クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第二十七話:親子の再会・後編

一方でグレイス達は格納庫へと向かっている中でまたしても特殊部隊が立ちはだかり、敵を殲滅していった。

 

「キリがない!!」

 

グレイスは刀を抜き、隊員を一刀両断する。

 

グレイス達は足を止めると、アンジュ達がやって来た。

 

「アンジュさん!丁度良かった!今からここから…」

 

「グレイス! 私!今から行かなきゃ行けない所があるの! タスクと一緒に来て!!」

 

そう言ってアンジュは格納庫へと向かって行き、モモカも慌てて付いていく。

 

「タスクさん、アンジュさん一体どうしたのですか?」

 

「実はこっちもさっぱり…」

 

グレイスはタスクにアンジュの行動に問うが、タスクもアンジュが何をしたいかさっぱり分からないらしい。

 

「たくも…、取り合えず向かいましょう!」

 

グレイスはアンジュの後を追い、タスク達も後を追う。

 

そして再び格納庫、敵が投げたグレネードがエレベーターシャフトに直撃して、シャフトが崩れる。

 

「エレベーターシャフトが!」

 

「これではパラメイルを下ろせません!」

 

部下の言葉にメイは歯を噛みしめ、不味い状況になって来る事にロザリーが問いかける。

 

「どうするんだよ!ヒルダ!?」

 

「くっそ~…!」

 

っとその時だった。

 

「行け!!糞族!!」

 

突如横からの攻撃を受けた特殊部隊達は飛んできたガントレットアームによって吹き飛ばされた。別の扉からムートロム・フォルムになったリベリオンが現れ、ロケットパンチで吹き飛ばしたのであった。

 

「グレイス!アンジュ!!」

 

「お前等何処に行ってたんだ!このバカ!!」

 

メイとヒルダがグレイス達に言うが、アンジュがモモカをヒルダに任せたと言ってそのままヴィルキスに乗り込む。それにグレイスが駆け寄り問う。

 

「ちょっと!何処に行く気ですか!」

 

「…お兄様の所よ」

 

っと言って、アンジュはヴィルキスを動かし。ジュリオ達が居る艦隊へと向かって行く。

アンジュの話を聞いたグレイスは唖然とする。

 

「アンジュ、どうやってお兄さんの事を知ったのですか?」

 

「グレイス! 兎に角追いかけよう!」

 

タスクの言葉にグレイスは頷き、リベリオンを飛翔形態へ変形する。タスクも飛行艇に乗り込む。

グレイス達の行動を見たヒルダは怒鳴る。

 

「おい!何処に行こうとするんだよ!!!」

 

「今からアンジュさんを追う! ヒルダさん!今からあなたが隊長です!!皆を任せました!」

 

グレイスは向かおうとした時、ティアも乗り込む。

 

「ティア!?」

 

「私も連れて行ってください!あの兵器を使う為に、あなたの覚醒プログラムを速めます!」

 

「………わかった!」

 

そう言ってグレイス達はその場から去っていった。

残されたヒルダ達はグレイス達の行動に理解が出来ずだったが、ヒルダは笑みを浮かばせた。

 

「たくぅ、身勝手な奴…でもグレイスらしい」

 

ヒルダはそう言ってライフルを置いて自分のパラメイルの場所に向かう。

 

「ヒルダ…」

 

「アタシも行かなきゃね」

 

っと肩を抑えながら向かって行く。

 

そして後からやって来たサリアが辺りを見て、外の方を見てヴィルキスが出た事に表情を歪ませる。

 

「行かせない…!」

 

 

「くっそーっ! 放せ、放せーっ!」

 

未だ戦闘中の空では、新たな犠牲者が生まれようとしていた。メイルライダーの一人、ターニャが先程のイルマ同様、小型円盤に拘束されて何処かに攫われようとしていたのだ。

 

「メイルライダー定数確保! 基地内でも、確保完了との報告あり!」

 

未だアルゼナルへ向けて推進中の艦隊の中で、ジュリオが報告を受け取っていた。だが、その報告を受けても満足した表情にはなっていない。

 

「…アンジュリーゼは」

 

一番の標的のことに言及されていないのだから当然だろう。今は家族としての縁を切った妹の名を呟く。

 

「第一目標がアンジュリーゼ! 第二目標がヴィルキスと言った筈だろう!」

 

