クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン 作:オービタル
翌日、グレイス、アンジュ、タスクと共にアウローラでジル達と作戦会議を開いていた。
「よく眠れたか?」
「まぁな……」
「それは結構、ではお前たちに任務を与える。ドラゴンと接触、交渉して同戦線の構築を要請しろ」
それにアンジュとタスクは驚きの表示を隠せなかった。
だが、グレイスは訝しんでいた
「どうした?お前の提案通り、一緒に戦うと言っているんだ」
「………本気ですか?」
「リベルタスに終止符を打つには、ドラゴンとの共闘。それがもっとも合理的で効率的だと判断した」
それには流石のジャスミン達も驚きを隠せずだった。
ジルの話しを聞いたタスクは笑みを浮かばせながらアンジュの方を向く。
「アンジュ…!」
「うん!」
アケノミハシラにエンブリヲとディメントが居ることが判明し、そこにドラゴン達と共にミスルギ皇国に進行すると言う作戦。
ドラゴン達は前方から攻めて、薄くなった後ろから攻撃するという。
最もアンジュ達の目的はアウラを開放する目的が一緒な為、これが効率の良い作戦だと感じたアンジュとタスク。しかしグレイスは…。
「これだと、ドラゴン達が大きな負担になってしまいます。それに……サリアさん達は?」
その事にジルは思わず鼻で笑う。
「持ち主を裏切る様な道具はいらん」
「道具って……!だってサリアよ!?」
アンジュは反論する。
アルゼナル時代、一応は世話になった仲間だ。
サリアだけではなく、エルシャとクリスも葬る。
「全てはリベルタスの為の道具に過ぎん。ドラゴンも、アンジュも、グレイスも、私も」
「まさか……ドラゴンを捨て駒にするのですか!!こんな作戦、協力できません!!」
「なら、協力させるようにしてやる」
映像に映し出されたのは、モモカが囚われていた。
「減圧室のハッチを開けば侍女は一瞬で水圧に押しつぶされる」
「ジル!!アンタの仕業かい!!」
「聞いてないよ、こんなこと!!」
ジャスミンとマギーもジルの所業に異論を唱える
どうやら、ジルの独断で行動したようだ。
「アンジュ、グレイス。お前たち二人は命令違反の常習犯だ。予防策を取らせてもらった」
「アレクトラ……!」
タスクは以前とは全く違うジルの行動にただ戸惑いを隠せない。
「救いたければ作戦を全て受け入れ!行動しろ!」
「あなたは…自分が何をしているか分かっているのですか!?」
グレイスはジルを睨みながら問い、それに笑いながらジルは言い続ける。
「リベルタスの前では全てが駒であり道具だ。あの侍女はアンジュを動かす為の道具、アンジュはヴィルキスを動かす道具。そして……ヴィルキスはエンブリヲを殺す究極の武器!!」
アンジュが銃を取り出してジルに向ける。
「ふざけるな!!モモカを解放しなさい!!今すぐ!!!」
次の瞬間、ジルに銃を奪われて、アンジュはジルに腕を捕まれ引き寄せられる。
「ジル!!」
グレイスはジルを殴りにかかるが、蹴飛ばされて壁に激突した。
「グレイス!!」
「タスク、お前はヴィルキスの騎士。お前はヴィルキスを護れば良いのだ!」
「アレクトラ…!!」
もう完全に昔のジルではないと感じたタスクはジルを睨むしかなかった。
「さあ、お前の答えを聞こうかアンジュ」
「く…くたばれ!」
アンジュはジルに向かって唾をかけ、唾を掛けられたジルはアンジュを睨む。
「どうやら少しお仕置きが必要だな……」
ジルがアンジュに拳を上げた途端―――。
「いい加減にしろ!!!」
グレイスがリベロへとなり、ジルの脚に噛みつく。
痛さにアンジュを離し、転ぶジル。
片方の足でグレイスの腹を蹴飛ばし、銃を構える。
「貴様……!?」
ジルたちの身体が急に動かなくなり、ジャスミン達は徐々に意識が失っていった。
何とか意識を保っているジルは換気口を見て、換気口から何かガスが出ているのに気が付く。
「ガスか…!」
