模擬戦開始です!
ではどぞー!
「意外だったな」
演習室に入った達也に摩利が声をかける。
「何がですか?」
「君が案外好戦的な性格だったということさ」
達也の問いに摩利は期待した目で答える。
「こういう私闘を止めるのが風紀委員の仕事だと思っていました」
「これは正式な試合だぞ?真由美も言っていただろう。まぁ一科生と二科生の正式な試合は初めてだと思うがな」
普通に考えてみたらやらないですよね…とりあえず俺はどうやって何もせずここから出るか考えよう…
「先輩が委員長になってから正式な試合が増えたんじゃないですか?」
「増えているな、確かに」
達也の問いに普通であれば少し痛いところを突かれて詰まりそうなとこだが、摩利は悪びれもない態度で答える。
達也はアタッシュケースから拳銃型の特化型CADを出してカートリッジを入れ替える。
「達也殿はカートリッジ式の特化型を使うのであるか」
興味心身と頷きながら材木座が達也のアタッシュケースの中身を見ている。達也は少し驚いた表情をしている。
「なんでお前がここにいるんだよ…てか何処から入ってきたんだよ…」
八幡は本来、此処にいるはずのない材木座に声をかける。
「八幡達が見当たらないので西城殿に聞いたら生徒会室にいると聞いたのでな、行ったら行ったで会長殿が今から模擬戦をすると言うからついてきたのだ!」
材木座を連れて来たのは真由美であった。
八幡はいつの間に演習室に到着していた真由美の方を見ると、舌をペロッと出して『ごめんね』と言っているが悪気は一切感じられない。
「ほぅ、私の前でまたそのコートを着ているとはいい度胸だ」
材木座…安らかに眠れ。
八幡は心の中で黙祷を捧げる。
「い、い、委員長殿?!!何故ここにおられるんでありましょうか?!」
材木座は達也のアタッシュケースに目を引かれていたのか、摩利の存在に気がついていないようだ。
「材木座さん?今からお兄様が大事な模擬戦を行います。静かにしてて貰えませんか?」
深雪が笑顔で材木座に告げる。
「はい!わかりましたであります!!」
材木座はコートを脱いで、すぐさま隅の方へ移動した。
「深雪ありがとう」
達也は準備が終わったのか一丁の特化型CADを持ってみんなの前にやって来た。
「あいつは司波のことを怖がりすぎではないか?まぁいい、達也くん準備はいいか?」
「はい、お待たせしました」
すると服部が遅れて演習室に入って来た。
「服部も来たな、ではルールを説明する!」
摩利がルールを説明する。
相手を直接、間接攻撃で死に至らす術式は禁止。
回復不能な障碍を与える術式は禁止。
相手の肉体を直接損壊する術式の禁止。
捻挫以上の負傷を与えない直接攻撃は許可。
武器の使用は禁止。
素手は許可。
勝敗は一方が負けをみとめるか、審判が続行不能と判断した場合に決する。
双方開始線まで下がり、合図があるまではCADを起動しないこと。
「ルールに従わない場合はその時点で負けとする。私が力ずくで止めさせるから覚悟しておけ、以上だ」
そして両者が位置についた。
「始め!」
摩利が合図をした瞬間に服部が手を添えていた腕輪型のCADを叩き起動式を展開させ、達也に向けて魔法を放とうとするが、既に達也の姿は開始位置になく魔法が発動されることはなかった。その瞬間服部が倒れた、その後ろには特化型CADを向けた達也が立っていた。
「……勝者、司波達也」
勝敗は一瞬で決した。
その場にいたほぼ全員が驚いている。審判をしていた摩利も、何が起こったのかわからず勝者のコールが遅れた。
達也は一礼し、アタッシュケースが置いてある場所へ戻っていく。
「ま、待て…」
摩利が達也を引き止めたので達也は摩利の方へと向く。
「今のは予め自己加速術式を展開させていたのか?」
「そんなことをしていないのは先輩が一番お分りだと思いますが?」
摩利の質問に達也は即答する。
審判をしている摩利はフライングがないように注意深く観察していたのを達也は気付いていた。
「しかしあれは…」
納得出来ない様子の摩利。
「達也殿は正真正銘、身体的な技術だけで動いておりましたぞ、委員長殿!」
材木座が隅の方から達也を擁護する。
「今のをお前は見えていたのか…?」
達也の動きを追えなかった摩利は材木座が見えているのか半信半疑になっていた。
「無論でありますぞ!」
「その…アレです。こいつ見た目によらず体術とかには長けてるんですよね…」
信用されていない材木座に八幡はフォローをいれる。
「私も証言します。あれは兄の体術です、兄は忍術使い九重八雲先生の指導も受けているのです」
達也は忍術使いなのかよ…あれ?はんぞーくんは忍術使いじゃないの…?