思わず身を乗り出してジュリオが語気を強める。と、不意に警報が鳴った。

 

「本艦に急接近する物体あり!」

 

それを捕捉した兵士がそれをモニターに映す。そこには、ヴィルキスを駆るアンジュとリベリオンを駆るグレイスの姿があった。

 

「第一目標と、第二目標、第三目標に第四目標です!」

 

「アンジュリーゼぇ…」

 

目標が四つ、わざわざ自分たちのところに来てくれることに満足したのか、ジュリオは椅子に深く座り直すと、下卑た笑みを浮かべながらアンジュの名を呟いたのだった。

 

 

ヴィルキスが空を舞い、華麗に小型円盤を撹乱する。そしてその隙を見つけてアサルトモードに変化すると、ライフルを乱射して次々に目標を墜としていった。と、全く予期せぬ方向から援護射撃があり、幾つかの小型円盤を落としていく。

 

「!」

 

思わずその方向に振り返る。そこには、

 

「戻りなさい、アンジュ!」

 

爆炎の中から姿を現したサリアのアーキバスがあった。

 

「戻って使命を果たして!」

 

サリアがそう訴えるものの、アンジュは一向に従う気配もなく、ライフルで小型円盤を掃討していく。

 

「何が不満なのよ!」

 

一向に変化の見られないアンジュに業を煮やしたサリアが、正対して再度訴えかける。

 

「あんたは選ばれたのよ、アレクトラに!」

「……」

 

アンジュは答えず、ただジッと鋭い視線でパラメイルの中にいるサリアを見据える。

 

「私の役目も、居場所も、全部奪ったんだからそのぐらい「好きだったの」えっ…」

 

アンジュの返答の意味がわからず、思わずサリアが呟いた。

 

「私、ここが好きだった。最低で、最悪で、劣悪で、ごく一部の例外を除いて、何食べてもクソ不味かったけど。好きだった、ここでの暮らし」

 

主人の感情に呼応するかのように、アンジュの左手中指に嵌められた指輪が光り輝き始め、その光を増してゆく。その時、ヴィルキスの装甲の色が白から赤へと変色した。

 

「それを壊されたの、あいつに!」

 

そしてアンジュはいきなりサリアに突っ込むと、ラツィーエルを展開した。

 

「はっ!」

 

突然のことに驚いたものの後の祭り、サリアのアーキバスは反応することも出来ず、振り上げられたラツィーエルで片腕を切断されてしまった。

 

「だから、行くの!」

 

返すラツィーエルを振り下ろし、もう一方の腕を切断する。故障した…というわけではないのだろうが、バランスを失って機体の推進が崩れたのか、サリアのアーキバスは真っ逆さまに墜落してゆく。

 

「邪魔したら…殺すわよ! …それに、さっき選ばれたって言ったけど、私が頼んだわけじゃない!」

 

真紅の瞳が鋭さを増した。その言葉通り、邪魔者は全て殺すと言わんばかりに。

 

「アンジュ、アンジュ!」

 

他方、今しがた排除されたサリアは墜落しながらしきりにアンジュの名を叫ぶ。

 

「許さない…勝ち逃げなんて、絶対許さないんだから!」

 

目尻に涙を浮かべ、まるで呪うかのようにそう吐き出した。

 

「アンジュの下半身デブーっ!」

 

アンジュが飛び去っていくのを背景に、まるで子供の喧嘩のような幼稚な言葉を叫びながら、サリアはそのまま海に着水したのだった。

同じ頃、整備デッキでは第一中隊の三人が発進するための準備を終えているところだった。

 

発進準備完了!」

 

「了解」

 

メイのゴーサインにヒルダが頷いた。

 

「行くよ、ロザリー、クリス!」

 

「ああ」

 

「わかりました」

 

ロザリー以下二人の返答にこれまた満足そうに頷くと、ヒルダは正面を向く。

 

「ヒルダ隊、出撃!」

 

『イエス、マム!』

 

三人の返答を受けるのを待っていたかのようにヒルダが発進し、その後を、ロザリー、クリスと続く。が、不吉なことにそんな彼女たちから少し離れたところに瓦礫に潜んだ一人の兵士の姿があった。