「ああ……昨晩、シュレディンガーたちと話して万が一の為に仕掛けておいたんだ」
タスクはアンジュとグレイスにガスマスクを渡し、すぐにつける
「タスク!貴様もか…!!」
「アレクトラ、もうあんたは俺の知っているアレクトラじゃない!」
「貴様、ヴィルキスの騎士が!リベルタスの邪魔をするのか!!」
その事にタスクは真っ直ぐな目線でジルを見ながら言う。
「俺はヴィルキスの騎士じゃない!!アンジュの騎士だ!!」
それにアンジュは思わずタスクを見て、グレイスはフッと笑う
三人は急いで部屋から出る
「惚れ付いたか…ガキが!」
モモカたちを助け出した同時にグレイス達はヴィヴィアンと合流し、
格納庫へとたどり着き、パラメイルに乗ろうとするが――――。
「逃げ出す気か!アンジュ!」
皆が前を見ると、ジルの姿がいた。
しかも、ジルの足にナイフを刺した後があり流血していた。
強引に催眠から覚めるために刺したのだろう。
それほど、リベルタスを成功させたいという執念だからこそだ。
「うげ、足にナイフを刺すとか無茶苦茶だろ……」
「逃がさんぞ…アンジュ! リベルタスを成功するまではな!」
「私の意思を無視して戦いを強要するって…人間達がノーマにさせている事と一緒じゃない!!」
アンジュが相手にしようとするがリュガが止めに入る。
「……俺が相手をする」
グレイスはファイティングポーズをとる。
「お前が勝ったら、俺を煮るなり焼くなり好きにしてもいい。アンジュさん達は下がっててくれ」
ジルはナイフを構えてグレイスを斬りにかかるが、避けて蹴りを放つ。
互いの攻防が続くが、ジルはグレイスに強く言う。
「お前は人間を殺したんだ!!そんなお前だからこそ、リベルタスを成功させるために必要なんだ!!」
「黙れ!!」
グレイスが怒鳴り、ナイフを取り出し、ジルに斬りかかる。ナイフ同士がぶつかり合う。
「アンタの言いたいことは解った……だがな!!」
グレイスはジルの腕を掴んで投げ飛ばすが、ジルは両手をついて一回転して着地する。
「俺はもう……誰とも従わない、お前やあの変態親父の言いなりでもない!アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ!!」
「っ!!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
鋼の義手で殴りにかかるが、グレイスは掴み、頭突きをブチかます
強烈な一撃で意識が朦朧としかけているジルだが両膝をついて倒れた。
「何故だ!?……何故なんだリベロ……エンブリヲの因子であるお前が何故……」
「言っただろ……俺は、誰の支配下にもならない。今度こそ、大切なみんなを守る為にな」
だが、ジルは立ち上がろうとするが――――
「もうやめな!ジル!」
突然の声にグレイス達は振り向くと、マギーに支えられやって来るジャスミンが居た。
「解っただろ。あんたのやり方じゃあ……無理だったんだよ」
聞いたジルは歯を噛みしめながら悔しがり、そのまま意識が途切れてしまう。
海面に出たアウローラ、格納庫ハッチが開く。
「グレイス、俺たちはここに残って帰りを持つよ。待つ奴がいれば気が楽だろ?」
エグナントとアカリがグレイスに言う。
「ありがたいです。」
「これからどうするんじゃ?」
「もう決まっている。僕達がリベルタスをやります」
「あの人のやり方は間違ってはいたけど、やっぱりノーマの解放は必要だもの…。私達がやるわ、リベルタス」
「ああ、俺達を信じてくれる人たちと……俺達が信じる人たちと一緒にね」
グレイス、アンジュ、タスクがそう言ってジャスミンは笑みを浮かばせる。
ヴィヴィアンも連れて空へと飛び立ちサラたちの世界へ飛ぼうとするが――――。
そこにヘリオスのアイオロス、プロメテウス、ハーミットとサリア達のクレオパトラ、レイジア、テオドーラが向かって来た。
「そこに居たのね…アンジュ」
クレオパトラに乗っているサリアはアンジュを見てそう呟くのだった。