クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第五十六話:新たな旅人

 

ロビンと一輝は一旦イリアス神聖国からソルヴィフ王国へ行く為に、ロビンが滞在していた街に滞在すると…。酒場でビールを飲んでいる一輝と水で薄めたミード酒を飲むロビンは寛いでいた。

 

「さて、これからどうすれば…」

 

グレイスが言うにはあの星雲がある限り、この星からは出られない。グレイスがなんとか出れる策を研究しているとのこと。しかし、警告も無しにこの星に迷い込めば、間違いなく保護条約が破られる事に……。

 

「それに…親父とお袋も心配している。」

 

「そうだねぇっ!!?」

 

突然ロビンが驚いた表情をし、フードで顔を隠す。

 

「ん、何やっている?」

 

「喋らないでくれ…」

 

「は?」

 

するとドアが開き、中から現れたのはソルヴィフ王国兵士であった。どうやらまだロビンの捜索を続けていたのこと。そして兵士二人はなんと、ロビンのすぐ後ろにある席に座る。

 

「(どうしよう…これじゃあバレる!!)」

 

「(一体何をしたんだ?)」

 

「(実は……)」

 

ロビンはテレパシーでこれまでの事を話す。そして話の内容を聞いた一輝の表情が笑い出す。

 

「(プハハハハハ!!)」

 

「(笑うな…)」

 

「(いや、ごめんごめん……まさか一国の姫様がお前のドラゴニウムの力で惚れるなんて、お前…中々やるなぁ♪)」

 

「(何喜んでいるんだよ)」

 

「(面白いことになってきたなぁ……そうだ♪)」

 

「(まさか!?……おい!それはやめろ!!)」

 

「(ニヒッ♪)皆さーん!俺の弟であり、アイナノアの顔を癒し直したロビン・ケラン・クアンタは…ここにいま〜す!!」

 

一輝が堂々とロビンの事をバラすと、兵士達が立ち上がり、取り抑えようとする。

 

「このっ!クソ兄貴!!!」

 

「お前の恋心……目覚めるまで眺めているぞ♪」

 

「戯け!!!」

 

ロビンは急いで酒場から出て、追っ手を振り切る。ロビンは遊び半分満喫したところでお金を金貨を払い、ロビンの後を追いかける。

その頃ロビンは得意の忍びスキルで屋根の上を飛び走っていた。兵士達はロビンを追い込もうと、網や棒を持ってくる。

 

「何でこんな事に!?くそ〜!!あの兄貴、後で覚えておけよ!!」

 

それから数時間の間、ロビンは走り隠れ続け、最終的には下水道の中で身を潜めていた。外は騒がしくなり、城門には兵士、しかも検問される事になっていた

 

「これ…逃げられない。それに今基地に帰ろうとしても、無駄かも……っ!?」

 

その時、遠くから水が弾ける音が聞こえてきだし、光学迷彩で姿を隠す。現れたのは白いローブを着た集団であった。その集団は何やらブツブツと念仏を唱えながら、行進していた。

 

「(何だ……あの連中は?)」

 

不気味な連中が通りすがった隙に、ロビンは下水道から這い出てくる。路地裏で身を潜めるロビンは探し回っている兵士達を見つける。

 

「(出にくい……)っ!!?」

 

突然上から投げナイフが飛んできて、ロビンの股付近の地面に突き刺さる。

 

「そんなとこに隠れていたんだ〜」

 

「っ!!?」

 

上を見上げると、弓とエルフブレードを持ったアイナノアが目の輝きを消して笑っていた。

 

「み〜つけた♪」

 

「……それじゃあ!」

 

ロビンは急いで光学迷彩で姿を隠し、その場から逃げる。屋根の上を飛び跳ねるロビンは後ろを見ようと振り向いた直後、一つの矢がロビンの頰を擦る。

 

「っ!?」

 

よく見ると、後ろにアイナノアが迫ってきた。

 

「(仕方ない!)」

 

ロビンは光学迷彩を切り、夜光を抜き取り、霞の構えをする。アイナノアはエルフブレードを抜き取り、ロビンに斬りかかる。

 

「「!!」」

 

ロビンはアイナノアのエルフブレードを受け流し、ホルスターから短筒鉄砲“輝夜”を向ける。

 

「動くな!」

 

「っ!?」

 

