でも、アイン戦はこれで最後になります!色々と真実の分かるお話になると思います。というか、真実を話す方がメインです。
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お互いにハンドガンを構え合う、にらみ合い、殺意を向け合うこの状態はいったいどちらが有利かというと、断然アインが有利である。
しかし、アインとて決して油断していい状態ではない。
「人間は同じ文明を何度となく繰り返して滅ぼしては繁栄する。何度でもこれを繰り返す。意味のない行為をこれからも繰り返すのか?」
「脱却する術があると信じる。戦っていく」
「人間がそんなに賢い生き物だと思うか?」
「俺はお前が思う以上に人間を信頼している」
建物が大きく揺れるのがパイロットスーツ越しにもよく分かる。しかし、サブレとアインが本当に語りたいことは別だ。
ここがアイスがマイクと出会った場所である。
アイスが大学一年生だった時、マイクは大学三年生のあるゼミ生であった。精神医療を目指すアイスに対し、マイクは精神干渉というジャンルの研究をしており、アイスは必要以上に研究をしようということは無く、単純にカウンセラーとしての就職を目的にしていた。
マイクはこのころから軍方面から精神干渉方面で協力をしており、これが後にニュータイプ開発に発展していくとは誰も思わなかった。
大学では人間の脳みそが日々解明されており、そんな中宇宙移民計画でマイクとアイスはそれぞれ大学ごと宇宙コロニーに移住することになった。
初めての年末、年越しの準備をするアイスは大学三年生のマイクとぶつかってしまう。
お互いに持っていた荷物をばら撒き、集めている間にお互いに荷物がかぶっていると気が付いた二人は自然な流れでゼミへと向かった。
ゼミの教授はアイスの持つ才能に驚いた。
彼女は人の頭の中をのぞくことが出来る才能を秘めており、それ以外にも脳波を周囲へと飛ばしていることもよく理解できた。
教授は次第に実験内容を過激にしていく。
そうしている間に、あの痛ましい悲劇が起きた。
マイクはアイスを実験動物のように扱う教授のやり方に耐えられなかった。だから逃げようとし、シャトルに乗って移動していた際の事である。
アイスはシャトルの席でテレビを見ていると、気持ち悪くさせ、同時にマイクはそんなアイスの背中をさする。
「どうしたんだ?」
「死んだ………多くの人が、死んだ」
涙を流し、マイクにもその光景が流れてい来る。
悲劇が頭の中に流れ字こんでくる。
コロニーが爆発していく光景、人が外に投げ出され、死んでいく。
宇宙世紀元年1月1日。
その数か月後に反政府運動を理由に二人は殺されることになる。
二人が出会い。絆を紡ぐきっかけになった場所。
宇宙コロニー『ラプラス』
多くの人の命が奪われ、殺され、長く続く悲劇のきっかけになっていく。この日を境に人類は繁栄と滅びの輪廻を繰り返すようになってしまった。
今、人類は完全に滅びる直前まで追い詰められていた。
ハンドガンの引き金を引こうと人差し指に力を籠める。すると、より大きく地面が揺れる。
ハンドガンから出る弾がお互いに当たらず、遠くへと着弾する。
「なんだ?」
『サブレ。コロニーレーザーへの攻撃が始まっています。脱出を』
サルガからの指示が出るとサブレはいち早く建物から出ていく。
出ていく際に、一瞬だけだがアイスとマイクが出会う瞬間が映った気がした。
心残り。アイスはずっと考えていたあの日、出会わなければこんな結末にはならなかった。
出会わなければよかったのではないかっと、そうすれば少なくとも人類が滅びるような結末にはならなかった。
そんな心残りがサブレに幻を見せた。
この出会いがなければ、こんなところにまではこなかった。
サブレは幻を背に駆け出していく。
素早くガンダムエデンに乗り込むと、アインも同時にガンダムアークに乗り込んでいく。
ショッピングセンターを破壊しながらアークがエデンに向けて突っ込んでいき、エデンは突き出される右拳を受け止める。しかし、攻撃力を受け止めきれなくなり、エデンは膝をつく。
「分かっているはずだ。人間は進化してすらも同じことを繰り返す。お前だって分かっているはずだ!」
「分かっているさ!それでも……!!一度信じると決めた!」
少しづつ押し返していくと、エデンは背中のブースターをの位置を調整する。
先ほど見えていた。エデンが安置されていた場所の近くにガスタンクがあったのを見ていた。
中身があるとは考えずらいが、あれば逆転の目があると信じていた。
ガスタンクの方に背中を向けるとエデンのスラスターを最大値まで高めた。
アークを押し返し始めるが、それだけでは駄目だった。すると、アークもスラスターで押し返そうとし結果としてアースのスラスターの火がガスタンクの表面を焼き始める。
焦げて、溶け出していき、大きな爆発を起こしていく。
サブレのエデンを包み込んでアークへと炎が包み込む。
アインはとっさの事で手を離してしまうが、その隙にエデンがビームサーベルを抜き取ってアークへと突っ込んでいく。
アインの視界がエデンのビームで視界を潰されていく。
咄嗟にアークのキャノンの引き金を引き、相打ちを狙いお互いの視界を光りが潰していく。
もし………生まれ変わるなら何になりたい?
