クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第五十八話:不死身の巨蟲人

 

一方、一輝達のビーコンを辿り、廃墟の前にクアンタ人の生き残り『ゾード・クアンタ』と『シャルル・クアンタ』が合流して来た。

 

「アイツら本当にここにいるの?」

 

「間違いない、多分俺の推測だと彼等は……地下に…ん?」

 

「どうしたの?」

 

「なんかビーコンマーカーが物凄く大きくなっているんだが………まさか!!?」

 

ゾードは何かに気づき、シャルルに一輝達の馬を離れさせる。

 

「来るぞぉぉぉぉぉ!!!!」

 

それと同時に地鳴りが響き、廃墟が壊れると同時に地中から幼虫型のネフィリムが現れた。

 

「ネフィリム!?」

 

ゾードとシャルルは驚く。そしてネフィリムは顔を切り刻んでいる一輝を引き剥がそうと触手を使うが、怒り狂う一輝に容赦なく切り刻まれる。

 

「やばいんじゃねぇのか!?」

 

シャルルとゾードは生身でネフィリムに攻撃を与えている一輝に驚く。そしてネフィリムが開けた大穴からロビン達が出てくる。

 

「兄さんは!?」

 

「あの戦っているクアンタ人の事か!?」

 

そしてネフィリムがようやく一輝を振り放す。一輝は着地し、神虎を構える。

 

「貴様だけは…絶対に許さん!」

 

一輝は神虎を鞘に納めると荒神へと姿を変え、ネフィリムに襲い掛かる。怒りと殺意で身を任せる一輝はネフィリムの脚部を捥ぎ取り、口部を引き裂く。その姿はまさに七つの大罪の一つである“憤怒”『悪魔王』そのものであった。苦しむネフィリムは必死に乞うが、大切な人を奪われた一輝はそれを許さなかった。脚でネフィリムの頭部を踏み潰し、絶命させる。しかし、彼はそれを止めなかった。その圧倒的な光景に、ロビン達は黙って見ることしか出来なかった。

 

朝日が昇り、ロビン達は証拠を隠す為に、特殊な溶解液でネフィリムの死骸を燃やし尽くす。疲れ果て、身体中汗まみれの一輝はそこら辺の岩に腰掛けていた。しかし、彼の心の傷みを癒す物と言えば、『戦い』か『怒り』しかなかった。ロビンは燃えるネフィリムの死骸を見ていると、ネフィリムの胃からあるものが流れ出て来た。

 

「ん?」

 

ロビンはそれを拾い、川の水で洗い流す。

 

「これって……」

 

ロビンがそれを確認した後、それを開く。

 

「………っ!これは!!」

 

ロビンは直ぐに一輝の所へと持っていく。

 

 

一方、一輝はネフィリムの胃から繊細な彫刻が施されたシレーヌの曲刀が見つかり、腰に下げる。

 

「兄さん!」

 

「ん?」

 

「これ?」

 

ロビンが一輝に渡したのは、ロミオのビデオカメラであった。

 

「ロミオのカメラ……そんなの渡して、何になる?」

 

「……そういう事じゃない、このカメラ、四年前の直後と続きの映像が映っていたんだ。その後に、分かったんだ!…………シレーヌさんは、生きている!!」

 

「え?」

 

衝撃の事に、一輝はカメラの映像を再生する。それは修学旅行前日の映像から重力嵐、そして星へ不時着……。

 

『皆んな大丈夫か!』

 

教師が生きている生徒達の安否を確認する。船長や船員、兵士達も安心かと思いきや、船外に奇妙な金属音が響く。

 

『何だ?』

 

誰もが不安に思ったその直後、丸型の赤い線が浮かび上がると同時に外壁に穴が空く。そしてそこからネフィリムのサブユニットである『ガーディアン』がフリーズビームを乱射して来た。悲鳴と共に兵士達も応戦するが、抵抗する者は高出力レーザーで殺されていく。その中にシレーヌもいた。シレーヌは必死に仲間や家族を助けようと応戦するが、ガーディアンの数に圧倒される。そしてシレーヌの両親が彼女を逃がそうドアを開け、突き落とす。そしてネフィリムが現れると同時に映像が切れた。

 

「シレーヌは…生きている」

 

「うん…地下や色々、ネフィリムの内臓全て見たけど……それらしい物は見当たらなかった。」

 

「そうか……良かった…」

 

大切な恋人がまたこの大地の何処かで生きている事に、一輝は号泣する。

一輝達はネフィリムやガーディアンに食い殺された人たちの骸を埋葬し、墓を建てる。

 

「お前達も、悔しかっただろうな…五億年前、この星の人類や生命を絶滅させたネフィリムに……仇は取るからな」

 

一輝はそう決意し、朝日を見上げる。

 

「さて、七つの大罪がちょうど揃った事だし、次は神聖国の世界樹へ集合するか…」

 

「集合って…長い道のりだよ、どうやって行くの?」

 

ロビンがゾードに問う。

 

「そうだね、俺なら未開惑星保護条約に批判しない程度の“あれ”を使うだろうなぁ♪」

 

するとゾードの後方から巨大な物体が現れる。それはゾードが乗って来た『飛行艇 ヘーメラー』。本正式名は“次元航行艦”と呼ばれ、この星の文明に適した形状へと変形していた。

 

「いつからこの星に持ち込んだ?」

 

「2ヶ月前だ。こっそり運ぶの一苦労したからなぁ」

 

「……船員は?」

 

「俺とシャルルだけだ。船長は二百年前に病で亡くなり、舵手であった俺が代理船長だ。」

 

「……なら、俺が船長をやろう」

 

「良いだろう♪」

 

ゾードは喜んで一輝達を歓迎する。中は確かに星の文明に適した装飾をしており、とても綺麗であった。

 

「ったく、これが親父にでも見られてみろ……怒られるのを覚悟しておけ…」

 

「あいよ♪」

 

ゾードはそう言いながらヘーメラーを起動し、イリアス神聖国へと飛び立つ。っが彼らが飛び去ったと同時に、幼虫型のネフィリムの骸から、人影が出てきた。頑丈な鋼の甲殻、強靭な刃を持つ顎を持つクワガタの様な大甲虫は飛び去るヘーメラーを見て呟く。

 

「カ……ズ……キ……」

 

クワガタ大甲虫は『一輝』と呟くと、森の方から音がする。

 

「?」

 

森に隠れていたのは野党であり、廃墟の宝を狙おうとしたが、そこに見たことない虫がいた事に驚いていた。

 

「…………」

 

武器を構える野党達は、怯える。そしてクワガタの大甲虫は両腕部から鋸状の高周波ソードを展開し、凄まじい速さで野党の体を真っ二つにしていき、辺りを血の海に変えた。クワガタの大甲虫は空気を深く吸い込み、羽を広げ何処へと飛び去った。

 

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