クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

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第六十一話:夢の黙示録

 

一方、自由と恩寵を取り戻したアンジュ達の世界。勇人は早速『高軌道上スペースステーション“ディーヴァ”』局長であるアカリ達にグレイスが生きている事を報告する。

 

「えぇっ!!?グレイスが!!?」

 

「はい…生きていました。」

 

アカリやアンジュ達はそれを聞いて歓喜を上げる。

 

「それで!グレイスは何処にいるのじゃ?」

 

「……未開惑星にいます。そこで彼は…その星の調律者として、ネフィリムと戦っているのです。」

 

《“ネフィリム”?》

 

アカリ達は首を傾げ、勇人からネフィリムの事を聞く。

 

ネフィリムとは、今から五億数千年前。ディスピアースが集合体になる前の人類が敵対していた細胞生命体。その人類や生命を無差別に食い尽くし、進化する本能を持つネフィリムに対抗すべく、フリューゲルスのような《ゼロメイル》を作り上げ対抗したが、結果進化し、増殖し続けるネフィリムに圧政され、人類は滅んだ。しかし、グレイスが再生させた生命に反応するかのように、ネフィリムが徐々に復活しつつある。

さらに、五億数千年前に人類の文明にある秘術が記されていたと……その秘術とは、生命哲学元素である木・火・土・金・水……そして万物の“日”(光)と“月”(闇)の元素を持ち、ウィトルウィウス的人体図でネフィリムに対抗すべく造られたもう一つの生物兵器。その名は……【ラダマントゥス】。

 

「【ラダマントゥス】……“冥界の審判者”と言う意味じゃな?」

 

「はい……“天使”である【フリューゲルス】と“冥界の審判者”である【ラダマントゥス】は“堕落した巨人”【ネフィリム】にとって“宿敵”みたいな存在とも言える。」

 

「それで、うちらを?」

 

「はい、あなた方にとって、あの時の戦いで自由を得ました。ですが、グレイスはそれでも、自分が再構築させた生命を滅ぼすわけにはいかないと、一人で戦っております。何卒、ご協力を……」

 

勇人が頭を下げ、アカリ達に願望を告げる。

 

「……そんなの、協力するに決まっとるじゃろ♪」

 

「…すると?」

 

「うむ!ネフィリムがどんな奴かは知らないが、うちらはあの文明、うちらの文明、勇人達の文明が揃えば、ネフィリムなぞ……“赤子の手を捻る”が如くけちょんけちょんにしてやるからよ♪」

 

「……ありがとうございます。」

 

「よぉぉぉしっ!!野郎ども!戦の準備だ!!アンジュ達も連れて、グレイスやお主らの子達を助けに行くぞぉぉぉぉぉ!!!」

 

《ウォォォォォォォォォ♪》

 

「無茶で愉快な人達だなぁ…」

 

勇人は呆れ返り、その星の座標と、グレイスの通信機器を渡し、クアンタ星へと帰っていった。

 

 

 

 

 

その頃、世界樹内部基地。ロビンの自室では、寝ているロビンがある夢を見ていた。燃え盛る建物と兵器、その中に量産型フリューゲルスとガーディアンとネフィリムの残骸が転がっていた。そして上空に超高層ビルクラスの大きさを誇る巨大な直立した鳥のような多角形構造体が無数に浮遊していた。

 

「何なんだ……あれ?」

 

すると無数の構造体の流動経路が赤く染まり、構造体中央部から強力なハイメガ粒子砲が放たれ、高層ビルを焼き尽くす。ロビンも粒子に直撃するが、目の前が真っ暗になり、別の空間へと変換される。

 

「今度は何だ?」

 

ロビンが驚いた直後、暗闇の中から六つの巨大な眼を持つネフィリムが、ロビンを睨み付ける。

 

「っ!?」

 

《サイ…クル……》

 

「え?」

 

突然ネフィリムが言葉を発し、ロビンに何かを伝える。

 

《サイクル……》

 

「サイクル?」

 

《……聞いて……感じて……考えて……》

 

「何?」

 

《【オーバーノイズ】から……我等を苦痛と飢餓と進化、そして我等の姫様をお救い、オーバーノイズから解放したまえ……》

 

「オーバーノイズ?姫様?何のこ」

 

『No good! So it is not!!』

 

するとネフィリム眼が翡翠へと変貌し、デジタル式の人の顔が表示された。

 

「っ!?」

 

ロビンは腰にぶら下げていた夜光を構える。そして謎の顔がロビンを飲み込んだ直後、ロビンの体が赤黒く染まり、後方に突然アルヴィオンと一輝とルヴェルが現れ、一輝もルヴェルもアルヴィオンも赤黒く染まる。ロビンの方は全身が黒く染まったプロテクターとアーマー、そして背中に赤黒く染まったドラゴニウム粒子のウィングバーニアを展開していた。

 

「何だ…これ?」

 