そう聞いたのはアイスだった。
僕は『鳥』になりたい。っといった。
アイスがふと空を見上げると、そこには鳥がいた。青い鳥だった。
なれるといいわね。そういったアイスは優しく微笑み返した。
君もなるんだよ!そう僕はいった。
私は………なれないわ。そんな風に自由にはなれない。
僕はいつか君を救って見せる。そう力強く告げた。
それはあなたの役目ではないわ。そう悲しそうな目で告げたのは僕の心に深く残っている。だから………助けたかった。
僕は助けられなかった。
君を失った。
助けに行ったとき、君は殺された所だった。
悲しみに苦しみ、声を上げてその場で憎んだ。
だから、君が生まれたんだよ。サブレ・グリフォン。
サブレはふと気が付くとアイスが殺された場所に立っていた。
いや、正確ではないだろう。これはアイスと『彼』の記憶だ。
『彼』が誰なのかは分からないが、少なくともマイクではないだろう。
「君は僕の中にある彼女を『助けたい』という願望と『憎しみ』を原動力に、彼女の世界を救いたいという気持ちを軸にして生まれたんだ。彼女の才能が二千万の時を経て熟成されたような物さ」
「まるで漬物みたいに言うな」
「褒めているんだよ。君の魂は全く新しい所から生まれたんだ。彼女の才能を受け継いでいるという点ではやはり生まれ変わりになるのかな?でも、おかしいとは思っただろ?」
「まあ、彼女の生まれ変わりなのに男という点では一番早く疑問に思った。でも、そういうものなんだと勝手に解釈していた」
「アカシックレコードは真実を話していないと思う。君は地球連邦軍の軍人がマイクを殺したって告げられたんだろ?」
「ああ。違うのか?」
「違う。マイクを殺したのは………僕だ。エヴリー・ロンそれが僕の名前だ」
エヴリー・ロン。絵本の作者。
サブレは理解した。
(ああ。アカシックレコードは真実を告げていない。むしろ嘘と真実を織り交ぜながら話していたんだ。あくまでも人類に選択を強いる為に。ああいえば、人類が選択を強いる可能性が高いと踏んだのだろうな。あくまでも人類が進化する気があるのか?ないのか?ならば………)
「なら、俺が生まれると分からなかったというのも嘘?」
「おそらくは………多分、イオリア・シュヘンベルグと出会った際にサブレ・グリフォンの到来は予想していたはずだよ。そのタイミングで、僕が作った絵本を僕のDNAで作ったクローンでばら撒く。PN01の素体の誕生目的じゃないかな?もちろんそれだけじゃないとは思うけど、人間を知るのは人間の素体を手に入れる必要があったし、今まではクローンを使っていたはずだ」
「なら、どうして今回に限ってはオルガ………死体を使ったんだ?あれもクローンなのか?それとも……」
あれはAIではないという事になる。あれは、オルガ・イツカのクローン、もしくは死体を作ったのだというのはサブレにも予想できる。
「クローンは細胞の劣化速度が速いからね。それに、いくつかバリエーションが欲しかったんじゃないかな?人の間に関係を持つならいくつかバリエーションが欲しいからね。まあ、オルガって人はどうもクローンぽいけど。あれは単に君の気を引きたいからだよ。気づかせたら君は追いかけると確信していたんだろ?実際君は追いかけた」
そして、アカシックレコードの元までたどり着いた。
「まあ、これは特別な空間だからね。真実は君の記憶の中にあるよ。探してごらん。後、君のAI君。え~っとサルガだっけ?感謝するといいよ」
どういう意味なのか尋ねようとするが、その前に現実に引き戻される。
現実に引き戻されるとエデンの間コックピット前にシールドがエデンを守っており、サブレはとっさにビームサーベルのを持つ右手を見る。
キャノンの熱で焦げ始め、融解が始まっている。
『サブレ。目が覚めましたか?現在右腕が融解しています。離脱を推奨』
ビームサーベルはコックピットの右隣を貫いてはいるが、まだアインの生存を強く感じることから、まだとどめにはいっていない。
「だめだ。ここで距離を開けられたら倒せない!」
負けてしまう。
ここで逃げたらだめだっと考え、サブレはエデンの右腕を更に横に向けて動かす。動かすたびに腕が悲鳴を上げているようにも見え、今にも腕が壊れそうだった。
「まだ抵抗するか!?」
「………どうして?」
「貴様が裏切るから!!人間が愚かだからだ!!」
「………どうして……どうして彼女を守らなかった!!」
アインの表情は驚きに満ち、同時にサブレの姿がエヴリー・ロンと重なった。
その瞬間アインの右半身がビームで焼けていき、同時につぶやく。
「また……お前が俺を殺すのか?」
その言葉はサブレを再び夢の奥へと連れていく。
マイクがアイスの所に戻るときには、彼女は既に息絶え、マイクもまた傷だらけだった。憎しみの言葉を口にするマイクに対し、それを遠くから眺める一人の視線にはマイクは気づけなかった。
