毎回本当にありがとうございます…!
ではどぞー!
八幡は深雪に引きずられ何処かへ行ってしまったが、全員それは見て見ぬふりをして達也に注目する。
「それで、今どちらに?…………はぁ、放送室にいるんですか。それはお気の毒です」
どうやら壬生は放送室にいるようだ。達也が気の毒と言った瞬間に顔をしかめたのはどうやら大声で壬生に返されたからのようだ。
「いえ馬鹿にしてるわけではありません。先輩も少しは状況を……ええ、すみません。それで本題に入りたいんですが…」
全員は達也の言葉に耳を傾けている。
「十文字会頭は交渉に応じると仰っております。生徒会長の意向は未確認ですが……いえ、生徒会長も同様です」
鈴音が達也にジェスチャーし、会頭と生徒会長の意向を伝える。
「ということで、交渉の場所やら日程やら形態について打合せをしたいんですが。………ええ、今すぐです。学校側の横槍が入らないうちに。……先輩の自由は保証します。我々は警察ではないんで、牢屋に閉じ込める権利はありませんよ。では」
そう言って達也は通話を切った。
「すぐに出てくるようです。態勢を整えるべきですね」
「態勢?」
摩利は不思議そうに達也の問いかける。
「中のヤツらを拘束する態勢ですよ。鍵まで盗み出した連中です。CADは持ち込んでるでしょうし、武器も所持しているかもしれません」
「……君はさっき、自由を保証するという趣旨を言っていた気がするが」
達也の言葉に摩利は問いかける。
「俺が自由を保証したのは壬生先輩一人です。それに俺は風紀委員会を代表して交渉しているなんて一言も述べてませんよ」
達也のその言葉にその場にいたほぼ全員が呆気にとられていた。克人も例外ではないらしい。
「辰巳殿、我の言った通りだったでござろう!」
「へぇ、司波はなかなか悪人らしいな、俺の負けだ。材木座」
材木座と辰巳は妙に仲良くなりすぎてるような気がすると達也は密かに思った。
材木座は一体辰巳に何を言ったのか…。
「お兄様、大事な時に席を外し申し訳ありません」
深雪が八幡と腕を組み戻ってきたが。普通であれば美少女の深雪に腕を組まれていれば八幡は色々な目で見られるのは確実だが、八幡の状況を見てそう思う人間はここには居なかった。
八幡は少し赤くなっていた。照れて赤く火照っている訳ではなく、冷やされて赤くなっているようで、震えている。
八幡は達也に助けて!と目で訴えかけていた。
「深雪、あまり八幡を虐めてやるな…」
達也はさっきスルーしたが、八幡の顔を見て助け舟をだした。
「お兄様、八幡さんと腕を組んでいるだけですよ?それと、お兄様も壬生先輩のプライベートナンバーを残してた件については後でゆっくりお話しを聞きますね」
深雪が笑顔で達也に告げた。
横にいる八幡は震えながらもドヤ顔を作り達也を見ていた。
助け舟を出したつもりの達也は盛大に巻き込み事故を引き起こしてしまった。元は達也が壬生のプライベートナンバーを残していたのが悪いのであるが。
そして放送室の扉が開いた。
「我に任せておけ!」
扉が開いた瞬間、風紀委員見習いの材木座が放送室に飛び込んで行った。それに続いて他の風紀委員も中に入って行った。そして壬生以外の四人が瞬時に拘束された。
「どういうことなの…これ!」
壬生が達也に摑みかかろうとしたが、達也はその手を掴み無表情で見ている。
「わたしたちを騙したのね!」
壬生は激昂し、掴まれた達也の手をふりほどこうとしたのであっさり手を離した。
「司波はお前を騙してなどいない」
壬生の後ろから克人が告げる。
「十文字会頭…」
「お前達の言い分は聞こう。交渉にも応じる。だが、お前達の要求を受け入れるのと、お前達のとった手段を認めることとは、別問題だ」
克人の迫力に壬生は戦意を喪失させた。さすがは十文字ということであろう。
「それはそのとおりなんだけど、彼らを離してあげてもらえないかしら」
「七草…」
いきなり解放しろと現れた真由美に対して、克人は訝しげな声を出す。
「だが、真由美」
摩利も真由美に反論しようとする。
