クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第四十一話:機神帝の目覚め・中編

 

一方ミスルギ皇国の方ではアンジュ達を連れて行っているアストラ達にアンジュは問う。

 

「ずっと気になって居たのだけれど、どうして貴方達がミスルギ皇国に…?」

 

「簡単な質問だな。我々は父君が此処におられるから居るだけだ、それだけだ」

 

「私は親父の思い通りになれば良い、そして人間共を一人残らず絶滅する!」

 

アトラスの言葉にアンジュは黙り込み、それにヘリオスは言う。

 

「アトラス、お前はただ暴れれば良いだけなのか?もう少し真面目に考えろ……それに、父君に勝手な独断行動は許さんぞ」

 

「ああ?? 何でだヘリオス!これが私の最高のお真面目なんだよ!」

 

「どこがだ!貴様はただ単に暴れているだけだ!」

 

っと言い合いを始めた事にファントムは呆れながら二人を止めに入った。

 

「止めろ。今はそんな事をしている場合ではないだろ?」

 

「フッ、そうだな。アンジュリーゼ…!?」

 

アトラスがアンジュの方を見ると、アンジュとモモカは既に消えていて、それに三人は慌てて探し回る。

 

「ど!何処に行った?!」

 

「クソ!あの皇女は元々この宮殿に住んでいた子だ! どこに逃げるかも知っている!!」

 

アトラスの言葉にはファントム「愚か者…」と言いながら別れて探しまわり、壁の一部にわずかな隙間が開いており、そこにアンジュとモモカが居た。

 

「よく知ってるじゃない。私の家をなめないでね…」

 

そう言ってアンジュとモモカは庭に通じるダクトを通る。

 

そして庭へと出たアンジュとモモカはエンブリヲを探そうとした所に…。

 

「ああ~!アンジュお姉様だ!」

 

っとアンジュはアルゼナルに居た幼年部の子供たちに見つかってしまい、それと一緒に居たエルシャにも見つかった。

 

「あらあら、アンジュちゃんを追い詰めるなんて。みんなやるわね」

 

「エルシャ…」

 

アンジュはエルシャを見ながら呟き、エルシャから事情を聞き出した。

 

今の彼女は『エンブリヲ幼稚園』と言う園長を務め、そこで子供たちの世話をしていた。

そして信じられない事に幼年部の子供たちは一度死んだと事を聞かされて、アンジュとモモカは驚いた。

 

「死んだって…!」

 

「そんな事、マナの光でも不可能です!」

 

「エンブリヲさんがね、あの子たちを蘇らせてくれたのよ。そしてエンブリヲさんがあの子たちの幸せな世界を作るんだって。私はその為なら何だってやるわ、ドラゴンもアンジュちゃんやレオン君達を殺す事もね…」

 

「エルシャ…」

 

エルシャの相当な覚悟を聞いたアンジュは思わず息を飲む、そしてモモカに行こうとした所…。

 

「見つけたぞ」

 

「!?」

 

アンジュとモモカはヘリオス達に見つかってしまった。

 

「行くぞ…あまり手を焼かすな」

 

「っ…」

 

「私も一緒に言って良いかしら」

 

っとアンジュとモモカは振り向くと、そこにクリスがやって来た。

そしてヘリオス達とクリスがアンジュ達を連れて行く中、アンジュがクリスにヒルダ達が裏切った事を問う。

 

「ねえクリス、どうして裏切ったの?ヒルダ達怒ってたわよ」

 

「怒る?怒ってるのはこっちよ…!見捨てて置いて!」

 

っと意味が分からない事にアンジュは頭を傾げる。

クリスからの話だと、彼女はアルゼナルに攻撃して来た特殊部隊達を撃退した際、パラメイルで出撃した時に生き残っていた部隊の一人に攻撃を食らい、シャフトにぶつかってしまう。

ロザリーから助けに行くと言った際にクリスが乗るパラメイルが爆発、その時に助けたのがエンブリヲだと言う。

 

その時アンジュは分かった、クリスは思い違いをしている事に…。

 

そしてある扉の前に付いて、ヘリオスはノックをする。

 

