八幡は魔法科高校に入学する。   作:丹下

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今回はリハビリ投稿的な感じになってます!!
多分…キャラ崩壊が酷いかも知れません…!w



ある作品のネタを持ってきてます!!(タイトルでわかる人はわかるはず…)


ではどぞー!


麻婆豆腐

達也、深雪、小町、水波、材木座は都心にある中華料理屋に来ていた。

 

中華料理屋の名前は……

 

紅州宴歳館・泰山 東京支店

 

と書いてある。小町が学校で噂を聞き、一度行ってみたいということになりこの店に決まった。

店に入ると中々賑わっている様子ではなく、客が入っていなかった。

そして達也たちは、空いていた一つのテーブルへと案内された。

どうやら店主らしき人が一人だけでお店を回しているようだ。

 

「いやー、思ったよりも人が入ってないですね」

 

小町はボソッと本音をこぼしてしまう。友達に聞いていた情報とは少し違うようで、うっかり口に出してしまった。

 

「少し時間が早いからかも知れないな」

 

達也は少しフォローを入れるように返答する。現時刻は19時前で、普通の飲食屋なら夕飯時ということで繁盛している時間ではあるが。

小町の小言が聞こえていなかったのか店主の男は何も言わずにカウンターに立っている。

 

「我はラーメンと炒飯を頂くであるぞ!もちろん大盛りでな!」

 

材木座はメニューを見ながら早速注文をするものを決めていた。

 

「小町ちゃんオススメとか聞いてないの?」

 

「友達曰く、全部オススメって言ってたからこれは迷いますね…」

 

深雪の問いに小町が返答する。全てオススメほど迷うものはないだろう。

 

「俺は麻婆豆腐にしようか」

 

達也は麻婆豆腐と言った瞬間、店主が反応したのを達也は見逃さなかったがあえてそこはスルーした。

 

「水波ちゃんどれにするー?」

 

「小町さまは何で迷ってらっしゃるのですか?」

 

小町の問いに水波は問い返す。

 

「んとねー、フカヒレスープと青椒肉絲( チンジャオロース)と春巻!」

 

「では私と半分ずつで食べませんか?」

 

「うんっ!」

 

小町の提案に水波は慣れた様子で返答し、小町はそれを笑顔で了承する。二人で食事するときは小町が食べたいものを二人で食べるという流れになることが多い。

 

「深雪さまは如何なさいますか?」

 

「私もお兄様とご一緒で麻婆豆腐を頂くわ」

 

「畏まりました。注文いたしますね」

 

深雪の注文も決まり、水波は店主を呼び注文をする。

 

「以上です」

 

水波は一通り注文を伝えた。

 

「了解した」

 

店主の男は一言だけで返事をし厨房へと足を運んでいった。

 

「なんか少し怖そうな店主さんですね」

 

深雪が店主の男を様子を見て口にする。

店主の男は、中年男性くらいの不気味な風貌である。

 

「コワモテな人ほど料理が上手いとかよくあるし!多分それだよ深雪お姉ちゃん!」

 

小町が期待に満ち溢れた感情を全面に出して深雪に答える。

 

「餃子頼むの忘れてたであるな…」

 

材木座は注文のし損ねて少し凹んでいた。

そして料理が出来るまでの間、全員で雑談をしていた。

 

「待たせたな」

 

店主の男が料理を運んできて、テーブルの上に料理を置いた…

 

「「「えっ?」」」

 

小町、水波、材木座の三人が声を揃えて置かれた料理に唖然とする。

 

「どうかしたのかね」

 

店主の男は、唖然としている三人に問いかける。

 

「我は…ラーメンと炒飯を頼んだのであるが…」

 

材木座が一番に口を開いた。

材木座の元に置かれたのは麻婆豆腐…いや、麻婆ラーメンと麻婆炒飯であった。

 

「それがなんだと言うのだ」

 

中華料理屋の店主が放ってはいけないレベルの殺気を材木座に向けて放つ店主の男。

あまりにも理不尽すぎる物言いである。

 

「………」

 

材木座は店主の男の威圧に負けて黙り込んでしまった。

 

「あのー…これってフカヒレスープじゃ…」

 

小町が恐る恐る店主に質問を投げかける。

 

「どうしたと言うのだね、スープが麻婆なだけだがどうかしたか?」

 

