【完結】地球の玄関口   作:ターキィ

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異次元転移はただの風邪:異次元の逃亡者

 

今のところ、異次元の存在を否定できる材料はない。

もちろん、相互に関わりを持つ手段も不明だ。

ただし、向こうから来た場合はどうなるだろうか?

 

 

今日も今日とて呑気にテロ行為を未然に防ぎ、

テロリスト宇宙人を見送ったところである。

最初はビビってたりもしてたけど、もはや手慣れたものだ。

もうどんな客が来ても狼狽えたりはしない、自信がある!

何でも来いである。

「やあ、私」

う、うわあああ、この見覚えのある顔は!

「あ、あの~」

メロードみたいなのもいる!

和洋折衷の和が強めな大正モダンな出で立ちに見知った顔が乗っている、

つまるところ私がいたのである。

なんだよもぉー!またかよぉーー!!

「待ってくれたまえ、私」

こないだの生き残りか!?

「何の事だかわからないが、私は別の次元から来た私だ」

なんだって!?まあ別にいても不思議ではない。

「異次元転移なんて珍しくもないただの風邪みたいなものさ。呑み込みが早くて助かるよ私」

その通り、すぐに警備員を呼ぼう。

「あっ、ちょっと待ってくださいよ!助けを求めに来たんです!」

メロードっぽい人が言った。というか……女性?

「はい、こちらの私は違うのですか?」

うーむ……とにかく今は仕事中なので待ってもらうことにした。

 

さて、勤務時間終了。

自宅にいつものメンバーを集めて、この二人の事情を聞くことに。

「すっごーい!異世界転生ってやつ!?あ、転移か!異次元転移?」

「なんというか、こういう不思議なことによく巻き込まれるよなお前は」

バルキンははしゃぎ、吉田は呆れている。

「こちらの吉田くんはオールバックなんだね」

「それ以外何か違いはあるか?」

「いや、特に」

吉田は異次元に行っても髪型しか変わらない男だった。

「待ちな。まずこいつらの素性を明確にしないといけねーぜ」

エレクレイダーはこういう時真面目である。

「そうだったねぇ、では自己紹介しよう」

異次元の私は、スウと一呼吸置き、再び口を開いた。

「私は大日本帝国外務省地球外政策局特定外来人種対策室特殊諜報官さ」

な、長い……。

「そして私は戦術顧問のメウロルドです!」

色々と突っ込みたいが、まずは一つ、大日本帝国!?

「うッ、そこからかい?一体どれほど私達の世界と違うんだろうねぇ」

第二次世界大戦は起こっていないのだろうか、アドルフ・ヒトラーは?

「第二次ぃ?あんな戦争が二度も起こってはたまらないよ。そうだねぇ、ヒトラーは知る人ぞ知る風景画家さ」

ヨシフ・スターリンは。

「ロシヤ暴動の主要メンバーだね、銀行強盗して捕まったよ」

ベニート・ムッソリーニ。

「ローマ帝国から暴力団を駆逐した名政治家だね」

じゃあ、ウィンストン・チャーチル。

「世界大戦中のシナイ半島攻防戦の敗北で失脚した大英帝国の将校だね」

東條英機。

「第42代内閣総理大臣、特に目立った功績は無いねぇ。まあ前任の近衛が酷すぎたがね」

話を総合するに、どうやら第一次世界大戦あたりから分岐しているような気がするが、

ローマ帝国の存在のせいでそれも違う気がする。ロシアの発音もなんか古いし。

「こういう認識をすり合わせたところで無意味な行為だよ、私」

それもそうか。では何用で参られたのか特殊諜報官殿。

「実のところ、我々の宇宙がヤバくってねぇ」

「全く未知の生命体、なんというか、電気アメーバとでも言うべきなのか……」

なんとも分かりづらい例えだ。

「つまり、ビリビリするスライムみたいなの?」

バルキンもわからなかったようである。

「いや、実体は無いんだよ」

「実体が無くて電気アメーバっぽい……情報生命体の事か?」

吉田はいつの間にか手に持っていた事典を開いて見せた。

「ふむふむ……おぉ、まさしくこれだよ!」

「なるほど、情報生命体って言うんですね」

どうやら向こうの宇宙では存在が確認されていないらしい。

「そーだ!やっぱりそっちのメロード……メウロルドちゃんもやっぱりそういう関係なの!?」

バルキンが余計なことを聞く。

「べ、別に、どういう関係でもないですし!違いますし!そっちこそどうなんですか!」

……私からはノーコメントだ。「私からはノーコメントだね」

同じことを言うんじゃない私。「同じことを言うんじゃないよ、私」

「やっぱり、同じ人ってことなんだね!」

感心したような呆れたような表情のバルキンであった。

「いいや、しかしね、ガウラ人たるものが同性愛だなんてのは……」

ヘ、ヘイトスピーチ……時々顔を出すメロードの悪いところだ。いつもメッ!って言ってるのに。

「何をおっしゃいますか異次元の私!生物学を超えた愛こそが尊い愛なのですよ!」

「どんな愛だって尊いだろう、同性愛を除いて」

「数を増やすだけなら人工授精でもすればいいんですよ」

「ダメッ!メウロルド!ヘイトスピーチダメッ!」

「あうっ」

向こうの私に叱られてしまった向こうのメロードであった。

にしても、結構話が逸れてしまった。結局何だったんだっけ。

「そっちの宇宙が危機だから助けてくれって話だろ? でも俺たちにどうしろっていうんだよ」

それは全くエレクレイダーの言う通りである。

私達ただの宇宙港職員なんだけど……。

「まあそうなんだけどね。とにかく、詳しく事情を説明しようか」

 

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