クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第一話:無人島の青年

 

古い施設が無人島を離れた少年はリベリオンに騎乗したまま、ラルスからこの世界の事に付いて学んでいた。

 

『マナ』

 

人類が進化の果てに得たとされる魔法に似た技術。マナをあつかえることが「普通の人間」の絶対条件であり、

念動力のように物質を浮遊・移動させたり、拘束・防護用の結界を張ることも可能になっている。また、統合システムへのアクセスによって情報共有が可能になり、マナとの使い間でのコミュニケーションツールともなる。これらマナ技術の発展により、戦争や貧富の差も消滅したとされたと……。

 

 

『ノーマ』

 

マナの力を持たず、他者のマナの力も無効化する人間を指す蔑称。遺伝子操作前の旧人類の因子を持つ突然変異種で、女性にしか発生しない。常に一定数のノーマが生まれ続ける。ノーマは皆、"アルゼナル"と言う島と一体化している施設で保護されている。

 

 

"ドラゴン(DRAGON)"

 

アルゼナルのノーマたちが戦う人類の敵。「Dimensional Rift Attuned Gargantuan Organic Neototypes」(次元を越えて侵攻してくる巨大攻性生物)の各単語の頭文字をとって名付けており、空間に門(ゲート)を開いて現れる。外見は絵本やファンタジーに作品に出てくる登場するドラゴン(飛竜)に酷似している。個体差が大きく、体格によって「ブリッグ級」や「ガレオン級」、「スクーナー級」、「フリゲート級」などに分類されており、特殊な重力場を発生させる「ビッグホーンドラゴン」という亜種なども存在する。肉食性であり、メイルライダーも捕食対象となっている。凍結されたものは人類に回収される。

知能も相応にあるため、戦況に応じた攻撃方法を用いたりする。ガレオン級などの大型種になると、魔法陣の発動で防御壁の展開や固有の特殊攻撃を行ううえ、驚異的な生命力を持つ。また、それまでにノーマたちの討伐部隊が遭遇したことがない個体は「初物(はつもの)」と称され、それを討伐、戦闘記録を回収するなどしてもライダーの報酬が跳ね上がると言われている。

 

世界の事を理解した少年は"マナ"と言うシステムに付いて深く考える。

 

「マナってそんなに便利なの?」

 

『はい、そのシステムのお陰でこの世界は戦争や貧困はなくなりました。ですが、"ノーマ"は別です。』

 

「う〜〜ん……分からないなぁ、マナが使えないだけで差別されるなんて…おかしいなぁ…。」

 

『それがこの世界の秩序と法則です。』

 

「この世界の秩序と法則って……誰が決めたの?」

 

『"神様"です』

 

「神様って?」

 

『神様は神様…私を作った偉い人です。』

 

「ラルスを作った人!?会ってみたいなぁ♪」

 

少年は喜んでいると、ラルスが報告してきた。

 

『目標座標軸: 0473,-3.43,00.336に到着します。』

 

前方に目的地である無人島が見えてきた。少年はリベリオンの出力を上げ、急いで向かう。島に到着した少年は辺りを見る。さっきの島と違って、森林が多く、砂浜も広かった。

 

「良し!ここならキャンプも出来る♪」

 

少年は、リベリオンを駆逐形態に切り替え、それを柱とし、大きな葉を掻き集める。

 

「大きなぁ……ん?」

 

すると目の前に洞窟があったのだが、中を見てみると居住スペースになっており、家具が一通り揃っていた。まるで誰かが住んでいるかの様に……。少年は中を見てみると、頭の中である言葉が浮かび上がった。

 

「"誰かがいる"……と言うことは!!」

 

少年は急いでリベリオンの所へ戻る。

 

「(何でだろう?……何でこんな判断が出来たの?何でこんなに必死になっているんだ?)」

 

少年が砂浜に出ると、リベリオンを見上げている一人の青年がいた。

 

「誰!?」

 

少年の声に青年は振り向く。

 

「この機体……君の?」

 

「……そうだけど」

 

「君は?『彼の名はコードネーム"RBL-1272"です。』ッ!?喋った!?」

 

青年はリベリオンからラルスの声が発声した事に驚く。

 

「ラルス…」

 

『はい』

 

「ここは一旦説明も入れて一緒に話そう?」

 

『…はい』

 

「僕は、さっきラルスが言ったコードネーム"RBL-1272"…それが名前かな?それでこっちが…」

 

『ラルスです。このリベリオンの対話インターフェイス搭載の人工知能です。よろしく』

 

「俺はタスク…この島で暮らしている。君達は一体?」

 