小町の質問にハッキリと答える店主。

 

「……なんでもないです」

 

小町は店主に何を言っても無駄だと察してそれ以上追求するのを諦めた。

 

「………店主さん。これはどう言うことでしょうか!!」

 

水波が店主の男に向かって怒鳴りつける。

 

「何か問題でもあるのかね、小娘」

 

店主が冷静に水波に問いかける。

 

「これは…フカヒレスープでは、ないではありませんか!」

 

「何を言っている。麻婆の上に申し訳程度にフカヒレが乗っているではないか」

 

麻婆の上にはしっかりとフカヒレが乗っている。麻婆がスープと言い張っている以上、店主の男からしてみれば、この店のフカヒレスープはこの状態のことなのであろう。

 

「……ですが!!「水波」……申し訳ありません。少々熱くなりすぎてしまいました」

 

水波がヒートアップし続けるので達也が水波を止めた。

 

「麻婆がこの店の売りということだろう。あまり文句を言ってしまったら店主さんに失礼だろう?」

 

達也は場を落ち着ける為に大人な対応をとる。

 

「………はい」

 

「自らの生という奇跡に感謝しながら食すがいい」

 

店主はそう言ってその場から離れる。

 

「とは言ったものの…お兄様…これは…」

 

深雪が麻婆豆腐を見つめながら問いかける。

それもそのはずである。麻婆豆腐は真っ赤で見た目からして辛いのが手に取るようにわかるレベルである。

 

「食べてみないと何も言えないからな」

 

「(小町が聞いていた全てオススメとはこういうことだったんだな)」

 

達也はそう言い、先程の小町の一言を思い出しながら麻婆を一口食べる。

 

「(なんだこのマグマを口に入れたような辛さは……全身が辛いと言っているのか…)」

 

達也は一口麻婆を食べその辛さに驚愕したが、更に一口麻婆を口に入れた。

 

「(だが…その辛さを超えると旨味が広がる…こんな麻婆豆腐食べたことがない…脳が焼けていくのがわかる)」

 

達也は辛さを乗り越えた先の旨味へと辿り着き、この麻婆豆腐の真の姿を目の当たりにしてしまった。

そして達也は何も言わずに一心不乱に食べ続けた。

 

「お、お兄様?!」

 

深雪は一心不乱に食べ続ける達也を見て、こんな姿見たことがないと驚き声を上げてしまう。

 

「……」

 

深雪の問いにすら答えずに麻婆を食べる達也。

 

「(深雪すまない…この感覚はなんだ…こんなの初めて体験する…)」

 

達也は麻婆を食べながら自分の中の何かが変化したのがわかっていた。四葉深夜によって精神構造改造実験で強い衝動を司る部分を深雪への兄妹愛以外失くしてしまった達也。後に小町の魔法によって、八幡と小町への感情を取り戻した。

その取り戻した感覚と少し似ているが違う感覚が達也の中で芽生えた。

そして達也はすぐさま麻婆豆腐を完食した。

 

「……店主さん、おかわり」

 

達也は店主の男におかわりを申し出て、着ていたパーカーのチャックを開ける。

 

「そうか、少年も辛さの先を見たのだな。良いだろうすぐに用意する。少し待て」

 

店主の男は、不敵な笑みを浮かべ達也が平らげた皿を回収し、厨房へと足を運んだ。

 

「お兄様…?」

 

「深雪すまない、先ほど返事できなかったな。つい麻婆豆腐の旨味に我を忘れてしまったみたいだ」

 

達也は深雪に謝罪する。

 

「い、いえ…お兄様が食事の時にあの様なご様子になられるのは初めてみたので」

 

深雪は落ち込んだ様子で、達也に答える。自分の作った料理では達也を満足させて上げられていなかった現実を重く受け止めていた。深雪にとっては最重要事項なことである。

 

「俺もこんな衝撃は初めてだ…」

 

「そ、そんなにですか…」

 

深雪はこの時決心する。達也にこの麻婆豆腐を超える物を作らなくてはいけない。深雪は麻婆豆腐の味を確かめる為に麻婆豆腐を一口食べる。

 

「ッ〜!!!!!!」

 

深雪は辛さのあまり声にならない声を上げてしまう。

 