「失礼します」

 

『入りたまえ』

 

っと聞き覚えのある声がして、ヘリオスは扉を開ける。

 

そこにエンブリヲとディメントがチェスをしている様子だった、アンジュは更に警戒を強める。

エンブリヲはアンジュの方を見ると、笑みを浮かばせて立ち上がる。

 

「やあ、よく来たねアンジュ…待っていたよ」

 

「エンブリヲ…!」

 

「そう怖い顔をしないでおくれ。やっと君に『待て、エンブリヲ…』何だい?ディメント」

 

っとエンブリヲはディメントの方を見て、ディメントは腕を組んだまま目を閉じる。

 

「まだチェスの最中だ。勝手な事は許さんぞ」

 

「おやおや…君も随分とせっかちだね、残念だけど私は用事が出来た。これで失礼するよ」

 

「フッ、お前の得意とするずる賢い所か…。くだらな過ぎる」

 

そうディメントは立ち上がった瞬間に姿が消えていき、それにアンジュは驚く。

 

「何…?!」

 

「何、彼の得意分野の一つでね。さてアンジュ…少しばかり君に見せたい物がある、付いて来たまえ」

 

そうアンジュに言い、アンジュは警戒したまま付いて行く

 

その頃、新生クアンタ帝国の宮殿では、一輝とロビンを寝かしつけようと、シンディが絵本を読んでいた。勇人の方は宮殿の中庭である人と話していた。

 

「はい……ギデオン侯、助けが必要なのですーーー」

 

相手は、陽弥の父であるシン・ギデオンであった。彼は

 

『分かっている。君から受け取ったあの人工知能。既にAIに施されていた行動制御プログラムなどは解除。及び奴らにによるAIの消去といった介入も不可能にしてある。』

 

「ありがとうございます。」

 

『それともう一つ分かったことがあるんだ。』

 

「分かった事?」

 

『彼がこの世界に運び込まれて、そしてDNA検査した結果。そのグレイスは……エンブリヲの遺伝子の因子と、他者の遺伝子が激しくぶつかり合っているのだ。』

 

「ぶつかり合っている?」

 

「遺伝子には、同調と言うものがある。それを成せば、人間と言うより、新たな生命が生まれる。だが、この遺伝子は珍しい……激しくぶつかり合っていて、まるで配下にならない様プログラミングされている。きっとあの子は…………赤ん坊の頃に誘拐されて、遺伝子改造されたと思う。」

 

「赤ん坊の頃に?」

 

「うん…今、彼の遺伝子を解析をして、母親が誰なのか調べている。……あ!後、それと……もう一つ分かったことがある。あの人工知能のプログラムとメモリに、【フリューゲルス】と言う規格外品。つまりエンブリヲが使用しているラグナメイル“ヒステリカ”よりも前、もう一つ開発されたラグナメイルがあるのだ。」

 

「【フリューゲルス】……『翼』の名を持つ」

 

「そうだ。私はこのフリューゲルスを…『降臨の光帝』と名付けようと思う。」

 

「“聖天使”と名付ければ良いでしょ?」

 

「……それもそうだ。そのフリューゲルスの資料を解析した結果。素晴らしいよ、その機体……武装も愚か、洗脳と言うプログラムを破壊し、マナの加護から解放できるシステムも組み込まれている。」

 

「因みに…武装は?」

 

「あぁ、その事だがーーー」

 

「?……シンさん?もしもーし?」

 

勇人は首を傾げ、デバイスを切る。

 

 

その頃アンジュはエンブリヲに連れられてアケノミハシラに連れられていた。

 

そしてエレベーターで最下層に降りて、アンジュの目にある光景は映る。

 

「アウラ…!」

 

アンジュの目の前にアウラがドラグニウム発生器らしき物を付けられて幽閉されていた。

 

「どうだいアンジュ、あれがドラグニウムだ。この世界の源であるマナは此処から発せられている、これで色々な事を楽しめたよ」

 

「貴方…!アウラを発電機扱いにしてるのね!?」

 

その事には全く否定しないエンブリヲは笑みを浮かばせる。

 

「ふふふ、人間達を路頭に迷わせる訳には行かないだろう、リィザの情報のお蔭でドラゴン達の待ち伏せは成功し、大量のドラグニウムが手に入った。これで計画を進められる…私の計画が」

 

そう話すエンブリヲにアンジュは睨みかましていると、エンブリヲの後ろに銃があった事に気が付いたアンジュ。

アンジュはエンブリヲの銃を奪い、頭に銃を突きつける。

 

カチャ!

