ラビットハウスの常連プロゲーマー(仮)   作:そらなり

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初めまして、そらなりです。

今回からこの作品を投稿し始めることになりました。アイディアはあったんですけど、きっかけができたので投稿しようと思います。


ラビットハウスと常連さん

 俺の名前は吉田将斗(よしだまさと)。落ち着いたゲーム環境が欲しくてこの木組みの家と石畳の街に住んでいる。都会だと結構雑音がうるさくて防音工事をするかそれが付いている場所に引っ越すかしないといけないんだけどこれが結構馬鹿にならない費用なんだよな……。そこで俺が考えたのは元から静かな環境でやればいいということ。プロゲーマーになるには同じチームの人と共同で生活してチームワークを高めるようにするんだけど、俺たちのチームは一度離れた状態で各々個人技を磨いてから月何度かのチーム戦をこなし自分に必要な力を身につけていくという方法を取っている。

 

 本気で究めようとしているゲームジャンルはFPS。敵の足音や銃声を聞きとらないといけないこのゲームには都会の雑音は正直言って邪魔だった。だから俺はこの静かながらもきれいで活気あふれている木組の家と石畳の街に拠点を移したのだ。

 

 今日は月に何回かある大事なチーム戦の反省会。各々違う人にどんな動きをしてほしかったか、どう動けばもっと効率的になったのかをリストアップしてチャットでその反省会を行う。前回の試合は僅差での勝利。もっとどうすれば効率よく勝つことができるのか話し合う必要がある。一番自分の技術に反省するのは負けた試合からだけど、僅差での勝利もその試合から考察をしていかないと自分の技術向上に繋がらないから決して欠かすことのできないものだ。

 

 カランコロン

 

 俺はいつもチャットするときに来ている喫茶店『ラビットハウス』にやってきた。この喫茶店は少し古臭さを感じさせながらも落ち着く雰囲気を醸し出しているとても居心地のいい店だった。

 店内に入ると俺を出迎えるアルバイトをするにはあと数年必要な女の子がやってきた。頭には白いもふもふしたものを乗せ、銀髪をたなびかせながらも銀のトレイを胸に抱えながら少女は

 

「いらっしゃいませ。1名様でよろしいですか?」

 

 そうやって接客をしてきた。俺はその少女の問いに無言でうなずく。

 

「それではこちらにどうぞ」

 

 週に1回は必ず通っているこの喫茶店ではどうやら常連扱いになったみたいでいつも座っている席に何も言わずに通してくれる。今は春休み期間……といっても、もうそろそろ学校が始まる時期だからあまり人は来てないみたい。……というか俺以外客はいなかった。

 

「ご注文はどうしますか?」

 

「じゃあいつものカプチーノお願い」

 

「わかりました」

 

 この子はこの店の看板娘の香風智乃(かふうちの)ちゃん。この時間は喫茶店をしているこの店には後1人従業員がいたんだけど、どうやらその子は今日いないみたい。お父さんがいるからと言ってこの店を女の子2人で回してるなんてすごいな……。っとパソコンパソコン。

 俺はコーヒーが来る前にチャットの準備を始める。ネットには自分の持ってきた機器を使って接続することに成功。とこれからチャットを始めるぞとなるとチノちゃんがコーヒーカップをもって俺の席にやってくる。コーヒーだけだし、客も俺だけしかいないからそれは早よな。

 

 白いコーヒーカップをテーブルの上に置く。うんいつも通りのカプチーノだ。

 

「お待たせしました。カプチーノです」

 

「ありがとう。なんか、暇そうだね」

 

 でもいつもと違うのがこの店内に誰もいないということ。俺とチノちゃんしかいないこの店内は言い方は悪いかもしれないけど異常なものだった。店内には2人の声と外からかすかに聞こえる生活音程度。静かで心地のいい時間だった。

 

「いつもはもうちょっと忙しいんですけど、今日は客入りが悪いみたいです」

 

 俺の言葉に対してチノちゃんがそう答える。春休みが終わりに近づいてきて帰省していた人とかが帰ってきているころだと疲れて外出しなくなるのかな?