「なんと!あの九重八雲殿でござるか!!!」
うるさい…材木座うるさい…
「材木座さんは先生をご存知なのですか?」
深雪が材木座に質問する。
「いや…我は名前を知っているだけでございます」
深雪に対してはどこまでも恐縮した態度になる材木座。
「じゃあはんぞーくんを倒した魔法も忍術なのですか?私にはサイオンの波動をそのまま放ったように見えたのですが」
「忍術ではありませんが、サイオンの波動と言うのは正解です。あれは振動の単一系統魔法でサイオンの波を作り出しただけです」
真由美は達也に質問し、達也はその問いに正直に答える。
「酔ったということであるな」
材木座が腕を組みドヤ顔で口を挟む。
「正解だ、材木座」
「酔った…?」
真由美は理解できてない。
「達也殿が使っておる特化型CADはシルバーホーンであろう、あれにはループ・キャストが搭載されておる。それで波の合成を生み出したのであろうな。精密な演算能力と多変数化の処理速度それに干渉強度がないとできない芸当であるぞ…八幡以外にそんな馬鹿みたいなことできるやつがおるとは思わなんだぞ…」
材木座は昨日の夜、達也と話していてCAD技術者としてかなり評価していた。
その時材木座は達也のことを魔法師としても高く評価した。
「流石だな、材木座。見事だ」
達也は材木座がすべて把握し、正確に答えたことを賞賛する。
「……実技試験における魔法力の評価は魔法を発動する速度、魔法式の規模、対象物を書き換える強度で決まる。実技試験が本当の能力を示していないとはそういうことか…」
気がついた服部が、立ち上がりながら材木座の分析について解釈する。
「はんぞーくん大丈夫ですか?」
「大丈夫です!」
真由美の一言に服部はシャキッとして答える。
この人わかりやすい…
八幡はその姿を見てそう思った。
「司波さん!」
服部は深雪の元へいく。
「はい」
深雪は少し冷たい感じで返事を返す。
「さっきはその…身贔屓などと失礼なことを言いました。目が曇っていたのは私の方です…許して欲しい…」
服部は深雪に頭を下げる。
「私の方こそ生意気を申しました。お許しください。ですが………それだけですか?」
深雪は大人な対応で服部の謝罪を受け入れたが深雪はまだ服部を許していない。
「えっ?」
「八幡さんには何もなしですか…」
深雪は八幡に対しての謝罪がないことに怒りを露わにする。
「いや…その…」
服部は深雪にたじろぐが…
「数学できないことは事実だから仕方ないんじゃねぇの…目も腐ってるとかよく言われるからな…」
八幡が横から口を挟む。
「八幡さんでも…!」
「深雪はその…アレだ気にしなくていいから、俺も気にしてないから」
「数学ができないことは気にしてください!!」
「すいません…」
「知らないです!数学はちゃんと出来るようになってもらいますからね!」
「はい…」
さっきまで服部に怒っていた深雪だが、いつの間にか八幡に対して怒っていた。
「今日は帰ったらすぐに勉強ですから!!」
深雪は八幡にそう言い、服部の方へと向く。
「服部副会長…八幡さんがこう仰られているので私はもう何も言いません…ですが今後八幡さんにあのようなことは言わないでください」
深雪が服部にそう言って達也の元へ戻っていく。
「副会長、別に俺は謝って欲しいんではないんで、どちらかと言うと風紀委員に入らない方が困るんで認めてくれたら俺は何も言いません」
「いいだろう…お前の実力も見てやる…!」
えっ?そこはあっさり認めてくれるとこじゃないんですか…
「いや別に俺は模擬戦をしましょうとは言ってないんですけど…」
「比企谷、その模擬戦を受けろ!じゃないと風紀委員入りは認めないぞ?」
摩利が模擬戦を受けろと八幡に軽く脅しをかける。
「八幡さん頑張ってください!!」
深雪は八幡を激励する。
「はぁ…わかりました。風紀委員に入るために精一杯頑張ります…」
小町と水波の為だから…決して風紀委員に入りたいとかではない…
「何故そんなにやる気になったんだ?」
摩利は昼休みまで否定的だった八幡に問う。