 

「アウラを解放しなさい、今すぐ!」

 

銃を構えているアンジュに対しても余裕をかましているエンブリヲ。

 

「おやおや、ドラゴンの味方だったのか」

 

「いいえ…貴方の敵よ! 兄を消し去り…グレイスとタスクを殺そうとして、沢山のドラゴン達を殺した…敵と考えるのは十分だわ!」

 

「ふふふ…君のお兄さんは少女たちを皆殺しにしてその罪を受けたのだよ、それ失敗作は今の内に殺した方が私の計画の妨げになる…特にあれは私を追い詰めた子だからな…」

 

っとその事を聞いたアンジュは驚く。

 

「貴方…知っていたの!」

 

「勿論だとも、あれは私の計画の邪魔者でしかない。だがもう失敗作はヘリオス達によって葬られた…これで私には怖い物なしだ」

 

「そうは…させないわ!」

 

バッーーーン!!!!

 

アンジュが持つ銃がエンブリヲの頭部を撃ち抜き、エンブリヲは血を流しながらそのまま倒れる。

 

「ふぅ…、さて…どうやってアウラを助けようかしら」

 

「無駄だよ」

 

っと聞こえた方を向くと、何事もなかった様に立っていたエンブリヲが居た。

 

「どうして?!」

 

アンジュは倒れた方を見るとエンブリヲの死体が無く、それにアンジュはエンブリヲを睨みつけて再びエンブリヲの頭を狙い、エンブリヲの頭を撃つ。

それに抵抗せずにエンブリヲは頭部を撃たれて倒れる。しかしまた別の場所からエンブリヲが現れる。

 

「無駄だと言っているのに…アンジュ」

 

「あ…貴方、一体…?!」

 

「アレクトラから聞いているだろう…?」

 

っとその言葉にアンジュは思い出す、アルゼナルでジルが自分にリベルタスの事とそしてこの世界を作った者の事を…。

 

「神様…」

 

「その呼び方は好きではないな…、調律者だよ」

 

「調律者…?」

 

アンジュはエンブリヲの言った言葉に呟く。

 

「そうだ…」

 

「!?」

 

後ろから別の者の声がしたアンジュはすぐさま後ろを向くと、そこにはディメントが居た。

 

「その者は調律者。世界を正す者として生きているのだ。1000年間ずっと生き続けてな…」

 

「はぁ~!? 1000年?!」

 

「そうだよアンジュ、私は死なないのだ」

 

そう言ってエンブリヲはアンジュの元に近づき、アンジュは近寄るエンブリヲに銃を構える。

 

「来ないで!!」

 

「そんなに冷たい言い方はしないでくれたまえアンジュ、それに私は君に頼みたい事があるんだ」

 

っとそう言ってエンブリヲは片膝を付いて、手を刺し延ばす様に振る舞う。

 

「アンジュ…私の妻となっておくれ」

 

「はぁ?!!」

 

エンブリヲの馬鹿発言を聞いてアンジュは思わず声が出て、ディメントは鼻で笑う。

 

「フッ、やはり貴様はその女が目当てか…」

 

「まあね、どうだいアンジュ?私と共にこの世界を新しく作り直そうではないか」

 

そうエンブリヲに聞かれたアンジュの答えは…。

 

「フッ!!お断りよ!! 死んでもあんたの妻になんか絶対にならないわ!!!」

 

アンジュは完全にエンブリヲの誘いを断ち切り、それにはエンブリヲは呆れかえる。

 

「フッ…やれやれ、困った花嫁だ」

 

「誰が花嫁よ!!勝手に名づけるな!!!」

 

