クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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ドラゴン編
第二十五話:真実の黙示録


 

ある場所に無数の島が浮いていて、その場所に社交場の様な丸くて大きなテーブルが置いてあった、その場所に各国の首相達が集まっていて。

彼らの回りにはアルゼナルを襲撃しているドラゴンの映像が映し出されていた。

 

「ドラゴンが自ら攻めて来るとは…」

 

「それにこのパラメイル、まさかドラゴンを引き連れて?」

 

一人の首相であるエンデラント連合大統領の目に映る映像にはあの不明機が映し出されていた。

 

「シンギュラーの管理はミスルギ皇家のお役目、ジュリオ…いえ陛下。ご説明を」

 

女性の首相であるヴェルタ王朝女王がジュリオにシンギュラーの発生に付いて聞いてきた。

しかしジュリオは頭を傾げながら言う。

 

「それが、『アケノミハシラ』には起動した形跡が全くないのです」

 

「馬鹿な!あり得ん」

 

肥満な首相であるマーメリア共和国書記長がジュリオの説明に納得が行かない事に拳をテーブルに叩き付ける。

 

「直ちにアルゼナルを再建し、力を増強せねば」

 

「だが、そうも行かんのだ」

 

っと年老いた首相であるガリア帝国皇帝がマナで次の映像を映し出す。すると光学兵器を発射するヴィルキスの映像が映し出された。

 

「この機体…まさか!」

 

「ヴィルキスだ」

 

それにはジュリオを含め各国の元首達は言葉を詰まらせていた。

 

「前の反乱の時に破壊された筈では?」

 

「アルゼナルの管理はローゼンブルム王家の役目。何故放置していた?」

 

それにはローゼンブルム王家の国王は表情を歪めながら黙る。

 

「監察官からは異常なしと報告を受けていた…」

 

「まんまとノーマにあしらわれていたと言う事か、無能め」

 

そう肥満体のマーメリア共和国の書記長は腕を組んで呟く。

 

「そしてその襲撃の最中、こんな物を見つけたのだ」

 

っとエンデラント連合の大統領がマナで新たな映像を映し出す。

 

「あの機体…そんなバカな!?」

 

それはリベリオンの映像だった。

それにはジュリオはと言うと…。

 

「うわっ!!! こ!こいつだ!!!」

 

ジュリオは思わず椅子から落ちて、怯えながらリベリオンに指をさす。

 

「こいつのライダーに私の顔に傷をつけた奴だ!!! どどどど!どうして!!」

 

「落ち着くのだ、しかしこの機体……まさか!?」

 

「【アルゴルモア】…」

 

各国の元首達は、リベリオンを見て動揺する。

 

「バカな!?10年前の反乱で破壊されたのでは!?」

 

「10年前の厄災……『人工衛生兵器"アルマゲドン"』を起動では?」

 

「どうすれば……」

 

「落ち着きなさい、今はどう世界を守って行くかを話し合うべき時」

 

ヴェルタ王朝女王が皆にそう言い聞かせ、一人の首相が言う。

 

「ノーマが使えない以上、私達人類が戦うしかないのでしょうか?」

 

っとその事に各国の首相達は思わず戸惑いの声が上がる、そして木の裏で聞いていた一人の男性が立ち上がる。

 

「どうしようもないな…」

 

「え、エンブリヲ様?!」

 

ガリア帝国皇帝が思わず言う。世界最高指導者であるエンブリヲは皆の所に行く。

 

「本当にどうしようもないな…」

 

「し、しかし…ヴィルキスがある以上アルゼナルを再建させるには…」

 

「なら選択権は二つだ」

 

それに皆はエンブリヲに目線が行く。

 

「一、ドラゴンに全面降伏する」

 

「「「!!?」」」

 

それには思わず息を飲む元首達、エンブリヲは構わず言う。

 

「二、ドラゴンを全滅させる…」

 

「そ!そんな…!」

 

「だから…三、世界を作り直す」

 

っとそれにはジュリオが反応する。

 

「え?」

 

「全部壊してリセットする、害虫を殺し土を入れ替える。正常な世界に」

 

エンブリヲは肩にのって来た小鳥をなでながら言う。

 

「壊して作り直す…、そんな事が可能なのですか?!」

 

それにエンブリヲは笑みを浮かばせながら言う。

 

「すべての『ラグナメイル』とメイルライダーが揃えば。あとメイルライダーの事に関しては彼らに任せてあるから」

 

