クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン 作:オービタル
ディスピアースが新たな計画を開始した頃、まだ何にも影響が及んでいないタスクの無人島では、アンジュは服を抜いでワイシャツに着替えてベットに寝ては居たが、苦しい表情で起き上がる。
「み…水」
脱水症状なのか、それとも喉が渇いてしまったのか。テーブルに置いてある水を取ろうとした時に足を滑らせてしまってこけてしまう。
その際に戸棚にある一冊のノートがアンジュの前に落ち、アンジュは起き上がろうとした時にそれを見つける。
そしてそのノートを読み上げると、それはタスクが今まで書いてきた日記だった。
『モーガンさんが死んだ…、これで俺は一人になった…。無理だったんだ…エンブリヲに戦いを挑むなど…世界を壊すなんて。
何をしても一人…孤独に息が苦しそうになる…人は…一人では生きていけない…』
日記を読んでいるアンジュはタスクの苦労の日々を感じ取る、あの万能のタスクがここまで弱音を吐いているのは知りもしなかったからだ。アンジュは次のページをめくる。
『○月××日、今日はエンブリヲに似た機体と、銀髪の少年がやってきた。彼は覚えていないが、あのリベリオンを使えるのはリベロだ……俺は名前を覚えていない彼に『グレイス』と名付けた。そして彼はアルゼナルへと向かっていった。彼が羨ましい、俺と違って……前向きだ…。』
「タスク…」
アンジュはますますタスクの辛い過去を知る中であるページに目が止まる。
『今日、島に女の子が流れ着いた…ヴィルキスと共に。名前はアンジュ…とても良い名前で綺麗な子だけどかなり強暴で人の話をまるで聞かない女の子だった。だけどアンジュは…光だ』
「!?」
アンジュはその事に目を見開いて驚く。
『外の世界から差し込んだ…とても暖かく輝く光。父さん…母さん…、やっと見つけたよ…俺』
「『彼女を護る…、それが俺の…俺だけの使命』」
日記を読み終えたアンジュは手に持っているネックレス見て、そして握り締めながら目に涙があふれ出て来る。
「ずっと…ずっと護ってくれてた…なのに私…私は…、タスク…モモカ…!」
そしてアンジュの目から涙が落ちて来て、泣き崩れてしまう。
タスクに護れていたのをずっと気付かなかったアンジュは後悔していた。
どうしてももっと早く気付いてやれなかったのか、どうしてもっと分かりあえなかったのか。アンジュの心にはその後悔がずっと流れ続けていた。
泣き崩れているアンジュは身体を起こして目にある物が映る。
それはダイヤモンドローズ騎士団の制服にあった拳銃がアンジュに目に映ったのだ。
アンジュはそれを取り、残弾数を確認してセーフティを解除する。
ハンマーを上げて、銃を顎下に構える。
「モモカ……タスク」
アンジュは震える手でトリガーに指をかけて、引きがねを引こうとした瞬間頭の中に今までの光景が流れて来る。
その際にタスクがアンジュに言った言葉を思い出す。
──君は生きろ!
タスクの言葉にアンジュは銃をおろし、そして激しく泣き崩れる。
「うわああああああああああ~~……!!」
降り続いていた雨が上がり、夕日が見える浜辺にあるコンテナにアンジュは毛布で包んで座り込んでいた。
アンジュは自分で引きがねを引けなかった事に呟く。
「不様ね…私、一人じゃ…死ぬことすら出来ないなんて…」
そう呟くアンジュは沈んでいく夕日を見る。
「…綺麗」
君の方が…綺麗だ
またタスクの言葉を思い出して、目に涙を浮かばせる。
「バカ…! どうして私なんか…?」
俺はアンジュの騎士だからね
アンジュはタスクの言葉に頭を上げて、涙を流して夕日を見る。
「それで良かったの?貴方は…、使命の為に全てを失っても…。それで望んだのはどんな世界の…?」
穏やかな日々が来れば良い…ただそう思ってるだけさ
必ず戻るから…君の元に
タスクの最後の言葉を思い出すアンジュ。
自分の騎士である為ならどんな命も投げ出す。そんな事でアンジュはどうしても納得できなかった。
「貴方が居なくなったら…何の意味もないじゃない…」
その言葉に海の波が打ち消すかのように音をたてる、そしてアンジュはようやく自分の思いを気付くのだった。
タスクの事が好きであると…。
「好きよ…タスク、貴方の事が…うぅ…!」
そう言った途端にアンジュはまたしても泣き出してしまう。
「こんな事なら…最後までさせてあげれば良かった…!」
っとそう言った時だった。
「本当に?」
「っ!!?」
突如タスクの言葉が後ろから聞こえてアンジュは思わず驚き、タスクはアンジュを後ろからそっと優しく抱きしめる。
「良かった~アンジュ、君が無事で」
「…何で?」
アンジュは突然の事に混乱し、タスクはその事に言う。
「前にも言ったろう、アンジュの騎士は不死身だって」
「タス…ク?」
「ああ、そうだよアンジュ」
アンジュは顔だけを振り向き、タスクを確認して。そしてアンジュは立ち上がってタスクも立ち上がったその時だった。
パシュ!!!!
