クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第二十一話:救出作戦・後編

 

一方、アンジュは気絶したタスクを乗っていた飛行艇に運び込み、タスクの飛行艇を見て驚く。

 

「パラメイルと同じ……モモカ!」

 

「はい!こちらを!」

 

「アンジュ!これもだ!!」

 

モモカがマナの光で、気絶したタスクの懐から、手榴弾と投げナイフを取り出し、グレイスも背負っていた猟銃をアンジュに渡す。アンジュは近づいてくるレギオロイドと近衛兵に、手榴弾を投げる。手榴弾は爆発を起こし、追撃されないよう装甲車も破壊する。

 

「モモカ!しっかりつかまって!」

 

「はい!」

 

タスクの飛行艇に乗り込んだアンジュとモモカ、そして気絶したタスク。

 

「おのれアンジュリーゼ…!」

 

「感謝してるわお兄様、私の正体を暴いてくれて。ありがとうシルヴィア、薄汚い人間の本性を見せてくれて」

 

アンジュはシルヴィアに向かってじょうだんでもない笑みを見せる。その事にシルヴィアは思わず引いて、アンジュはそのまま叫ぶ。

 

「さようなら、腐った家畜共よ!!」

 

アンジュは飛行艇を動かし、ジュリオは怒りが爆発する。

 

「く!追え!追ええええ!!!」

 

その時、テティスと戦っているグレイスが、ホルスターからマグナムを取り出した。

 

「おい!!」

 

「っ!?」

 

バァァンッ!!

 

ジュリオが、グレイスの返事に反応し、振り向いた直後、一発の銃声が鳴り響き、ジュリオの右頬に一発の銃弾が飛び刺さり、右頬に大きな穴が開き、肉片と大量に血が吹き出る。

 

「ぎゃああああああああああああああ!!!!」

 

ジュリオは右頬を抑えながらもがきシルヴィアが悲鳴を上げる。グレイスはマグナムを直し、戦闘を続ける。テティスがスピアの突き技で、グレイスを追い詰める。

 

「この裏切り者が!!あんたやあの魚女が余計な事をしてくれたせいで!!家のパパが不機嫌になったじゃないの!!」

 

「そんなの自業自得だな!!姉さん!!」

 

「っ!!アタシの事を……姉さんって言うな!!」

 

テティスは怒鳴りながら、スピアを振り回す。グレイスはバースト式パルスライフルを連射する。

 

「効かないよ!!そんなの!!」

 

テティスがスピアを振り回しながら、接近する。っとグレイスが跳び上がり、パルスライフルを乱射する。テティスはさらに角度を調整しながらスピアで防御すると、弾き返したパルスライフルの弾丸が、吊り下げられているティアの縄を切った。

 

「しまった!!」

 

跳び上がったグレイスが、落ちているティアを抱き上げ、刀を構える。

 

「貴様や他の兄弟、そして"アイツ"とディメントは許さない……10年前のあの日!……"あの娘達"の夢を……未来を!!」

 

「それがどうしたぁぁ!!」

 

テティスがスピアを突き付けると、グレイスが手を伸ばし、スピアがグレイスの手を突き刺す。

 

「!!?」

 

すると突き刺された手が再生し、スピアが抜けなくなる。

 

「まさか……魚女の血肉を!?…チッ!!離せ!!この化物が!!」

 

「離すか!!」

 

両者は必死に抵抗すると、グレイスが呟く。

 

「一発殴らせろ……クソ姉貴!」

 

「何っ!?」

 

グレイスは腕ごとスピアやテティスを引っ張り上げた。

 

「ぐうっ!!」

 

引力に引かれたテティスがグレイスの所まで引っ張られた直後、グレイスの左ストレートがテティスの顔面に炸裂した。

 

「これは……ティアとあの娘達の痛みだ!!」

 

「ゴブゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!!」

 

テティスは悲鳴を上げ、吹き飛ばされた。グレイスは刺さっているスピアを圧し折り、口でスピアを抜き取る。

 

「グッ!!」

 

