機動戦士ガンダムE   作:グランクラン

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サブレ編開始です。ここから次の編すら続く長いお話の開始です。


ラブ・イズ・フォーエバーⅠ≪運命≫

 

 アスナ・エールという女性といつ頃であったのかというと、実は兄と別れてしまったその日のうちに出会うことになった。

 クリュセ内がある程度治安が良い陰で、レジスタンスと呼ばれる反政府運動が今にも暴れだしそうになっているという話を俺はアスナから聞くことになった。

 しかも、元ギャラルホルンがいまだに抵抗をしているとは思わなかった。

 面倒な事態に巻き込まれたものだなっと後になって後悔したものだが、後悔して動かないぐらいなら、後悔しながらでも動くのが俺の性分であり、性格なのだと俺はこの一年で嫌というほど思い知らされた。

 兄は後悔するたびに考える性格をしているため恐ろしく世話がかかる。

 さて………どこから話すべきなのだろうか?

 やはり兄とはぐれたところから話すべきだろう。

 これは一人の女性がある男に恋をした悲恋の物語。

 そして、別の女性が悲しみと向き合い革命の乙女になる覚悟を決める話である。

 覚悟を決めるまでもなく、向き合うべき恋も無かったのかもしれない。でも、語るべきだろう。

 俺が誰も救えず、悲しみを癒す事もできず、一人の乙女をっ手助けすることもできない物語。

 誰もが自分と向き合わなければならない物語、結局のところ自分を救えるのは時分だけだという話なのだから。

 さあ、悲恋と覚悟の話を語ることにしよう。

 

 

 砂嵐の中を降下するという今まで経験したことが無い経験をした、のちすぐにこれまた経験したことが無いタックルを経験した。

 何せ四人分のタックルである。避けるとか耐えるとかの思考をする前に目の前にいた。

 恐ろしいことに360°モニター全域の半分を占めるほどのモビルスーツがくんずほぐれつのような姿勢で突っこんでくるとは思わなかった。

 そして、くるくる回っている間に別の音声モニターからどこかの開発局長の悲鳴が聞こえた気がした。

 一瞬のうちにツッコミどころが増えていくこの状況に俺は怒鳴り声しか上げられなかった。

「どういう状況なんだ!?」

 そのまま渓谷の谷間に突っ込んでいく姿を俺は恐怖を覚えながら激突を回避するために操縦桿を必死に動かす。

 衝突してたまるかよ!!

 リングファンネルをうまく展開させつつ加速モードを使った衝突コースの逆方向へと加速を掛ける。

 衝突する瞬間に一瞬だけの間浮遊し、そのまま全員が地面に落ちてバラバラになって崩れてしまう。

 一旦落ち着くと周囲への怒号を忘れない。

「お前達!!全員出てこいや!!ソニアも!!」

 コックピットから出ながら叫び声を上げながら俺は周囲を睨みつける。そして、最後に真後ろを睨みつけ、バハムートの本体の上部をジッと見つめる。すると、まるで航空機のドアのようにゆっくりと開き中から白髪の女がノーマルスーツと共に現れた。

「ふう。まさかくるくる回ると思わなかったのよね~」

「それどころか!?お前が乗り込んでいるという事をまるで聞いていないんだが?」

「そうだったかしら?でも言わなかったっけ?」

「本気にするわけないだろう!!追加ユニットがやけに大きいと思ったが………まさか貴様……中に居住区画を使ったわけじゃないだろうな?」

「ピューピュー」

「口笛を吹けば許されると思うなよ」

 あと可愛くないからな。おばさんが口笛を吹いて誤魔化そうとしている光景は。

「おばさんじゃないわ。まだ四十歳よ」

「俺の心の内を読むんじゃない」

 お前は覚醒者じゃないだろ。

 そして、気が付くと外に明楽達が正座する形で落ち着いていた。

 俺は明楽、渉、レオ、マークの順ににらみつける。

 マークがまず「レオ達が突っ込んできて」っと言い訳を言い始め、レオは「明楽達が突っ込んできたんですよ」っと口ごもりながら話始める、明楽は「渉が突っ込んできた」と言った。

 最後に渉が涙目でおろおろとしながら答えた。

「ジョ、ジョシュアが……ジョシュアがぁ……ぶつかってきてぇ」

「間抜けな声を出すな。涙目になるな。分かったから」

 どうやら俺の顔が予想以上に怖かったようだ。

 反省反省。

 さすがに疲れたので閑話休題。一旦休憩。

 

