機動戦士ガンダムE   作:グランクラン

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マーズ・アタック編四話目になります。


マーズ・アタックⅣ《憧れる若者》

15

 

 後悔先に立たず。既に終わったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないという事の意である。

 後悔と聞いて思い至ることが多すぎて俺―――――、ビスケット・グリフォンには過ぎた行為だ。

 オルガの事、家族の事、鉄華団の事……そして、ライドの事。

 もし……なんて言い方は彼らに対して大変失礼だと思う。しかし、そう考えずにはいられない。

 俺には多くを求めることなぞ無理なことだし、選べるほど偉い人間ではない。しかし、もし、あの日の俺に何かを選べる権利があるのだとすれば、俺はオルガを仲間たちを救いたかった。

 鉄華団が滅んでいなければ、俺はどこに所属していてもどうでもよかった。

 たとえ……鉄華団と永遠に会えなくなったとしても、それでも俺はよかった。

 彼らが生きて、夢に生き、未来に生き、仲間と生きてほしい。欲しかった……。

 そんな後悔もむしろ彼等には失礼になるのかもしれない。オルガに、三日月に、昭弘に、シノに、ユージンに、タカキに、ヤマギに、雪之丞さんに、アトラに……そして、ライドに失礼なのだろう。

 サブレならきっと―――――、「後悔するぐらいならするなって話だろ?やって後悔するか、やらずに後悔するかだっと言われているけれど、本当にいいのはやって後悔しないことだ。兄さんはやって後悔して、やらずに後悔しているな。なら今度はやって後悔しないのか?」っと笑いながらいいそうだ。

 だけど、そんな話すら俺には後の祭りである。

「無理だよ。俺はきっと後悔しながら生きている。これからも後悔していくし、仕方がない事なんだよ」

 俺はそう言う。言い訳のように、ぶつぶつと文句のように言い続ける。しかし、サブレはきっとそんな俺の言葉を聞くと爆笑しながら言うのだろう。

「それこそ言い訳だろ?面白い言い訳だと思うよ。だって、後悔して生きていくんだって決めていけば後悔しないもんな。それも後悔しない方法だよ」

 っと俺に言ってくれる。しかし、そんな言葉の後にサブレはこういう。

「でも、それでも兄さんは後悔すると思うよ。絶対に」

 その通りだ。そんな風に後悔しないのなら俺はここにはいない。

 サブレの話を断ったことへの後悔、オルガを責めてしまったことへの後悔、鉄華団を守れなかった事への後悔……言い出したらきりがない。

 結局は口だけの男という事だろう。

 だけど………そんな行動も後悔に変わってしまうかもしれない。

 

16

 

 十年以上前の話。

 まだ、鉄華団ができる前のCGSと略称していた『クリュセ・ガード・セキュリティー』がまだ存在していたころの話。

 ビスケット達は新人の挨拶に赴く時、彼らに出会った。

 薄暗い部屋の中に入っていくのは、参番隊隊長オルガ・イツカ、他メンバーである三日月・オーガス、ビスケット・グリフォン、ユージン・セブンスターク、ノルバ・シノである。

 この頃は、まだ昭弘・アルトランドとはあまり交流が無く、大概行動するのはこのメンバーであった。

 薄暗い部屋の扉をゆっくり開き、オルガは許可を得る前にづかづかと入っていく、すると案の定であるが一軍の男たちは睨むような目でオルガを見ていた。

「参番隊隊長オルガ・イツカ!新人を回収しにまいりました」

 しらを切る様にそういい続けるオルガの態度に一軍の男たちは苛立つを隠しきれずにいた。内心ビスケットはハラハラしながら事の成り行きを見守っていたが、一軍の男たちは舌打ちをしながら立ち去っていった。