刺さった傷が、ティアの力によって再生し終えると、空に向かって叫ぶ。

 

「ラルス!!」

 

グレイスの声に惹かれるかのように、空から飛翔携帯のリベリオンが飛んできて、グレイスはティアを抱えたままリベリオンへ跳び上がり、去っていく。

 

アンジュとモモカとを無事救出に成功したタスク達は素早くミスルギ皇国から脱出し、アルゼナルへと帰投していた。

輸送機の中でアンジュとモモカはエグナントに毛布を渡されて身体を包み、モモカは毛布に包まれながら静かに泣いていた。

 

「申し訳…申し訳ありません。アンジュリーゼ様…」

 

モモカはジュリオに自分が利用されていた事に気付かず、主であるアンジュを危険な目に合わさせて仕舞った事に罪悪感を感じており、必死に頭を下げながら謝っていた。

しかしそれをアンジュは頭を横に振る。

 

「何言ってるのモモカ、お蔭でスッキリしたんだから」

 

「え?」

 

アンジュの意外な言葉にモモカは顔を上げる。

 

「私には、家族も仲間の故郷も…何にもないって分かったんだから」

 

「アンジュリーゼ様…」

 

「アンジュちゃん、モモカちゃん、これを♪」

 

っとセシルはアンジュとモモカにコーヒーを渡し、それを二人は受け取る。

 

「ありがとう、セシル…」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「それよりも…」

 

アンジュが、気絶しているタスクの頬に平手打ちをした。

 

「痛い!!」

 

「どう?目が冷めた?」

 

「あ!良かったアンジュ!無事でって!?」

 

「あなた、またやったわね!!」

 

アンジュはタスクの上に乗っかって、頭をぐりぐり攻撃をする。

タスクは怒っているアンジュの行動に分からずにいた。

 

「何~!? 何が~…?!」

 

「どうして股間に顔を埋める必要がある訳~?意地なの癖なの? それとも病気なの~!!?」

 

アンジュが怒っている理由は股間の件だった事に、エグナントは呆れる。

 

「はぁ〜、全く…」

 

「ご!ゴメン!!いででででででででででででででででで!! ゴメン!!!」

 

その事に聞いていたジュン達は思わず呆れる様子になる、そして見ていたモモカはアンジュに問いかける。

 

「あの…、アンジュリーゼ様。そちらの方とは一体どう言う関係で?」

 

「えっ?えっと…」

 

「た、ただらなぬ関係…」

 

っとタスクがそう言って、アンジュはその事に思わず「は!?はぁ!?」と声を上げる

その事を聞いたモモカは嬉しい表情をする。

 

「そうですか! お二人はその様な関係でしたか!男勝りのアンジュリーゼ様にもようやく春が…筆頭侍女としてこんなに嬉しい事はありません」

 

「ってそこまで行ってないわよ!!モモカ! 何を考えてるのよ!!」

 

アンジュはモモカに言いながらタスクの頭を思いっきり叩き、それにタスクは頭をすする。

 

「いててて…、酷いよアンジュ…」

 

「どうしてあそこにいたの?」

 

アンジュが問うと、タスクは頭をすすりながら返答する。

 

「連絡が来たんだ、ジルから…」

 

「ジル…司令が?」

 

「君を死なせるなってね……」

 

タスクは説明し、ポケットからあるものを取り出し、アンジュに渡した。

 

「それとこれ…大事なものだろ?」

 

それは、ジュリオに奪われたあの皇族の指輪だった。

 

「ありがとう…あなた、一体何者なの?それにあなた達……突然あんな化物から人間になって……」

 

アンジュはタスクやエグナント達に問う。

 

「…俺は『ヴィルキスの騎士』」

 

「騎士?」

 

アンジュがヴィルキスの騎士と言うタスクの言葉に頭を傾げる。

 

「そう、アンジュを守る騎士さ……そして彼らは…。」

 

「ファミリア……。」

 

「『ファミリア』…?」

 

エグナントが立ち上がり、アンジュに説明する。

 

「儂等ファミリアは…人間によって改造された生物兵器。謂わば"改造人間"だ。」

 

「改造人間?」

 

「詳しいことはジルから聞け……。」

 

「…そうするわ」

 

タスクはアンジュにそう言い、アンジュはそれに頷く。

っとその時。

 

ドカァァァァン!