 それからどうするかという話をする前に一旦バハムートとエデンのドッキングを解除して、バハムートは戦闘機のような状態に変化してしまう。

 渉と明楽がバハムートの中を探検するようにはいっていく姿を見送ると、俺はソニアが中で作ったコーヒーを飲みながらレオとマークと共に今後の話し合いをすることになった。

 まず、クリュセ内の状況を知ることを優先にするべきだろうというのが結論でもあった。

「しかし、どうやって中に入っていくつもり?」

 ソニアの疑問も最もである。実際マークとレオも同じような感想を抱いたらしく俺の方をじっと見つめてくる。

 俺もそれは考えたが、そんなことは簡単な事であった。

「私服に着替えよう。EDMの服さえ着なければさほど問題ではないだろう。どうしても気になるなら眼鏡なり帽子なりつければいいだろう」

 その一声で終息した。

 ゆえに俺はバイクに乗ってたった一人でクリュセに向かって進んで行った。

 ちなみに眼鏡を掛けながらである。

 

 

 クリュセにはあっさり入ることができた。検問とかそういう存在をどこかで多少は気にしていたのだが、そんなモノすら存在しなかった。その理由はクリュセ議会の近くに寄った所でようやくそれに気が付いた。議会周辺は憲兵がガッチリ守っており、まるで紛争が起きるのではないかという警戒の仕方である。

 怖い怖い。近づかないほうがよさそうである。

 なので右折してスラム街の方へとバイクを進めていく。綺麗な街並みが少しずつ落書きと浮浪者がその辺を跋扈している風景へと変わっていく。

 人込みを避けながらバイクの速度を落としながら進んで行き、多少開けたところでバイクを端に寄せるように止めつつスマフォで居場所を確認する。

 ふむ。どうやら雪之丞とかゆう兄さんの知り合いがやっている仕事先は逆だったか。

 とか思ったところでホームレスのような男たちが群がってきた。

 治安悪いな………相も変わらず。

 俺はバイクのエンジンを止め、鍵をポケットの中に入れておきどうするか少しだけ悩む。

 ここで問題を起こすわけにはいかないしな~、どうするかな~。

 そんな風に考えていると汚いやせ細った男が俺のバイクに手を伸ばす。俺はそれは胸に仕込んだナイフを取り出して軽く頬に傷をつける。

 男は驚きと共に小さな悲鳴を上げる。油断も隙も無い奴らだな。

 ナイフを持ってどうするべきかと悩んでいると、周囲いがまるで意に介さないように普通の生活を送っているところを見ると、こんな騒ぎは日常茶飯事なのかもしれない。

 ふと後ろの若めの男を見ると胸元に手を伸ばしているのが見えた。

 はぁ~、あまり使いたくないんだが。

 最近訓練して使えるようになった力、覚醒者としての一般能力である脳内透視を使ってみる。

 意識を若い男の方をじっと見つめると男の脳内情報がそのまま千里眼のように服の下の得物を透視させる。

 男のジャケットの下にはリボルバー型のハンドガンが隠されており、俺は彼が取り出そうとしている右手に向かってナイフを投げた。

 ハンドガンを手にしようとした手のひらを押さえてうずくまりハンドガンはその拍子に地面に落ちる。男の掌にはナイフが見事に突き刺さっている。

 すると左隣に立っていた若い女がハンドガンを拾おうとするが、俺はそれすら読み切り腰に隠していたハンドガンを取り出して地面に落ちているハンドガンへと容赦ない引き金を引く。

 地面に落ちていたハンドガンは大きな音を立てて遠くへと吹き飛んでいく。

 ほかの奴らも俺の方を見て顔を青ざめていく。

 最も彼らが俺の顔を見えないだろう。フルフェイスのヘルメットをかぶっているのだから当たり前だが。

 しかし、どうするべきかと悩んでいると、彼等が怯えた様子で逃げていく。

 まあ、逃げるのなら追いかけないさ。そう思ってスマフォをいじろうと視線を移したところで後ろから木星帝国の憲兵っぽい奴らが見えた気がした。

 俺はフルスロットルでその場から逃げていった。

 

