クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第十九話:救出作戦・前編

 

《気象条件晴れ、視界クリア――すべて問題なし》

 

フライトデッキにパメラの観測データが響く。デッキには第一中隊のパラメイルが待機しており、発進のタイミングを待っている。

 

とはいえ、いつものように緊迫したものではなく、大半がどこか浮ついている。今日は『フェスタ』であり、これから来るローゼンブルム王家のVIPをエスコートするという任務を終えれば、後はお祭りである。

 

早く退屈な任務を終わらせたいと思っているなか、アンジュは一人浮かない面持ちでずっと俯いている。その様子を隣で控えるグレイスが怪訝そうに見ている。

 

それは、先日……アンジュの自室でモモカに着替えを手伝ってもらっていた時の事であった。

手伝いを終えたモモカが不意に何かに気づいたように声を上げる。

 

「え? これって……」

 

「どうしたの、モモカ?」

 

突然のことに戸惑うアンジュの前で、モモカは空中にウィンドウを浮かばせる。

 

「マナの通信です。でもこれって――これは、皇室の極秘回線です!」

 

ウィンドウに繋がったラインに驚くモモカだが、アンジュの驚きはそれ以上だった。息を呑み、思わずウィンドウを覗き込む。モモカはウィンドウを大きく表示させ、回線を繋ぐ。

 

《モモカ、モモカ聞こえる!?》

 

「シ、シルヴィア様?」

 

ノイズ混じりに聞こえてきた声に、アンジュは眼を見開く。

 

「シ、シルヴィア……」

 

久しく聞いていなかった大切な妹の声――震える声で呼びながら、回線に近づくと、向こうから切羽詰まった声が響く。

 

《アンジュリーゼお姉様とは逢えた? そこにお姉様はいるの!?》

 

自分の名を呼ばれ、アンジュはビクッと身を震わせるも、声が出ない。だが、その間にも回線から聞こえるシルヴィアの声が上擦ってくる。

 

《あ、離して! 助けてお姉さま、アンジュリーゼお姉さまぁぁぁぁ―――》

 

「シ――」

 

ウィンドウに手を伸ばそうとするアンジュの前で、回線がシャットアウトされ、掻き消える。伸ばされた手は虚空を彷徨い、モモカは事態に慄きながら口を押さえ、アンジュは妹の悲鳴に呆然と佇んでいた。

 

 

整備班の喧騒も、周囲の誰も視界に入らない。アンジュの心持ちは今朝のシルヴィアからの通信しか頭になかった。滅びたと聞かされた故郷で、今も生きている………それは確かに思いがけない僥倖だったが、助けを求める声がそれを打ち砕く。

 

自分のせいで、妹が窮地に立たされている―――それがアンジュの心を掻き乱し、同時にどうすることもできない己の不甲斐無さに苛立つ。

 

「アレスティングギア、接続完了! 全機、発進準備完了!」

 

その間にも作業は進み、全機の発進準備を終え、アンジュを含めた初発の機体が発進シーケンスへと移行する。

 

《カタパルトエンゲージ――リフトアップ!》

 

発進パネルが表示され、進路がクリアになる。

 

「サリア隊、発進します!」

 

サリアの号令に従い、離脱した機体が加速し、カタパルトを滑って離脱する。空中へと舞い上がるサリア、ヴィヴィアン、グレイスだったが、グレイスはアンジュが発進していないことに眉を顰める。

 

それはサリアやヴィヴィアンも同じなのか、戸惑いを浮かべている。

 

《アンジュ機、発進どうぞ! アンジュ機?》

 

《さっさと出やがれ! 後ろがつっかえてんだぞ、この便秘女!》

 

通信から戸惑うヒカルの声とロザリーの罵倒が飛ぶも、アンジュはまったく反応していない。

 

(アンジュさん……?)