 

輸送機の付近に何かが直撃し、衝撃が輸送機にも響いて機内に居るレオン達は体制を崩しす。

 

「どわっ!?何だ?!」

 

「一体なんだ!?」

 

アンジュとセシル達は突然の事に驚き、エグナントはすぐさまモニターを映す。

 

「あれは!!」

 

モニターにはリベリオンが映っており、ティアを抱えたグレイスが乗っていた。

 

「グレイス!それにティアも!」

 

「様子がおかしい?」

 

するとリベリオンの後方から、緑に発光するエネルギー弾が海面に炸裂する。

 

「何!?」

 

すると、リベリオンの後方に影が現れる。

 

「あれは!?」

 

それは…リベリオンに似ているが、装甲の色が銀と黒、青のマーキングが塗られたリベリオンであった。

 

「あれはテティスの機体…"シュトローム"だ!!」

 

 

グレイスを追っているテティスの機体"シュトローム"はビームライフルで追撃する。騎乗しているテティスは鼻血を出しながら、目に赤筋を浮かばせ、鬼になっていた。

 

「ぶち殺す!!ぶち殺す!殺してやる!!」

 

怒声を上げるテティスは腰部に装備している槍『フリージング・ハルバード』を持つ。

 

「行け!!私の眷属!!」

 

テティスがフリージング・ハルバードを振り上げると、ハルバードから氷のドラゴンが襲い掛かる。ドラゴンは海面に炸裂し、海面を凍らせていく。リベリオンは旋回しながらドラゴンを回避し、輸送機に追い付く。エグナントは輸送機の後部ハッチを急いで開き、リベリオンを収納させる。

 

「グレイス!」

 

グレイスの元に駆け寄るタスク達。グレイスは傷だらけのティアを抱え、リベリオンから降りる。アンジュはグレイスの姿に驚く。

 

「あなた!?その髪!?」

 

「話は後だ、アンジュ……」

 

グレイスの鋭い碧眼がアンジュを睨む。

 

「え!?」

 

「ティアを……姫様を頼む。」

 

「え?…分かった」

 

アンジュはポカンと唖然し、ティアを抱える。グレイスはリベリオンに騎乗し、収納していたパラメイル専用ガトリングガンを持つ。

 

「借りるぞ…」

 

グレイスはそう呟き、テティスを迎え撃つ。ガトリングガンから放たれる弾丸の雨が、シュトロームを追撃する。

 

「この野郎!!ガトリングとかセコい武器を使って!!」

 

テティスもビームライフルで応戦する。

 

「ラルス!残弾数は?」

 

『残弾数240……220……200…』

 

ラルスがガトリングの残弾数を数えていく。テティスもビームライフルのエネルギーが尽きるまで撃ち続ける。そして…。

 

『40……20……0!』

 

ガトリングガンの銃声が収まり、弾切れになる。

 

「クソ……」

 

弾切れになったのを確認したテティスは、残りエネルギー25%のビームライフルを向ける。

 

「終わりだ!裏切り者!!アタシを恥かかせた事を……公開させてやる!!」

 

テティスがビームライフルを構えると、リベリオンがガトリングガンを捨て、パドルデーゲンを展開した。

 

『覚醒プログラム率が55%まで上昇。"アドバンスド・フォルム"及び"アトランティカ・フォルム"へ移行します。』

 

リベリオンの音声と共に、リベリオンの装甲と姿が変わっていく。

 

「何!?」

 

リベリオンの新たな姿は、全体的にシンプルで、白銀の姿に青いラインが引かれ、装甲は小さくなり軽装へとなっており、頭部の螺旋状角が一本になっており、前へ突き出しており、スラスターウィングや肩部、腰部、脚部にバーニアが増えていた。

