クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 アドベント・オブ・チルドレン   作:オービタル

67 / 68
第六十二話:運命の再会

 

ノーザブル烈王国で、ロビンがディラクニア法国に拘束された事に、アイナは慌てていた。

 

「うわぁぁぁ!!!!ロビンが連れさらわれたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

アイナは自作の人形をエルフの短剣で刺しまくる。その光景にヨシツネ達は呆れ返る。しかしこれは一大事でもあった。もし彼らがロビンに尋問する時、自白剤でこの秘密の場所が分かれば大変な事となる。アイナの故郷や親族がザイナーン枢機卿に殺されるか、奴隷されるかの二つの選択が迫られていた。

 

「まいったねぇ、相手はネフィリム信者だらけの狂信者、幾ら何でも私達六人じゃ、ネフィリムやガーディアンに勝てないわ…」

 

「確かに、俺たち力は確かに強大だが、相手がネフィリムだと……」

 

「……」

 

ヨシツネ達やグレイスも深刻に陥ったその時、ノイズが発生している映像が浮き出る。

 

『き……え…る……?』

 

「?」

 

『…………聞こえるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!グレイスゥゥゥゥッ!!!』

 

「っ!!?」

 

モニターに現れたのは、アカリであった。

 

「アカリさん!!?」

 

『久しぶりじゃのう!!!!皆んな、連れて来たぞい♪』

 

「皆んな?」

 

モニターの範囲が広くなり、エグナント達やアンジュ達が映る。

 

《グレイス!!!》

 

「……えっ?…えええええええぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!????」

 

グレイスは天高く叫び、急いで世界樹の上へと向かう。そこにはリュミエールが着艦していた。

 

「皆んな!」

 

リュミエールからアカリ、エグナント、トーマ、ダスト、アツマ、オボロ、ナナリー、メタリカ、ガリィ、セシル、ミカ、ティア、ヒョウマ、そしてアンジュ、タスク、ヒルダ、サリア、ヴィヴィアン、エルシャ、ロザリー、クリスが出てきた。

 

《グレイス!!》

 

アカリ達はグレイスに抱き付き、エグナントが巨獣の姿でアカリを含めトーマ達を抱く。

 

「苦しい…エグナントさん」

 

『おぉ、すまぬ』

 

エグナントはグレイス達を下ろすと、みんなの中からセレスが現れる。

 

「………セレス」

 

「………また、会えたね…」

 

グレイスが照れていると、セレスは大泣きしながらグレイスに抱き着く。

 

「この世界では千年ぶりだね……僕も、君に会いたかった…」

 

グレイスは、セレスが泣き止むまで優しく肩を抱いた。今度こそ決して放さない様に優しく……。

 

 

アカリ達を客間に連れ、事情を話す。ロビンが誘拐された事に、シンディは声を上げる。

 

「うわぁぁぁっ!!ロビンが誘拐されたぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「シンディ、落ち着け……グレイス、ディラクニア法国の場所は分かるか?」

 

「はい、彼らの国は北緯54度の位置にある小大陸【ネース大陸】にある。5億数千年前まではネフィリムの重要な何かの施設があったとされているんだ。」

 

「ネフィリムの重要な施設?となると、奴等の目的は他国の侵略……」

 

「もしくは支配下に置く……」

 

「……グレイス、奴等はもう完全にロストテクノロジーに触れてしまった言っていいか?」

 

「えぇ」

 

「……未開惑星保護条約に従い、ディラクニア法国が管理するネフィリムとガーディアン、その資料や遺物を消去させる。これ以上君が再構築させた生命を5億数千年前の二の前にさせない。」

 

「分かりました。急いでノーザブル烈王国にいる一輝に連絡します。」

 

 

 

 

 

一方、ノーザブル烈王国にいる一輝は急いで世界樹に戻ろうと光学迷彩で隠していたルヴェルに乗り込もうとすると、後方から複数の気配を感じる。一輝は仮面を付け、問い掛ける。

 

「そこに隠れている奴……隠れていないで出てこい!出ないとこっちから先手を打つぞ!」

 

すると闇夜の中から黒装束の一団と柄の悪い傭兵達が現れる。

 