そうアンジュは銃を構える、するとディメントが禍々しい気ででアンジュの持つ銃の銃口を握りつぶす。アンジュは思わず手を抑えると何時の間にか後ろに回り込んだエンブリヲがアンジュの腕を捕える。

 

「ぐっ!!!」

 

「本当はやらせる気はなかったのだが…、言う事を聞かない子には少しばかりお仕置きが必要だ」

 

っとエンブリヲはアンジュと共に別の場所へと連れて行く様に転送される、ディメントはエンブリヲの飽きない女好きに呆れる。

 

「フッ、エンブリヲめ…飽きない女好きにも困るものです。それにこのディメント様の姿で居られるのも、大概にして欲しいです。」

 

そう言ってディメントの体が砂鉄へと変わり、排水溝へ入り込み、その場から消え去る。

 

その後、勇人は二人の子供部屋に入る。そこにシンディがおり、二人の息子が寝静まっていた。

 

「二人は?」

 

「ぐっすり寝ちゃってる♪」

 

「そうか♪」

 

勇人とシンディは子供部屋から出て、仕事へ戻る。だがこの時、子供部屋にディメントが既に入り込んでいた。ディメントは光学迷彩を切り、寝ている一輝とロビンを見る。

 

「勇人……貴様に本物の悪夢と言う物を見せてやる♪」

 

ディメントはそう呟き、通信を入れる。

 

「作戦開始だ……始めろ…」

 

ディメントは帝都内に潜伏し、待機しているグリニア帝国残党兵に命令し、通信を切る。ディメントは持っていたガスを一輝とロビンの口に催眠ガスを放入する。二人が気絶すると同時に、爆音が鳴り響く。

 

「時間を稼いでおくれよ……フフフ♪」

 

ディメントは呟き、二人が寝ていたベッドの上に、手紙を置き、姿を消すのであった。

 

一方、グレイスは外から爆発音が鳴り響き、ベッドから転げ落ちる。

 

「何!?」

 

グレイスは急いで状況を確かめに、窓を見る。カーテンを開くと、そこに映った光景は……。

 

「っ!!?」

 

あちこちで、街が爆発が起こり、宮殿内の兵士達が慌てていた。

 

「グレイス!」

 

「勇人さん!何があったのですか!?」

 

「グリニアだ!ディアヴォリアスの残党兵だ!!」

 

勇人は急いで格納庫へ向かい、グレイスも勇人の後を追う。一方、シンディは子供部屋まで駆けつけ、扉を開ける。

 

「!?」

 

だがそこには、もぬけの殻であった。

 

「一輝!?ロビン!?」

 

シンディは子供部屋を漁り、二人の子を探す。するとその中に、ある手紙が落ちている事に気づく。シンディは封筒を開き、手紙の内容を見て、絶句するのであった。

その頃、勇人とグレイスはグリニア残党を一掃していた。グリニア残党兵のヘビーマシンガンやロケットランチャーを砲弾が乱射する中、勇人は素早い回避行動で接近し、神刀スサノオを鞘から抜刀し、グリニア残党兵を一刀両断していく。

 

「グレイス!」

 

「?」

 

勇人は腰に下げていた手製の日本刀をグレイスに投げ渡す。日本刀をキャッチしたグレイスは、鞘から刀を引き抜き、突き構える。するとグレイスの髪が金色の長髪へと変わる。

 

「後方支援は任せろ…荒神」

 

「頼む…リベロっと言っていいかな?」

 

「……好きにしろ。」

 

リベロはそう言い、二刀流の鉈を持ったグリニア残党兵に斬りかかる。勇人もリベロに遅れを取らず、切り裂いて行く。すると二人の頭上に巨大な影が現れる。それはグリニア残党兵のシールドコルベットであり、勇人達の上空を浮遊していた。シールドコルベットは下部の対空砲が勇人達に向けられる。

 

「くっ!」

 

勇人がスサノオを構えた瞬間、対空砲が爆散する。

 

「っ!!?」

 

対空砲が爆散したと同時に、次の対空砲も爆散して行く。よく見ると、対空砲が爆散する直前、何かが飛んできて、それが対空砲を破壊していると、勇人はその飛んできた何かが何処からか確認する。