っとエンブリヲの後ろにヘリオス、アトラス、ファントムが現れて、マーメリア共和国書記長が言う。

 

「【ノーブル騎士団】!?」

 

ノーブル騎士団…。ヘリオス、アトラス、テティス、ファントムに使える人造人間部隊。特殊精鋭部隊をも凌駕する彼らは命に代えてもエンブリヲを護る使命を持っている。しかしその中でも騎士団長ヘリオスは途轍もない程の成果を持っている。

 

「父上…我々の機体はもう既に準備が整っております」

 

ヘリオスは頭を下げながら言い、それにはジュリオも立ち上がる。

 

「私もやりましょう!! そもそも間違っていたのです!いまいましいノーマと言う存在も!奴らを使わねばならないこの世界も!」

 

「フンッ…馬鹿かお前は?」

 

「何!?」

 

「結局、ドラゴンはどうなる?」

 

「それなら!奴らも纏めて贄とするのです!」

 

するとヘリオスが、ジュリオの胸ぐらを掴み上げ、圧迫させながら呟く。

 

「アルゴルモアを危険だ。甘く見て捕獲しないと……テメェ、死ぬぞ…」

 

「!!」

 

ヘリオスの威圧に圧迫されたジュリオは腰が抜けてしまう。

 

「失礼した…父上、私達はこれより準備するので…」

 

そう言い残してヘリオス達は消えていって、それにエンブリヲは少しため息をしてジュリオを呼ぶ。

呼ばれたジュリオはエンブリヲからある物を渡される。

 

「これは私のコレクションの物だ、共に作り直すのだろう?期待しているよ」

 

「は…はっ!!お任せ下さい!エンブリヲ様!!」

 

ジュリオはそう言い、エンブリヲと他の首相達は消えていき、そしてジュリオはマナを解いてミスルギの部屋へと戻っていた。

 

「出るぞリィザ!」

 

リィザと共に出るジュリオ、しかしその机の下のある盗聴器が仕掛けてあって、別の場所で聞いていた湧水のダストと淡水のガリィがいた。

 

「無茶苦茶な行動が入っちゃったね…」

 

「全部壊して新しく作り直すっか…それにアイツを絶対に捕まらせない。グレイスは俺達の希望だ…行くぞ!」

 

「えぇ!」

 

下水道から怪物体へと返信したダストとガリィは急いでアルゼナルへと向かう。

 

 

そしてアルゼナルでは損害が大きかった外壁はどうにもならず、そのままの状態だった。

その場所でジャスミンがドラゴンの死体を大きな穴に落としていく。

格納庫ではメイが必死にパラメイルの修理を当たっていて、医務室ではマギーは負傷者の手当てをしていた。

 

サリアは命令違反によって反省房の中に居る、そしてヴィルキスに乗りこなせなかった事とジルの嘘にショックを受けていた。

 

そんな中、ジルはメイルライダーたちを一箇所に集めていた。

 

「生き残ったのはこれだけか…」

 

心なしか気落ちした声色でジルが呟いた。

 

「指揮経験者は?」

 

ジルの質問に手を上げたのはヒルダだった。そして、彼女以外は誰もいなかった。

 

「全パラメイル部隊を統合、再編成する。暫定隊長はヒルダ。エルシャとヴィヴィアンが補佐につけ」

 

「はあ? こいつ脱走犯ですよ。脱走犯が隊長って!」

 

「サリアは!?」

 

「アイツは反省房にいる…」

 

「そんな…」

 

尚も食い下がる。余程ヒルダの裏切りが許せないのだろう。

 

「あいつなら、命令違反で反省房の中だ」

「文句あんならあんたがやればぁ?」

 

それまで大人しくしていたヒルダが、気だるい感じでロザリーやクリスに振り返った。

 

「し、司令の命令だし、仕方ないし、認めてやるよ。なっ、クリス!」

 

「う、うん」

 

慌ててそう言い繕うロザリーにクリスが同調する。こうなるだろうことは予想していたとはいえ、ヒルダは面白くなさそうにそっぽを向いた。

 

「パラメイル隊は部隊編成の後、警戒態勢に入れ」

 

『イエス、マム!』

 

総員敬礼を返すと、解散する。命令を下したジルは一服するためだろうか、いつものようにタバコに火を点けた。

 

「司令…」

 

不意に、声がかけられる。振り向くと、そこにいたのはグレイスとモモカを従えたアンジュだった。

 

「……話してください、全てを…」

 

「知ってどうする…」

 

「……確かめたいのです。リベリオンのあの兵器とドラゴン側のあの女性と兵器……」

 

