「えーっ!?どうすんのさ!」
「どうしましょう……」
どうやらこの二人、帰りのことを全く考えていなかったようである。
「……こちらの世界じゃ、次元転移はできないのかい?」
そもそも異次元が観測されていない。
あるのではないか、と考えられてはいたが。
「えーっ!?」
「えー!って言いたいのはこっちの方だよね」
「うんうん」
バルキンと吉田も呆れている。
するとそこへ、なんだかミョミョミョという音がどこからともなくし始めた。
「これは……誰かテレポートしてくる」
メロードがそう言うと、何もない空間に渦巻状の光が現れた!
そして背丈ぐらいの高さまで渦巻きが登ると、
そこから一人の白毛のガウラ人が、いきなり、パッと出現した。
「どうも、私が時空の……専門家、ホーダツです」
しかし不法侵入だよ!
「失礼、急いで……おりましたから。なにせ私、時空の……専門家ですので」
なんか変わった喋り方だが、察するに彼は殿下がよこしてくれた人物であろう。
「時空の専門家なら、異次元転移も出来るんじゃないか?」
吉田が提案をしてみる。ホーダツさんは思案顔で答えた。
「ある程度……当は付けています。なにせ私、時空の……専門家ですので」
ガウラ人のこういう専門家って変わったやつしかいないのかな。
「そんな事はないと思うけど……」
そういえばそういうテレポートって寿命が縮んだりはしないのだろうか。
「問題ありません、なにせ私、時空の……専門家ですので」
「まあ専門家とか関係なく縮まないけど」
超能力って何でもありなんだなぁ。今更ながらに思う。
向こうの世界のメロード……メウロルド曰く、
異次元転移にはアカシックレコードへの接続が必要なのだという。
そんなもの……うちにはないよ……。おっさんに破壊されたし。
「えぇ~~~!?じゃ、じゃあ、未来も何もわからないじゃないですかッ!」
未来ってのはわからないから面白いのだ。
「どうかしてます!」
そこまで言わなくても……ある種の宗教観の違いみたいなものだろう。
「話を聞くに概ね理論は……わかりました。この中に超……能力を使える者は?」
メロード、バルキン、そしてホーダツさん本人ぐらいだろうか。
向こうの世界のメウロルドも使えるようだが、転移する本人である。
「それでは、今から……お二人に手伝っていただきたい。理論はテレ……パシーでお送りします」
ホーダツさんの目が光った!
すると二人はそれぞれ何かのメッセージを受け取った様子で、
首を傾げたり難しい顔をしている。
「それでは、向こうの世界へと向かう……皆さんは『丹』を身にまとって頂きます」
早速準備が始まった。
カガンは私のスマホに居座る電気人間に命令プログラムを打ち込む。
私と吉田は丹の使われた衣服を探してきた。
超能力組は理論について考えている様子である。
もう一人の私は街をウロウロしている。
「すごいなぁ、高くて新しい建物ばかりじゃないか、羨ましい。こっちは聖武天皇時代の建物がいっぱい残っているよ」
どうしてこうなったかを聞けば羨ましくはなくなるだろう。
我々は近くのデパートで丹のTシャツとズボン、それから風呂敷を手に入れた!
なんでこんなの都合よく売ってんの!?流行ってん!?
丹で体表をある程度覆えば時空移動の影響はほとんど受けないそうだ。
いつぞやの時間を食べる種族もこれが弱点であったので、
時空の……何らかの何かをどうかする効能があるのだろう。
とにかく、これで準備は整ったはずだ。
我が家に戻ると手筈は整った様子で、メロード二人は呼吸を整えている。
バルキンなんか珍しく神妙な面持ちだ。
ホーダツさんは説明を始める
「まずはこの丹……の服を着ていただきます」
ふむふむ。上下真っ赤な服装になる。
「そしてそこに、数式を実体……化したレーザー、
な、なるほど……?
よくわからないけど、超能力ってホントに何でもありだな!
カガンがスマホを手に私の寝室から出てきた。
「ついに出来たよ。これでバッチリさ」
「急に呼ばれたかと思いきや重大任務を仰せつかってしまいましたね」
電気人間野郎の飲み込みが早くて助かる。
「準備は……整いましたか。では皆さん着替……えてください」
ホーダツさんはメウロルドともう一人の私、そして私に服を手渡す。
ちょっと待って、私も行く流れ?もしかして。
「あれ?君も行くんじゃないのかい?」
どうやらなんか行かなくてはならないっぽい雰囲気だ。
スマホと電気人間野郎だけで良くない?
異世界には行ってみたいものだけど、それは平和な場合に限る!
「成功した場合の謝礼も用意してあるんですけどぉ」
行きます。行かせてください。慌てて服を着替え荷物をまとめる。
「よろしい、それ……では、始めます」
ホーダツさんとメロードが手をかざし、バルキンが角を掲げると、
それぞれ、掌と角から光線が発射され、我々を直撃!
瞬間、視界が暗転した。