「み、深雪?!」

 

達也は深雪の様子を見て慌てて声をかけるが、深雪は麻婆豆腐を再び口の中に入れていた。

 

「(辛い…ですが…これがお兄様の求める味…私が作らなければならない麻婆豆腐!それにしてもこの麻婆豆腐を辛さを感じさせない食べっぷり…さすがです!お兄様!)」

 

深雪は辛さを乗り越えることは出来なかったが、見事に完食した。

 

「……」

 

深雪は完全に戦意喪失状態であった。達也が求めるのは辛さだけではないと思っていて、それが何かわからなかったのである。

実のところ、ただ辛いだけの麻婆豆腐なのであるが…辛さの先とは、その辛さを受け入れるということなのだろう。

 

「……深雪お姉ちゃん?」

 

小町が恐る恐る深雪に声をかける。

 

「………小町ちゃん…今喋れそうにないの…」

 

必死の思いで小町に返答する深雪。

 

「こ、小町さま!ここは水波が…!」

 

深雪の様子を見た小町は自分が頼んだ料理を食べる気を失っていた。それを見て水波は声を発した。

 

「(小町さま…私がお守りします!!)」

 

水波は心を決めてフカヒレ麻婆と麻婆春巻に手を伸ばし、一気に食べた。

 

「………」

 

水波はフカヒレ麻婆と麻婆春巻を見事完食した。

 

「み、水波ちゃん…?」

 

「………」

 

小町が声をかけるが返事がない。

水波はどうやらあまりの辛さに気絶してしまった様だ。

辛いのが苦手なのを我慢していたが、限界がきたのかも知れない。だが、まだ一品残っている。

 

「わ、我は…」

 

材木座は目の前の麻婆料理にフリーズしていたが再起動したが、一切食べようとしていない。

 

「そこの二人、食べ残しは許さぬ。どうしても食べられないと言うのであれば首から下を土に埋めて私が麻婆を流し込んでやろう」

 

達也のおかわりを持ってきた店主の男は、まだ食べてない小町と材木座に向けて言い放つ。

 

「「……結構です」」

 

小町と材木座は口を揃えて店主に答え、すぐさま麻婆料理を食べ始めた。

 

「ひぃぎゃああああああ」

 

材木座は一口食べて椅子から転げ落ちてしまった。

 

「我が…生涯に一片の悔いなし…」

 

そう言い残し材木座は目を閉じた。

小町は麻婆肉絲(マーボーロース )を無心で食べた。

 

「……何この口とお腹が焼けた様な感覚…」

 

小町は見事完食した。一言だけ言葉を発して、口を開けて放心している。

 

「うむ」

 

店主は小町の平らげた皿を見て満足そうに頷いた。

 

「さて、残るは君一人だ。決めたまえ、ここで完食するか私に麻婆を食べさせてもらうか」

 

どちらにしても麻婆を残すことを許さない様である。材木座は目を閉じたまま動かない。

 

「そうか、そんなに食べさせてほしいのか」

 

店主は麻婆ラーメンを手に持ち材木座にマウントを取り顔を抑えて、口の中へ流し込む様に無理矢理押し込んだ。

続けて、麻婆炒飯を流し込む。

 

「情けない奴だ、逝ったか…だが、最後の晩餐が私の麻婆だったことを幸運に思うがいい」

 

店主はそう言い残して厨房の方へと戻って言った。

達也は材木座が逝ってしまったことすら気付かずに麻婆豆腐を食べていた。

すると新しい客が数名入ってきた。達也たちのテーブルを見て、何も言わずに席についた。

 

「じいさん、なんでさ!!なんでここなのさ!!」

 

少年はこの店をあまり良く思ってはいない様子で、中年男性に文句を言っている。

 

「まさか冬木以外に、店を構えているとは思ってなくてね。つい入ってしまったんだよ」

 

少年と一緒に来ている中年男性が答える。

 

「私も辛いのが苦手だったんだけど、案外慣れればいけるものよ?」

 

中年男性の横に座っている妻と思われる女性が少年に声をかける。

 

「お兄ちゃん、私ここに来たの初めてなんだけどそんなにすごいの?」

 

少年の妹と思われる少女が問いかける。

 

「すごいってもんじゃないぞ…あれは…あそこのテーブルを見てみるんだ」

 