「そのことは……儂が話そう。」

 

そこに現れたのは、エグナントであった。

 

「エグナントさん…」

 

「来なさい、見せたいものがある……。ジル、そこのお嬢さんはお主が話なさい……」

 

エグナントはそう言い、グレイスをある所へ連れて行く。

 

 

最下層部まで連れてこられたグレイスは、暗い空間へと入る。そして扉が閉まると同時に、明るくなる。

 

「っ!!?」

 

照らされた矢先に、醜く穢れた怪物の死体が置かれていた。

 

「何、これ……」

 

「10年前…お前さんが殺したあの子達のなれ果てだ…。」

 

「え……どういう事ですか?」

 

「やはり覚えていないのか……10年前の大事件を…」

 

すると辺りが光に包まれ、目の前に、巨大戦艦が置かれていた。

 

「あれって!?」

 

すると戦艦のハッチが開き、中からメイよりも年下の少女が走ってきた。

 

「おりやああああああぁぁぁぁ〜〜!!!!」

 

「え!?え!?何何!!?」

 

そして少女はグレイスの前で立ち止まり、元気よく挨拶する。

 

「お〜!会いたかったぞ!"リベロ"よ〜!」

 

「え!?誰!?」

 

「妾を覚えていないのか!?」

 

「え〜っと……エグナントさん、誰ですか?」

 

突然の事にグレイスは少女についてエグナントに話し掛ける。

 

「覚えていないのか……アカリを…」

 

「アカリ?この子の名前ですか?」

 

「グレイス……落ち着いて聞け……」

 

エグナントはグレイスに、アカリがジャスミンの実姉と言う事を暴露する。

 

「ええええええぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜っ!!!!?」

 

「何度も言う……アカリはジャスミンの実姉だ。」

 

「……冗談じゃないですよね?」

 

「冗談なら、こうやって真剣に言うか?」

 

「……あ〜〜」

 

グレイスは突然の事に唖然してしまう。

 

「おい、起きろ……」

 

「……はっ!!、すいません…」

 

「まぁ、良い……とにかく説明はこの起動特装戦艦リュミエールのブリッジで話す。」

 

「付いてこ~い♪」

 

アカリは元気溌剌でグレイスをリュミエール艦内に招き入れる。艦橋ヘ辿り着くと、トーマ達が待っており、アカリは司令官の軍服と艦長帽を身に着けていた。

 

「さて!今から、この世界の真実を話そう♪」

 

「真実?」

 

「グレイス……落ち着いて聞くのだぞ、今から話す事は……お前の運命を揺るがす事にもなる…」

 

「……分かった」

 

「では話そう。この世界の真実、今妾達がいるこの世界…それは『偽りの世界』と言う事じゃ」

 

「偽りの世界?……どういう事??」

 

レオンはその事に訳が分からず、ヒュウガは言い続ける。

 

「この世界はある神様が創り出した世界、そしてこの世界はその神様が自分の理想の世界にさせる為にある人類を創り出したのじゃ…」

 

「ある人類…ってまさか!」

 

「そう…そのある人類と言うのが【マナ】じゃ」

 

っとその事にグレイスは再び驚きの表情を現す。

 

「そして…先の戦闘に現れた謎の美女は妾達の協力者じゃ♪」

 

「協力者!?(え?…待てよ、ドラゴンと共に現れて……あの機体…ドラゴンをモチーフにしている……それにあの人をよく見たら……!!)…まさか!?」

 

「そう…そのまさかじゃ。お主が今まで相手したドラゴンは……あっちの世界の"人間"なのじゃ」

 

「っ!!」

 

グレイスは今までドラゴン……人間を殺していた事に、混乱する。

 

「気持ちは分かる……だが、事実だ。儂等は彼等の世界に行き、交渉し、先の戦闘に現れたのじゃ。儂等をこんな化物にし…偽りの世界を作った神に抗うために…そしてお主をさらに強く覚醒する為に…」

 

「覚醒?」

 

その言葉に、グレイスは顔を上げる。

 

「実を言うと、お主には記憶が強く欠けてしまっているのじゃ…ドラゴン達は態々自らの死を覚悟して、早急に覚醒を早めていたのじゃ…」

 

「僕の…覚醒…」

 

「あ〜〜、それと…リベリオンだ。元々あれはパラメイルではない……妾達が相手している神様が作り上げた機械の天使【ラグナメイル】なのじゃ」

 

「ラグナメイル?」

 