「動くな……動けば鉛玉が君の顔を射抜く。」

 

「……フ!!」

 

するとアイナノアが弓で短筒を払い投げた。

 

「くっ!!」

 

「そうはさせない…」

 

すると夜光を持った手を握り抑えられ、アイナノアの唇がロビンの唇に近づき、口付けする。

 

「!!!???」

 

ロビンは驚き、夜光を落とす。アイナノアはロビンから離れる。

 

「させわしませんわ……♪」

 

アイナノアはニッコリと笑い、ロビンは頰を赤くし、アイナノアに連れられた。王家の馬車の中ではファラサール王とアーノリオン王子、そしてアイナノアがロビンの左腕にしがみつく少女に目を向ける。

 

「え〜っと……」

 

「ロビンと言ったか…この度、娘の顔を癒し治療して頂いた事とゴブリンから我らに救援した事…誠に感謝している。そなたには大変世話になったな。余の命を救ってくれた恩人に報いたいのだが、なにか希望はあるかね?」

 

「いえ、どうかお気になさらず。自分は旅をしていただけで、自分の力を正しい事に使っただけです。それに希望はお気持ちで十分です。」

 

「ほぉ?ロビンは欲がないな……そ黄昏時の清らかな心を持っているとは、余程の家系だろうと我は思う。」

 

「いえいえ、家は下級貴族の使用人ですから、ハハハ♪(本当はヤバい一族の末裔で王家なんだが……アハハハ)」

 

「ほぉ、貴族の家で働いているのか…なら、ご家族やその貴族にお礼を。」

 

「いやたぶん大騒ぎになるのでお気持ちだけで十分です……」

 

ロビンが気不味い表情をすると、その様子に鬼瓦は呆れる。

 

話しているうちに、アイナノアの故郷である王国に到着する。

ソルヴィフ王国……エルフの領土であり、数百年前に隣国であるノーザブル烈王国との休戦状態へとなっているとの事。

ロビンは王家の来客室のベッドに転がっていた。

 

「ハァ……何でこんな事に…」

 

ロビンがため息を吐いていると、オムニツールからメッセージが着信する。

 

「もしもし?」

 

「ロビン♪無事か?」

 

「ツッ!クソ兄貴……」

 

「ハハハハハハ!!面白い事になったなぁ♪」

 

「アンタのせいで、俺はここにぬいぐるみのように置かれる立場になったんだぞ!!」

 

「嫌々悪かったよ……あ〜それと、ヨシツネとベンケイに会えた…今切り替える。」

 

すると映像に羽衣を付けたセクシーグラマーな女性と、あらゆる武器を背負った大男が映る。

 

「は〜い♪」

 

「おっす!」

 

「ん?」

 

「あなたがカズちゃんの弟くん?」

 

「か、か、カズ…ちゃん?」

 

「ヨシツネが勝手に私の名をあだ名で言っているだけだ。」

 

「連れないね〜、あっ!ごめんなさい〜。私がヨシツネ・クアンタ…そして、弟の♪」

 

「ベンケイでごわす!!うっす!!」

 

二人はロビンに挨拶すると、ロビンも挨拶する。ロビンが現在ソルヴィフ王国の城であるアルフリア城の中にいると報告すると、三人はある事を言う。

 

「そう言えば、グレイスさんがここにネフィリム教がいるとの報告を見つけてくれた。恐らく……」

 

「教団がいると?」

 

「あぁ、俺達は下水道から奴等の宗教団体へ突入する。お前も何とか振り切り、合流しろ」

 

「分かった」

 

ロビンは一輝との通信を切り、鬼瓦と話す。

 

「鬼瓦、ここの通路をスキャンしてくれ」

 

『あいよ!』

 

ロビンはその間に、鎧甲冑を身に付ける。するとドアが開き、アイナノアが入ってくる。

 

「!?」

 

「ん?」

 

「ロビン様!どうしたのですか!?」

 

「……すいませんが姫様。自分はこれから兄上と仲間達と共に、ネフィリム教団を壊滅しに行って参ります。」

 

「え?」

 

「行くよ、鬼瓦♪」

 

『応!』

 

ロビンは転送紋章を使う。

 

「待ってください!!」

 

「またここへ帰って来ます♪」

 

紋章の光がロビンを包み込み、一輝がいる下水道へと転送された。

 

