【完結】地球の玄関口   作:ターキィ

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愛の日の話

 

バレンタインデーや父の日母の日なんかに類する日は宇宙にも存在するのだろうか。

その答えを知るべく、私は愛多き女性の元へと向かった!

 

 

「えっ、あたしぃ!?だよねっ!」

バルキンちゃん、あなたは呼んでないんですけど!

「仲間は多い方がいいですやん!」

それはそうだけどさ。

さて、バレンタインデー当日に彼女たちに集まってもらったのは訳があるのだ。

「愛とか恋とかセックスとかの話ならあたしの右に出る人はいないよ!」

「そ、そうやね……」

三つめは余計である。とにかくそういう日が、宇宙、とりわけ銀河同盟ではどういう扱いなのかという話だ。

「ルベリーにももちろん、バレーボールデー?に類するお祭りマンボはあるよ!」

バレンタインだってば。

「ところで、どうして『バレンタインデー』なんです?明らかに日本語じゃない……」

「それだよ!気にはなってたんだけど」

もちろん、源流は日本の文化ではない。

カトリックだかプロテスタントだか聖公会だか、はたまたコプトか東方正教会かネストリウスか非カルケドン派か、

どこの宗派のものかはわからないがとにかく聖ヴァレンティヌスに由来する記念日であるという話である。

「前から思ってたけどあなた話す時どうでもいい部分が長いよね」

「シーッ!」

……それで、1936年に製菓会社が打ち出したキャンペーンが、2月14日に愛しい方にチョコを贈ろう、というものであった。

「じゃあそれが始まりなんだ!」

いいや、定着したのは1970年頃らしい。

「へーよくわかんないけど」

「そもそもチョコレートって何ですか?甘くておいしいのは知ってますけど」

いざ聞かれると、うーん、カカオという植物の種子が原料のお菓子、と言うべきか。

世界中、というよりは全ての先進国でポピュラーなお菓子だ。

「それじゃ農家にとっては景気の良い話じゃん!」

どうかなぁ、児童労働とか外聞のよろしくない話もよく聞くし。

「……なんでそんなものが流通してるの?」「うん」

資本主義がっていうか近世の植民地主義がっていうか……あんまり答えづらい質問はよしてくれ!

「変やなあとは前から思っとったけど、農業っていうか基礎というものを軽視し過ぎやないですかこの星」

「いつまでも地表に這いつくばってるのも頷けるよ」

ぐすん、今日はなんだか二人とも辛辣である……おっしゃる通りとしか言いようがないが……。

 

「それで!ルベリーだとねぇ、月に一回、『愛しき日』っていうのがあるんだ!」

つまり、バレンタインデーみたいなのが月に一回あるというのか。

「そゆこと!その日はサービス業や飲食業以外はお仕事もお休みになってデートしたり愛を確かめ合ったりセックス!!!したりするよ!!!」

三つめは余計である。叫ぶな!

つまりは所謂プレミアムフライデーみたいなものであり、お休みでない職種にとっても月に一度の稼ぎ時という事でもある。

「そう……そうだね、そうなるのか~~!」

気付いてなかったようだ。お互いにとってもオイシイ日なのだ。

でも独身だとどうなるのだろうか。

「普通に娼館に行くけど」

ああ、そう……。

「その、『ショーカン』ってなんです?翻訳できないみたいです」

ガウラ帝国ってこういうところ逆にヤバいよね。

「うん、なんで真逆なウチと同盟国になれたんだろうね……」

「ん~?」

とにかく、ルベリーでは毎月の恒例行事であるそうだ。

デートや性行為だけではなく贈り物を送ったりする事も多いのだという。

ただ、日本のようにこれといった定番商品は無いらしい。

 

「帝国だとそういう日は無いですね」

無いのかよ!無いのか~。

「まあ、みんな恥ずかしがり屋ですし……」

「そうだよ」

そうかな……そうかも……。

「家族の日とかはあるんですけどね」

色恋ごとなどはプライベートな事なので大々的にやったりはしないという。

そもそも、資本主義、商業主義と決別しているのでそういったキャンペーンとは無縁なのだろう。

「だからこういうイベントは楽しみなんですよ!まあ、そういう現地の文化なんだから仕方な~くって体でですね!」

なるほどなるほど。

「だから受け取ってもらえると思いますよ!」

「そうだよ」

別に私が誰それに贈るのは……と意地を張っても仕方がない。

つまり、私が聞きたかったのは、贈っても失礼に当たらないか、という点である。

「大丈夫ですよ!仮に失礼に当たったとしても喜んで受け取るでしょう」

「そうだよ」

それはそうだろうけど……というかバルキン、さっきからそうだよとしか言ってなくない!?

「そうだよ」

ウザっ……とにかくこれで確認が取れた以上、心置きなく渡せるという訳である。

「それで、チョコレートどんなの作ったんですか?」

………………あ。

「え……?」

しまった!作るの忘れてた!渡す時の事ばかり考えてた!

「い、今からでも間に合いますよ!当日ですけど!」

「どうやって作るかわかんないけど手伝うよ!カカオ豆を買ってくればいいんだよね?」

いや、市販のチョコを溶かして、型に入れたりなんたりするだけでいい。

「え、それは溶かして再度固めてるだけで手作りとは言わなくないですか?」

それは…………そうだけど…………さ…………。

 




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