 

いったいどうしたのか――困惑するなか、サリアが苛立ち混じりに叫ぶ。

 

「アンジュ! 何やってるの!? 早く上がりなさい!」

 

そう叫んだ瞬間、アルゼナルから突然勢いよく何かが射出された。デッキから落ちるベースと無理矢理加速させた機体にヴィヴィアンは歓声を上げる。

 

「おお、すっげー!」

 

まったく反応を返さないことに司令室で地団駄を踏むエマが業を煮やし、メイに緊急射出させたのだ。突然のことに反応の遅れたアンジュはすぐにトップスピードにのって打ち出され、悲鳴を上げる。

 

やがて、なんとか制御を取り戻し、空中へと上がるアンジュは肩で息をしながら、怒鳴る。

 

「な、何するのよ、いきなり!」

 

死ぬかと思ったと心臓がバクバクしているが、サリアは呆れたように悪態を返す。

 

「ボサッとしてるからよ」

 

そう返され、グッと言葉に詰まる。不意に横につくグレイスは視線を向ける。

 

「……(何かあったったんだろう?…。)」

 

物言いたげな視線にそう問い返すも、アンジュは一瞬逡巡するも、やがて顔を逸らす。その態度に小さく嘆息し、それ以上の追求はしなかった。

 

残りのメンバーが続々と上がり、編隊を組みながら第一中隊は飛び、やがて前方から複数の輸送機の船団が雲の切れ目から姿を見せる。

 

「慰問船団を確認――これより、エスコートに入ります」

 

《くれぐれも、粗相のないように!》

 

苛立ち混じりに釘を刺すエマに頷き、船団とのランデブーへと向かう。

 

「おおっ! キタキター! フェスタだー!」

 

はしゃぐヴィヴィアンにアンジュが首を傾げる。

 

「フェスタ?」

 

「アンジュちゃん知らなかったんだよね。フェスタってのは……」

 

横にいたエルシャが口を挟む。どこかぎこちない口調だが、当のアンジュは気づかず、説明を聞き流している。

 

「無駄口はそこまで! 各機、輪形陣!」

 

『イエス・マム!』

 

サリアの一喝に一同は気を引き締め、第一中隊はサリアを先頭に船団を囲うように布陣していく

 

船団の中央に位置する輸送機には、王家専用の紋章が刻まれており、フェスタの当日にはアルゼナルを管轄するローゼンブルム王家の人間が慰問に訪れるのが慣習だ。

 

輸送機の客室にて座る少女がいた。穏やかな面持ちと落ち着いた雰囲気で座る少女は、ローゼンブルム王家の皇女、ミスティ・ローゼンブルムだった。

 

彼女は今回の慰問団の責任者を務めていた。とはいえ、まだまだ彼女のような若輩の身に任せられるような役目ではないのだが、彼女は自身のたっての希望でこの役目に自ら名乗り出ていた。

 

どこか緊張した面持ちで窓から外を眺めていた彼女の視界に、空中を飛ぶパラメイルが映り、小さく感嘆の声を漏らす。

 

「アレで戦うのですか?…ドラゴンと」

 

「左様です、ミスティ様」

 

脇に控える秘書の女性がよどみなく応える。事前にミスティはアルゼナルの背景についても説明を受けていた。次元を超えて侵攻する『ドラゴン』の存在と、それと戦う役割を負う『ノーマ』のことを……やがて、彼女の前で編隊を組んでいたパラメイルが散開し、輸送機を中心に囲うように展開していく。

 

輸送機がアルゼナルへの降下シークエンスに入ったのだ。

 

揺れる機体のなか、ミスティは不安な面持ちでアルゼナルに降り立つのだった。

 

だが、慰問船団の背後……光学迷彩で隠している輸送機がいた。輸送機の中では、青いアーマースーツを着たTTS-254と他に、クラゲとチョウチンアンコウをモチーフとした二体のロボット、そしてサイレンサーバレルを装備したアームキャノンを持ったレギオロイドが乗っていた。

 

「良い?私達の目的は、アンジュリーゼの捕獲及び、魚女を捕まえる事よ……あの皇帝さんの命令だから、失敗は許されないわ…」

 

『スラーバ!!!!』

 

ロボット達は敬礼し、待機状態へとなる。

 

「待っていなさい魚女……皇女さん共々国民の前で見せしめとしてやるからね♪それかまた私の玩具にしてやるから……フフフ♪」

 

TTS-254は座りながらそうぼやき、持っていたスピアを持って、アルゼナルへ潜入するのであった。

 

 

船団が到着し、積まれていた物資が届くと、アルゼナルは一気にお祭りムードに突入した。アルゼナルの裏手に設けられた小さなビーチには、水着姿に着替えたノーマ達が思い思いにはしゃいでいた。

 

岸壁に取り付けられた看板には、『マーメイド・フェスタ』と印刷されており、その下では様々な出店があり、普段の食堂ではあまり味わえない香りが漂っている。他にも小さなテントに設けられた映画館や簡易遊園地、さらにはマッサージ小屋など様々な娯楽施設がある。