兵士は銃を装填し、その時を待つ。まずヒルダが通り過ぎ、そしてロザリーが続き、最後にクリス。

そして最初の三機をやり過ごし、最後のクリスが飛び立とうとしたところで兵士が銃を発砲した。その銃弾は無情にもクリスの頭部を捉え、コントロールの利かなくなったクリスのパラメイルはそのまま整備デッキ内の壁に勢いよく激突したのだった。

 

「クリス!」

 

「クリス、今行く!」

 

その異変はヒルダたちは先に出ていた二人もすぐに気づいた。ロザリーが慌てて機首を反転させてクリスの元へと向かう。が、それを阻むかのようにアルゼナルを攻めていた小型円盤の大軍が、三人に向かって飛んできたのだった。

 

『待ってろクリス、今すぐ助けてやるからな!』

 

「うん…ありがとう…ロザ」

 

そこで通信は途絶えた。何故なら整備デッキが爆発してしまったからだ。幸いにもクリスは全壊に近いパラメイルに乗っていたものの、死ぬことはなかったのだが。

が、上空から見ていたヒルダ、ロザリーの二人にはそんなことがわかるわけもなかった。出来たのは黒煙を上げる整備デッキを、呆然と見下ろすだけであった。

 

「っ!」

 

「クリ…ス?」

 

ロザリーが呆然とクリスの名前を呟く。状況を確認しようにも向かってくる小型円盤の掃討に忙殺され、三人は現場に近寄ることも出来なかった。

 

「ちっくしょぉぉぉぉぉ!てめえら全員!ぶっ殺してやる!!!」

 

流す涙を拭わず、ロザリーはライフルや連装砲を発射した。だが、弔い合戦にはまだ早かった。

 

「……」

 

爆発によって投げ出され、ほぼ全壊に近いパラメイルに乗ったまま落下したクリスは、生死の狭間でロザリーたちの救援を待っていた。そんなクリスに、ゆっくりと近づく人影が一つ。

 

「……」

 

足音だけを立てながら無言で近づいてくるその人影は、先程アンジュの前から姿を消したエンブリヲだった。

 

 

その頃、一人第一中隊の全員と別行動を取っていたエルシャは、ようやく自分の邪魔になる最後の一人の兵士を倒したところだった。

 

「ぐわっ!」

 

マシンガンに撃たれて兵士が吹き飛ばされる。手向かってこないことを確認したエルシャは、すぐに目的地へと向かって走った。目的地の部屋は程近く、そこからは聞き覚えのあるオルゴールの音色が奏でられている。負の感情に責め立てられるように、エルシャは走った。そして、

 

「うっ!」

 

目的地に辿り着いたエルシャが口と鼻を押さえてしまう。オルゴールは床の上で無情に鳴り響いていた。そしてエルシャの目の前には、彼女が口と鼻を押さえてしまった原因…無残な死骸となった子供たちの姿があった。

 

「あ…あ…あ…」

 

目の前の光景にエルシャは立つことすら叶わずにその場にへたり込んでしまう。

 

「ごめんなさい…ごめんな…」

 

最後はもう言葉にもならず、エルシャはとめどなく涙を流すことしか出来なかった。そんな彼女たちを、部屋の外から見ている一つの人影がまたあった。

 

「……」

 

声をかけるでもなく静かに佇むその人影は、誰あろうエンブリヲその人だった。

 

 

一方、駆逐形態に変形して艦隊に迫るアンジュ。ミサイルの一斉砲撃をラツィーエルから放出するエネルギーブレードの横薙ぎで一閃するも、その爆炎が弾幕となって新たなミサイルが直撃する。

 

「くっ!!……?」

 

弾幕を受けた筈なのにヴィルキスは無傷であった。よく見るとヴィルキスの装甲から光学障壁が放出されており、それが弾幕を守ってくれていた。

 

「光の障壁?……なら!」

 

アンジュはヴィルキスを駆逐形態へ変形し、向かってくるピレスドロイドへ特攻していく。光学障壁で爆裂していくピレスドロイド。そしてアンジュはそのまま艦隊へ向かっていく。

 

「はああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

ヴィルキスは巡洋艦を貫き、撃沈すると、次の巡洋艦へ突撃する。

 

「沈め!!」

 

迎撃していた巡洋艦も撃沈するアンジュ。それを見ていたグレイスとティア。

 

「僕も負けてられないな!ティア!お願い!」

 

するとティアは何かを決意し、歌い出す。

 

「♪〜♪〜♪〜」

 