「もう……ハラハラするじゃないか!」

 ビスケットの言葉に肩をすくめながらニヒルな表情を決めつつ口を開くオルガ。

「いいんだよ。しらを切るぐらいの気持ちで十分だ。あんな奴らに文句を言うだけ無駄だろ?」

「そういう問題じゃないんだよ!もう少し頭を下げるという行動を出来ないの?」

 ビスケットの言葉に反応したのは反抗期真っ盛りのユージンであった。嫌そうな表情を浮かべながらビスケットにまさしく反抗的なことを言う。

「俺はごめんだね……あんなおっさん共に頭を下げるぐらいなら死んだほうがましだね。大体ビスケット!おまえはぁ!?痛い痛い!三日月ぃ!!」

 ビスケットにとっては死角になっていてよく見えていないが、三日月がユージンの左耳を思いっきりつかんで引っ張っていた。

「ユージン?俺喧嘩はいやだな?」

 すると、シノが三日月の肩を軽く叩きながらなだめる。

「こんなのいつもの事じゃねぇか?それにビスケットの奴だって気にしてねぇだろ?なぁ?」

「う、うん。だからいいよ」

 三日月は「そっか……」と言いながら中々手を離さない。ユージンは「痛い痛い!耳が取れちまう!」っと叫んでいる。すると、オルガが苦笑いを浮かべながら三日月に指摘する。

「いい加減手を離してやらないと、ユージンの左耳が取れちまうぞ。ミカ」

 三日月は「あ?ごめん」っと一言謝るが、ユージンは左耳を押さえたままうずくまってしまう。

 オルガは目の前に気を失っている何人かに目を付ける。その中に、タカキ、ヤマギ……ライドがいた。

 それが、彼等との出会いであった。

 

 ライド達にとって三日月は憧れる存在だった。

 モビルワーカーの訓練はいつも激しく、左右に激しく動き回りペイント弾をあちらこちらに撃ちまくる。一軍の奴らよりよっぽど憧れる存在である。

 特に三日月・オーガスは彼らの中で飛びぬけて強い憧れの的になっていた。しかし、そんな彼らの中で異彩を放っていたのが、ビスケット・グリフォンであった。

 直接戦う術を持たない彼らからすれば、計算や文字の読み書きができるビスケットはどう接すればいいのか分からなかった。

 タブレットを使って作業しているビスケットに初めて憧れの目を向けた者は誰もいなかった。しかし、三日月やオルガ、シノやユージンが良く話しかける姿を見ると自然と彼等どうように憧れの存在に見られるようになった。

 そんな彼等へのあこがれを強くする少年がいた。

 ライド・マッス。タカキ達と同じ時期に入ってきた新人だった。

 ビスケットは三日月や昭弘に人一倍強い憧れを抱く少年は彼らを追いかけるようになる。しかし、彼からすれば遥か高みに存在する三日月に追いつける気がまるでしなかった。

 それは鉄華団が存在しなくなってからも決して変わることは無かった。

 死んだと思っていた三日月に会えた時の喜びは今まで経験したことが無かった。だって………彼はライドにとって最も強く、優しい存在だったからだ。

 しかし、三日月は変わってしまっていた。

 戦いの後遺症で喋ることすらできない体になっていた。

 彼は悪魔に体の機能のほぼすべてを捧げてしまっていて、結果からすれば体の機能のほとんどを機械の力で補っていた。

 憧れの行きつく先、機械で体の機能のすべてを補い、命を繋いだのはもう一人の仲間のお陰でもあった。

 三日月の脳は深刻なダメージを受けていた。

 そんな時ゲイナーはある手法を取ることで三日月と昭弘を救うことにした。

 左側の脳を三日月、右側の脳を昭弘のモノを使う事で二人を三日月の体を使って生き返らせた。

 だから、ある意味二人は一つの体を使って生きている。

 しかし、その真実はライドには到底受け止めきれなかった。

 憧れた者達の末路、憧れる若者の心情はあまりにも辛くめを背けたくなってしまう。しゃべることも無く、何を思っているのかもわからない。

「三日月さん………昭弘さん………二人は今何を思っているんすか?」

 しかし、彼らはその答えには答えない。

 それでもライドは追いかけるいつの日か追いつける日が来ると信じて。

 そして、ライドは鉄華団本部の近くまで近づいていた。

 その時、鉄華団本部の周辺は強力な砂嵐と磁気嵐に襲われていた。

 

17

 

「反省しているの?ジョシュア」

「はい。しています。ビスケット隊長」

 絶対していなかった。しているはずがなかった。

 立って反省させても一向に変化が無かったので、今度は正座させて反省させてみたが、もじもじするだけでまるで変化が無い。

 どうすれば反省させられるのだろうか?