 

「リベリオン アトランティカ・フォルム!」

 

グレイスがリベリオンのまた新しい姿の名前を呼び、

握り拳を作らず、菩薩のように平手で身構え太極拳を思わせる流麗な仕草が目を引くが、 左手を右胸に、右掌を前にかざす独特なファイティングポーズをする。青いリベリオンを見たテティスは、思わず冷や汗をかく。

 

「(しまった!!アイツを余計に強くさせてしまった!!もしこれがパパに知られたら!!消される!!)こうなったら……意地でも使命を全うする!!」

 

テティスはフリージング・ハルバードを突きつけると、リベリオンはパドルデーゲンからビームブレードを展開した。

 

「スペリオルドライブ起動!」

 

グレイスはリベリオンのスラスターウィングに搭載されているドライブユニットを起動すると、スラスターウィングが展開され、6枚の青いエナジーウィングを放出する。

 

「コケ脅しか!!」

 

テティスがフリージング・ハルバードを振り上げ、氷のドラゴンを放つ。その直後、リベリオンが消えた。

 

「っ!!?」

 

テティスや、モニター画面を見ているタスク達も驚く。

 

「消えた!?」

 

「違う……センサーでも追いつけない程の速さだ…」

 

「「え!?」」

 

「エグナントさん、見えるの!?」

 

「あぁ……アトランティカは、水の如く力。さらに超速は彼にしか追いつけない程の速さだ。」

 

エグナントの説明に唖然すると二人は、モニターを見る。

 

リベリオンはテティスの放った氷のドラゴンを高速で、斬り裂いていく。

 

「何なんだよ!!?アタシが何をしたっていうのおおぉぉぉっ!?」

 

荒れ狂うテティスは泣きながら氷のドラゴンを放つが、リベリオンのビームブレードが氷のドラゴンを次々と斬り裂いていく。そしてシュトロームの目と鼻の先のとこら辺で現れる。

 

「フンッ♪」

 

「っ!!」

 

突然グレイスが、泣き崩れているテティスに向けて、鼻で笑う。

 

「……馬鹿にしてぇぇぇぇっ!!!!!」

 

テティスは怒声を上げながらハルバードを振り回し、突き構え、突進する。槍先から氷の刃を放出する。グレイスもリベリオンのビームブレードを構え、両者は激闘した。

 

「っ!!?」

 

シュトロームのマニュピレーター及び、腕部、脚部がバラバラになると、シュトローム自体が一刀両断された。コックピットやテティスの体が半分になり、テティスは涙を流し、呟く。

 

「エンブリヲ様……。」

 

テティスの最後の言葉を聞いたグレイスはフリージング・ハルバードを持ち、氷のドラゴンを放つ。炸裂していくシュトロームは爆発し、海へ墜落、そして海面に激闘し、大爆発を起こした。

 

モニターで見ていたエグナント達、タスク達はグレイスの戦いぶりを見てかなり感心していた。

 

「はぁ〜…良かった」

 

「凄い……俺達を虐待していた四天王……『氷のテティス』を……瞬殺した。」

 

オボロは今までの戦闘で、蝕まれていたトラウマが、グレイスによって解放されたことに、胸を抑える。そしてグレイスはもとのフォルムへと戻り、シュトロームのフリージング・ハルバードを持って、輸送機に入る。

 

 

先の戦闘でグレイスが、どうも落ち着かなく、孤島でキャンプする事になった。今もまだ目覚めていないティアに、グレイスはティアの頭を撫でる。

 

「辛いか?」

 

振り返るとそこに、エグナントが立っていた。

 

「エグナントさん……」

 

グレイスの横に、エグナントが座り込む。するとエグナントが寝ているティアやグレイスを見る。

 

「(やはり無い……10年前の傷が……)お嬢さんはまだ目覚めないのか?」

 

「えぇ……軽傷で良かったのですが……」

 

グレイスは心配そうにティアを見る。それは数分前の事であった。無人島に上陸し、ティアに包帯を巻こうと近付いた。

 