 危うく木星帝国とトラブルになるところだったと肝を冷やしていると、見知らぬところまで移動してしまったと気が付いた。

 スマフォのマップを確認しているといつの間にかいつの間にか反対側に居たと気が付いた。

 先ほどまでいたところより多少はマシというレベルの街並みだが、それでも浮浪者がいないだけで落書きなんかはやはり見えてくる。

 どこに移動するべきかどうかという悩んでいる。中心に行けば行くほど木星帝国の監視が厳しくなる。

 だというならとりあえず兄さんの知り合いの足取りを追う必要があると考えに至った。

 だからだろう雪之丞と呼ばれている中年の男が社長を務めている会社へと言ってみようという考えに至った。

 バイクを走らせること一時間、信号に引っかかったり、木星帝国の兵士を避けて移動すると自然と遠回りする羽目になってしまった。

 しかし、たどり着いた場所に人はおらず、閑散としていた。

 人がいたという痕跡は微かに残っていたが、人という人はまるでいない。しかし、生活をしていた痕跡は残っている。いや………誰かが今でも生活をしている?

 ふと不思議な感覚にとらわれてしまう。

 バイクを降りてあえてヘルメットを取らないようにしてハンドガンをポケットから取り出す。

 ゆっくりとした足取りで進んで行き、大きなシャッターの下がかすかに空いていることに気が付き、その下を潜って奥に潜り込む。

 ヘルメットが暗視ゴーグルの役目を果たし、倉庫のようになっている場所には多くのモビルワーカーが鎮座しており、周囲に気をはらいながらゆっくりとした足取りで進んで行く。

 すると、歩いて十歩目の所で床にワイヤーが仕掛けられていることに気が付く。あえてそれをよけたりせず、そのままワイヤーを追って仕掛けの元へと足を運ぶ。

 仕掛けはいたってシンプルでワイヤーを踏んだり引っ張ったりすると仕掛け先の装置がオンになりそのままサイレンを鳴らすようになっていた。

 なので俺は慎重に仕掛けを外していく。それ以外にも同じような仕掛けを外していき、最後に事務所へとつながる仕掛けを外すと、今度は赤外線センサーが事務所へのまっすぐの廊下に人の隙間があるのかどうか分からないほど仕掛けられている。

 なんなんだ!?どういう施設なんだよ!!あちらこちらにしかけやがって!!

 怒りのままに赤外線センサーを回避しながら進んで行くと、センサの一つが唐突に変わっていき、かすかに俺の脚部へと当たってしまう。

 けたたましい警報音と共に奥の方から中途半端な長さの黄色と茶色の中間のような色合いの髪と釣り目と睨みつけるような目が一緒くたになったような青年が奥から姿を現した。

 左腕が義手になっている青年はハンドガンを右手に握ってこちらに走ってくる。俺はそれを弾道を予想し、左側へと跳躍しそのまま壁を蹴って一気に距離を詰める。

 青年は驚いたような表情でハンドガンの銃先を俺の方へと向ける。しかし、それを俺は自分のハンドガンでハンドガンを打ち落とす。

「クソ」

 青年は悔しそうにしながら左手でナイフを取り出し俺の喉元へと手を伸ばす。しかし、俺はそれより早く相手のこめかみに銃を当て、ナイフを左手で地面に抑える。

「ナイフを離せ」

「侵入したのはそっちだ!」

「お前はここの住人か?」

 離す気が無いようなので質問の内容を変えてみる。すると、青年は観念したように小さな声で話し始める。

「違う」

「じゃあ、どうしてここにいる?ここは雪之丞とかいう男性の会社だったはずだ」

 そういう風に兄経由でユージンの情報がこちらに入っている。

 どういう理由で青年がここにいるのか分からない。

「あんたに話す理由はない!」

「だったら君を使って奥へ脅しをかけるだけだ。気が付いていないとでも思うのか?奥に人がいるな?」

「!?」

 俺は奥の方へと視線を移す。先ほどから奥の方から視線を感じていたんだ。

 すると、奥から大人しそうな声と凛然とした声が聞えてくる。言い争いをしているように見える。

 しかし、どう決着を迎えたのか分からないが奥からスーツを着たような女性が事務所の陰から現れようとした。すると青年は大きな声を上げる。

「駄目です!」

「いいのです!ここでデルマ君を見殺しにするわけにはいきません。私が狙いなのでしょう?」

 そういって姿を現したのはクーデリア・藍那・バーンスタインが廊下に出てきた。

「あなたはレジスタンスなのでしょう?私を連れていきたいのならそうしなさい。その代り彼には一切手を出さないでください」

 どうやら俺の本来の所属を誤解されているようだ。俺はデルマと呼ばれている青年を離し、ヘルメットを脱いで、EDMの印付きのケースを見せる。

「どうやら所属を誤解されているようだ。俺はEDM………『経済防衛機構』の幹部サブレ・グリフォンだ。ちなみにレジスタンスという組織を教えてもらってもいいかな?」

 