 腕を組んで悩んでいるとジョシュアは俺達の予想の斜め上の事を口にし始めた。

「靴底がお尻に当って………いけない気分になります」

「「「!?今そんな場合じゃないだろ!?(でしょ?)」」」

 サラとシノと共にそんな言葉を吐き怒鳴り散らす。

 どうやればジョシュアを反省させることができるだろうか?

 そもそも事の成り行きはジョシュアが渉にぶつかってしまったことだった。本人曰く、「いつもの悪ふざけだった」とのことだが、そんな悪ふざけが結果からしてサブレ、明楽、マーク、レオと渉がどこかへと吹っ飛んでいった。

 砂嵐と磁気嵐を組み合わせたようなこの天候はサブレ達との通信を切断しただけでなく、本来の降下ポイントを大きくずらしてしまった。

 本来であれば鉄華団本部よりさらにクリュセの方に近づいている予定であったが、むしろ俺達の今の居場所は鉄華団本部よりさらに遠ざかってしまった。

 今もあの特殊な砂嵐は鉄華団本部を巻き込みながら今も渦巻いている。

 そんなことは今はどうでもいいのだ。そっちは仮設テントをたてて対策をしているメンバーとサブレ達を確認しに行ったイオリ、メアリー、クレアがやってくれている。

 問題はこちら側だった。

 まず、一部のモビルスーツや戦艦の中に砂が入り込み、身動きが出来なくなってしまった。無茶な大気圏突破の弊害がこんなところに現れていた。

 ゼム・ロックを中心に各艦の整備班が全力で取り組んでいる。それ自体もそこまで問題視するようなことでもなかった。

 一番の問題は、サブレ達をすっ飛ばした張本人がまるで反省していなかったっという事である。

 一通り悩んだ結果俺は思いついたアイデアを使ってみた。

「反省しないなら………今後ジョシュアと渉は組ませないからね。サブレと合流次第編成を変える」

「そ、そんな………シクシク」

 両腕を地につけ正座を崩し涙を流し始める。どうやら予想以上に効果てきめんだったらしい。そんなに渉と無理矢理離されるのが嫌なようだ。

「今後は反省したことを生かして、作戦中ぐらいはまじめにすること!!いいね?」

「はい………深く反省しております」

 サラとシノが「おお!」と呟いている。

 ジョシュアが本気で反省してしているようだった、これをきっかけに少しでも真面目に取り組んでくれれば―――――、

「今度からは作戦外でいじめることにします」

 全く反省していなかった。

 どうやって育ったらこんな性格になるのだろうか?

 まあ、作戦外でしてくれるならっと譲歩しつつジョシュアにゼム・ロックさんの手伝いをしているようにと言いつけて、サラに監視をお願いし、俺とシノはいったん外に出居ていく。