 

屋台での食べ物に舌鼓を打つ者、マッサージ小屋で癒される者、海で泳ぐ者など、活気に満ちている。

 

「うわぁぁ、フェスタだぁ」

 

「ほらココ、せっかくだし泳ぐわよ!」

 

「あ、待ってよミランダ!」

 

可愛らしいワンピースの水着を着たココとミランダが興奮気味に海へと走っていく姿をアンジュはどこか唖然と眺めていた。

 

「これが…フェスタ?」

 

どこか楽しそうに眺めるモモカの横で、アンジュは改めて周囲を見渡し、ポツリと呟く。

 

「一年に一度だけ、人間が私達ノーマに休むことを許してくれた日よ。明日までは一切の訓練が免除、私達ノーマにとっては一日だけのお祭り……過酷な明日を生きるための、希望の一日なの」

 

サリアが感慨深く呟き、一緒にいたナオミが不意に過ぎった光景に顔を緩ませる。ペロリーナが幼年部の子供に風船を配っており、受け取った小さな少女達が嬉しそうにしている。

 

『ドラゴンと戦う』ためだけに存在を赦されるノーマ――そんな地獄のような日々の中、『明日』を生きるための『希望』を抱く日―――その説明にアンジュはどこか釈然としない面持ちだった。

 

「奴隷のガス抜きってことね」

 

アメとムチ――身も蓋もない言い方をすればその通りなのだが、辛辣な評価にサリアは小さくムッとする。まだアルゼナルに来て日が浅いアンジュではそう認識しても仕方ないのだが、誰かに聞かれたら余計なトラブルを誘発しかねない言動だ。

 

幸いにして周囲の誰もがフェスタに夢中で聞き留めてもいなかったようだが――アンジュは小さくため息をつくと、もうひとつの疑問をぶつける。

 

「でも…これは何……?」

 

アンジュが着ているのはいつもの制服やライダースーツではなく、赤のビキニ姿だった。もっとも、周囲にいるノーマ全員が水着姿だ。サリアもビキニを着けており、

 

お祭りは分かるが、何故水着に着替えなければならないのか―――そう視線を問い掛けるアンジュにサリアが応える。

 

「伝統よ、制服やライダースーツじゃ息が詰まるって」

 

「……恥ずかしくないの?」

 

普段ライダースーツを着ている身としては今更だが、どこか呆れた眼で見やるアンジュにサリアは思わず顔を赤くして胸元を隠す。確かに、水着になれば嫌が応でも自らの体型を晒すことになり、まったく変わらない胸部と少し太った腰回りが気になっていた。

 

「水着でいることが、よ」

 

そう指摘され、自爆したサリアは大きく肩透かしで項垂れる。グレイスはサリアを慰めようと、肩をポンポンと叩く。

 

「気にしなくても良いですよ……人は、体じゃないんですから♪」

 

「それ……慰めているの……」

 

「え?」

 

バカなのか、アホなのか……グレイスは首を傾げる。

 

「仲がいいですねえ〜♪」

 

「うわっ!?」

 

突然かけられたセシルさんの声に、思わず後ずさってしまった。

セシルはエメラルドグリーンのビキニに、腰には同じ色のパレオを巻いていた。それ自体は普通の水着でなにも際どいところなどない。

ただ…その、エルシャをも超えるボリュームがグレイスの視線を泳がせる。前から大きいなとは思ってましたが、あれは〈巨〉を超えて〈爆〉じゃないでしょうかねぇ、さすが特装小隊の一人……。

 

「あら、ココちゃん〜、ミランダちゃん〜、私も混ぜて〜♪」

 

目の前をセシルさんが駆けていく。…たゆんたゆん。…たゆんたゆん。大事な事なので二回言いました。サリアの視線が、セシルのあれに向けられ、胸に触れる。

 

「むむむむ〜」

 

 

ビーチチェアでくつろぐグレイスは、胸と腰にフリルのついた、可愛い白いビキニがよく似合っているティアと一緒に、トロピカルドリンクを飲んでいた。するとグレイスがあることに気が付く。

 

「あれ?……アンジュさんがいない」

 

「そう言えば……私、探してきますね♪」

 

ティアはそう言い、アンジュを探すのであった。グレイスはどこも探してもいないアンジュに少々手間取っていた。

 

「おーい!グレイスー!」

 