「風紀委員に入らないと妹が喋ってくれないみたいなんで…」
「お前ってやつは…」
八幡の返答に摩利は呆れるがすぐに真剣な表情に戻る。
服部と八幡は開始位置につく。
「ルールは先程と同じだ!説明は省く」
服部は腕輪型CADを構え、八幡はタブレット型のCADを取り出す。
「始め!!」
開始直後に服部は腕輪型CADを叩き、起動式を展開させた瞬間、起動式が弾け飛んだ。
八幡は
「はっ…?」
呆気にとられている服部はすぐさま地面に叩きつけられた。
八幡が得意とする加速、加重系魔法の複合魔法<重力強化>を発動させ、服部を地面に叩きつけた。
「ま、参った…」
服部は重力場から抜け出せないと判断し、負けをあっさり認めてしまう。
「しょ、勝者、比企谷八幡」
摩利は一方的な展開に驚いている。
先程の達也とは違い、魔法のみで服部に勝利したからである。
八幡は一礼をし、隅の方へ移動する。
「八幡くん今のは…」
真由美も驚いているらしく、八幡に恐る恐る話しかける。
「材木座…説明してくれ…」
「ほむんっ!任せておけ!」
八幡は材木座に説明を託す。
「八幡が最初に使用したのは
達也と深雪は八幡が
摩利、服部、あずさ、鈴音は最強クラスの対抗魔法ということに驚きを隠せていない様子。
「そんな対抗魔法があるのか…」
摩利は
「それよりも、材木座…副会長を地面に叩きつけた魔法は…カーディナル・ジョージの
達也は初めて見た魔法に興味を示し、材木座に質問する。
「八幡が使ったのは、加速、加重系魔法の複合魔法で<重力強化>と言う魔法だ!本来、我がつけた名前は<
八幡は材木座のネーミングが嫌で、重力強化と自分で名付けた。
「けぷこんけぷこん!副会長殿に相手にかかる重力加速度の事象を改変しておるのだ!」
材木座は簡単に説明する。
「なるほど…なんとなくだが、理解はできた。だが八幡…お前は地球に対する重力加速度を改変するほどの事象改変力があるのか…だがその負荷は絶大なはずだぞ…」
達也は八幡の事象改変力に驚かされるが、規模が大きいほど、術者に負担がかかる為八幡の身を心配する。
「そのことか…そのことはあまり言えないんでオフレコでお願いします…」
八幡は達也と深雪なら話してもよかったが、他の人達がいる前で話すことではないと判断し、詮索をさせないようにする。
「そうか」
達也は納得し、追求はしてこなかった。
「そんな事象改変力があって八幡くんは何故二科生なのですか?いくら数学が出来ないからとはいえその魔法力なら確実に一科生だと思うんですが…」
真由美はごもっともな事を質問する。
「そ、その…試験の日体調がすごく悪くてですね…緊張もあって…」
八幡はいきなりの事に焦り、誰にでもわかるような嘘をついてしまう。
「本当に?八幡くん手を抜いてたんでしょ?」
げっ…一瞬でバレた…どうしよう…お兄様助けて…!!
「会長ならお分かりになるかと、八幡は一科生に仲良くない生徒がいます。それを避けたいと思うのが普通でしょう」
達也は冷静に八幡をフォローする。
「雪乃さん達ね…」
真由美は昨日の雪ノ下の態度を見て思うところがあるのだろう。
「それより…副会長、俺は風紀委員に入ってもいいんですかね…」
「先程の失礼な態度と物言い、失礼した…君のことを誤解していた様だ…許してくれ…もちろん私の方からも君と司波達也の風紀委員会入りを推させてもらう」
服部は深く頭を下げ、達也と八幡の風紀委員会入りを認めた。
「服部もこう言っている、二人共風紀委員会入りしてもらえるか?」
「これで小町と水波に見放されなくて済む…」
「不本意ではありますが引き受けさせていただきます」
八幡と達也は風紀委員会入りを承諾した。
「八幡さん!お兄様!おめでとうございます!!」
深雪は服部に二人の事を認めてもらい風紀委員会入りを果たした二人に歓喜する。
八幡の魔法理論ですが…結構無茶苦茶な理論ですいません…
結構必死に考えた結果こうなりました…今後もっといい理論がわかれば変更していきます!
あーちゃんと鈴音が空気になってしまい申し訳ありません…w
次回は真由美とお話です!!