「言いたいことはわかってるつもりよ、摩利。でも壬生さん一人では交渉の段取りも打ち合せもできないでしょう。当校の生徒である以上は、逃げられるというわけでもないのだし」
真由美は摩利を遮った。
「わたしたちは逃げたりしません!」
壬生は真由美の言葉に反射的に、反論する。
「学校側はこの件に関して、生徒会に委ねるそうです」
真由美が壬生に告げる。
つまり、施設の無断使用や鍵の盗難それらの措置については生徒会で判断を下すということ。
「壬生さん、これから貴女達と生徒会の、これからの交渉について打ち合わせをしたいんだけど、ついてきてもらえるかしら?」
「……ええ、構いません」
真由美の提案に、壬生は賛成しついていく意思表示を見せた。
「ハチくん、大丈夫?」
真由美は八幡が震えているのに気づいて問いかける。
「だ、大丈夫ですよ?」
八幡はこれ以上深雪を刺激しないように大人しくことが終わるのを待っていたのだが…
「後でお姉さんが温めてあげるわね」
「会長、今はそういう状況じゃないと思いますが…?」
真由美が八幡に発した言葉だが、答えたのは深雪だった。
「それもそうね。でも、こんなところで仲睦まじく腕を組んでる状況でもないとおもうんだけど」
真由美も深雪の行動を指摘する。
「八幡さんが逃げない為ですよ?他意はありません」
「深雪さんも生徒会役員なら、そういう行動は控えてもらいたいですね」
やだなぁ…寒いなぁ…冷たいなぁ…誰か助けてくれないかなぁ…
「七草…」
克人が深雪と言い合っている真由美に少し呆れながら声をかける。
十文字会頭!俺あんたに一生ついていきます!!…とか言っちゃいそうだったわ…
「ごめんなさいね。お先に失礼するわね」
てへっと言わんばかりに舌を出して真由美は謝り、全員に解散を言い渡して壬生とその場を後にした。
そして翌日。
前日に八幡達は相談し、朝早く会長を捕まえ壬生との話し合いの事情を聞くことにした。
エガリテのメンバーが昨日のことを起こしたのは明らかだったので、早く情報が知りたかったのである。
そして、駅で真由美の登場を八幡、達也、深雪、材木座で待っていたが、それほど待つことはなかった。
「会長、おはようございます」
真由美を見つけ、声をかけたのは達也だった。
「達也くん?それにハチくんに深雪さん?材木座くんまでどうしたの?」
待ち伏せていたのが、真由美にとっては予想外だった為、驚いていた。
「昨日のことが気になりまして。あの後壬生先輩達とどういう結論になったのか教えてもらえませんか?」
達也は真由美に余計な遊びを入れず、要件を伝える。
「意外ね、達也くん他人のことを詮索するタイプには見えないのに」
真由美は意外と表情にも言葉にも出して達也に告げた。
「他人事で済めばいいんですが、そうもいかないでしょうから」
達也は壬生の一件に関しての当事者である。他人事にはいかない。
「なるほど。ハチくんも気になったってこと?」
「まぁ…」
「なーんだ、残念!朝からお姉さんに会いたかったのかと思っちゃった」
そう言って八幡の隣にいる深雪の間に入り、腕を組んだ。
「な、な、な、何をしているんですか?」
八幡は不意の出来事に動揺して、そして恥ずかしくて赤くなった。
「ふふ、昨日は深雪さんにされてたから今日は私がこの腕を貰っちゃおうかと思ってね」
「いや…その昨日はアレがアレでして…」
ああ…この人なんでこんなことをしてくるんだよ…
魔王に何か入れ知恵されてるんですかね…
あの人も無駄にこういうことするとこありましたね…確実に魔王の仕業…
それにしても柔らかい…いい匂い…
その瞬間、八幡は真由美の隣でぷるぷる震えている深雪に気づいてしまった。
……終わった。今度は霜焼け程度じゃ、済まないかもしれない…
八幡は心の中で氷像になる覚悟をした。
「八幡さん?深雪は昨日申しましたよね?」
深雪は引きつった笑顔で八幡に問いかける。
昨日あの後、深雪は達也に少しお説教をされていた所為か我慢していてぷるぷるしていたようである。
その時に、八幡は深雪にあることを言われていた。
『会長と協力関係にあるのは存じておりますが、深雪としては親密になることをお勧めできません!』
と言われていた。八幡は一瞬何故?