「お!来たか…」

 

「来たかじゃねえ、よくも売りやがったな」

 

「すまんな♪……ベンケイ、頼む。」

 

「おう!」

 

ベンケイが前に出て、壁に手を押し当てる。すると手から紋章やクアンタ文字が浮き出てくると同時に、壁が分子へと変わった。

 

「錬金術か…」

 

「えぇ、うちの弟は対象物を分子分解する事が出来るの……そこらの光学兵器でさえも♪」

 

「“防御こそ最大の攻撃”……ベンケイらしい。」

 

「フフ♪さぁ、行きましょう」

 

一輝、ロビン、ヨシツネ、ベンケイはそれぞれの甲冑のシールドと鬼面を付け、壁の闇夜中にあるネフィリム教団のアジトへと入って行った。アジト内ではパニックになる信者達、闇の中から鬼面をした四人が幹部らしき人物を殴り、ロープで縛り付けにする。短筒や大筒の鉄砲が信者の肩を射抜き、信者を勧誘する幹部を逮捕して行く。そしてネフィリムに関する資料を強奪し、聖書や福音は全て燃やす。そして奥部には神官らしき人達や信者達が怯えていた。

 

「ネフィリムは何処だ?」

 

一輝が神虎を突き付ける。

 

「し、知らない!お前達は何者だ!?」

 

「……光の龍神 グレイセスの使徒と言ったところかな?」

 

「龍神 グレイセスの…使徒……だと!?」

 

神官はその名に恐怖する。

 

「アンタ達がネフィリムを崇めているんだろ?……ネフィリムは何処だ?」

 

「し、知らない!真なるネフィリム様に誓って!」

 

神官がそう言った直後、ベンケイが薙刀を取り出し、柱を破壊する。

 

「ヒィ〜〜〜ッ!!!」

 

「とっとと、本当の事を言え…」

 

「わ、分かった!!ネフィリムはザイナーン枢機卿のところにある“ディラクニア法国”にっ!!」

 

「そうか……なら、お前だけでも生かしてやる。だがそのザイナーン枢機卿に我らの伝言を伝えてくれるかな?」

 

一輝は立ち上がり、信者達を連れて行く。

 

「我ら“七つの大罪”は闇であるネフィリムを殲滅すると…」

 

一輝はそう言い、十字架に向けて稲葉を射つ。鉛玉が十字架の根を破壊し、そのまま落ちる。ロビン達はそのまま、ソルヴィフ王国の軍部へと送り、報酬を貰う。

 

「さて、次はエレボス帝国にいるゾードの所に行くぞ…」

 

「あ〜、待って兄さん」

 

「ん?」

 

ロビンが城の方でジェスチャーする。

 

「……行ってらっしゃい♪」

 

一輝はそう言い、宿屋へ戻る。

 

 

 

来客室の前で、アイナノアが落ち込んでいた。

 

「はぁ……ロビン様、何処へ行かれたのでしょうか…」

 

彼女はそう思い、ドアを開けると転送紋章が現れ、甲冑を着たままのロビンが戻ってきた。するとアイナノアが泣きながら飛びついてきた。それからロビンはファラサール王に呼ばれ、一室でお茶を飲んで楽しんでいた。

 

「何か、こんな甲冑姿で申し訳ございません。」

 

「いえいえ、何か訳ありがあって城から出たのだろ?」

 

「………ファラサール王陛下」

 

「?」

 

ロビンは椅子から立ち上がり、王の前で土下座する。

 

「申し訳ございません!!自分は王に大変な隠し事をしています。」

 

「????……どういう事かね?」

 

「貴族の使用人ではなく、兄さんと仲間達と共にネフィリム教団を討ち滅ぼしに、星の彼方から参りました」

 

「星の彼方?」

 

「自分は……この世界の、住民ではありません」

 

「「「!?」」」

 

ロビンは全ての事を話す。ロビンの本名『ロビン・ブリタニア・クアンタ』星の海の彼方…つまり空の上の上の異界に存在する国『新生クアンタ帝国』第二皇太子という事を全て打ち明けた。

 

「ふむ……」

 

「信じられない話ですが、事実です。」

 

「まさか…君が異界の王子だったとは…」

 

「すいません…いずれバレてしまうと思ったので、今、早く申し上げました。」

 