 

「そう。ちょっとカタカタ煩いと思うけどごめんね?」

 

 まぁでも、俺のやることは変わらない。反省会をしないといけないのだ。強くなるために。

 

「いつも何をしてるんですか?」

 

 毎回この店に来るときにはパソコンを持参して何かをしているという認識だったんだろう。チノちゃんが何をしていたのか興味があったみたい。大体基本的にオーダーの時くらいしか話せないからこうやって長く話せるのはちょっとだけ嬉しい。チノちゃんが可愛いっていうのもあるけど、純粋に自分のやっていることに興味を持ってくれているということが分かっただけでも十分すぎる喜びだった。

 

 その問いに関して、ゲームをよくやるわけではないだろうチノちゃんに向かって分かりやすい例えをさがしながら答える。反省会って言ってもゲームでってのはなかなか聞かないだろうし……あ!

 

「うーん。簡単に言うとゲームの作戦会議かな?」

 

 そう。作戦会議だ。反省して次回以降の作戦に組み込むわけだし、間違ってないしほとんど正解に近い答えだ。さすがにゲームのジャンルまで詳しく説明してしまうときっとチノちゃんもわからないだろうし。

 

「ゲーム?」

 

 けどどうやらチノちゃんはゲームというものをやったことがないみたいだ。確かチノちゃんは中学生だったっけ? 家のお手伝いでこうして働いてたり、学校はもちろんゲーム機なんて持って行けないだろう。だったらあまりやる時間はないか。

 

「そう。ゲーム。もしかしてチノちゃんやったことない?」

 

 そんな考えに至った俺はチノちゃんに聞いてみることにした。でも意外だな。これくらいの年齢になるとゲームの1回や2回やってると思ってたけど。

 

「はい。でも、ちょっと興味はあります」

 

 俺の考え通りチノちゃんはゲームをしたことがなかったみたい。でも興味を持ってくれてるのか~。じゃあやることは1つかな。

 

「そうなんだ。じゃあ今度もってくるよ。簡単で面白いゲームを」

 

 ゲームをやりすぎて勉強ができなくなったりこうしてお手伝いをしなくなっちゃうのは問題だけど、適度ならいい娯楽になる。それに同じゲームをしている人が増えるのは正直嬉しい。

 

「本当ですかっ! じゃあお願いします」

 

 俺のその提案にチノちゃんは目を輝かせながらクリスマスにプレゼントを心待ちにしている子供みたいなテンションで受け入れてくれた。

 あ、今はチャットしてるけどブラインドタッチできるからちゃんとチノちゃんの目を見て話しているよ。

 

「わかったよ。じゃあ今度もってくるから楽しみにしててね」

 

 あ~、ゲームを一緒になる仲間ができるのはやっぱうれしいや! 何をもってこよう? ポケットなモンスターの作品か、赤の兄と緑の弟が桃の姫を助けに行くやつにしようかな? 今からもうすでにワクワクしている自分がいた。

 あ、チャットの話が変わった。……何々? それぞれのプレイで他のチームメイトに対して思ったことを書き込んでいこう? あ~、そこから欠点とかを見つけ出そうってことね。

 

「ごめんチノちゃん。ちょっとこっちに集中するね」

 

 そうやってちょっとだけパソコンのほうに意識を集中させる。自分に対してどういったことを言われるのかも気にしないといけないし、どうしてほしいのかも明確に伝えないといけないから片手間になんてできない。

 

 カランコロン

 

 チノちゃんに俺がそう告げるとほぼ同時に、俺がここに入ってきたときと同じ音が店内に響き渡った。つまりは新しいお客が来たということだ。

 

「いらっしゃいませ」

 

 チノちゃんは接客をするために入り口のほうに店のドアのほうを向く。

 

「うっさぎ―、うっさぎー」

 

 そこには鼻歌交じりにうさぎを探しているであろう声が聞こえてくる。俺は自分に話しかけられているものじゃないからチャットのほうに集中しているけど答えを言うと、ずっとチノちゃんの頭の上に乗っているのがこの店にいる唯一のうさぎなんだけどね。チラッとだけその女の子のこと見てみたけど高校生くらいで髪の毛は明るめの茶髪。目をキラキラさせながらうさぎを探しているのが分かった。

 

「うさぎがいない……? うさぎがいない……!?」

 

 けど店内を見渡してもこの子が探しているうさぎはいないよ。だからテーブルの下探しても無駄なんだよ。まだ書き込みが来ないし、自分の番じゃないから見てるんだけど本当にうさぎに会いたかったんだろうな……

 

「うさぎがいない!!」

 