「あだっ!?…えっ?」
突然アンジュからビンタを貰ってしまったタスクは思わず唖然としてしまう、アンジュは涙を流しながら言い続ける。
「タスクは…死んだわ!」
パシュ!!
「っぐ!」
またしてもアンジュの逆手ビンタがタスクの頬に直撃して、タスクは叩かれた部分を抑える。
「これは…エンブリヲが見せている幻!!」
「えっ!ち!違う!」
その事にタスクは慌てながら否定するも、アンジュの行動は止まらない。
「あの時のキスも、撃たれた血もないもの!!」
「お!俺は生きてるよ! それにグレイス達も!」
「信じない!!タスク達は死んだの!!!」
っとそれには思わずタスクは「ええ~!?」と声を上げる。
「信じない…信じないわ!」
「…ゴメン」
この時タスクは気づいた、アンジュは相当悲しい思いをしたんだと。
タスクは申し訳なさそうにしてアンジュの涙を指でふく、しかしアンジュは何やら決心した表情で顔をあげて、それにはタスクは頭を傾げる。
そしてアンジュはタスクの服を掴んで強引に倒す。
「えっ?うわっ!!」
強引に押し倒されたタスクはアンジュに防弾ベストと上着を脱がされる。
「あ、アンジュ…何を?」
「確かめるわ…ちゃんと!」
っとアンジュは自分のワイシャツを脱いで、裸になった状態になり。
それにはタスクは頬を赤くする。
「た…確かめるって?」
するとアンジュはタスクに寄り添い、キスをする。
「っ~~~!?!?」
「黙ってて、お願い…」
アンジュの必死の頼みに、タスクは思わず黙り込んでしまい、またアンジュはタスクを押し倒してキスをするのであった。
その頃リュミエールでは、戻ってきたシンがフリューゲルスとネメシスに新たな武装と強化システムを組み込んでいた。するとそこにグレイスが駆け寄る。
「何やっているのですか?」
「…もうすぐ戦いだろ?お前の為に、新たな反応速度、推力の最大値、激しいGに対する重力制御ユニットと姿勢制御ユニットを組み込んでいる。」
「あ、ありがとうござ……ゴホッ!!」
「?……っ!!」
シンは口から血を吐いているグレイスを見て、慌てて、デバイスでグレイスのバイタルチェックする。バイタルに表示されている内容にシンは驚き、グレイスに怒る。
「そういう事なら、もっと早く言え!」
「大丈夫です。痛みも何もありませんから…」
「黙ってろ………困った…困ったぞ……」
「……分かっちゃいましたか。そうです……エンブリヲが死んだ事に、僕の体の中のエンブリヲの遺伝子が消え、アウラの遺伝子だけでは維持できなくなったのです。つまり、僕は今日……体内のドラゴニウム粒子が消滅し、あらゆる器官が停止するのです。」
「そんな……」
「黙っててすみません。ですが、僕にとっての最後の償いでもありますから……」
「…くっ!最後の償いと言っても、まだ囚われている恋人さんが悲しむだけじゃないか!?」
「何を言っているのです……」
「え!?」
「……殺したあの子達…大切な“家族”と言えるあの子達の面倒を見させている彼女を解放してあげたい。最後は実の家族に会わせて、健やかに暮らして欲しいのです。僕は10年間、彼女の血のおかげで不老不死で生きてきました。ですからもう……」
「ちょっと来い…」
シンはグレイスを連れ、デスティニーフェニックスのテックラボへ入る。そこには色んな薬が並んでいた。シンは薬の中から緑の液体が入った注射器を取り出し、グレイスに見せる。
「良し…じゃあグレイス、好きな色を言え。」
「…今、それ尋ねるんですか?」
「………ノリが悪い奴だ」
シンは構わず、消毒剤を腕に吹きかけ、注射器を射し込んだ。
「ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」
注射針が無理やりグレイスの腕に肉に突き刺さり、激しい激痛が彼を襲う。彼の体内に、緑の液体の中に入っていたナノマシンがDNAに喰らいつく。
そしてアウローラのブリッジでは…。
『聞こえますか?こちらエルシャ』
っとエルシャからの通信が聞こえて、ブリッジのパメラ達はメイン画面に映し出される映像を見る。
それは白旗替わりに白ブラを旗にしているエルシャのレイジアとレイジアの後を追いかけるマナの輸送艇が飛行していた。
「し!白ブラ!?」
「違うわ、白旗よ」
オリビエが言ったのをパメラが訂正する。
エルシャはアウローラだけではなく、全周波数で皆につなげて話す。
「こちらエルシャ、投降します」