と思っていたが、校内でも屈指の人気の会長が八幡と一緒にいるとこを見られたらあまり良くないことだとおもい了承した。
「いや…これは不可抗力と言うかだな…」
「それで会長、話を聞かせてもらえませんか?」
達也は三人の会話に割って入った。
わざわざ余計な話をしないよう要件だけ済ませる手筈だったのだ。
「ごめんなさいね」
真由美は少し不満そうな表情で謝り、八幡の腕から手を離した。
「彼らの要求は一科生と二科生の平等な待遇。でも具体的には何をどうしたいのか、その辺りはよく考えてないみたい。むしろ、具体的には生徒会で考えろ、って感じだったわ。まぁそれで押し問答みたいになってね、結局、明日の放課後、講堂で公開討論会を行うことになったの」
「随分と急な展開ですね…」
達也は真由美の返事に対して、建前で答える。
「ゲリラ活動をする相手に時間的に余裕を与えないという戦略的思想は理解できますが、その分こちらも対策を練る時間がありません。生徒会はどなたが討論会に出られるのですか?」
達也の問いに、真由美が自分を指差す。
「……まさか会長お一人で?」
達也は半信半疑で、深雪に至っては絶句している。
「そっちの方がいいでしょうね、会長一人の方が変なことを言われたりしないでしょうから」
八幡は真由美が一人で討論会に出ることは賛成らしい。
「それはどういうことかな?ハチくん」
真由美は八幡に問いかける。
「会長が負けるとこが想像できないだけですよ」
魔王予備軍だからなんて絶対言えないですね…
「負けたらハチくんに慰めてもらわなきゃね」
真由美は八幡の言葉に冗談で返し、話を続ける。
「ハチくんの言う通り、一人の方が意見の食い違いで揚げ足を取られたり、印象操作されて感情論に持ち込まれるのも怖いからね」
「ロジカルな思想なら負けないと?」
お前までロジカルとか言い出すんじゃねぇよ…懐かしいなあいつ。
真由美は達也の言葉に頷いて話しはじめた。
「それにね、あの子たちに私を言い負かすだけのしっかりとした根拠を持っているのなら、これからの学校運営に取り組んでいけばいいのよ」
八幡達は、真由美は有志同盟に言い負かして欲しいと言っているような気がした。
真由美は話終わると、先に学校に入っていった。
「討論会か、何かありそうか?」
八幡は達也に問いかける。
「どうだろうな、今日の夜に師匠のところに行く予定だから、その時に何か情報がないか聞いておく」
「私もお供いたします」
達也は今晩、師匠の九重八雲に会いに行く予定だったらしく、ブランシュについて何かわかるか聞いてくると言っている。
「とりあえず、気になることは今日の内に調べておいた方がいいだろう。八幡、材木座も頼むぞ」
「無論である!」
「今回は頑張って上手くいくように、俺もちゃんとやらないとな…」
今回の件は八幡が主体となって材木座と動くようになっている。達也と深雪はあくまでも協力する形である。
材木座のミスがなければもう解決していたことだが、今になって言うことではない。
そして朝一番に明日の放課後に討論会があると生徒会から発表された。
それから休み時間や放課後は有志同盟(エガリテ)の生徒達の活動が一気に活発になった。
達也と八幡は放課後、風紀委員として軽く巡回してこいと摩利に言われ珍しく二人で行動していた。理由は有志同盟が無茶な勧誘をしてる場合止めろと言うことであるが…
「こんなの止めるん無理じゃないですかね…」
「……さすがに、これは無理だな」
二人は廊下に出ると、有志同盟の生徒達が溢れかえっていた。
「予想より多いじゃねぇかよ…」
八幡達はエガリテのメンバーが十人くらいだと予想していた。さすがにそんなにいないだろうと思っていたのだが、二十人は軽くいそうな雰囲気である。
「美月」
達也がある男子生徒に美月が絡まれているのを見つけて間に入った。
「風紀委員会の司波です。あまり長時間にわたる拘束は迷惑行為と見なされる場合がありますので、お控えください」
こいつ、確か…司甲か、ブランシュのリーダーの弟だったけな…
美月を勧誘していたのは、司甲と言う。剣道部の主将である。新入生部活週間の時に、達也を襲撃していた張本人である。
「分かった、ここは退散しよう。柴田さん、僕の方はいつでもいいから、気が変わったら声をかけてくれる?」
そう言って司甲はその場を後にした。
達也は一応、経緯を美月に質問した。
「今のは剣道部の主将の司甲さんです。…私と同じ『霊子放射光過敏症』で、同じように過敏感覚に悩む生徒が集まって作ったサークルに参加しないかって」
サークル勧誘だったようである。
美月が目のことを話したのは達也自身少し予想外だったみたいだが、その後は美月がちゃんと断っていると聞いて美月と別れた。
「霊子なんとかって一体なんなんだ?」
八幡は達也に問いかける。
「霊子放射光過敏症、これは『見え過ぎ病』とも言われている。意識して霊子放射光を見えないようにすることができない、知覚制御不完全症といったところだな」
「そんなのがあるんだな」
八幡はあまりそう言う知識はない。基本的に材木座に任せ過ぎている部分が多い。
「お前ももう少し、勉強した方がいいと思うんだが」
達也は少し呆れた感じで八幡に告げる。
「確かに、勉強しないとやばそうな気はしてるんだけどな…」
第一高校に入学してから、少し自分の知識の無さを懸念していた。
自分が使う魔法などは、しっかりと理解しているが古式魔法や先程の様な霊子放射光過敏症などのことは全く把握できていない。
「深雪に教えてもらったらどうだ?」
「数学だけで十分だよ…」
達也の提案に八幡は却下する。数学の先生は継続中のようだ。
八幡の冷却耐性が上がってきたかな…?
日常系を書こうか少し悩んだのですが…
話を進めたかったので、そっちを優先しました!
日常系はブランシュが終わってからですね…(多分)