っとグレイスが振り向くと、イカ焼きと焼きそばを食べながらやって来るヴィヴィアンが来た。

 

「グレイスも楽しんでる?」

 

「僕はちょっと……彼女を探している」

 

「えっ?? 何の?」

 

「ちょっとした…だよ、それじゃ」

 

そう言ってグレイスは去って行く。

ヴィヴィアンはその事に頭を傾げるも何のことかさっぱりわからなかった。

 

そしてアンジュはある着ぐるみ【ペロリーナ】を着ていて、どこかを歩いていた。

 

「(あっつ~い…、こんな暑い着ぐるみよく着れるわねエルシャ)」

 

そう、この着ぐるみはさっきまでエルシャが幼年部の子供たちに風船を配っていて、休憩としていた所アンジュがこれを見つけて着ている。

何故着ているかは不明だが、彼女はただ単に着込んでいるとしか見ても良いかもしれない。

 

そしてアンジュは格納庫で休息を取る為近く荷台に寝ころび、着ぐるみの頭を取って新鮮な空気を吸う。

 

「はぁ…、疲れた…」

 

「アンジュリーゼ様!」

 

アンジュは呼ばれた方を見ると、モモカが何やら食べ物を持ってやって来て、

それにアンジュは起き上がって降りる。

 

「モモカ、どうしたの?」

 

「とても美味しい物を見つけましたので、アンジュリーゼ様に食べて貰うと!」

 

モモカはアンジュに売店で見つけたりんご飴を渡し、それを受け取るアンジュ。

 

「へぇ…美味しそうじゃない」

 

アンジュがりんご飴を食べようとする。

 

っが。

 

ガシッ!!

 

「「!!?」」

 

突如何者かが後ろから抑えられ、二人は口元も塞がれてしまい。アンジュはもがきながら抵抗するも相手の方が力強かった為出来ず、モモカはマナを使おうとするも相手にマナを封じる道具を付けられてしまった。

 

「っ~~!!」

 

『…確認。第一ターゲットである皇女アンジュリーゼを確保、そしてその侍女もおります。』

 

光学迷彩がオフになり、姿を現す。アンジュの顔の近くに、アームキャノンが向けられていた。

 

「っ〜〜!?(何!?人間?…だけど、体が機械!?)」

 

「あ〜ら?かなり動揺してるわね……」

 

「!?」

 

するとアンジュの目の前から、TTS-254がスピアを喉元に近付きながら現れる。

 

「あなたには恨みがないけど、あいつの為に来てもらうよ……勿論、あの娘も。フフフフフ♪」

 

TTS-254が微笑んでいると、格納庫からアンジュを探しに、ティアが姿を見せる。

 

「アンジュさん!?」

 

「っ〜〜〜!!」

 

アンジュが藻掻いていると、TTS-254がティアの声に反応し、振り向く。

 

「っ!!」

 

ティアの表情が一変する。

 

「久しぶりだね…コードネーム"MMD-008"!!」

 

TTS-254が鋭い眼差しでティアを睨み、スピアを構える。ティアは戦闘態勢に入るが、TTS-254は高速でティアに接近し、ティアの腹部目掛けて膝蹴りをする。

 

「カハッ!!!」

 

腹部を抑えるティアは倒れ、TTS-254はティアの髪を掴み上げる。

 

「家に帰ったら思う存分に遊んでやるから……「何やってる!?」…?」

 

皆が振り向くと、ちょうどアンジュを探していたグレイスが今の様子を見てやって来た。

 

グレイスはTTS-254達に向かって怒鳴りつけ。

それにTTS-254が舌打ちする。

 

「チッ、厄介な奴に見つかった……(よりによって実の弟とは……仕方ない!)あんた達!殺っちゃって!」

 

四体のロボットがグレイスに向かっていき、TTS-254とクラゲとチョウチンアンコウのロボットはアンジュとモモカ、ティアを連れ去ろうとする。

 

「っ〜〜!」

 

「うぜぇんだよ!!」

 

TTS-254はアンジュの腹を殴り、気絶させる。

 

「アンジュさん!!」

 

が追いかけよとするもロボットの一体がアームキャノンからソードを展開し、グレイスに向けてソードを振る。

それをグレイスは相手の手首を片手で持って受け止め、右拳を相手に振りかぶり、相手の顔面に直撃させて距離を取る。

 

「かったい!」

 