「しっかし、予想外だよな。こんな砂嵐見たことねぇよ」

「うん。CGS時代だってこんなに強力な嵐は見たことなかったよね?それに磁気嵐まで一緒になっているのは聞いたことないよ」

 もし、これが人為的な作業の結果だとすれば俺達には予想できない。

 円状のビルニ十階相当の砂山のような峡谷の名残が残っていて、その周辺を仮設テントが本部代わりになっている。

 仮設テントの中へと突き進み、峡谷の上へと上がる為に外付けのエレベーターへと乗り込み、上のボタンを押す。

 大きく左右に揺れながら上へと上がっていく。

「しかし、こんなものを一日で完成させるとはEDMの底力を見た気がするぜ?」

 シノはエレベーターから見える景色を見ながらそうつぶやいている。

「でも、外見はともかく中は張りぼてだよ」

 苦笑いを浮かべ上へとたどり着く。

 峡谷の上は中心に大きなテントがあり、その周辺に落ちないように柵を設けられている。

 俺達は柵の方に近づき、双眼鏡で目的のモノを探し始める。目的のモノはものの数分で見つかり、俺はそちらの方に指をさしてシノに教えてやる。

「あっちにあったよ!ユージンの言っていた通りだ。結構ひどい」

 壊れた鉄華団本部の様子を確認した。監視塔は完全に崩れており、壁に描かれた鉄華団のマークが半分ぐらいになっている。

 ユージンから話を聞いてはいたが、まさかこんなにひどいとは。

『鉄華団本部から離脱する際に本部は壊したんだ。大量の爆弾を使って念入りに壊したしな。多分使えねえとは思うけど、近くに寄るような用事があれば中を見ておいてくれよ』

 そう伝言を伝え聞いていた身としては一度鉄華団本部に足を運んでおきたい。べ、別に久しぶりだから中を見てみたいなんて考えてはいない。決して。

 なんか言い訳じみてしまったが、実際のところあそこに行く手段が俺達には存在しない。

 あの砂嵐を何とかしなくては。

 そう心に決める中、クリュセに行く方法を思いつく。

「そうだ」

 そういって口にした先の言葉もまたユージンが言っていた事だった。

 ユージンに再会できて心底よかったと思えた。

「そういえば、鉄華団本部の地下にクリュセにつながる道があるんだ」

 

18

 

 クリュセへとつながる道が鉄華団本部の地下に存在するという事を俺はユージンから聞かされていた。

 それはそもそもユージンがどこか自慢げに語り掛けてきた撤退戦の話に登場していた。

 いや、特に撤退戦を自慢話として話してほしくはなかったのだが、本人はそれなりに努力したところなので自慢したかったのだろう。最も、俺はどこか聞き流しながら聞いていた。

 カフェでの出来事だ。

 カフェでキャラメルクリームマキアートを呑みながら、濃厚クリームプリンを頬張りながらの事であった。

 そんなときに聞かされた話、というより俺が居なかった頃の話を聞いていた時の最後に聞いた話がそれだった。

 鉄華団の本部から撤退する際に昔地下に造られていた通路から脱出したそうだ。いや、実際は埋まっていた地下通路を掘り起こしたという話だったはずだ。

 鉄華団本部が崩壊した今通路が残っているとは思えないが、探してみる価値はあるはずだ。

 しかし、砂嵐が止むまで四日がかかった。

 シノはガンダム・メテオに乗って、俺は車に乗って鉄華団本部へとたどり着いた。

 他の調査員たちも同じように車に乗って本部へと足を急ぐ、一時間ほどでたどり着いたその場所は出入り口からしてひどいものだった。

 俺が知っているその場所も床が抜けていないだけで、地面は荒れ果ててしまい、建物は半壊している。

 広場に車とモビルスーツを止めて、歩いて、出入り口を探し始める。

 本来の出入り口とロビーは完全につぶれてしまっており、さすがに入ることはできない。そう思って周囲をぐるってまわると、調査員の一人が東側に大きな穴が開いていることに気が付いたそうだ。

 俺も急いでその場に辿り着くと、そこはモビルワーカー用の出入り口近くだった。

「そんな出入り口があったな」

 シノが感心しながら地下へとつながる出入り口へとずけずけと進んで行く。

 もとより中は広く、少し歩けば迷子になってしまう。なのでシノに「一緒に行動しよう」っと言おうと中に入ってからシノがいたはずの方へと顔を向けると、そこには既にシノはいなかった。

「もう……どこかへ行ってしまったの?」

 どうやらすぐそばの通路の奥へと消えてしまったようだ。

 追いかけようとそちらに行こうとするが、反対側から何かを蹴るような音が聞こえてそちらを向いてしまう。

 今……絶対何かを蹴った音が聞えた。

 周囲を確認するが、調査員が各通路へと消えていく中、俺の視線は再び音の方へと向いてしまう。

「誰もいないよね?」

 そういいつつその通路を進んで行き、階段を昇って上へと進んで行く。一階に辿り着き、そのままの歩いて曲がり角を曲がったところでそれに出会った。

 ライド・マッスと俺は久しぶりに出会った。

 

19

 

