サンジェルマンのパパになりまして   作:アラバス体系

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え~主人公は裏社会についてあまり知りません。変な山にぶち込まれたりして、超人がいることは知っていますが、それでもオカルトは否定します。


さようなら、我が妻よ。そして娘よ、待っていろ。

「お父さん!肩車!肩車して!」

 

「ほら、サンジェルマン、これでどうだ。」

 

「わあー!すごく、すごく高い!あ、お母さんよ!ほら、走って、走ってお父さん!」

 

「ふふふ、あらあらサンジェルマンたら、お父様と遊んでもらってご機嫌ね。」

 

それは、夕焼けの一つの家族の姿。

 

小高い丘の上で、娘が父親に肩車をねだり、すぐさまおてんばなお姫様の命令を忠実な家来である父親はすぐにそれをかなえる。

 

母親がやってきたことに気付いた娘は、父親の頭をぺしぺしと叩き母親のもとへ急がせる。

 

そこにいる誰もが満面の笑みであり、おそらく世界で最も幸せな家族であろう。

 

「ようし、アルレウム!」

 

「きゃあ!もう、あなたったら!!」

 

母親のもとへついた父親は娘を肩に乗せたまま、すぐさま母親を抱き上げる、いわゆるお姫様抱っこであり、母親も口でこそたしなめるが、そこに悪感情など微塵もあらず、頬を染めていることから照れ隠しであることがわかる。

 

娘もそんな父と母の仲睦まじい様子を見て、父親の頭越しにキャッキャッと笑い声をあげる。

 

 

「ようし、お父さん頑張っちゃうからな!サンジェルマンはしっかりつかまって、お母さんは俺を強く抱きしめろ!」

 

「あなた、子供の前ですよ!」

 

「私もお母さんもお父さんもみんな一緒!このまま家まで、全力疾走!!お父さん、頑張って!夕日が沈む前に家に着いたら、ご褒美のチュウ!!」

 

「サ、サンジェルマン!」

 

「よっしゃああああああああああああああ!!!俺よ、風になれええええええええええええ!!!」

 

娘からの思わぬ賞品に、父親は迷わず本気を出し全力で走る。

 

超人の集まる山で鍛えられた足を使うことで、子供と女を抱えた状態でその速さは優に時速数百キロを超え、途中にあった湖も先につけた右足が沈む前に左足を出すことで難なく横断する。

 

どっからどう見ても、異常な光景だが娘も妻も何も言わない、どうやらこれが普通らしい。

 

注意深くみると、その異常な速さにたいして二人の服や皮膚になんの衝撃が加わらないことから、男はただ走るのではなく空気抵抗そのほか二人に襲い掛かる諸々を打ち消しながら走っているようだ。

 

山の超人たちが見たら、なんという技術の無駄だと本気であきれ返るか号泣しながら惜しむであろう。

 

しかし、男には関係ない。ただ、二人の喜ぶ顔、それだけで山さえ砕くし海さえ割る。

 

実際のところ、山から出ても、いや山から出た方が男の鍛錬の度合いは著しい。

 

後のある男の言を借りるなら、父親の鍛錬は娘と遊んで妻とデートをするだけで十分なのである。

 

ちなみに、しっかり夕日が沈む前に家につき、娘は満面の笑顔でキスをし、妻は顔を真っ赤に染め恥じらいながらのキスをして、男は喜びのあまりぶっ倒れた。

 

 

 

 

サンジェルマンが生まれてから数年後、俺はかつての妻と別れた。少々ごねられたが、財産の8割を渡すことを約束すると見違えるように態度を変えた。最後まで、品のない奴だった。

 

俺はサンジェルマンの母を奴隷から解放し、アルレウムという名前を付けた。ラテン語の白と青を混ぜた名であり、彼女の特徴的な髪と目から付けた。

 

とはいえ、元奴隷であり他の貴族からの目は厳しいし、時にはたかが奴隷、どのようにたぶらかしたとか俺の頭が狂ったとかいうやつもいた。

 

たぶらかした~?俺がしっかり口説いたんだよ!俺の頭がおかしい?アルレウムの良さがわからんとは、そっちの目は腐ってみえないのか、それとも美意識が狂っているのかのどっちかだ!アルレウムの髪はまるで絹のように滑らかで風に舞うたびに落ち着くにおいがするし、それに・・・なに、恥ずかしいからやめろ?何を言っている!髪だけであと数百回は褒められるし、目とか鼻とか指とかうなじとかまだまだ言ってない箇所が・・・え、食事抜き?!・・・・・・・・すいませんでした!!!