ティアの歌声と同時に、リベリオンの装甲が光り輝き、変わっていく。

 

『覚醒プログラム100%達成。これよりアドバイスド・フォルム及び、ゼムリアン・フォルムへ移行します。』

 

ラルスの音声と共に、リベリオンの形が変わっていく。その光景を見ていたヘリオス、アトラス、ファントムは呟く。

 

「ついに覚醒したか……」

 

「ゼムリアン・フォルム…」

 

「10年前と変わらない……」

 

現れたのは、赤と黒を青と銀を基調にしたゼロを思わせるもの。

下半身に伸びた直線状の青ライン、アクセントとして腹部と両サイドに赤ラインが加わっている。

上半身は騎士の甲冑に似た白銀のプロテクターで覆われており、両肩部には角のように鋭く尖った赤い突起が伸びている。

両腕部、両膝部にもプロテクターが施され、両腕部には鋭角的な突起が施されており、バイザーも両サイドにスライドされ、ツインアイが青く光る。

 

そしてティアが両手を合わせて握り締め、祈りながら念じる。

 

「(お願い…ハルマゲドン、グレイス様に力をお貸しして……)」

 

ティアの祈りに、この世界の軌道上で漂っている衛生が起動する。

 

『……"ハルマゲドン"了解。コードネーム"MMD−008"の命に従い、ウェポンユニットを投下を開始する。』

 

衛生兵器に搭載されている対話インターフェイスユニット『ハルマゲドン』は衛生に備えられている多彩の大型兵器を射出口へ移送する。射出口には耐熱弾頭ポッドが装填されており、大型兵器を弾頭ポッドに入れ、ハッチを閉じ、目標アルゼナルへと向けられる。

 

『大型兵器"シュトラーレンランツィーラー"及び"リッターシルト"の収納を確認。弾頭ポッド発射準備…3…2…1…発射』

 

ハルマゲドンの射出口から、耐熱弾頭ポッドが射出され、大気圏を突入して行く。

 

辺りが何かの轟音が鳴り響き、空から流星の如くスピードでリベリオンへ落ちていく。そしてポッドが割れ、中から出てきたのは、突撃騎槍光学小銃『シュトラーレンラツィーラー』と四葉のクローバーの形をした機動防盾『リッターシルト』が出てきて、リベリオンはそれをキャッチする。そして大型兵器を手に、リベリオンは無数に来るピレスドロイドに向けて、シュトラーレンラツィーラーを撃つ。照射ビームがピレスドロイドを焼き払い、突撃してくるピレスドロイドには四つのジェネレーターから最大出力の陽電子リフレクターが機体を覆い尽くし、ピレスドロイドを弾いていく。

 

「ヴァルキュリー・テンペスト……」

 

グレイスがそう言うと、リベリオンの螺旋状の4つの角から、エメラルドの雷撃が放たれ、巡洋艦やピレスドロイドの大群を破壊していった。

その、ジュリオに対しての絶望的な状況は次々とエンペラージュリオⅠ世のブリッジに届けられていた。

 

「デファイアント、マリポーサ、撃沈!フォーチュネイト、オーベルト、全て大破!」

 

「何をしている! 相手はニ…」

 

機。とジュリオは続けたいところだったのだろうが、それは出来なかった。何故なら次の瞬間、ブリッジが切断されて通信していた兵士たちのいる前方部が滑り落ちるように落下していったからである。

 

「はっ、ははっ…」

 

つい先程までには考えもよらなかった状況に、随分と風通しのよくなったブリッジでジュリオは腰を抜かしてへたり込む。そしてその目の前に、真紅の天使…ヴィルキスが審判者宜しく舞い降りた。そしてその状況下、遂に見限ったのだろうかリィザがブリッジから脱出したのだが、アンジュもジュリオもお互いそれを気にかける余裕はなかったのか、そのことには気付いていなかった。

 

「……」

 

コックピットが開き、アンジュが姿を現す。

 

「あ、アンジュリ…」

 

ジュリオがその先を言う前に銃声が響き、自身の左足が撃ち抜かれた。

 

「ああーっ! あっ! ああーっ!」

 

悲鳴を上げ、傷口を押さえてのた打ち回るジュリオ。図に乗った上に勘違いし、パンドラの箱を開けた愚か者には相応しい巡り会わせだった。

 

「今すぐ虐殺を止めさせなさい!」

 