少年は少女に達也たちがいるテーブルを見ろと告げる。

そこには、一心不乱に麻婆豆腐を食べる達也。口を開けて放心している深雪、小町、水波。口から麻婆が垂れ流して倒れている材木座の姿があった。

 

「……お兄ちゃん」

 

少女はその地獄絵図がこの店の料理だということに気がついた様だ。

 

「久しぶりだな、少年」

 

店主が少年に声をかける。

 

「な、なんであんたがここに…」

 

店主とは顔馴染みだった様で、少年は店主を睨みつける。

 

「貴様もいたのか」

 

店主は中年男性に向かって声を発した。

 

「まさか、ここの店主が…」

 

「ふっ、貴様にくれてやる麻婆などこの店にはない」

 

店主はこの一行を知っているらしい。

店主の男は注文を取らず厨房へと戻っていく。余程この中年男性には麻婆を食べさせてやりたくない様だ。

 

「……仕方ない。違う店にするか、あの男と僕では違いすぎる。やはり僕はあの男の在り方が恐ろしいよ」

 

そう言って店を出ていく中年男性一行。少年と少女はホッとしている様子で店から出て行った。

謎の一行が去った後、店主は達也の元に向かってきた。

 

「少年、名はなんという」

 

麻婆を食べ終えた達也に質問をする店主。

 

「司波達也だ」

 

「覚えておこう。私の麻婆が気に入ったなら冬木の本店へ行ってみるがいい。もっといいものが食べれるぞ」

 

店主は達也に冬木にこの店、泰山の本店があるということを告げた。

 

「機会があれば是非」

 

達也は少し前のめりになり店主に答える。

 

「お会計は、5万円だ」

 

「カードで」

 

達也は値段を聞き何事もなかった様にカードで支払う。

ぼったくりにも程があるというのに…さすがは世界のトーラスシルバーということであろう、気にせずに会計を済ませる。

達也は放心している深雪たちを起こして店を出ようとする。

 

「ほう、貴様もまだ生きていたか」

 

材木座はふらふらと立ち上がった。

 

「……いかにもっ!げぷっ」

 

材木座は無理矢理声を出そうとするが麻婆の後遺症がまだ残っている様で言葉に詰まる。

達也たちは店を出ようとした時、店主は深雪、水波、小町に向かってこう告げた。

 

「喜べ、小娘。君たちは一日分のカロリーを摂取できた」

 

そう言われた三人は更に顔を青くさせる。

超高カロリーだということを事後報告されたからである。スタイルがいい三人だが、そんなことを言われて気にしない訳はなく顔を青くした。

 

「「「はぁ…」」」

 

店を出た後、深雪、小町、水波はため息を吐いた。

 

「八幡は…」

 

達也は思い出したかの様に八幡の様子を精霊の眼(エレメンタルサイト )で確認する。

 

「どうやら何事もなかった様だな」

 

達也は七草邸の八幡の様子を見て安堵する。麻婆豆腐に夢中で八幡の監視を怠っていたことは達也本人しか知らない。

 

八幡が無事だということで達也たちは家に帰宅した。

そして八幡が帰ってきたのを深雪が出迎える。

 

「おかえりなさいませ!八幡さん!」

 

深雪は先程の麻婆の辛さの余韻が残っているが我慢し、とびきりの笑顔で出迎えた。

 

「おお…ただいま…ってなんか麻婆臭くないか…?」

 

その瞬間パチーンと音がなった。

深雪が顔を真っ赤にして八幡の頬を叩いてしまった。

 

「……えっ?」

 

八幡は何がなんだかわからない様子で頬に手を当てている。

そして深雪は走って自室に走って行ってしまった。

 

「これだからごみぃちゃんは…げぷっ」

 

小町がその様子を見ていたのか、少し苦しそうな感じで八幡に悪態を吐く。

 

「……いや…よく状況が理解できないんだが…」

 

次の日、八幡と達也以外は体調不良で学校を休んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





何故か麻婆をやりたかったんです…!
許してください!!w
今回のネタのキャラの名前を出さなかったんですが…なんとなくわかってもらえると嬉しいです!w
店主さんはまた登場するのかは未定です!!


次回はちゃんと七草家の話をします!!
その後は原作に戻ります!!(多分)


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