「ヴィルキスを知ってるじゃろ?あれはタスクの一族である古の民が強奪した物じゃ。そこからじゃ、ラグナメイルには重要な物が必要であった。」

 

アカリは詳しくグレイスに説明する。ラグナメイルには王家の血筋、指輪、伝承歌が必要であったが、10年前にそれを持つノーマが現れた。そのノーマの名は『アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ』後のジル司令の本名であった。彼女はヴィルキスを乗りこなし、タスクの両親や古の民残党と共に、神や人類に抗った。しかし、結果は惨敗。右腕と指輪を失ったアレクトラは絶望するしかなかったが、10年後に……その三つの鍵を持つアンジュが現れた。

 

「……」

 

「どうした?あまりの事で、言葉が出なくなったのかい?」

 

「……あ、いえ…凄い運命だなっと思って……」

 

「まぁ、そうだろうな……どうする?お主はこのままドラゴンと言うより、人間を殺してしまい、一生過ごすか?それとも…家等とこの10人の下僕達やノーマ、ドラゴンと共に!……この世界を作った神や人類、そして偽りの世界をぶっ壊すか?」

 

「………」

 

グレイスはアカリの言葉に考え込む。このままドラゴンを殺して生きるか……それとも神を倒して自由を得るか……。そう考え込んでいる時だった。

 

『総員!第一種戦闘態勢!ドラゴンです!基地内にドラゴンの生き残りです!!』

 

それにグレイスは反応し、それにアカリとセシルは異変に気付く。

 

「ドラゴン!?」

 

「エグナント!もしかしたら!」

 

「あぁ!!あの子だわ!!」

 

それはかれこれ数分ほど前になる、部屋で寝ていたヴィヴィアン。

っと寝ているハンモックが急に落ちて、それに痛がる。

 

「いった~い、落ちてる~?何で…?うわ!寝過ごシング!」

 

ヴィヴィアンは慌てて皆の所に向かう、っがその時に自分の目線が高い事に気が付く。

 

「何か…背が伸びた気がする? 成長期かな?」

 

しかしその時に自分の身体に異変が起きている事にまだ気が付いていない。

そこにエマが通り過ぎて、ヴィヴィアンは気づく。

 

「あ!エマ監察官だ! おーい!」

 

「っ!? え!エマ監察官だーー!!!」

 

悲鳴を上げながらエマはそのまま気を失い、慌ててヴィヴィアンは駆け寄る。

 

「うわ!大丈夫…って!うわ!」

 

ヴィヴィアンは自分の手を見て驚く、それは全く自分の手じゃない何かの手だった。

 

「何じゃこりゃ?! …うえ!」

 

っとヴィヴィアンは目の前にあった鏡を見て驚く。今のヴィヴィアンは人ではなく『ドラゴン』だったからだ。

 

「これあたし~!!?」

 

「なに?今の」

 

偶然に近くに居たパメラ達が駆け寄り、ドラゴン態のヴィヴィアンを見て悲鳴を上げる。

 

「「「うわあああああああ!!!」」」

 

「うわ~~~!!!」

 

ヴィヴィアンも慌ててその場を離れて行き、パメラがすぐに無線で基地内に知らせた。

 

そして今の時間帯となり、臨時司令部で指揮を暫定副隊長のヒルダは各自に指示を与えていた。

 

「ロザリーとクリスは居住区、ココとミランダは整備区、エルシャはサリアを出してジャスミンモールを捜索」

 

「イエス・マム」

 

「他は此処で警備、ヴィヴィアン?ヴィヴィアンは何処?」

 

ヒルダはヴィヴィアンが居ない事に問い、エルシャはそれに答える。

 

「それが部屋にも居なくて…」

 

「何処に行ったんだろう」

 

ミランダがそう言ってるとレオン達とアンジュにタスクがやって来て、ヒルダはグレイス達に怒鳴る。

 

「遅い!何やってたんだよ!」

 

「ごめん、ちょっと…」

 

「たくぅ、さあグレイス。ある程度は指示だしたから後はアンタだよ、それとあんたが隊長だよ」

 

それにグレイスは思わず顔を上げる。いきなり自分が隊長だと言われたら驚くのも無理はない。

 

「ちょっと待て、僕が?」

 

「ああそうだよ、司令がそう命じたんだ」

 

ヒルダの説明にグレイスは頭を抱える。

 

「はぁ…、分かりました。それじゃヒルダさんはトーマさんと一緒に回ってくれ。セシルさんは僕と一緒に、アンジュさんはタスクさんと一緒にアルゼナルの上部だ」

 