「良いのだ。」

 

「通りであの剣さばき……ただの使用人とは思えないからなぁ…」

 

「色々と修行されていたもんですから……」

 

ロビンは冷や汗をかきながら、三人に謝罪していると、アイナノアが席を立ち、視線は国王陛下と王妃様の方に向いていた。

 

「どうしたアイナ?」

 

「お父様、お母様、お兄様。私、決めました!こちらのロビン・ブリタニア・クアンタ様と…け、結婚いただきたく思いますっ!」

 

「ぶっ!!!???」

 

突然アイナが爆弾発言を放った事にロビンは紅茶を吹く。その事にファラサール王やララノア王妃、アーノリオン王子は驚く。

 

「……そうか、お前がそう言うのなら反対はしない。幸せにおなり♪」

 

「!……はい!」

 

「良かったね、アイナ♪素敵な婚約者を見つけて」

 

「ロビンよ…妹のアイナをよろしく頼む♪」

 

「ちょっと待ってください!!」

 

ロビンは慌てながら手を上げて親子の会話をブッタ斬る。

 

「あらぁ?どうかなさったのですか?」

 

「いやいやいやいや!!普通反対するのではありませんか!?しかもこんな何処の馬の骨ともわからん奴と!?」

 

「その辺は心配はない、全てはグレイセス神が告げられた事だから♪」

 

「え!?」

 

「アイナはね、子供の頃にグレイセス神の声を聞いたの。」

 

「神の言葉に嘘偽りはない。他の連中は信じなかったが、予言通り“彼女の顔を癒してくれる運命の人 現る”正にアイナの前に現れたのだ。」

 

「(グレイスさん…まさか…)」

 

ロビンはグレイスの事に呆れ、観念してロビンは先方のいうことを受け入れることにした。

 

「これからよろしくお願いしますね。旦那様♪」

 

姫様の輝くような笑顔。それに対してロビンは乾いた笑いを浮かべるしかなかった。

 

 

宿屋に戻ったロビンは、一輝達と話し合っており、ロビンの左腕にはアイナがしがみついていた。

 

「まさかロビンが結婚か、親父とお袋に何て言えば…」

 

「ガハハハ!こりゃめでたい♪」

 

「良いじゃない、あなた方ブリタニア家にとって素晴らしい事よ♪何せ王家の血筋を絶やす訳には行かないし……それに♪」

 

「ひゃあっ!!?」

 

ヨシツネがアイナのお尻を触る。

 

「姫様の良い安産型のお尻をしているんだから、いっぱい子供が産めるよ〜♪」

 

「ブッ!!」

 

ロビンは紅茶をまた吹き、アイナはお尻を触って喜んでいるヨシツネに対して、頰を赤くして慌てる。

 

「ふむ……これなら、ブリタニア家は安心だが…」

 

一輝は他のクアンタ王家の事を考えるレグレシア家は跡継ぎはいるが、他の四人はまだお婿探しをしている。

 

「(となるとそろそろ私も跡継ぎが欲しいなぁ…)」

 

一輝はそう思いながら、ロビンとアイナを見る。

 

「(ま、次の皇帝は私の子か、ロビンの子に継がせよう♪)」

 

 

 

 

長旅の支度を済ませたアイナは旅人の服を着用し、城門の前にはファラサール王達が見送っていた。

 

「君がロビン殿の兄上か…」

 

「えぇ、一輝・ブリタニア・クアンタと申します。」

 

「……娘やロビン殿の事、よろしく頼む。」

 

「義理の妹となる彼女を義理の兄として、全力を尽くす。」

 

互いは深く礼をする。アイナは王家の鹿の“エレオノーラ”に乗り、一輝達も“颯”と“暁”、ヨシツネとベンケイも愛馬である“珊瑚”と“焔”に乗る。

 

「次の目的地は…ノーザブル烈王国か…」

 

 

【ノーザブル烈王国】

 

凡そ百年前にソルヴィフ王国と対立し、派遣争いをしていた国家。領土的には王家より大きく、人口もソルヴィフ王国とエレボス帝国よりも多い。

 

 

「お父様、お母様、お兄様…行って参ります。」

 

「気をつけるのだよ……♪」

 

ソルヴィフは笑顔で微笑み、ロビンと共にノーザブル烈王国へと旅立ったのであった。

 

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