【完結】地球の玄関口   作:ターキィ

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地球の就職口

いつだったか宇宙人の日本企業での労働が制限付きで解禁となった。

これまでは宇宙人は宇宙企業に所属してしか日本では働けなかったのだ。

 

 

本日、新しく入ってくる社員がいるという。その人物も宇宙人だというのだ。

まあ見慣れたものなのでどうって事もないのだが、それは意外なる人物であった。

「やっほー!みんなよろしくねー!」

どこかで聞いた声の調子、彼女は間違いなくバルキン・パイである。

「あ!」とこっちに駆け寄ってくる。

「あなたはあの……変な探偵に犯人扱いされてた人だね!」

その通りである、思えば変な探偵であった。というか連中は探偵なのだろうか。

「よろしくね!今日からあなたの補助をする事になったの!」

そのようなものは必要ないのだが、まぁ、雇用政策の一環だろう。そんな役所みたいなことせんでもよろしかろうに。

そもそもがここは宇宙企業だし、このタイミングで入って来るのも妙な感じだが、大体彼女はいつも妙な感じなので気にする事はないだろう。

しかし彼女は一体どういう経緯でここに来たのだろうか。

「そうだね、まず妹が…」いや、その話はしなくてもいい。

どうも彼女は前職は競馬場、というか競馬だったらしいのだ。見てくれも馬(というか角の生えたポニー)だし。

「実は、私が出走して自分に賭けて大金を稼いだんだけど、ルールが変わって宇宙人は参加禁止になっちゃった」

当たり前だ。というか何をしているのか彼女は!意外と強かなのか、JRAは大いに怒っただろうに。

ふと思うのが、彼らは自分たちに似た生物がああやって使役されているのをどう思うのだろうか?

「えー、似てないよう。人と猿って似てる?似てないよね」

つまりはそういう事であるらしい。確かに腑に落ちる。動物園は言わずもがな、猿回しなどもあるし。

そして、彼女の仕事ぶりは割合優秀で、客が引いた後の書類仕事などお手の物だ。

得意の超能力で、紙とファイルが宙を舞っている。

 

さて、かのような労働解禁により宇宙から職を求めて求職者たちがやって来た。

就労ビザを片手に多くの人々がやってくる。そんなに宇宙には職が無いのだろうか。

「だって君、働けさえすればこの星で文化的な暮らしが出来る」とレプティリアンの男が言う。

それは無いと思いつつも、まあ止めはしない。そんな権利も無し。

きっと騙されたのだろう。よくある手口、というか騙して奴隷のような労働をさせるのは日本人が大の得意とする常套手段である。

恐らくは、例の皇太子殿下が地球の文化を紹介したもので、それに乗っかった連中の仕業だろうか。

ガウラの圧力で規制のメスが入ったとはいえ、あまりにもブラック企業が多すぎてまだまだ手が回っていないらしい。

そもそもの労働基準監督署が規制に引っかかり、事実上解体されたというマヌケな話のせいでもある(聡明な読者諸君ならお気付きだろうが、この民族は馬鹿である)。

しかしながら彼の言う事もある種尤もではあるのだろう、何しろ皇太子が『文化の楽園』と表現するのだから、あの宇宙はクソ広いくせして表現の居場所は無いらしい。

そうなるとなかなかどうしてこの国も悪くないような気がしてくるではないか。

「イーグザクトリィ!」とパイが同調した。

 

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