「貴様か?七つの大罪の“憤怒”と言うのは?」

 

「だったらどうする?」

 

一輝は神虎で疾風の如く神速で黒装束の一団と傭兵達の首を居合い切りで跳ね飛ばした。

 

「……?」

 

すると奥に他の傭兵が立っており、その傭兵は全身装束で覆われていた。一輝は構え、一気に居合い切りを放つ。その直後、傭兵は一輝の居合い切りを華麗にかわし、壁を駆け上がって行く。一輝はかわされた事に驚き、傭兵を追いかける。

満月の月光で照らされる屋根の上、一輝は神虎を振り下ろす。しかし、傭兵は神虎を白刃どりで防がられる。一輝は無理に振り下ろそうとするが、傭兵は力を抜かなかった。そして傭兵は一輝に渾身を込めた蹴りを浴びさせ、一輝を吹き飛ばす。傭兵は吹き飛ばされた一輝にとどめを刺そうと高く舞い上がり、踵落としが炸裂する。

 

「っ!?」

 

だが、それも防がられていた。何故なら傭兵の踵を見事に受け止め、一輝だけにしか使えない能力『戦神』に覚醒する。

 

「っ!(この感じ…何処かで……今はそれより、悪党の首を!!)」

 

傭兵は考えながらも、一輝に拳を構える。

 

「……粒子発勁!!!」

 

「え……」

 

一輝の突き出した掌から粒子を放出した発勁が傭兵の腹部に炸裂する。

 

「うっ!!」

 

すると体を覆っていた装束が破れ、傭兵の容姿が露わになる。

 

「……え?」

 

満月の月光が傭兵を照らす。小麦色の褐色の肌、白く透き通った長髪、猫のような耳、体の至る所に傷痕、そして両眼を覆う眼帯をつけた猫人……行方不明になっていたシレーヌであった。

 

「どうした悪党!さっさと「シレーヌ・アステリア……」え!?」

 

「………久しぶりだな、シレーヌ」

 

「その声……まさか!!?」

 

シレーヌは構えを止め、一輝の顔を触る。

 

「……一輝?」

 

「あぁ……」

 

「本当に……一輝なのか?」

 

「当たり前だろ……他にお前の名前を知っている奴なんているか?」

 

そしてシレーヌは一輝に胸に強く抱き付く。

 

「遅いのよ…どれだけ待たせたら良いの?」

 

「すまなかった…でも、やっとお前にまた会えた……もう二度と、お前を離さない!」

 

泣き崩れる一輝はシレーヌを強く抱き締める。それからシレーヌは一輝がこれからの事を説明する。

 

「ロビンが捕まった!?」

 

「あぁ…五日後、ディラクニア法国のザイナーン枢機卿は国民の前で公開処刑をするつもりだ。それに……ロビンの中のリーパー・エキスの活性化を抑制しなくてはいけない」

 

「分かった…私も出来る限りあなたをサポートする……私にとって、義理の弟を見殺しには出来ないから」

 

シレーヌは一輝と共にロビン救出作戦に賛同すると、一輝がある物を渡す。

 

「……まさか!?」

 

「……君の両親を喰らったネフィリムの腹から出た……アステリアの名刀【コルプシュ】。お前が落とした曲刀だ。」

 

金色の刀身が輝き、剣がシレーヌ(主)の元に戻ってきた事にシレーヌは泣き崩れる。一輝はルヴェルに乗り込み、シレーヌに手を差し伸ばす。シレーヌは一輝の手を掴み、ルヴェルに飛び乗る。

 

 

 

世界樹に戻った一輝とシレーヌ、勇人とシンディはシレーヌの父の冠を渡す。シレーヌは亡き父の形見を受け取り、涙が流れないまま泣き崩れる。

 

「心配するなシレーヌ……国王と王妃の仇はもう「生きている」え!?……」

 

突然エグナントが何かの気配に気づく。

 

「奴は生きておる……姿は変わっても、中身は同じ…」

 

「俺が倒したあのネフィリムが……生きている?」

 

「それに奴はこの世界樹の真上から眺めている……誰かを待っているかのように。」

 

「っ!!」

 

