【完結】地球の玄関口   作:ターキィ

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水掛け陰謀論

 

古来、神々は天より舞い降りたという。

宇宙人も天から現れた、つまりはそういう事なんだそうな、よく知らないけど……。

 

 

ある休暇の日、佐藤がどうしても行きたいというので一緒に博物館へときている。

なんでも、古代文明の展示がされているらしく、その内容がとても興味深いのだという。

「絶対面白いよ、面白くなかったら地面に埋めてもいいからね」

帰り道にホームセンターがあったかどうかは、まあ見てから考えるとして、普段来ないのでこういうのは興味深いものではある。

「あれ、なんか見た事ある人がいる」

と佐藤が指差す方向には、影の薄い、いや自ら影を薄くしている同僚、ビルガメスくんがいた。

職場で毎日会っているはずなのに随分久しぶりのような気分である。

彼は日本人を驚かせないよう、自身の大きい目を隠すためにいつもサングラスをつけているので、ぱっと見は中東の人にしか見えないのだが、毎日見てるとわかるものだ。

「あ、どうも」

こういうふうにいつも他人行儀なのだ。

「佐藤だよ、覚えてる?何回か吉田くんと遊んだよね!」

そーなの!?三人で遊ぶことあるんだぁ。

「そうだねぇ……」

微妙な態度である。

ひょっとして、男二人の遊びに佐藤がついて行っちゃってる感じなのかしら。それは如何なものだろうか……。

「いやいや、意外と趣味は合うんだよ」

それはそれで吉田が可哀想な気もする……。

しかしながら、こうやって博物館で会うという事はそれも事実なのだろう。

 

三人で展示を回ることにした。

うーん、しかし、なかなかどうして、瞼ばかりが重くなる。

ところどころに目を引く面白いものはあるのだが、私にとって大半は退屈である。

まあでも、二人は楽しそうなので、それを邪魔するのは無粋というものだろう。

「ほらこれ、どう思う?要するにアヌンナキというのは、あなたたちアヌンナキ人の事なんでしょう?」

しれっと重大そうな会話が聞こえてきた。

「そういう学説がほとんどだね」

「ほとんどって?」

「というのも、これは僕たちアッスラユでも意見が分かれているんだ。なんて言ったって数千年前だからね。いくら宇宙時代に突入してたとしても、数千年も耐える記録媒体を当時は持っていなかったんだ」

「つまり記録は失われたの?」

「そうだね、第一、宇宙の辺境で起こった刑事事件の記録なんて、何年も保存する理由も無いから。で、今になって慌てているのは"命の星"があるかもしれないからなんだよ」

「なるほどー。じゃあ真実はアッスラユには無くて、地球にありそうって事なのね」

「そういう事になるかな」

なんだなんだ二人して早口で……。

「知らないの!?あらゆる神話の神々は古代地球に降り立ったアヌンナキ人だったんだよ!」

と自信満々の笑みの佐藤。

そんなの都市伝説だよ……と言いたいところだが、こんな時代なので真実味を帯びる。

そしてビルガメスくん曰く、アッスラユにも記録の痕跡が残っているというのである。

じゃあもう真実じゃん。地球の資料洗えばいいし。

「ところが、地球側の資料はイラク戦争で多くが失われたんだ」

あらまぁ、物事は上手くいかないものである。

私が以前聞いたのは、紀元前数千年ぐらいにメソポタミア地域周辺へとアヌンナキ人の宇宙海賊が降り立ち、"命の星"を隠したという話だが。

「そう。その際に、宇宙海賊は人類…」

「を作ったんでしょ!」佐藤が割り込む。

「違うよ、現地の労働者として雇ったんだって」

「いやいやー、遺伝子操作して奴隷として人類を作ったんだよ!」

意見対立のようである。

まあビルガメスくん的にはご先祖様なんだから、奴隷を作ったとは思いたくないだろう。

しかし佐藤がこういう都市伝説的な考えとは知らなんだ。

「そっちの方が面白そうだし」そうかな……そうかも……。

「確かに君の意見も尤もだけど、歴史は常に面白い方向に行くとは限らないのさ」

あーだこーだ言い争っているが私にはチンプンカンプンである。

このままほったらかしで外に出ようかな……。

「そして、レプティリアン人種が地球を陰で操ってるって訳」

「僕たちは哺乳類だよ」

 

埒が明かなそうなので、売店で期間限定販売されていた古代シュメールのビールを飲んでいると、二人が出てきた。

「いや~、意外と彼話せるよ!」

「とんでもない、サトーさんこそ」

なんだか知らんが意気投合していた。

罪なお人よ、吉田というものがありながら。

「こっち方面の話は吉田くんわからないからなぁ~」

まあ私もわからんから何とも言えんけど。

「よし、今日はとことん語り合おう!ビルガメスくんもいいよね!?」

「えっ!?えーっと……」

おいおい……彼は確か一人が好きなはずで……。

「それじゃあ、今日だけでも」

「おっしゃー!」

え、えー!その語り合う会には私も頭数に入っているのだろうか、入っているんだろうなァ。

結局、深夜遅くまで二人のバビロンの真剣な議論を(さほど興味も無いのに)聞かされ、翌日は目をこすりながら仕事をする羽目になった。

 

 




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と後書きに書くといいらしいっち聞いたっちゃけど。
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