ロビンの目は赤く染まっており、隣にいる一輝は濃い赤に染まったプロテクターと分厚いアーマー、背中に二つのジェネレーターを装備しており、掌から赤黒い光玉を持っていた。そしてそれはロビンも持っており、二人は光玉を持ったまま謎の顔に向けて叫ぶ。

 

「「メテオ・オブ・クリムゾン!!!」」

 

すると空から無数の赤黒いノイズを放つ結晶体が隕石として降り注ぎ、拳から赤黒い拡散レーザーを放ち、目の前が真っ白になった。ロビンは驚き、布団から勢いよく起き上がる。

 

「……今のは、夢?」

 

寝ぼけながらも私服に着替え、皆んなの所へと向かう。

 

 

 

 

ロビンは自分が見た夢の一輝に相談する。

 

「変な夢を見た?」

 

「うん…良く分からないけど……巨大なネフィリムが俺に語りかけてきて、“オーバーノイズ”からアイツらの飢餓と苦しみと姫さまを助けてくれって…」

 

「オーバーノイズ?ネフィリムの飢餓と苦しみと姫さまを救う?そう語ったのか?」

 

「うん、途中で緑色に光る巨大な顔が現れて、俺に怒声を上げてきたんだ。そしたら、今度は俺と兄さんの姿が変わったんだ……」

 

「変わった?」

 

「……俺が変な黒い翼を持ったアーマーを来ていて、兄さんのはジェネレーターを持った赤くて分厚いアーマーをしていた。」

 

「……(“黒の翼”に“赤のジェネレーター”……まさか!?)」

 

一輝は心当たりがあるかのような表情をする。

 

「兄さん?」

 

「……」

 

「兄さん?」

 

「…ん?あぁ、すまない…俺も知らないなぁ」

 

「……そうか、兄さんも知らないか…」

 

「すまんな……」

 

一輝はそう言い、ロビンから去る。しかし、彼はロビンの言った言葉に、深刻な表情をする。

 

「……(まさかマスターギデオンからのお告げ、本当になるなんて……)」

 

 

《—回想—》

 

一輝が星に行く前、陽弥からあるお告げを聞いていた。

 

「クアンタ人の本能?」

 

「あぁ、遥か昔のクアンタ人には…“リミッター”の制限が抑制されていたらしいんだ。彼らの本性はとてもじゃないが限度を越えている。クアンタ人は、異種族との交配によって、遺伝子に制限を組み込んでいるんだ…つまり、クアンタ人の遺伝子にリミッターが解除されると、出力全開となる。だがロビンの場合、リーパー・エキスによって、半分『クアンタ』半分『リーパー』と言う生命体へと変貌しつつある。つまり、ロビンの本性とリミッターが解除されたその瞬間、グレイスのドラゴニウムでは耐久できないほどのリーパー・エキスが再活性化し、リーパーやクアンタではない……正真正銘の『第二のドゥーム』になるだろう。」

 

「そんな!!?」

 

「……事実だ。なる時の姿は……黒き翼の堕天使か、煉獄を滾らす魔人か……」

 

「……」

 

 

《—回想終了—》

 

 

自室に戻った一輝はロビンの事で頭を悩ませる。

 

「もし…ロビンが見た夢が本当なら……私もリーパー・エキスによって、“リーパー”になるのか?……只でさえ、一度リーパー化したロビンがネフィリム側に付いたら、親父とお袋になんて言えば……いずれ私はクアンタ帝国時期皇帝であり天皇……。ロビンの兄として、もっと強くならなければ…このままじゃ、ロビンは……。」

 

一輝は神虎で真空斬を放ち、雲を切り裂く。

 

 

一方、ロビンはノーザブル烈王国で買い物をしていた。思い荷物を馬車に乗せ、イリアス神聖国へと戻ろうとする。

 

「はぁ〜……何だったんだろう、あの夢…急にオーバーノイズと言われても…」

 

ロビンがそう考えていると、ノーザブル烈王国を巡回していたディラクニア法国教甲師達が槍を向ける。

 

「動くな!」

 

「っ!?」

 

抵抗しようと夜光を引き抜こうとしたその直後、後方から何者かがスタンロッドを持った者が、ロビンの背中を叩きつけた。

 

「ガアッ!!?」

 

スタンロッドから流れる電流が流れ、動けなくなるロビン。さらに動きを封じる為に、神経毒針を持った吹き矢が四肢に打ち込まれる。そして夜光や蒸気機関武器を押収され、縛り付けられたロビンは奴隷の荷車に乗せられ、誘拐されるのであった。

 

 

 

 

 

ロビンの帰りが遅い事に、一輝達は心配する。

 

「ロビンの奴……遅いなぁ」

 

「あぁ、あいつは必ず時間を守る奴だ。きっと何処かで何かあっているんだ。念の為、私が行こう。」

 

一輝はロビンがいるノーザブル烈王国へと向かう。そこで彼は提示版を見て驚愕する。そこに書かれていたのは七つの大罪の『傲慢のロビン』の逮捕。五日後、ディラクニア法国広場にて公開処刑を実行すると。

 

「何…だと……」

 

一輝は急いで世界樹へと戻るのであった。

 

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