 

「え!?」

 

勇人は驚く、何故ならその飛んできた何かの正体は……後ろにいたリベロが工事現場に置かれていた数十メートルもある鉄柱を蹴り投げていたから、蹴り投げられた鉄柱はとてつもないスピードで、対空砲を破壊して行く。まるで電磁波を流していない運動エネルギー弾として、さらにシールドコルベットの電磁シールドをいとも簡単に突き通し、装甲を貫通して行く。

 

「嘘だろ……」

 

勇人が唖然していると、リベロの体が光りだす。

 

「勇人さん…何か、分かってきました。」

 

「?」

 

「守るって言う事が何かです。“守る”……それは、物ではなく、愛する者を命がけで死守する事。10年前……俺が、あのクソ親父や兄弟、ディメントに勝てたのは、セレスを守ろうとして、彼らを死へ追いやろうとしていた。だから!俺は…いや、僕はもう!迷わない!!」

 

リベロ…いや、グレイスの体が強く光りだす。彼の体からグレーのスーツと白銀のプロテクトアーマーが現れる。そして長髪が金髪から白金に満ちた長髪へと変わり、侍と思わせる巻き毛を靡かせていた(分かりやすく例えるなら、MHXXの髪型の種類。前髪が“TYPE19”、横髪が“TYPE20”後髪が“TYPE3”をロングにした感じです。)さらに目の色も違っていた。左目がグレイスの蒼眼、右目にはどういう事か、傷跡があり、リベロの碧眼をしたオッドアイになっていた。

 

グレイスは持っていた勇人の日本刀にオーラを流す。すると日本刀の形状が変わり、碧色に光り輝く刀へと変わった。

 

「行くぞ…」

 

グレイスはそう呟くと、雷電の如く速さで、グリニア残党兵に高周波ビームブレードを振り下ろす。電光の如く、屈折しながら襲われている市民や兵士達を助けて行く。

 

「速い……なら、俺も!」

 

勇人も体を光らせ、武神の如く姿。『荒神化』し、スサノオとシャイニングオブダークを抜刀し、上空を浮遊するシールドコルベットに向かって、粒子発勁を放つ。コルベットのシールドが砕け、装甲に巨大な手形ができる。ブリッジにいるグリニア残党兵が慌てながら、損害状況を報告していると、目の前に、グレイスと勇人が掌を突き構えていた。

 

《っ!!?》

 

「「號雷!粒子発勁!!」」

 

二人の声と共に、拳から二つの粒子発勁が放たれ、コルベットの艦橋ごと吹き飛ばした。艦橋を失ったコルベット艦はぐらりと傾きながら、回転し、落下して行く。

 

「っ!!」

 

「まずい!!」

 

勇人とグレイスは帝都へ落下して行くコルベット艦へ急ぎ、下から支える。両者はスラスターの出力を最大値に上げ、グレイスの腰のスラスターと勇人の肩部と背部のスラスターが火を噴く。しかし、コルベット艦の重量に、圧される。

 

「クソ!重すぎる!」

 

「もっと……もっと!力を!!」

 

グレイスは諦めず、スラスターの出力を上げる……すると、グレイスの周りに翠色に発光するオーラと粒子が溢れる。それを見て勇人は驚きながら呟く。

 

「ドラゴニウムの輝き……」

 

「……うおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

グレイスの体が強く光り出し、形や姿が変わると同時に、巨大化していく。勇人はグレイスの姿に覚えがあった。

 

「その姿は!!?まさか!!」

 

勇人がそう言うと同時に、コルベット艦が粒子化し、消滅していく。そしてグレイスの頭の中に誰かの声が響き渡る。

 

『……オイデ……オイデ……ココニ……』

 

頭の中に浮かびあったのは、サラのいる真実の地球。そして月……モーント・ウィガー……格納庫の中に入っている機体が、翠色に光り輝くソリッドアイからツインアイへと変わり、グレイスを呼ぶのであった。その時、勇人の声がグレイスと連呼してくる。

 