対するアンジュは銃を構えたまま鋭い視線をジュリオに向けている。その表情は怒りに満ち満ちていた。

 

「今すぐ! さっさとしなさい!」

 

アンジュへの恐怖心からか、痛みに顔を歪ませながらもジュリオはマナの力で通信を開いた。

 

「神聖皇帝ジュリオⅠ世だ。全軍、全ての戦闘を停止し、撤収せよ!」

 

『撤収!? ノーマたちは!?』

 

通信の内容を聞いた兵士の一人が尋ね返すものの、それには答えずジュリオは自分の言いたいことだけ言って即座に通信を切った。

 

「止めさせたぞ! 早く医者を!」

 

その瞬間、今度はラツィーエルを掲げる。だが尚も、アンジュはジュリオから離れない。

 

「ま、待て、話が違う!」

 

腰砕け、激痛に耐えながらもジュリオは両手を開いて前方に差し出し、アンジュを制止しようと努める。

 

「早まるな! 要求は何でも聞く! そうだ、お前の皇室復帰を認めてやろう! アンジュリーゼ! どうだ、悪くない話だろう! だから、殺さないでくれーっ!」

 

神聖皇帝の称号が大笑いするほどのみっともない命乞いをするジュリオ。対して、アンジュは何処までも冷徹だった。いや、目の前の愚物がそうすればするほど、どんどん冷めていく。

 

「言うことはそれだけ?」

 

冷たく吐き捨てると、アンジュは銃口の照準を静かにジュリオの額に合わせた。

 

「生きる価値のないクズめ…くたばれーっ!」

 

懇親を込めてラツィーエルを振り下ろした。それに力をかける。ジュリオはアンジュの殺意の前に何ら抵抗も出来ず、悲鳴を上げて最期の時を待つしか出来なかった。そして、もう少しで終わるというところで、二人にとって予想もしない事が起きた。

その時にそのエネルギーブレードを謎のパラメイルがビームシールドで受け止める。

それにアンジュは目の前の光景に驚く。そのパラメイルの肩にエンブリヲが乗っているのだ。

 

「貴方…さっきの!」

 

「エンブリヲ様!! そいつを!アンジュリーゼをぶっ殺してください!! 今すぐ!!!」

 

「エン…ブリヲ?」

 

アンジュはその男がエンブリヲだと知って呟く。

 

「アンジュ、君は美しい…。君の怒りは純粋で白く何よりも厚い。理不尽や不条理に立ち向かい…焼き尽くす炎の様に、気高く美しい物。つまらない物を燃やして、その炎を燃やしてはいけない」

 

アンジュはエンブリヲが何を言いたいのか意味が分からず、ただ唖然としていた。

 

「だから…私がやろう」

 

「え?」

 

「君の罪は…私がせよう」

 

するとエンブリヲはその機体を上昇させて、エンブリヲは何かを歌いだす。

 

「♪~♪」

 

その歌にアンジュとジュリオは聞き覚えがあった、その歌は『永遠語り』だった。

 

「あれは…!?」

 

「永遠語り!?」

 

アンジュの元に向かっているグレイス達は聞こえて来る歌に驚く。

 

「ん!? この歌は!!」

 

「あれって!?」

 

「あれは…まさか!!」

 

同時の外に出ているリィザは【謎の翼】を出して飛んでエンブリヲを睨む。

 

「エンブリヲ…」

 

そしてエンブリヲの機体の両肩と翼が露出展開して、ヴィルキスと同じものが出て来る。

 

「ヴィルキスと同じ武器…!?」

 

アンジュが驚いてる中でその機体は光学兵器を発射て、ジュリオが乗っている旗艦へと直撃する。

 

「う!!うう!!うわあああああああああああああああ!!!!!!」

 

アンジュが目の前の光景に驚きを隠せず、ただ跡形もなく消え去った旗艦を見て唖然する。

 

 

その頃、アルゼナル最下層では、あの戦艦が今まさに発進しようとしていた。

 

「注水、始め!」

 

「注水、始め!」

 

ジルの号令にパメラが復唱する。それと同時に、アルゼナルの生き残りを収容したこの戦艦に注水が始まった。ジルの大嘘により、本来辿るべき歴史よりもかなり多くの人員が無事にこの艦に収容されているのは、喜ぶべきことなのだろう。

 

