クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第二十ニ話:居場所

早朝、ティアは目を覚まし、輸送機の中でグレイスに謝る。

 

「あの……」

 

「……」

 

「その……ごめんなさい、グレイス…。愚民に差別された事で、グレイスに……」

 

「いいんだよ…」

 

「「………」」

 

「……お二人さん、そろそろ着くぞ」

 

操縦しているオボロが報告する。

アルゼナルのデッキで少数だがレオン達の到着を待ってくれている者達が居た。

 

それはジルとサリアとメイを始め、ヴィヴィアン、エルシャ、ココ、ミランダがその場に居て、グレイス達の帰りを待っていた。

待っているとグレイス達を乗せた輸送機がやって来て、輸送機が見えたヴィヴィアンが指を刺す。

 

「あ!帰って来た!!」

 

それにエルシャ達の表情が明るくなり、輸送機がアルゼナルのデッキへと着陸して、ヴィヴィアン達が駆け寄る。

輸送機からまずエグナント達が降りて来て、そこからグレイス達が降りて来る。

 

そしてアンジュの姿が見えた途端にヴィヴィアンが…。

 

「アンジュ~!!」

 

「うわっ!ヴィヴィアン?!」

 

いきなりヴィヴィアンがアンジュに飛びついて抱き付き、エルシャ達もアンジュの元に寄る。

 

「お帰り~アンジュ!」

 

「よく無事だったわねアンジュちゃん、怪我は?」

 

「ええ…、大丈夫よ」

 

アンジュは出迎えてくれたヴィヴィアン達に、アンジュの表情に微笑みが浮かぶ。

グレイス達はそれを見て笑みを浮かべて見ていた。そしてエルシャがグレイス達の方を見る。

 

「グレイス君も皆もご苦労様」

 

「ああ」

 

「あの…、その人は?」

 

っとココがタスクやエグナント達の存在に気付いてグレイス達に問い、それにグレイスが答える。

 

「ああ、彼はタスクさん。アンジュさんの命の恩人だ、アンジュさんが遭難した時に助けたのもタスクさんで、僕にグレイスの名付けてくれた人物。で、こちらがエグナントさん、オボロさん、ミカさん…。」

 

「あ…どうも」

 

タスクは皆に頭を下げると、エグナントとオボロ、ミカが前に出る。それにヴィヴィアンは元気よく答える。

 

「やほ~!! 君等がアンジュを助けてくれたんだ!サンキューサン!」

 

ヴィヴィアンが答えた後にエルシャ達が頭を下げる。

そしてジルたちがやって来て、ジルはグレイス達の方を見る。

 

「ご苦労であった、よくやった」

 

「司令…何故僕達の方にタスクさんの事を連絡させて来なかったんだ?」

 

「フッ、言ってどうする?」

 

グレイスは拳を握りしめるが、それにタスクとアンジュはこそっと止める。

 

「アンジュ、そしてグレイス。しばらくは休んでいろ…、命令があればすぐに駆り出す」

 

そう告げただけでジルは去って行き、サリアもアンジュを一目見てジルの元に向かって行く。

グレイスとアンジュはそれに顔を見合い、その時にタスクが話す。

 

「それじゃアンジュ、俺は行くよ」

 

「行くの?タスク」

 

「ああ、まだやるべき事が残っているから「その事じゃが、タスク」はい?」

 

「ヘリオス…アトラス…ファントムがどうやら、他の五人を叩き潰したとの応えがあった。」

 

「え!?」

 

「心配するな……アイツ等は敗れん。」

 

「分かるんですか?」

 

「分かるとも……彼等はもう、この場所にいると……」

 

すると海の中から、三つの巨影が飛び出した。それは巻貝の貝殻を持つ巨大な蛸、触手と女性の体と思われる部分を持つ巨大ヒトデ、全身が岩と鋼の豪腕を持つ巨大な牛人の怪物。さらに、上空から蛇の尾、葉っぱの様な触手を持つ怪物、そして体中から溶岩を垂れ流しながら、両手に二本の炎の剣を持った怪物が姿を現した。エルシャ達は五体の怪物達を警戒し、ヴィヴィアンは目をキラキラと輝かせていた。するとジルが五体の怪物へ呟く。

 

「久しぶりだな……岩壁のトーマ…湧水のダスト…紅蓮のアツマ…深淵のナナリー…淡水のガリィ……」

 

すると五体の怪物がみるみると小さくなり、人間体へとなる。岩壁のトーマ、別名『キルテ・アイラーヴァタ』と言う男性はジルに呟く。

 

「アンタもな、ジル………タスク」

 

「あ、はい」

 

「このままミスルギに戻るのは大変危険であります、ミスルギにはもう……ヘリオス、アトラス、ファントムが戻っている。しばらく此処に居ろ…。」

 