「来ないで!!」

 

《!!》

 

傷だらけのティアが人魚の姿のまま、グレイス達に牙を向ける。グレイスは落ち着かせようとするも、ティアは反抗する。興奮状態のティアはエグナント達が任せられ、グレイスはアンジュに説明する。

 

「あの娘、一体何なの?」

 

「……人魚だ」

 

「人魚?」

 

「上半身が人…下半身が魚の美しい何かなのです…」

 

「それって伝説や神話に出てくるあの人魚…つまり、人魚姫なのですか?」

 

モモカが何やら興味津々でグレイスに語る。

 

「モモカさん、人魚の事を知っているのですか?」

 

「知っていますとも、私がまだアンジュリーゼ様の侍女になる前、お母さんが人魚姫の絵本を読んでくれましたから♪」

 

「へぇ〜」

 

「驚きました。まさか本当に人魚姫様がこの世にいたなんて〜♪」

 

モモカの目がキラキラして、エグナント達に抑えつけられているティアを見つめる。だが、アンジュはティアのあることに興味を持つ。

 

「あの子…傷つけられたところが再生したけど、マナの光は?」

 

「ない……人魚は傷つけられても、再生するんだ。僕もそうだけど…、」

 

「「「え?」」」

 

三人は首を傾げると、グレイスはアーミーナイフを抜き、指を切る。

 

「グレイス!?」

 

アンジュは驚くと、グレイスの切った指が再生ていく。

 

「何で!?あなたも人魚なの!?」

 

「違う……僕はティアの血を飲んだから、こうやって再生できるです」

 

「血を……飲んだ?」

 

「エルシャさんが言うには、人魚の血肉を食べた者は……不老不死になると、」

 

「え!?それじゃ…あなたは!?」

 

「そう……歳もそのまま、死ねない体になってしまったのです。」

 

「そんな……」

 

アンジュはあまりの事に動揺していると、タスクがグレイスの肩に手を置く。

 

「俺は……あんな差別はしない。グレイスはグレイスだから♪」

 

「タスクさん…」

 

「私もです!グレイスさんやタスクさん達は必死にアンジュリーゼ様やティアさん、私もたすけくれたのですから!」

 

「……私も、アイツ等みたいなクズは…ティアを化物呼ばわりした。それでも助けた……あなたはあなた…グレイスはグレイス…だから…」

 

「モモカさん…アンジュさん……」

 

グレイスは三人の励ましに、嬉し涙を流し、ティアが人魚だと言う事を秘密にしてもらった。

するとグレイスが、あの戦闘時の姿について話す。

 

「あれって……僕ですか?」

 

「……そうなるかもな。」

 

「僕の失われた記憶に出てきた青年……あれが本来の僕…。」

 

「……怖いのか?」

 

「……はい。正直に言いますと、僕って本当は怖い人だったのかと思うと……心が震えて…それで…」

 

グレイスが拳を握りしめると、エグナントが呟く。

 

「10年前……」

 

「え?」

 

「10年前………お主は儂等を助けたことがあるのじゃ」

 

「僕が、エグナントさん達を?」

 

「うむ…あの当時はお主は冷酷でクール、そして……被験体からも優しい存在でもあった……アイツ等と違って…。」

 

「アイツ等っと申しますと……テティスの他に……"ヘリオス"、"アトラス"、"ファントム"…Dr.ディメント……」

 

「うむ、元々儂等は何も知らない…マナの光の恩寵を受けていた普通の人間であったが、Dr.ディメントによって改造され、実験用モルモットの様に扱われていたが、お前が優しく問い掛け、少しは希望を持てた……あの大事件を起こして、君の性格は一変した…。」

 

「一変?……あ、そう言えば、あの娘たちって?」

 

「……それは言えん。知っているが、話せん。」

 

「そんなにですか?」

 

「……最悪、お主は身を滅ぼしてしまう事にもなる。」

 

「………」

 

グレイスはただ、エグナントの悲しそうな表情を見つめるしかなかった。

 

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