 

 事務所の壁は鉄の板で塞いでおり、明かりが外へと逃げないようにしている。小さな子供たちが端の方で遊んでいる。

 俺は近くの椅子に座り込み、改めてクーデリア、デルマ、そしてアスナと呼ばれている明るいブロンズヘアーをしている女性の四人で話をすることになった。

 とりあえずデルマという青年は俺に向かって頭を下げてくる。

「すいませんでした!まさか、EDMの人だったとは」

「気にするな。こちらも怪しい恰好をしていたんだしな」

 すると、クーデリアは暗い表情を浮かべながら手元に持っているコーヒーをのぞき込んでいる。デルマはレジスタンスという組織の説明をしてくれる。

「元々はギャラルホルンのやり方に抵抗していた組織だったんですが、現在は木星帝国に反抗している組織になってしまったんです」

「なるほど……その為にクーデリアを求めているというわけか」

 すると、クーデリアは俺の方を見ながら声を荒げる。

「やはり私は議会へと行きます。このままではククビータさん達が!」

 立ち上がったクーデリアにデマルが強く手を握る。

「駄目ですよ!今行けばむしろ相手の思うがままです。今話したでしょう?今の議長はテトラ・ギュウジャンであなたに恨みを抱えているんですよ?」

「分かっています!でも、私の所為で多くの人に迷惑をかけている。そのせいで人が死ぬなんて見ていられないのです」

「だったら行けばいいだろ?あんたが行くことで誰かが救われると思うなら」

 俺は冷たい態度を取りながらコーヒーを飲み込む。クーデリアは俺の方に鋭い視線を向ける。

「むしろあんたが行けば多くの人が余計に苦しむだけだと思うが?周囲が苦しむのを耐えていればいいだろ。今更だろ?昔多くの人が死んでいく姿を耐えてきたんだ。今更一人二人増えたところで……」

 そこまで行ったところでクーデリアは俺の右頬を強く叩いた。叩いた本人は涙目になっている。

「あなたに何が分かるのですか?」

「知らないさ。知ろうとも思わないが。誰が死のうとあんたがクーデリアであることは変わらないだろう?それとも誰かが死ぬとあんたはクーデリアでなくなるのか?あんたはドルトの一件の時に覚悟を決めたんだろ?今更あちらこちらをフラフラするな。あんたの為に命を懸けている人間がいるんだ。そんな人間を不用意に助ければそれ以外の多くの人が犠牲になるんだ。あんたは知り合いを助ける為に多くの人見捨てるのか?だったら、どうしてあの時鉄華団を助けなかった?今更後悔するな!」

 俺はクーデリアを睨みつける。怒りもあるのだろう。オルガや彼の仲間を助けようとしなかった彼女への怒り。受け止め進むことが今できない彼女が今更立ち止まって後悔していることへの怒りかもしれない。

 彼女はおとなしく座り込み、俺はコーヒーを机に置いて腕時計を確認する。

 これが出会いという名の運命だったのかもしれない。

 俺は後に彼女『アスナ・エール』が革命の乙女と呼ばれる運命がこの時始まったのかもしれない。

 

 

 イオリは姉であるメアリー、そしてクレアと共にサブレ達捜索の為にクリュセに訪れていた際、彼女は運命の出会いを果たす。

 一人で公園の辺りを調べているとその人は猫に手をさし伸ばしていた。

 猫はそんな男性の差し出した手をひっかいてその場から逃げていく。男の右手から血が出てきて、イオリは驚いたままハンカチをもって血を止めようと右手を取る。

「君は……誰?どうして助けるの?」

 まるで心底不思議そうにしている男性にイオリは当たり前のように放つ。

「あなたが傷を負ったからです」

 イオリはポケットの中から包帯を取り出しそのまま止血を行う。

 彼は手当てを受けた手を見つめてぎこちない笑顔を見せる。まるで笑顔を知らない風である。

「僕は………エガーだよ。君は?」

「私はイオリ。よろしくね」

 これは悲恋の出会い。悲劇でしか幕を下ろせない物語。

 出会った時から悲劇が約束されている。

 




どうだったでしょうか?冒頭で書かれているとおりこの話は悲恋と覚悟のお話になります。彼らがどうなっていくのかは見ていってください。
次回のタイトルは『ラブ・イズ・フォーエバーⅡ《愛ゆえに》』となります。お楽しみに!
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