一輝は驚き、ルヴェルで世界樹の真上へと飛翔する。雲の上、天空を浮遊するルヴェル……辺りを見渡しながらネフィリムを探す。すると一瞬だが、横のモニターに何かの影が通り過ぎた。だが一輝はそれに気づいており、音声システムを起動する。

 

『来てやったぞ……いつまでも高速で飛びながら姿を隠すな…』

 

一輝の声に応えたかのように、一輝の目の前にクワガタの人型ネフィリムが現れた。

 

「あの攻撃を喰らって、生きているとはなぁ……」

 

「カズキ……お前…俺…宿敵…」

 

「ほぉ…まさか分かりやすい言葉も話せるようになるとは……これがネフィリム特有の“進化”と言うのか?」

 

一輝がネフィリムに感心していると、ネフィリムが前腕部と爪先部から鋸状の高周波ブレードを展開する。

 

「上等だ……」

 

一輝は零聖天を構え、突撃した。ネフィリムの高周波ブレードが青白く光り、零聖天の輻射波動が真紅に燃え上がった直後、両者の間にフリューゲルスに乗ったグレイスが現れ、両者の頭部を掴み、戦闘を止めさせた。

 

「ちょっと待て!」

 

「何をするのですか!!?」

 

「……今はそんな事をしてる場合ではない!!」

 

「グレイ…セス…」

 

クワガタのネフィリムが呟くと、グレイスはネフィリムに言う。

 

「……アンタに聞きたい事がある。【オーバーノイズ】とは何だ?」

 

「え?いつからその話を?」

 

「聞かれていないと思ったか?」

 

「………」

 

「質問、お前達を操っている【オーバーノイズ】とは何だ?」

 

『グレイス様、ここは私に任せてください。』

 

一緒に乗っていたラルフがネフィリム独自の暗号と言語で翻訳する。するとラルフの質問にネフィリムが答える。

 

『“オーバーノイズ”……今から五億数千年前、我々を造られし創造主達がお造られになられた……我々のミーム書き変え、別のミームとして暴走を引き起こす意思を持つウィルスだと…』

 

「ウィルスだと?」

 

「元々ネフィリムは、この星の環境をテラフォーミングし、再構築させるために作られた除去装置……創造主達はさらに環境を再構築する為に、自律型人工知能の開発に成功したと…」

 

「それが…オーバーノイズか?」

 

「はい、だが創造主はいずれ、この星の環境をまた破壊すると思われ、オーバーノイズは我々ネフィリムとガーディアンに指令を出した。『環境破壊を行う人類から生命を守れと…』」

 

「コンピュータの反乱か……」

 

「人類は激しく抵抗して来た。そして我々ネフィリムは最後の手段として、オーバーノイズから膨大なミームを組み込まれ、人類を喰らい、進化する事で、終止符を打った。我のような“ハイパーネフィリム”のようにと……」

 

彼の語る言葉と目に嘘偽りは無かった。一輝は彼を見てある事を思いつく。

 

「……アンタに頼みたい事がある。」

 

「?……」

 

「俺の弟……ロビンを、助けてほしい。」

 

「な…ぜだ…?」

 

「俺の……家族だからだ。唯一の話し相手がロビンだったから、俺はこうやって生き抜いて来た。お前もそうだろ?俺に殺されかけ、最後の生命を振り絞り、進化を遂げた。」

 

「…………」

 

「だから頼む……ロビンを、助けてやってくれ…」

 

一輝はネフィリムに願望を告する。ネフィリムは高周波ブレードを短縮し、一輝に言う。

 

「……今回だけだ。」

 

ネフィリムはそう言い、何処かへと消え去る。

 

 

 

 

 

 

その頃、小大陸【ネース大陸】にあるネフィリム崇拝国【ディラクニア法国】地下4階では、奴隷達や囚人、誘拐された人達が多く囚われている牢獄部屋であった。その中に、傷だらけのロビンが倒れていた。

 

「クソ……」

 

ボロ負けになったロビンは自分の無力差に罪悪感を抱くと同時に、彼の左腕に侵食していたリーパー・エキスの細胞が活性化し始めていた事を本人は知る由もなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。