アウローラ のみんなは、エルシャや輸送艇の中にいた子供達やノーマ、そして一輝がいた事に、勇人とシンディが走り出し、息子を抱き合う。
「ごめんなさい、お父さん、お母さん……僕、ロビンを…」
「良いんだ、お前だけでも…」
「それよりお父さん!僕聞いたんだ!ディメントの目的を!」
「何だって!?」
勇人は詳しく一輝から、ディメントの目的を聞くのであった。
一方でタスクとアンジュは互いを満足した後に夜空を見上げていた。
「綺麗ね…」
「ああ、あの時よりずっとね」
そうタスクは話し互いに手を握る、アンジュはある事を言う。
「実はね私…さっき死のうとしていたの」
「えっ?!」
「人は…一人じゃ生きていけない」
っと聞かれたタスクはそれに恥ずかしそうに照れてしまう。
「日記…見たんだ」
「ええ、何にも出来ないのね一人って、話し合う事も…抱き合う事も」
そう言ってアンジュはタスクの方を見る。
「本当に、生き返らせたんじゃないよね?」
「生きてるよ…俺は……」
タスクはアンジュの言葉に頷く様に手を握る、そしてアンジュは上半身だけ起こしてタスクに互いに愛し合った事を聞く。
「ねぇ、満足…した?」
「え…、もう…思い残す事ないかも」
「駄目よタスク、これからなのに…」
っとアンジュがそう言った言葉にタスクは思わず苦笑いするしかなかった。
すると朝日が二人に指し光、それに二人は起き上がる。
「不思議…、何もかものが新しく輝いて見える」
「うん…」
そう朝日を見る二人、アンジュは気にしている事をタスクに言う。
「私ね…あの変態ストーカー男に言われたの。全てを壊して新しく作ろうって」
「えっ…」
タスクはそれに言葉を詰まらせるもアンジュが言い続ける。
「でも私…この世界好き、どんなにみじめで愚かでも…こんな世界が」
「俺もだ、何時までもね…。アンジュ、必ず護ろう…この世界」
「うん、護ろう…それにモモカが護ってくれたこの命、無駄にしない為にも」
「モモカ………あっ!!」
タスクはしまったと言う表情になって焦り、それにアンジュはタスクを見る。
そしてタスクとアンジュは服に着替えて、アンジュを連れて洞窟に戻ると…。
「お待ちしておりました~!アンジュリーゼ様!」
そこにはモモカが朝食の準備をしていた事に、タスクは少々気まずかった。何せ忘れていたから。
アンジュはモモカが生きている事に唖然として、タスクに問う。
「な、何でモモカが…?」
「このフライパンのお蔭です!」
っとモモカはエンブリヲが撃った弾が止まっているフライパンをアンジュに見せる、そしてアンジュはしばらく唖然として笑い出してモモカに抱き付く。
「流石、私の筆頭侍女ね!」
「はい…アンジュリーゼ様……あっ!」
するとモモカは何やら思い出した表情をしてすぐ様タスクとアンジュに言う。
「大変です姫様、私マナが使えなくなっちゃんたんです!」
「えっ!?」
「そんな…!さっきまで使えたのに」
そう言っていると天候が急激に変化して、タスク達は海の方へと向かう。
それにモモカは思わずつぶやく。
「あれは…?」
その中でアンジュはその光景を見て言う。
「始まったのね、ディメントが……」
「あぁ……ディメントは僕たちの相手する最大の敵…」
「えぇ……」
タスクの問いにアンジュは頷いて、タスクはアンジュにタスクの母が使っていたライダースーツを渡す。
そしてタスクも戦闘スーツへと着替えて、準備が出来た所にアンジュが問う。
「ねえ、どうやって行くの?」
「勿論、アシッドを呼ぶ、アンジュも出来るでしょ?」
「ええ」
アンジュは指輪にキスした後にタスクと同時に叫ぶ。
「アシッド!!!」
「おいで!ヴィルキス!!」
二人が腕輪と指輪を上げた瞬間、リュミエールとアウローラにあるアシッドとヴィルキスのカメラアイが光り、機体が青色に変化してジャンプする。
その様子を確認したアカリは笑みを浮かばせる。
「戻ってきますね…二人、いえ、三人ですね」
そしてタスク達の元にエクゾディアスとヴィルキスが現れる。
アシッドはタスク達の方を見る。
《待ちかねたぞ…タスク》
マスティマが呟き、それにタスクは笑みを見せて、アンジュはタスクに問う。
「それじゃタスク!グレイス達の元に行きましょう!」
タスクはそれに頷いく。
モモカはヴィルキスの後部座席に乗せ、タスクとアンジュはアシッドとヴィルキスに乗り込んでアウローラ へと戻って行った。
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さぁ始まりますよ……最終決戦!!