宗教は宇宙にも存在するはずだが、強烈な宗教国家というのも当然存在する。
中には悟りの領域に到達した人々もいるのである。
「そう、我々こそ、悟りの領域に達した者です」
何だ藪から棒に。
だしぬけにこんな事を抜かすは耳が尖ったエルフのような容貌の、
ロビオリクス人のバシット教宣教師である。
そもバシット教とはどういった宗教なのか?
「少し訂正を、ロビオリクスではなくロッビオリックスであり、バシットではなくバシィートです」
そう……それで、ロッビオリックス人のバシィート教ってなあに?
「それにはまず、悟りについてご説明しなくては」
はあ。
「あらゆるものへの執着を捨て、感情をも捨て去ることにより、真の穢れなき命になる事であります」
仏教の悟りと近いものだろうか。
「ほっほっほ、そんな地球の原始的な宗教と一緒にしてもらっては困ります」
はあ……ホントに悟りを開けているのか怪しくなって来た。
「もちろんです、感情などは捨て去っておりますよ」
捨てきっているなら地球の原始宗教と、なんか言わないはずだろう。
「私に感情はありません」
どうかな。
「無いっつってんだろ!!!!」
ひっ!わ、わかったわかった!
てかやっぱりあるじゃん!感情!
「ねええええええええええ!!」
宗教がどうとうか以前の人物であったが、
彼のような……彼のようではないが信仰に篤い人物というのは度々現れる。
以前にもマーヘッダ教の宣教師だという人間が訪れたのは覚えているだろうか。
「フフ・ホット宣教師に会いに来ました、広島にいらっしゃるのでしょう?」
この鮫っぽい容貌の客人は覚えているようだ。広島にいるかどうかまでは知らないが。
例の宣教師が訪れて、そしてぶん殴られて以来、
敬虔なマーヘッダ教徒が度々訪れるようになった。
ある種の聖地巡礼だろうか。
「まあ、後の世に、即ち日本人が教えを受け入れた時には聖地になることでしょうよ」
となると結構偉い人だったらしい。
ちなみに実行犯はしっかりと逮捕されているし、帝国に引き渡されたという噂もある。
宇宙人にとっても信仰や悟りは重要な関心ごとである。
「人の思想、意志の根底には宗教も存在します。あなた方にも存在するはずです」
我々日本人の心の底にあるのは神道であろう。
おそらくは彼ら宇宙人にとって日本人は神道の原理に従って生きているように見えるはずだ。
ちょうど、ガウラ人が皇帝とその威光を中心に生きているか如く見えるように。
そして無神論者、無宗教者は無宗教という宗教に則っているのだろうか。
なんだか屁理屈みたいだが。
さて、自宅。
特にする事も無いので、天の川銀河での宗教やしきたりなんかを適当に調べている。
意外と面白いんだこれが、仕事にも役立つし。
しかしながら結局のところ目指すのはいずれの宗教も似たようなものであり、
生活に役立つものであるか、布教がメインであるか、悟りを目指すのかの三つに分けられる。
「良いところに気が付いたね( ´∀`)b」
何奴!?思わず肘打ちを繰り出す!
「うわっ!!(+o+)」
手応え……無し!当たったと思ったんだが。
突然隣に現れたのは、まさしく龍そのものであった!
「おれはシン国の学者、アパララさ!(*^-^*)」
なんだか奇妙な話し方をしている……気がする。
いやそんな事よりどうやって入って来たというのか!不法侵入だ!
「それはナンセンスな問いだね(;´・ω・)」
そうかなぁ。一応ガウラ軍を呼んでおくかなぁ。
「なんてったって過去は未来であって一は全、塩サラミにはドラフトビールなんだからね(*'ω'*)」
何を言っているのか全然わからない。いや最後のはちょっとわかる。
「そのうち君たち地球人やガウラ人にもわかるよ( ´∀`)b」
よくわからないが、危害を加える意思は無さそうである。
しかしシン国人は初めて見た。このように龍そのものであるとは思わなんだ。
……にしても一体何の用なのか。
「シン国は例えどんなにどうしようもない種族であっても、真理を探究する人たちの味方なんだ(*'ω'*)」
どうしようもないは余計であるし、ちょっと気になっただけではあるんだが……。
「おれもどうせ暇だから付き合うよ(^_-)-☆」
要するに暇つぶしに来たようだ。変わったやつである。
私も暇つぶしで調べているから人の事を言えたものでもないか。
「悟りを開く、即ち涅槃に入門することはとても重要だよ(-ω-)/」
シン国にとってもね、と付け加えた。
しかしながら、仏教を始めとした多くの宗教が
この『悟り』を目指しているというのは実に不思議とも言える。
「そうなんだな(^_-)-☆ 道を極めし者らはいずれも同じところに辿り着くんだね!(^^)!」
宗教の収斂進化みたいなものだろうか。
「だからおれたちは科学的な部分からもアプローチしたんだ(・´з`・)」
これは神経科学の分野になるけど…と話してくれたが、何やらさっぱりであった。
「研究を続けるうちに脳内の共感物質こそが文明を停滞させるぬるま湯であるという事を突き止めたんだd(*´∀`*)b」
地球人にとってのオキシトシンの事だろう。しかし必要だから分泌するわけであって。
「そう、こういう分泌物は生命にとってなくてはならない物質でもある(゜_゜)」
それを超える事こそが目指すべき領域であると。
「その通り、これを俺たち『知性の完成』と呼んでいるんだ(^^♪」
執着や感情や共感を捨て去り、自らの役割に邁進する。
どうだろう、地球人的にはむしろ逆な気もするけど……。
つまり尤もらしく言うなれば、
脳内物質の気まぐれな分泌に意思や感情を支配されてはならない、とでも言うべきか。
「そう、そうだよ('ω') そういった『動物性』を捨てる事が『知性の完成』なんだ( *´艸`)」
うーん……何ともわかるようなわからんような……。
即ちそれが悟りであり、煩悩を滅殺した状態であり、知性が完成した状態であると。
「究極の共感であるルッキズムという疾病の克服や煩悩を捨て人間関係のトラブルを排除することは、国家としても重要な課題なんだ(/・ω・)/」
そう彼(彼女?)が言うと突然入り口のドアが蹴破られた。
「突入!!!」
どうやらガウラ軍が到着したらしく、ぞろぞろと入ってくる。
「こいつだな不法侵入者は!来い!シン国人!!」
「えっ、あの、その(;´・ω・)」
「拘束する!」
ガチャンと手錠を掛けられてしまう。
「あっちょっと(:_;)」
部屋に入って来た時のように突然消えたりするわけでもなく、
アパララ氏は引き摺られていった。
「大丈夫ですか、何もされませんでしたか?」
ちょっと話をしただけなので大丈夫ではあるが、
軍を呼んだのはちょっとやり過ぎたかもしれない。
「いいえ、やり過ぎなどという事はありません。不法侵入者ですよ!何もされなくても警察組織を呼ぶべきです!!」
と、いう事なので、皆さんもお気を付けて(・ω・)ノシ
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