「ライド!今までどうしていたの?」

「ビ、ビスケットさん!?」

 俺は力強く両肩を握りしめ、距離を詰める。きっと表情は怖くなっていただろう。しかし、俺はそんなことを気にしている場合ではなかった。

「今まで何をしていたの!?ユージンがすごく心配していたんだよ!?」

 どこかから「お前が言うな」っというツッコミが聞えた気がした。きっと気のせいだろう。

 ライドはどこか申し訳なさそうにしながら俯く姿を見ると俺は言い過ぎてしまったことに気が付いた。

「ごめんね。少しだけ言い過ぎたよ」

「いいえ。すいませんでした。俺も……みんなに迷惑をかけて」

 改めて頭を下げ謝ってくるライドに俺は多少慌ててしまう。そんな俺の姿を見るとライドはクスクスと笑い始めてしまう。

「すいません。ビスケットさん何も変わっていないから。ビスケットさんが生きていた話はゲイナーから聞いていたんです。EDMで幹部として頑張っているっと」

 俯いたままどこか暗くなっていくライド、ライドは表情を俺に見せないように体を預けて一回叩く。

「団長が俺を庇ってくれたんです」

「うん。聞いてるよ。ユージンはそれが心配だって。ライドが必要以上に背負ってしまうんじゃないかって」

「俺の所為なんです。俺が団長を庇えばよかったんです!!俺が死ねばよかったんだ。シノさんにも庇われて!俺が足手まといだったから……!!」

 ユージンが危機感を抱いた通りだった。

 ユージンはシノやオルガに守られたライドは必要以上に自分を責めているのではないかっと考えていた。オルガが俺が死んだときに自分を責めていたようだし。多分、ライドも同じように自分を必要以上に攻めたのだろうという事は把握できた。

「俺の所為で鉄華団が滅んで……みんなは他人として生きていて。誰も俺を責めないんです!」

「当たり前だよ……誰もライドを責めないよ。みんなで決めた結論だったろ?」

 俺を含めてみんなで決めた結論だった。だからこそ、誰も責めない。俺達みんなで責任を背負いあう。そう決めたんだ。

「俺がつらいんですよ!誰かが攻めてくれたらいっそ楽になるのに!!」

「みんなで背負う。みんなで責任を取り合う。それでいいじゃない」

 それまで俯いていた顔が俺の目をまっすぐとらえる。その両目には涙をいっぱいにためていた。

「でも!ビスケットさんは違うじゃないですか!いつだってみんなを大切に思っていて!」

「ラ、ライド?」

「団長を止めようとしたり」

「そ、それは……兄さんの事があったからで」

「でも!止めようとした!俺は止められなかったんです!どうして………」

 もう一度俯いて俺に背を向けるように体を反転させる。

「どうして…………俺は皆さんと同じ時代に居なかったんですか?」

「?いたじゃない。俺達は一緒に仕事をしたし、一緒にご飯を食べて」

 言葉の意味をよく理解できない。ライドは何を言いたのだろう?

「俺は三日月さんや昭弘さん達と同じ時間を生きてみたかった。そうすれば……誰かの為に戦えたかもしれないのに」

 ライドにどう声を掛ければいいか悩んでいると通信機からけたたましい警報音が聞えてきた。

 通信先は仮設本部の通信オペレーターだった。

「現在二方向から敵モビルアーマーが接近中、ファントムブラッド隊を中心にこちら側は交戦していますが、鉄華団本部の方からも同じように近づいています」

 窓の方に走っていくと、遠くにだがモビルアーマーが近づいていることが把握できた。

「逃げるしかない」

 そうつぶやいたが、しかし、ライドはそれが気に入らなかったようでこちらをまっすぐ見ながら口を開く。

「戦わないんですか!?」

「戦力が足りないよ。戻って体勢を整えた方がいい」

「でも………ここは俺達の」

 俯き、モビルアーマーの方を見て怒りをにじませる。そして、身をひるがえしどこかへと走り出し始める。

「ここは………ここは…………俺たちの居場所なんだ!!!」

「ライド!」

 ライドを止めようと右手を伸ばすが空を切りそのままライドを見送るしかできなかった。

 でも、俺はこの時止めておけばよかったと後悔することになった。

 結局俺は何も成長できていないという事なのだろう。




どうだったでしょうか?面白かったと言っていただけたら幸いです。次回でマーズ・アタック編も終わりになります。鉄華団を中心に話の編成を組みました。どんな決着になるのか楽しみにしていてください!
次回のタイトルは『マーズ・アタックⅤ《命の還る場所》』になります。次回……辛い話になると思います。
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