 探しても探してもうさぎが見つからないことに突然声を張り上げ抗議する彼女。そんな彼女に対して少し驚くチノちゃんだけど、すぐに平常心を取り戻して自分の口を手に持っているトレイで隠す。……なんとなく考えていることが分かるよ。『なんだこの客……』とでも思っているんでしょ。だって俺ですらそう思ったんだから、相手をしているチノちゃんが思わないわけはないよね。

 

 少しだけ残念そうにしているお客さんは俺の座っている席の前のテーブルに腰かけた。

 彼女はチノちゃんの頭上にのっている白い物体に気が付いたようだ。そうだよ、それがうさぎだよ。

 

「もじゃもじゃ?」

 

 わかってなかった~!!! 確かにね、普通のうさぎとはちがうよ? でもね! ティッピーさんだって立派なうさぎなんだよ! あ、ティッピーさんっていうのはチノちゃんの頭の上に乗っているアンゴラウサギのことね。

 

「はぁ? これはティッピーです。一応うさぎです」

 

 ちょっとティッピーさんをもじゃもじゃ呼ばわりされてチノちゃんちょっとお怒りモードだよ!? 声のトーンがさっきと若干低くなってるよ! あまり表に出さない分気が付くのも直すのも苦労するよ!?

 

「あ~うさぎ!?」

 

 チノちゃんにウサギと言われた瞬間より目が離せなくなったみたい。だけどずっとそうしているわけにもいかず、チノちゃんは仕事を始める。

 

「あの、ご注文は?」

 

 うん。まったく怒りの色が見えないね。でも結構チノちゃん怒らせると怖いんだよ……。あれ、カップを持つ手が震えてるな……。早く! 早くこの場をどうにかして! チャットに集中できれば変わるかもしれないから早く! チームメイトたちよ!

 

「じゃあそのうさぎさん!」

 

 そんなことを考えていると彼女はティッピーさんを指さして答える。

 

 しかし、この店に絶対に必要なティッピーさんを売るわけにはいかない。というか喫茶店にきてうさぎを注文する女の子って……。

 

「非売品です」

 

 あ~ぁ……チノちゃんの声に怒りの色が見え始めたよ。でもそんなことはつゆ知らずチノちゃんの言葉にがっくりと肩を落とし泣き出す。テーブルに突っ伏してまで。

 

「せ、せめて……せめてモフモフさせて!!」

 

 余程残念だったみたいで落ち込んでいたけどすぐに元気になって、座っていた椅子から勢いよく立ち上がりチノちゃんに駆け寄る。

 

「コーヒー1杯で1回です」

 

 ……コーヒーいっぱいで1回!? そんなに怒ってたのチノちゃん!? この店のコーヒー無くなっちゃうよ!? 大丈夫!?

 

 俺のそんな不安はもちろん通じるわけでもなく、チノちゃんたちのやり取りは続く。

 

「じゃあ3杯!」

 

 指を3つ突き出してそれをチノちゃんに見せる彼女。あ~1杯ってことね。なんだ、考えすぎか……。あ、チノちゃんのほほが少しだけ赤くなってる。嬉しそう~。ほほえま~。

 

 チノちゃんはコーヒーの種類に関しては何も言われなかったので、マスターのお好み的な感じでやるのだろう。カウンターで豆を挽き、1からコーヒーを作る。3つだからそれなりに時間はかかるけど女の子のほうもティッピーさんに触れるということで辛抱強く待っているみたい。

 今のうちにチャットチャット……。

 

 あ、あ~。確かにあの時ツッコむんじゃなくてグレ投げておけばよかったか……。手持ちが少なかったから使うのをためらったけど、大丈夫だったっぽいな。了解っと。それとあれか、もう少しみんなには裏取りのほうを意識してほしいっと。これであとは反応を待つか。

 

 そうしているとチノちゃんが3つのコーヒーカップを女の子のテーブルにもってきていた。3つのコーヒーが並ぶ所を見た女の子はチノちゃんのほうを向いて

 

「コーヒー3杯頼んだから3回触る権利を手に入れたよー!」

 

 ティッピーさんに向けて手を出し始める。

 

 が、

 

「冷める前に飲んでください」

 

 というチノちゃんの冷静かつ、当たり前の言葉で遮られてしまう。

 

「あぅ……そっそうだったね!」

 

 そして彼女は一番右にあるコーヒーに手を伸ばす。

 

