【完結】地球の玄関口   作:ターキィ

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領主はつらいよ:会合に行こう

 

領主、貴族、王族と聞くと煌びやかなイメージが湧くはずである。

しかし残念ながら帝国の場合は地球のそれほど、華やかしきものではないのである。

 

 

王侯貴族と言えば、我らが日本人の主である天皇家や英国のウィンザー朝、ハプスブルク家やサウード家を思い浮かべるだろう。

そして彼らは国事を行いながらも煌びやかな生活を送っている。

まあ彼らなりの苦労というものはあるのだろうが、我々庶民とはかけ離れた、豪華な生活を送っていることだろう(サウード家の末端はそうでもないらいしが)。

帝国にも領主、貴族というものが存在する。例えばスワーノセ家なんかは、ラスの実家だ。

「今日はお父様が来るそうですよ、楽しみですね」

まあ面白いおっさんなので楽しみではある。

「しかし、どうしてまた地球に来るのでしょうね」

そこは聞いていないのか。高級領主が来るのだからきっと非常に大事な事か、さもなくば観光とか全く大事ではない事であろう。

「……大体のお客様が、そのどちらかですよね?」

うむ、我ながらアホな事を言ってしまった。

 

そうこうしているうちに、彼女の父親は現れた。

「おひさやね。ラスも元気しとるかー」

親戚のおじさんのような感じで現れたのがラスの父親、スワーノセ・シンシナである。

「お父様、お久しぶりです」

ラスと二人で軽く挨拶をすると、後ろについてきてたガウラ人たちもこちらを覗き込んでいる。

「実は団体客やねんけど、会合があるから領主総督連中を連れて来たんや」

地球への用事は非常に大事な事であったようだ。

「ラスちゃん、元気そうじゃのう」と彼女と顔見知りっぽい焦げ茶色の毛皮をした……似たような毛皮の人物を複数名発見したので、容貌の描写は省略する。

とにかく、顔見知りっぽい人はアソ家の当主であった。

「おじさんこそ元気そうですね」

「いやあ、もうわしも歳じゃけぇ、今はもうこの世を去る準備をしちょるよ、後はもう娘に引き継ぐけぇのぉ」

「そう言って何年経ちますか」

和気藹々といった雰囲気であるので、まるで町内会のようだ。

「へぇー、こいつが地球人か!ホントに顔までハゲてやんの!」

「どれ、ちょっと顔を触ってみてもいいかね」

彼らは、第八惑星総督のミヤックと第五惑星総督のカイドーコマである。

なんだかチンピラみたいな連中であるが悪気はないようである。手のひらのぷにぷにの誘惑に負けて快諾した。

彼らは私の顔に手を伸ばして触れようとしたが、直前でやめてしまった。

「っと、どうやら誰かの逆鱗に触れそうな感じだぜ!」

「ああ、まだ腕は惜しいからな……」

残念、と肩を落として私から離れていった。こっちも残念である。後ろの方を見るとメロードが目を光らせていたので、それでやめたのだろう。んもう。

「お久しぶりズラ、ラスちゃん!」とまた小さなガウラ人の少女が現れた。

「トリエス!」と呼ばれた少女は、フゲンウゼン・トリエス、帝国の拡張と軍事を司る貴族の当主である。

「元気そうズラねぇ」「まあね。そっちも最近忙しいらしいやん」

旧友と出会えたようで、ラスは楽しそうである。

このなんとも呑気している集団が貴族や総督たちであるというのは俄かに信じ難いが、大体育ちがいい人って人当たりもいいしなぁ、こんなものだろう。

そこへ局長がやってきた。

「皆さん、会合にご出席いただき誠にありがとうございます。ご案内いたしますのでこちらへ」

なるほど、局長が取り付けたのか。彼はこの集団を誘導して、整列させた。

「それじゃあ一枚写真撮りますねー」……なんか本当に町内会の旅行みたいだな!

そういえば彼らに護衛などはいないのだろうか。

「そんなん雇うお金ないねん、お金の殆どは維持費だけで吹っ飛ぶし……」

「行政の費用も馬鹿にならない」

「戦争計画の立案だけでももんげー負担ズラ」

「税を増やすと市民に嫌味を言われるしな!」

うぐぐ、貴族とは一体……封建領主も楽ではないようだ……。

 

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