「え?でも…」

 

「心配するな♪ダストとガリィが代わりにミスルギに潜入して、情報を仕入れていると思うからなぁ……それに…」

 

するとトーマがタスクとアンジュを見る。

 

「タスク……いつから"ガールフレンド"できたのだ?」

 

「「!!?」」

 

「ちょっ!?何を言っているのですか!?トーマさん!!?」

 

「え、違うの……じゃあ、愛人?」

 

「だから〜!!」

 

するとタスクの後ろにいるアンジュが、はんにゃの顔を思い浮かばせる表情になりながら、怒りのオーラを放つ。グレイスは怯えながら、タスクの肩を叩く。

 

「?……っ!!」

 

振り向いた直後、タスクの股間目掛けてアンジュの膝蹴りが炸裂した。

 

「フンッ!!」

 

「金っ!!…た……ま……」

 

タスクは股を抑えながら倒れた。グレイス達は自分達の股をおさえ、アンジュに怯える。アンジュは頬赤くしながら、戻るのであった。

 

 

 

グレイス達がヴィヴィアン達と話している中ある事を聞いた。

 

「えっ?脱走兵?」

 

「そう…、見に行ってみる?行けば分かるわ…」

 

っとエルシャが言う事にグレイス達は顔を見合う、そしてアルゼナルの独房でエルシャに案内されたグレイス達は中に居る人物を見て驚く。

そこには顔面あざだらけのヒルダが居た。

 

「だ、脱走兵って…ヒルダさんの事だったのですか?」

 

「うっせぇ~な…、静かにしろ…ってお前等かよ」

 

ヒルダは身体を起こし、文句を言いながらもグレイス達を見る。

グレイス達はヒルダが何故独房に居る事を問う。

 

「ヒルダ、何故お前が独房に…?」

 

「へっ、あんた等の輸送機に紛れたのさ。アタシの故郷に帰る為にね…!」

 

ヒルダはグレイス達がミスルギ皇国に行く時に輸送機に紛れ込み、その時にヒルダはすぐに自分の故郷『エンデラント連合』に帰っていた。

 

「故郷にって……はっ!」

 

グレイスはその事にある事を思い出した。前にアンジュの捜索の時にエルシャがヒルダに言った言葉だった。

 

『似てるのよ…、昔のヒルダちゃんに』

 

「エルシャさんが言っていた言葉…、この事だったのか…。」

 

グレイスはそれにエルシャの方を見て、エルシャは頷く。

 

「まっ、結果として部屋も財産全部没収。おまけクリスにも絶交の言葉の浴びせられたぜ…」

 

ヒルダはそう言って寝ころびぶつぶつと呟いていたが、それを見ていたアンジュはグレイス達に言う。

 

「グレイス、タスク。ちょっと私とヒルダの二人っきりにさせて」

 

「えっ? まあ…別に良いが」

 

そう言ってグレイス達は去って行き、アンジュとヒルダの二人だけとなった。

 

 

その夜、グレイスは一人で夜空を見上げていた。

 

「エグナントさんが言っていた10年前……僕は一体何を?(…やっぱり気になる、僕が一体何者なのか…。)」

 

「眠れないのか?」

 

その事にグレイスは後ろを振り向くと、タスクがやって来ていた。

グレイスは腰に掛けているタオルを取り、汗を拭きながら問う。

 

「タスクさん、どうしたんですか?」

 

「いや…、ここは女子ばかりだから…ちょっと落ち着かなくて」

 

タスクはアルゼナルに落ち着く場所が無い事に困っており、それにはグレイスも納得する。

 

「それは言えます。だが次期に慣れて来ますよ、今は辛抱だって事です♪」

 

「そうかな?」

 

「そうですよ、」

 

そう二人はつまらない話に思わず笑い出して、楽しんでいた。

 

「あら、随分と楽しそうじゃない」

 

っと二人が声がした方を見ると、アンジュが二人の元にやって来る。

 

「アンジュさん」

 

「どうしたの?」

 

「実はあなた達にまだお礼言ってなかったの。ありがとう二人共、あなた達が助けに来なかったら…私死んでた」

 

アンジュはミスルギの件の事をグレイスとタスクに礼の言葉を言い、それに二人は言う。

 

「良いんですよアンジュさん、僕は僕でやっただけの事ですから」

 

「俺は…ヴィルキスの騎士だから当然の事をしただけだよ。それに…」

 

タスクは夜に出ている月を見て、細目になって言う。

 

「君の歌…とても綺麗だった」

 

っとアンジュはその事の一瞬唖然とした表情を、グレイスはタスクの言葉に頭を傾げる。

 