 手に取ったカップを鼻の近くにもってきて香りを楽しもうとする。ワインと一緒でコーヒーにも香りを楽しむということは確かにある。

 だけど……、

 

「この上品な香り~、これがブルーマウンテンかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいえ。コロンビアです」

 

 外した。そして外した彼女をジト目で見つめるチノちゃん。それに負けじと次は左のカップを1口飲んでみる彼女。……にしてもブラックでなんてすごいね。

 

「この酸味! キリマンジャロだね!」

 

 明らかに決め顔で言っている。もう、"キリッ"て出てきそうなくらいの決め顔だった。けど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それがブルーマウンテンです」

 

 またハズレ。チノちゃんから先ほどと同じような視線が女の子を襲う。

 

 最後に女の子はテーブルの真ん中にある一番遠いカップを手に取った。一口飲んで、他のコーヒーを飲んだ時とは違いリラックスしたように感じる。

 

「安心する味~! これインスタントの……」

 

「うちのオリジナルブレンドです」

 

 安心するって褒めたそばから引き出した答えがそれかよ!? 一番やっちゃいけない間違いだよ! 店のコーヒーでインスタントなわけないでしょ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外しまくった彼女はもう一度今度はコロンビアを手に持ち一口飲んでみる。

 

「……え? うん、全部おいしい!」

 

 そしてそう答えた。まぁそうなのだ。ここのコーヒーはおいしい。一から作っているし、豆も酸化していない。本来の味が引き出されているコーヒーを味わえるのはこの店くらいなものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3つのコーヒーを飲んだ女の子が先ほどまでチノちゃんの頭の上にいたティッピーさんを抱きかかえている。

 

「はぁ~……。もふもふ気持ちい~」

 

 あ、何かに気が付いて口元拭いてる……。あ、涎か。

 

『ノォォォォォォォォ!!』

 

 静かな店内に野太い声が響き渡る。俺でもチノちゃんでも、彼女でもないましてや外から聞こえる声でもない。そんな声が聞こえてきた。

 

「あれ? 今このうさぎ、叫ばなかった?」

 

 あ、これもしかしてバレる? ティッピーさん、もう少し我慢しようよ……難しかったかもしれないけど。

 

「気のせいです……」

 

 チノちゃんも誤魔化すのに結構必死だよ。鼻から下トレイで隠しちゃってるじゃん。

 

「それにしてもこの感触癖になるなぁ~」

 

 ティッピーさんに自分のほほをすりすりする女の子。そんな姿を見て彼女に嫉妬してしまったのかチノちゃんが頬を膨らませる。

 

「もういいですか?」

 

 でもそれは聞こえてなかったみたいでずっとティッピーさんを撫で繰り回している。

 

 そろそろティッピーさんも我慢の限界に達するだろう。そう思っていると急にティッピーさんが女の子の胸から逃げ出そうとする。

 

『えぇい!! 早く放せ、この小娘が!!』

 

 あ……今度は誤魔化しがきかないぞ……。どうするんだ?

 

「なんかこの子にダンディーな声で拒絶されたんだけど……」

 

 やっぱり気が付いちゃったよ! 女の子とずっとパソコンに向かい合ってる俺しかいないこの店内でそんな声したらどうしてもわかっちゃうよね。

 

「私の腹話術です」

 

「えっ!?」

 

 あ~。よくトレイで口元隠すもんね。もしかしてこういう時のために癖として身につけたとかかな? って考えすぎか。

 

「早くコーヒー全部飲んでください」

 

 ちょっと困り顔で尋ねるチノちゃん。あ、話題転換して誤魔化す気なのね。じゃあ……

 

「チノちゃーん! カプチーノのお替り頂戴」

 

 俺も便乗しますか。あまりバレたくないことだろうし。でも結論として言わせてもらえば、このラビットハウスのマスコットでもあるティッピーさんはしゃべるのだ。なぜかと言われるとそれは今でもそんなにわかっていないけど、ティッピーさんの正体は……

 

 まぁ、今後分かっていくよね!

 

 




ごちうさはアニメしか見てない、ゲームは好きだけどFPSはやったことのない作者ですが話を書くために現在アニメを見返しています。

これから映画が公開されるそうで友人も大喜び見たいです。また少し遠出しないといけないのかな?

最後にすごく私的なことを言います。当選祈願!



それでは、次回もお楽しみに!
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