相手はロボットで、生身の拳では、太刀打ちできない。

っがグレイスの後ろに回り込んだロボットが、グレイスの頭にソードを突き刺そうとする。っとその時にそのロボットが粉々に吹き飛ばされ、それにグレイスは振り向くと。

後から追いかけて来たメタリカがいて、そのロボットの頭部をサイレンサー装備のスナイパーライフルで破壊していた。

 

「援護は任せて!」

 

メタリカがスナイパーライフルのスコープを覗き、ロボットのモノアイを破壊していき、グレイスが関節技でロボットの関節部を壊していく。圧倒的に倒されたロボットをその場に放っておくグレイス達はすぐさまアンジュとモモカを救出する為に向かう。

そしてアンジュ達を連れて行くTTS-254達は止めてある輸送機に乗り込み、すぐさま発進させる。

 

っとそこに。

 

「アンジュ!!モモカさん!!ティア!」

 

グレイス達が追いかけるも、すぐに離陸されてしまい、そして光学迷彩を起動されてしまい姿が見えなくなって飛んで行ってしまった。

アンジュとモモカを連れ去られ、取り逃がした事にグレイスは悔しがる。

 

「くそっ!!アンジュさん!!モモカさん!ティア!」

 

「迂闊だったわ…まさかフェスタの日を狙って来るなんて…しかもよりにもよってTTS-254自ら来るなんて…」

 

「え!?メタリカ!アイツを知ってるの!?」

 

「知ってるも何も……私やセシル、他の皆にとっては一番嫌いな人物。そしてあの時のようにティアを玩具のように虐待するつもりだわ……」

 

「何だって!?」

 

グレイスは倒されたロボットを引きずり、収納されているリベリオンの近くまで運んだ。

 

「ラルス!このロボットにハッキングして、目的を探ってくれ!!」

 

『分かりました。』

 

リベリオンが変形し、指先からプラグが出され、ロボットの頭部に差し込む。

 

『ハッキング及び、解析、情報収集を確認……。目的は元ミスルギ皇国第一皇女アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギとコードネーム"MMD-008"の拉致。目的地ミスルギ皇国。』

 

「何だって!!?」

 

「グレイス!」

 

っとグレイスは振り返ると、水着のまま着たジルたちがやって来る。

 

「どうしたんだ!?」

 

「司令!大変な事になった! アンジュさんとティアが…ミスルギに連れ去られた!」

 

その言葉に驚きを隠せないジャスミン達と表情を歪めるアカリとジルであった。

 

 

すぐにサリアとメイを呼んだジルはすぐさま執務室に集めて、アンジュの事に付いて話し合う。

連れ去られた事を聞かされたサリアとメイ、サリアはグレイスに怒鳴る。

 

「グレイス! あなた何やっていたの!!」

 

「足止めを食らったんです、もう少し早く見つけていれば…」

 

「司令…アンジュとモモカ、ティアを拐ったのはTTS-254です」

 

「TTS-254!…『テティス』か!?」

 

「テティス?」

 

「コードネームだったから、呼びやすいよう名前を付けておいたのだ…。テティスはあぁ見えて陽気な女だが、中身は残虐で人を見下す心を持っている。そしてテティスの兄であるヘリオスはプライドが高く、他の弟妹よりも強い……用心しろ。」

 

「了解!」

 

「それと、スケットとしてセシルとメタリカも行け……『業火のセシル』」

 

「はい♪」

 

「?」

 

「『隆岩のメタリカ』」

 

「かしこまりました。」

 

「?」

 

「そして……『曙光のグレイス』」

 

「え!?…はい!」

 

「……何としてでも、アンジュと『宵闇のティア』の救出せよ。」

 

 

格納庫では、セシルのハウザー、メタリカのレイザー、グレイスのリベリオンが収納された輸送機が甲板に着陸していた。

 

その途中でヴィヴィアンとエルシャと会う。

 

「行くのね…グレイス君」

 

「ああ、アンジュさんを助けにな」

 

「そう…、気を付けてね?」

 

エルシャの言葉にグレイスは頷いて、再び格納庫に向かう。

しかしその会話を密かに聞いていた人がいたのをエルシャとヴィヴィアンは知らなかった。

 

「二人共座った?それじゃあ、ミスルギ皇国へ急ぐよ」

 

メタリカに従い座るグレイスとセシル。メタリカはレバーを操作して輸送機をミスルギに向けて飛び立つのだった。

 

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