「アルゼナル内に生命反応なし。生存者の収容、完了しました」

 

「メインエンジン臨界まで、後10秒」

 

「水位上昇80%」

 

「防水隔壁、全閉鎖を確認」

 

「交戦中のパラメイル各機には、合流座標を暗号化して送信」

 

「了解」

 

ブリッジでは、次々と報告や指示が飛び交う。

 

「フルゲージ!」

 

「拘束アーム解除。ゲート開け。微速前進」

 

エンジンに火が入る。そして、

 

「アウローラ、発進!」

 

ジルの号令と共に戦艦…アウローラはアルゼナルを後にして発進したのだった。

 

 

そしてアンジュがエンブリヲに問う。

 

「何なの! 貴方一体何者!?」

 

「フッ…?」

 

すると横からのビーム攻撃に気付き、すぐさまかわすとリベリオンがシュトラーレンラツィーラーを向けていた。

 

「ほぉ…息子よ、逞しくなったなぁ♪」

 

「息子!?」

 

するとグレイスはコックピットハッチを開き、黄金の髪を靡かせ、エンブリヲを睨む。

 

「僕はグレイス……グレイスだ。それにその口で、僕の事を"息子"って言うな!!」

 

グレイスは怒鳴り、ホルスターからマグナムを取り出し、エンブリヲに向ける。

 

「フフ…可愛いリベロよ、戻ってっ!?」

 

っとエンブリヲは横からの攻撃に気付き、すぐさまかわすとタスクの飛行艇がアンジュの元に向かって来る。

 

「アンジュ!! そいつは危険だ!! 離れるんだ!今すぐ!!!」

 

「タスク!?」

 

「無粋な…!」

 

するとエンブリヲは目標をタスクに向け、それに歌いだす。

 

「!? 行けない! タスク!」

 

アンジュはタスクの元に行く。っとその時だった。海面から機動特装戦艦リュミエールが浮上し、主砲がエンブリヲの方に向けられる。ブリッジには、アカリや連れさらわれようとされていた所をセシルやメタリカに助けられたヴィヴィアンが気を失っていた。そしてアカリが光学兵器を発射しようとするエンブリヲに向けて、指差す。

 

「撃てぇ!!」

 

アカリの声と共に、リュミエールの主砲である"50口径50cm収束砲 レーヴェ・カノーネ"を発射され、エンブリヲの機体からも光学兵器が発射されるが、エンブリヲの光学兵器がリュミエールの主砲にかき消されてしまう。

 

「ほぉ?」

 

エンブリヲは納得したかのような表情を表す。アカリや皆はリュミエールを旋回させ、次の主砲を向ける。

 

「もう一発!!」

 

アカリの声と共に、主砲から収束ビームが放たれる。

エンブリヲは光学兵器を間一髪でかわし、空に直撃して巨大な渦が発生する。そしてその隙にセシルとメタリカのハウザーとレイザーが急いでリベリオンとグレイス、ティアを回収し、リュミエールへ向かう。

 

「くっ!…忌まわしき旧世界の遺物が!」

 

エンブリヲはそう呟き、光学兵器を発射しようとする。リュミエールへ回収したヴィルキスとリベリオン。そしてブリッジにいるアカリが面舵を握っているエグナントに命令する。

 

「回収完了!次の目的地!その名も"ヴァールハイト・グルント(真実の地球)"!!」

 

するとアカリの問いに答えるかの様にリベリオンとヴィルキスのカメラアイが光り、リベリオンはゼムリアン・フォルムからアトランティカ・フォルムへ、ヴィルキスは青色へと変化していく。

エンブリヲはまたしても光学兵器を発射させる、だがすでに遅し、グレイス達とアカリの乗るリュミエールはその場から消えていき、海へと直撃して巨大な渦が出来る。

 

「ほぉ…」

 

上空を飛んでいるエンブリヲが少し驚いた表情になる。

 

「つまらん筋書きだが、悪くない」

 

だがすぐに、彼が良く見せる薄く笑った表情になると、そう呟いたのだった。そして、

 

「さて、取り敢えずはここまでか。では、彼女たちを可愛がりにいくかな。帰るよ…我が子達♪」

 

「御意…」

 

ヘリオスはそう呟くと、エンブリヲと共に瞬時に姿を消したのだった。そして当事者たちが全て姿を消した海は、いつもの穏やかな姿に戻ったのであった。

 

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