それに皆は頷いて動く。

グレイス達もお互いを見合って頷き動き出す。

 

その頃ヴィヴィアンは何とか食堂の方に逃げ切っていた。

 

『はぁ~お腹空いた~…、う~…何でこんな事に?』

 

すると厨房からなにやら良いによいがし、それにヴィヴィアンはつられて行く。

目の先には土鍋にカレーが入れてあった。

 

『やっぱりカレーだ~! いっただっきま~す!』

 

っが土鍋を持った瞬間につぶれてしまい、それにヴィヴィアンは頭を傾げる。

 

『あれ?、どうなってるの? あっアタシ今この状態だった』

 

自分の今の姿を忘れる所だったのか頭をかきながらつぶやいてる中でセシルが見つける。

 

「いたよ!グレイス君!!」

 

それにヴィヴィアンが振り向き、グレイスが到着する。

 

「行くぞ!」

 

グレイスがライフルを構えた瞬間だった…。

 

『グレイス!!』

 

「えっ…?」

 

グレイスには聞き覚えのある声が聞こえた、それに思わず手が止まる。

 

「グレイス?」

 

「今…ヴィヴィアンの声が聞こえた」

 

その事にセシルは納得、それに明るくなるヴィヴィアン。

 

『アタシの声が聞こえるの!』

 

しかし同時にサリア達が来る。

 

「居たわ!!!」

 

サリア達がドラゴン態のヴィヴィアンに向かってライフルを撃ち、それに慌てて逃げるヴィヴィアン。

 

『うわ~~~!!』

 

「なっ!? 待って!!!」

 

「何やってるのグレイス! 早く追いかけるわよ!」

 

サリアはそう言って追いかけエルシャも行く、それにグレイスは舌打ちをする。

 

「今は追いかけるしかない!!」

 

グレイスとセシルはヴィヴィアンが逃げた後を追いかけるが既に空に飛んだらしく、アルゼナルの上部に居るのを確認するとグレイスはセシルに言う。

 

「セシルさん!上まで!」

 

「わかった!」

 

セシルの体が大きくなり、翼の様なオプションを装備した怪物へと変身し、グレイスを掴み、上へ飛ぶ。

そのままアルゼナルの上部へと到達して追いかける、丁度そこにアンジュとタスクもやって来てライフルを構える。

 

それを見たグレイスは止める。

 

「待って!撃たないで!!」

 

「え?どうして?」

 

タスクがグレイスの問いに意味が分からず、その時にドラゴン態のヴィヴィアンが何かを歌い出し、それを見たアンジュはライフルを下ろす。

 

「これは…」

 

その歌はアンジュが歌っていた『永遠語り』によく似ていて、それにアンジュは歌い出し歩き出す。それにドラゴン態のヴィヴィアンも同じように歌い出しアンジュの元にゆっくりと行く。

グレイスとタスクはアンジュが歌いだしたのを見て、様子を見ていた。

 

っとそこにヒルダ達もやって来る。

 

「何やってんだよお前!」

 

ヒルダ達がライフルを構えた瞬間、セシルがヒルダのライフルを奪い壊し、ヒルダ達の前に立ちふさがる。

 

「ひぃっ!!」

 

アンジュが後ろを向くも、すぐに前を向いて歩く。その時にサリア達が来て、サリアがライフルを構える。

 

「離れなさい!!」

 

っがその時にジルがサリアのライフルを下ろさせて、それにサリアは見る。

そしてアンジュはドラゴンと向き合い、アンジュが触れた瞬間ドラゴンは一瞬に霧状になって行った。

 

グレイスとタスクはうっすらと見えているヴィヴィアンの今の状態に気付き、思わず顔を赤くし慌てて後ろを向く。

 

「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってなーんだ?」

 

元の人間に戻ったヴィヴィアンにアンジュは唖然とするしかなかった。

 

「あっ違うかドラゴンなのに人間…? あれれ…意味分かんないよ…!」

 

自分がドラゴンだった事に戸惑うヴィヴィアンは泣いて混乱している中で、アンジュは優しく声を掛ける。

 

「分かったよ私は…、ヴィヴィアンだって」

 

「あ、有難う…アンジュ、分かってくれたの…アンジュとグレイスだよ」

 

っとヴィヴィアンはアンジュに抱き付いて泣きつき、後からやって来るエグナント達もモモカも今の光景に目を奪われる。

 

「何だ…一体?」

 

「どうなってんだよ?」

 