もし、こんな状況でなかったとしたら二人は別の関係があったはずで、遠くから眺めている視線の主はエヴリー・ロンだった。
エヴリーにはアイスが死んでいるという事しか分からず、それだけで思考が大きく乱れ、ハンドガンの引き金を引かせるには十分な心理状態だった。
発砲音と共にマイクの左胸に赤い血のシミが広がっていく。
「!?誰だ?」
心臓を撃ち抜きさえしなかったものの、体中から力が抜けていくことが分かっていくマイク。
発砲音の先には見知らぬ男性が興奮状態で立ち尽くしており、ハンドガンを構えていることからも犯人であることは把握できた。
殺してやろうとハンドガンを手に取るが、それより早く怒鳴り声と発砲音が聞えてきた。
「なんで彼女を助けなかったんだ!?この………人殺し!!!」
誤解と勘違いからくる発砲で今度こそ心臓を撃ち抜く。
すると、マイクの視線は自然とアイスの方を向く。
彼女とエヴリーの関係を理解したとき、マイクもまた誤解からくる憎しみを覚えていた。
これこそが彼女が見た悲劇の入口。
どう彼女が関係をただそうとしてもこの二人は愛する人をめぐって殺し合う関係でもある。
それをじっと監視カメラ越しに見ていたのはアカシックレコードであった。
サブレは涙を流す。
エヴリー・ロンは誤解からマイクを殺し、結果から見て呪いを振りまいてしまった。
後悔だったのだろう。全ては。だからこそ彼の体はアカシックレコードによってクローンの素体に。魂は彼女の生まれ変わりになるサブレ・グリフォンの為に使用された。
生まれ変わって鳥になりたい。
そんな願いすら叶わぬものと知りながら。
サブレはコックピットから飛び出し、ハンドガンを握りしめながらアークのコックピットのハッチをひっぺ返そうとする。
時間はかかったが、ビームサーベルの熱で溶けかけていたハッチを外し、中に居るアインに向けてハンドガンを向ける。
「待って!」
その声の主の方へとハンドガンを向けるとそこにはククナがノーマルスーツ姿で立っていた。
「コロニーレーザーはじき陥落する。このままでも死んでしまうわ。どうせ右半身のほとんどは無いわけだし。私が責任をもって彼の死に付き合うから………お願い」
サブレ一瞬悩んでしまうが、彼女の目を見て、彼女の立ち振る舞いを記憶し、彼女の覚悟が自分では変えようがないことを確認しハンドガンを下ろす。
「ありがとう」
サブレはエデンへと帰っていき、ククナはコックピットの中で今にも死にそうになっているアインを抱きしめた。
「がんばったね?もう………頑張らなくてもいいからね。私は最後まで一緒に居てあげるから。一緒に………死のう」
その姿を見ながらサブレは崩壊し、火が噴いているコロニーレーザーから脱出しようとする。
その瞬間。
コロニーレーザーが自爆シークエンスに入っていることに気が付いた。
「自爆!?規模は?」
『戦場一帯。戦艦はともかく、シャトル程度であれば大破するでしょう』
外に居るビスケットの事を考えたサブレ。
救いたい。
その気持ちがサブレの心を満たしたとき、エデンの背中からまるで天使の翼のような光が際限なく広がっていく。
サイコフレームの共振が世界を満たし、コロニーレーザーを温かい光で包んでいく。
ビスケット達シャトルがイサリビに回収されようとしていた時、コロニーレーザーが大きな光を各所から放ちながら崩壊していくのが見えた。
しかし、同時にコロニーレーザーがまるで圧縮する様に縮小しているのも見てわかる。
「やばいぜ!自爆しようとしてやがる!」
ユージンの焦る声が聞こえてくるが、実際シャトルの回収はまだ半分も終わっていない。
「爆発の規模は!?」
「分かんねぇ!?下手をすると戦場一帯が……」
ビスケットは作業を急がせようとするが、そんな中サブレの温かい光をクレアと共に感じ取る。
いや、全員が異変を感じ取りコロニーレーザーへと視線を向けると、コロニーレーザーが温かい光に満ち溢れ……………消滅した。
何も残らず。
残さない。
エデンごと姿を消して、サブレの気配もまた消えてしまった。
「「サブレェ!!!」」
皆がサブレの名を叫ぶ。
アインはククナと共に温かい光に満ち溢れていた。
安らかな場所だ。
そういう気持ちが心を満ち溢れ、アインはようやく手に入れたい物を見つけ出した。
そうか…………この暖かさが欲しかったんだ。
二人の魂をエデンは多くの魂と共に抱え、連れていく。
さあ、長い旅の始まりだ。
行こう。安らかな場所へ。
どうだったでしょうか?次回が選び取った未来編の最終話になります。あとエピローグ回と最後に設定集を投稿しようと思っています。
次回のタイトルは『選び取った未来ⅩⅢ《また逢う日まで》』になります。お楽しみに!
次回、サブレの出す最後の答えが分かります。