「あの時の歌、今でも耳に流れているし、忘れられない…本当に」

 

タスクがアンジュが処刑台の場で歌った件に、アンジュは恥ずかしそうに頬を少し赤くして、髪の毛をくるくる回す。

 

「ば、馬鹿ね…、恥ずかしい言葉…言わないでよ。…はっ!」

 

アンジュはグレイスが思わずニヤッと笑っているのに気が付き、真っ赤な顔で追いかける。

 

「何笑ってるのよ!!」

 

「いや~、仲の良いお二人な事で。僕邪魔かなっと思った所で~♪」

 

からかいながらアンジュから逃げるグレイス、それにタスクは思わず苦笑いをしてしまう。

そしてグレイスは足を止めて、ある事をアンジュに問う。

 

「それでアンジュさん、ヒルダさんと何を話してたのですか?」

 

「え? ああ…この世界に付いてよ」

 

それにグレイスとタスクの表情は変わり、アンジュは月を見て言う。

 

「この世の中、ノーマがマナを使えない事にそんなに行けない事なの…? それともノーマが生まれて来ちゃ行けない理由…人間がすぐに決めちゃって良い物なの? そんな世界…こっちから“ぶち壊す”わよ!!」

 

っとアンジュの意外な言葉にグレイスとタスクは驚く表情になり、それにアンジュは気づく。

 

「…何?」

 

「あ、いや…意外な言葉が出て…」

 

「アンジュさんって暴言も使う事もあるんだね…」

 

その事にアンジュは理解した様に頷く。

 

「その事ね、これはヒルダから教わったわ」

 

っとそう納得し頷くグレイス、タスクは苦笑いしながらも言う。

 

「そっか、…なら僕はアンジュさんの支えになるよ」

 

「え?」

 

「君がやりたい事を僕は見守り、そして支えになる…僕は」

 

それにアンジュは優しく微笑みを浮かべ、頷いてタスク見る。

グレイスは頭をかきながらアンジュの考えに支援する事を決める。この世界を変える為なら…。

 

そしてアンジュは月を見始めた時に彼女の歌【永遠語り】を歌い出して。それを聞いたグレイスとタスクは静かに聞いていた。するとグレイスの頭の中で、ある光景が映し出される。

そこは薄暗くて分からなかったが、何処か知らない実験場であり、その部屋にはいろんな機材や何台かの実験台が並べられていた。そして次の光景は、テティスを含め、ヘリオス、アトラス、ファントムが不気味な笑顔で、実験台に寝かされている子たちを見下していた。その中に白銀の髪で眼鏡をして、白衣を着た男性が実験場の中枢に置かれているカプセルを擦る。カプセルの中にはグレイスが見たあのクラゲのような人魚が眠っていた。そして映像が消えると、目の前の光景が元に戻っていたのであった。

 

 

そしてミスルギ皇国の暁ノ御柱の地下。誰も知らない別の場所にヘリオス、アトラス、ファントムが目の前で椅子に座っているエンブリヲの前に出てひざまつく。

 

「分かっていると思うが、テティスは死んだ。五人目の"愛しの子"によって……。」

 

「はい、テティスの敵は我々が取ります。父上……我々に奴を倒す力を授けてください。今の我々にはヤツには勝てない…奴に勝つ為、最強の力を……「もう、その手は打っているよ♪」?」

 

するとエンブリヲの後ろから、白銀の髪をした眼鏡の男性が現れた。

 

「Dr.ディメント?」

 

Dr.ディメントは不気味な微笑みで、ヘリオス達に説明する。

 

「君らの【ラグナメイル】はもう既に改造済みだ♪」

 

「ホントですか!?」

 

「あぁ、あの失敗作が最後の姿に対抗する為に、遠隔操作、機体性能を大幅に上げておいた。後は自分たちが、あれを乗りこなせば良いんだけど♪」

 

「乗りこなせて見せるさ、今度こそ……奴を倒すために!」

 

ヘリオスは鋭い眼差しで握り締める拳を睨み、アトラス、ファントムと共に闇の中へと消えた。二人だけとなったエンブリヲとDr.ディメントは何かを話し合う。

 

「それで……彼女のラグナメイルは修復したのかね?」

 

「【ラプソディー】か……修復したよ、我が友よ♪」

 

するとエンブリヲの後ろに、サーチライトが付く。それは途轍もない武装と巨体を持った機体であり、パラメイルの数十倍の全長を持っていた。

 

「あの時はこのラプソディーはまだプロトタイプであったが……10年前とは大違いと言う事を分からせてあげるよ…降臨の子よ、待っていろよ……。」

 

Dr.ディメントは、不気味な微笑みを表し、ツインアイが翠に輝くラプソディーを見上げるのであった。

 

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