「今ドラゴンからヴィヴィアンが出て来た様に見えたけど」

 

クリスの言葉にグレイスとタスクは顔を見合う。

そこにマギーがやって来て、ヴィヴィアンに麻酔を撃ちこみヴィヴィアンを眠らせて、マギーはヴィヴィアンを抱いてその場から去って行く。

 

見送ったアンジュ達はアルゼナルの抉られた場所に捨てられているドラゴンの死体の山を見る。

その時にヴィヴィアンの言葉を思い出す。

 

『人間なのにドラゴンなのってなーんだ? ドラゴンなのに人間…?あれれ?』

 

「っ!? まさか…!!」

 

アンジュは思わずあの場所に行き、グレイスもタスクも付いて行く。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

「おいグレイス!タスク! 何処に行く!?」

 

モモカはアンジュの行動に叫び、エグナント達も同じように言った。

そしてジャスミンが死体を集めた所でガソリンをまき、ライターに火をつける、っとバルカンがグレイス達に向かって吠え、それにジャスミンは振り向く。

 

「来るんじゃないよ!」

 

そう言ってジャスミンはライターを死体の山に投げ、死体を燃やし始めた。

グレイス達は燃えている死体に驚きの光景を目にする。ドラゴンの死体の中に人間の姿も紛れていた。

 

それにはグレイス達は言葉を失う。同時にヒルダ達も来る。

 

「おい!一体何が…!?」

 

「何…これ?」

 

「ドラゴンが…人間に」

 

その光景に皆がくぎ付けられてる中で煙草を持っているジルが来る。

 

「よくある話だろ?『化け物の正体は人間でした』…なーんて」

 

それにアンジュは息を飲み、再びドラゴンを見る。そして今までの事を思い出す。自分がドラゴンを殺し……そして倒していく光景に。

っとアンジュは思わず口を抑え、タスクの腕を掴み、地面に向けて嘔吐する。

 

「う!うえぇぇぇぇ!?!」

 

「!!? アンジュ!!」

 

「アンジュリーゼ様!!」

 

タスクとモモカが心配する中でアンジュの頭の中は混乱していた。

 

「私…人間を殺していた…? この手で?ねえ!タスク!! 私…私…!!?」

 

アンジュはタスクの腕を掴みながら何度も問い、それにタスクはジルを少しばかり睨みながら見る。

 

「…ジル、アンジュには言わなかったのか!」

 

それにジルは煙草を吸い、吹かしながら言う。

 

「フン、言ってどうする? それに気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して金を稼ぐ、そんな暮らしが」

 

「ジル司令!…あなたはアンジュさんの心を弄んだのですか!?」

 

聞いていたグレイスは刀を抜き、エグナント達は怪物体へと変身し、威嚇する。

 

そしてアンジュはジルを睨みながら怒鳴る。

 

「くたばれクソ女!!!もうヴィルキスには乗らない!!ドラゴンも殺さない!!! 『リベルタス』なんてくそくらいよ!!!」

 

その事にサリアはアンジュが知らないリベルタスを知っている事に思わず反応する。

 

「『神様』に買い殺されたままで良いなら、そうすればいい」

 

そう言い残してジルは去って行き、ジルを睨んだままタスクはアンジュの肩に手を置く。

グレイスはこの時に決心した、もうジルを信用する事は出来ないと…。

 

 

ジルが臨時司令部に戻って行く所だった。

 

「『神様』か…」

 

っと誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはエンブリヲが立っていた。

 

「私は自分から名乗った事は一度もないぞ? 『創造主』と言う意味であれば…正解かもしれんが」

 

世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してエンブリヲに撃ちこむ、しかし弾丸はエンブリヲの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはエンブリヲを睨む。

 

「エンブリヲ…!!!」

 

「怒った顔も素敵だなアレクトラ…、今は司令官のジルか? …それで、"私の息子"は元気にしてるかね?」

 

「クッ!!」

 

「ん?来たようだ…」

 

するとエンブリヲが違う方向を見ると、そこにマナの映像が映し出される。

 

『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘…』

 

その放送を聞いたジルはすぐに臨時司令部へと向かう。

 

「さてさて……私は"息子"であるリベロに会わないとね♪」

 

エンブリヲはそう言い残し、完全に気配を消した。

 

その中でアルゼナル付近の海域で、ミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。

その艦の中で旗艦『エンペラージュリオ一世』に乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。

 

「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」

 




グダグダですみません。次回はついにグレイスとエンブリヲ……親子の再会です!!
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