
タスクは用心しながら進んでいくと、彼の頭上の木の上に何かが通り過ぎる。
「?……」
タスクはそれに気づき、ホルスターからピストルを抜く。辺りを警戒している時、彼の頭上から弦が伸びる。
「っ!!」
タスクはそれに気づき、上を見る。それは体中が樹木や覆われており、巨大な脚が地面に踏み込むと、地面から草花が一気に咲く。全長4メートルもあるその姿は正に"化物"と言ってもいい。タスクはピストルを構えながら、怪物に問う。
「エグナントさん!」
「?」
怪物…エグナントはその名に反応し、立ち上がる。
「俺です!……タスクです!」
タスクは自分の名を言い、はタスクを見る。
「……タ…ス…ク…」
するとに異変が起きる。急に苦しみだし、体が縮んでいく。そして数分も経たないうちに、症状は収まり、白い長髪、獣の様な赤い目、緑の衣を着た老人になっていた。
「久しぶりだね、エグナントさん」
「こちらもじゃよ、タスク……」
「…変わりませんね、その姿は♪」
「もしかして、儂の肩を揉みに来たのか?」
「それもあります…」
「ホッホッホッ♪」
《ハデ・エグナント》こと、『大樹のエグナント』。別名では『ハデ・キュクロプス』と呼ばれている。死んだタスクの両親の代わりに彼を育て、狂った科学者であるジャスミンの実姉であるアイカに引き取られ、四天王やエンブリヲ、Dr.ディメントの動きを探っているとの事。
「そう言えば、『湧水のダスト』さん、『淡水のガリィ』さん、『深緑のナナリー』さん、『岩壁のトーマ』さん、『紅蓮のアツマ』さんは?」
「あいつ等は……四天王の二人である者と戦っておる」
「え!?」
「心配するな、タスク……彼等を怒らせたら、大変と言うのは分かっておるじゃろ?」
「まぁ、確かにそうかもしれませんが……本当に大丈夫なんですか?」
「なぁに、奴らには儂等からの痛いプレゼントじゃ、今頃、存分に味わっているじゃろ♪」
「はあ……?」
「それで?……儂に用があって来たのじゃろ?」
エグナントは鋭い眼差しで、タスクを見る。
「はい、…彼……RBL-1272と出会いました。」
「……RBL-1272か、懐かしいのぉ」
「他にも、ラルスって言うリベリオンに組み込まれたコンピュータも……」
「ホッホッホッ♪まさか奴が再起動するとは…そろそろ近いか…」
「リベルタスですか?」
「そうじゃ、タスク……ヴィルキスだと互角になるが、RBL-1272とリベリオン、ラルス、そして儂等が揃えばエンブリヲなど恐れる事などない」
「けど、RBL-1272は……ううん、グレイスは…自分の記憶がないって……」
「何!?……そうか………ところでタスクよ」
「はい?」
「ヴィルキスの乗り手は現れたのかい?」
「はい…名前は、アンジュです。」
「アンジュ…アンジュ……あぁ、アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギか……この皇国の元第一皇女さんだっけ?ジュライ・飛鳥・ミスルギとソフィア・斑鳩・ミスルギの?」
「はい」
「そうか……あの二人も、エンブリヲのやろうとしている事に気づいたな……それで、ジュライはどうしているのだ?」
「……絞首刑されました。」
「何と!?惜しい男を亡くした……それで?」
「現在ミスルギ皇国は、神聖ミスルギ皇国へと変わり、絞首刑にしたジュリオが、皇帝に即位しました。」
「あの馬鹿皇太子か……親父さんとお袋さんのやろうとした事に、恥を知るがいい」
「ですね……」
「それに……その馬鹿皇帝が何やら、予たらぬ事を始めている…」
「え?」
「その皇女さんの侍女を使いとして、アルゼナルへと送ったとの情報を、ソフィアの薔薇やそこらの木、草花が教えてくれた……"あの皇女さんを、根絶やしにする為にと"…」
「何だって!?」
「それに……他にも何か……何だと!?」
動揺するエグナントにタスクは声を掛ける。
「エグナントさん?」
「まさか……彼女が……」
「彼女って……まさか!?」
「そのまさかだ……彼女はアルゼナルにいる…」
「え!?」
「しかも、奴らは何か途轍もない物も開発したらしい……」
「どうすれば!?」
タスクが問うと、エグナントは巨大化し、大樹の巨獣へと変身した。
「何れは、わかる……」
エグナントはそう告げ、霧の中へと消えていった。タスクは急いで森から出て、機体をミスルギ皇国の皇都へ進路を変えるのであった。
タスクを育ててくれたハデ・エグナント……"ハデ"はティグリニャ語(エリトリア、エチオピアの公用語のひとつ)で数字の1を意味しています。他の10人もと言うより、グレイスやティア、そしてもう一人にも名付けられております。