「う〜ん……実は。」

 

少年はこれまでの経緯を説明した。自分がなにものであり、どうしてその場所で眠っていたのかも……。

 

「つまり、君は記憶喪失と言うことか…」

 

「うん…でもラルスのおかげであの機体の操作方法が分かったから何とかなったんだ。」

 

「人工知能搭載の機体か…凄いなぁ。でも、あのリベリオンって言う機体……あの頭部の形状、何処かで……。」

 

タスクはリベリオンを見つめる。

 

「タスクさん?」

 

「……え?あ、嫌…何でもない」

 

「……本当に?」

 

「それより…あ〜…コードネーム…RB…L-12…72…だったかな?」

 

「はい…」

 

「ダメだ…何か言いにくい……もっといい名前……そうだ!じゃあ"グレイス"君の名はグレイスつて言うのは?」

 

「グレイス……それって?」

 

「『思いやり』や『神の恵み』って言う由来なんだ。君は冷静で心が優しい…だからグレイスだ」

 

「グレイス…グレイス…悪くないな」

 

少年改めグレイスの名前が決まったのであった。

 

「あ、それと…君は、行く場所がないって言っていたね」

 

「え、はい…」

 

「なら、あまりお勧めは出来ないけど、待ってくれない?」

 

タスクはそう言い、洞窟へと戻っていく。

 

「何しに行ったんだろう?」

 

グレイスはそう考えていると、ラルスが報告してくる。

 

『グレイス様、南西21メートルから貴方に関するビーコンを確認しました。』

 

「本当に!?」

 

グレイスはラルスの指示に、森の奥へと入る。森の奥へ入っていくと、視界が突然色がなくなり、白と黒へと変色する。

 

「何これ!?」

 

辺りを見渡していると、地面の下ら辺が光っていた。

 

「?」

 

グレイスは木の葉や枝で隠れている地面を探っていると、鉄のハッチを見つけた。

 

「何これ?」

 

グレイスはハッチを強く引っ張ると、中には下へと続く階段があった。グレイスはゆっくりと地下へ下りていくと、目の前に禍々しいオーラを放つ赤い宝玉が台の上に浮いていた。

 

「何だろう」

 

グレイスは恐れも知らず、そっとその宝玉に触れる。すると宝玉が突然グレイスの胸に貼り付き、食い込んでいく。

 

「何これ!!?痛い!!」

 

激しい痛みが、グレイスに襲いかかると、彼の頭の中にいくつもの映像が現れた。グレイスが寝ていたコールドスリープカプセルが六つあり、それぞれの中に男女四人とグレイスが寝ていた。すると五人のカプセルの元に、金色の長髪に背広を着た紳士的な印象の青年がグレイスともう一つのカプセルを除いて、四人のカプセルに手を差し伸ばすと、青年が歌い出す。

 

「♪〜♪〜♪〜」

 

その歌はとても綺麗な歌であったが、狂気に満ちており、今にも心が闇に落とされそうな感じであった。

 

「ッ!?」

 

グレイスが目を覚ますと、目の前には元の空間に戻っていた。

 

「今のは…一体?」

 

グレイスは起き上がり、首元を触る。

 

「ん?」

 

グレイスの首に何かが付いていた。それはさっきの赤い宝玉であり、引き剥がそうとするが、ガッチリとスーツに装着されており、取れなかった。その後、グレイスはリベリオンに戻った直後、タスクが戻ってきてグレイスに手紙を渡した。

 

「これを"彼女"に渡してくれ」

 

「彼女?」

 

「アレク、嫌……"ジル"って言うアルゼナルの司令官に渡してほしい。そうすれば、彼女は君を受け入れてくれる筈だ。絶対に…」

 

「……分かった」

 

グレイスはリベリオンに乗り込む。起動したリベリオンは浮遊を始める。

 

「タスクさん、何から何までありがとうございます。」

 

「良いんだ。君はまだ若い……それに、君も早く自分の記憶が戻るといいね。」

 

「はい。」

 

グレイスはリベリオンのコンパスとソナーを頼りに、アルゼナルへと向かっていくのであった。

 

タスクはグレイスが見えなくなるまで手を振った後、グレイスのリベリオンの事を考える。

 

「やっぱり似ている。あの機体、奴の……"エンブリヲ"の機体と全く似ている。」

 

タスクはそう言い、洞窟へと戻っていった。

 

グレイスがアルゼナルへ目指しているその頃、ミスルギ皇国の洗礼の義で一人の皇女の運命を大きく変える事件が起こっていた事を、彼は知っても知る由もなかった。

 

 

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