―何時の間にか、森の中に居た。訳が分からない。私は何故、こんな所に居るのだ?
起き上がり、隣で私を静かに待っていた愛馬の背を撫でてから騎乗する。何やら体が軽い。睡眠を取ったお陰だろうか?そうなのであれば摩訶不思議な無意識小旅行も良いものだ。多分この体の軽さも、余計な記憶が抜け落ちて頭が軽くなったからに違いない。
―とりあえずは、森から出るとしよう。
愛馬がゆっくりと歩き出し、私は森の出口を探し始めた。
―何かがおかしい。幾らなんでも広過ぎるだろう。
移動して数時間。既に当たりは暗くなり、少し周りも見えにくくなった気がする。何よりも気になるのは、辺りの気配だ。
背筋が自然と伸ばされ、鎌を構える。それと同時に周りから突撃してくるのはアメリカ兵だ。
こんな所にまで、と息を飲みながら薙ぎ払う。すると、それを見計らったかのように茂みから次々と飛び出すのは獣達。
―何かがおかしい…が、やる事は変わらない。
兵士を真っ二つに振り下ろした鎌を振り上げて獣の一匹を切り裂き、そのままの勢いで反対側の鎌で獣を突き刺す。二つの鎌を手の中で回転させてから、持ち手を滑らせて端を持ち、一気にリーチを伸ばして獣が反応出来ない間に首を刈る。
―分が悪いか…!
本来騎兵はその突撃力を活かして戦うもの。逆にそれ以外の状況では、騎乗者は行動を制限される為に不利になりやすいのだ。
即ち、ここで取るべき行動は戦線離脱。敵に背を向けるのは屈辱だが、このままでは隙を突かれる可能性がある。愛馬の腹を蹴り、獣達を引き離して行く。
…途中、アメリカ兵や獣の姿が消えたかの様に見えたのは気の所為だろうか?
極限状態だからか。腹は減らないし喉も渇かない。鎧を着ていても気にならないのは嬉しい事だ。
既に森を彷徨って数日。自分は何か、俗世から離れた場所に飛ばされたらしいと言う事が分かった。あの世との境目…だろうか?会う者の大抵は殺した覚えのあるアメリカ兵や、明らかに死体となって動かない方が自然なアメリカ兵、または良く分からない獣達だ。此処に合った解釈をすると先住民族が信仰する精霊だろうか?何れにせよ、やけに強いから出て来ないで欲しい。自分は死にたくはないのだ。せめて、あと一杯くらい酒を飲みたい。
偶に、自分と同じく迷い込んだのであろう人間に出会う。が、彼等は皆こちらを見て怯え、銃を撃ってくるのだ。文明人なら会話をしろ。仕方が無いから銃弾を弾いて首を刎ねる。
そんなこんなで、既に私は最早日数を数える気力も無い程の時間をこの森で過ごしていた。
戦闘描写(とかでき)ないです。