「レイス……グレイス……グレイス!」

 

「っ!!?」

 

「大丈夫か!?」

 

グレイスは目を覚ますと、目の前に勇人が連呼していた。

 

「あ……大丈夫です」

 

「良かった、いきなり気を失ったから、驚いたぞ」

 

「…………」

 

グレイスは起き上がると、市民や兵士の安否確認をする救護班チームや瓦礫の撤去作業をしていた。

 

「僕は一体?」

 

「アドベント・オブ・チルドレンになって、コルベット艦を粒子化させたんだ」

 

「え?……僕がアドベント・オブ・チルドレンへ?」

 

「あぁ……その証拠に見ろ。お前のその姿を…」

 

グレイスは自分の姿を見る。

 

「何これ!?」

 

「覚醒した事に気付いていなかったのか?」

 

「……全然。」

 

「はぁ〜……」

 

勇人は呆れていると……。

 

「勇人!」

 

「?」

 

勇人の元に、シンディが駆けつけてきた。

 

「シンディ──っ!?」

 

突然シンディが、勇人の胸に飛び込み、泣き崩れる。

 

「え?」

 

「一輝と…ロビンが……」

 

「!?……一輝とロビンがどうした!?」

 

勇人が問いかけると、シンディはある手紙を勇人に渡す。勇人はその手紙を読み始める。

 

「『 やぁ、勇人・ブリタニア・クアンタ殿下。御機嫌よう♪悪いが、アンタのガキ二人は預からせてもらった。

グリニアは良い時間稼ぎに使えたからなぁ……。おっと、下手に全員で来て見ろ…二人のガキがどんな風になっているか分からんぞ♪二人のガキを返して欲しければ、失敗作とお前だけで来い。俺の復讐は…止められないぞ♪ Dr.ディメントより』」

 

ディメントの手紙を読んだ勇人は、怒りを込み上げ、手紙を引き破る。

 

「己れ……己れぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

息子二人がディメントに誘拐された事に、勇人は断末魔の怒声を天まで叫び続けるのであった。

 

 

その頃、グレイスの世界では……海底で潜めているリュミエールのテックラボルーム(研究開発室)では、アカリが実験台に寝かされている怪物(改造された少女の亡骸)を調べていた。

 

「ん〜〜〜〜……」

 

アカリは何やら厳しい表情で、亡骸から摂った血液を顕微鏡で覗いていた。するとそこに、ジャスミンとバルカンがやってきた。

 

「姐さん、眠らないのかーーー何を調べているんだ?」

 

「これじゃよ…」

 

「そのデカ物……グレイスが守れなかった少女の末路かい?」

 

「そうじゃが、一番見て欲しいのは……これじゃ!!」

 

アカリはそう言い、置いてあったトーチで顕微鏡で見ていた血液を焼き尽くす。

 

「いきなり何なーーーっ!!?」

 

「焼いた筈の血液を見て!」

 

焼かれた筈の血液が、黒から元の赤い血液へと戻り、生き物の様に動き始めた。

 

「何だこれは!?」

 

「亡骸はもう既に心臓や内臓を抉り取った筈なのに、血液の細胞はこの通り、まだ生きておるのじゃ!しかも、細胞の一つ一つが、見たこともない遺伝子で組み合わさっておるのじゃよ!」

 

「と言うと?」

 

「これを作り出したのはDr.ディメント……うちらが相対しているエンブリヲなのだが、何故か脳みそと心臓がエンブリヲではなく、Dr.ディメントに危険信号を出しておるのじゃ。Dr.ディメントは…ただの狂った科学者〈マッドサイエンティスト〉ではないと思うのじゃ!」

 

「何だって!?なら、あの子達に知らせておくか?」

 

「そうしてくれ、一応タスクのアシッドも、武装強化させなければ……」

 

二人は互いに頷き、行動を開始する。アカリはスポイトで血液を吸い取り、また厳しい表情する。

 

「(これは…うちらの世界のどこにもない……こんな得体の知れない物騒な生物兵器を、一体どうやって?)」

 

アカリはそう考えながら、血液を見るのであった。

 

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