 

ゴホン、話を戻そう。

 

もちろん、そんな奴には俺が制裁(具体的には不運な事故とか地面に犬〇家とか)したが、アルレウムは悲しそうな眼をするし将来のサンジェルマンの教育によくないと思った俺は二人を連れて山奥の村に引っ越した。

 

俺の身体能力をもってすれば木こりの真似も出来るし、野菜を新鮮なままで街に持っていくこともできる。

 

村の人も俺がいれば仕事が助かると大喜びして詮索はしなかったし、アルレウムの作るパイやスープは大好評だった。当然だがな!!!

 

サンジェルマンも成長して赤ん坊からそこらを走り回るぐらいに成長したが・・・・・

 

本当にかわいい!!本当にかわいい!!大事なことだから二回・・・とでも思ったか!

 

もういっちょ!本当にかわいい!!どうだ、やず〇を超えたぞ!!

 

いや、マジでかわいい。アルレウムそっくりの白い髪と青い目。

 

俺を見るたびにお父さん、お父さん呼んでちょこちょこついてくるし、花の冠作ってお父さんにプレゼントとか言って渡してくる。

 

しかも、どうやら頭もいい。俺が教えたことはすぐ覚える。一回見せただけで、文字を完全にマスターしたし、簡単な計算もできる。

 

それを褒めると、もっと褒めて!と新しいことを覚えて俺に披露してくる。俺もよくやったと、髪がぐしゃぐしゃになるぐらいなでた。アルレウムには、女の子なんだから髪は大切にと怒られたが。

 

アルレウムはさっきも言ったが、パイやスープなどの料理のほかに、裁縫や掃除、薬の調合まで覚えた。・・・あれ、アルレウム頭良すぎじゃね?貴族の馬鹿どもよりずっと賢いぞ?

 

そんな感じで俺たち家族は幸せだった。このまま、サンジェルマンが大きくなるのを俺たち二人は楽しみにしていたのだが・・・

 

 

 

ある時、アルレウムが病気に罹った。しかも、どうやら不治の病だった。

 

アルレウムが倒れた時、俺は畑仕事をしていたのだがサンジェルマンが泣きじゃくりながらお母さんが!お母さんが!!とやってきたので急いで家に戻ってみるとアルレウム床に伏せていた。その顔は青白く激しく息を乱していた。

 

村の仲間にサンジェルマンを預けると、家の金をかき集めて医者を探しに街へ走った。一応、街に住んでいた時の知り合いの医者がいたので、村に来てアルレウムを診てくれるよう頼むと答えは聞かず抱えて連れてきた。おそらくこのとき俺はこれまでの中で最も速く走っただろう。

 

しかし、それも無駄だっだ。医者は診察するとすぐに、これは珍しい病気で治す方法はないと言い切った。

 

ふざけんな!と俺は切れて医者の胸ぐらをつかみ壁に叩き付けてしまったが、それでも真摯な目で俺を見つめたため、医者も最大限に考えたうえでそう言っているとわかり、小さくか細い声で俺はすまないと謝った。

 

それから、しばらくしてアルレウムは息を引き取った。アルレウムは間際、泣きながら手を握っていたサンジェルマンに向かって優しい人になりなさいといい、呆然としていた俺に向かってごめんなさい、サンジェルマンをお願いと言った。

 

サンジェルマンは母親が死んだことに気付くと涙と鼻水を流しながら、俺に抱き着いたし、俺はそんなサンジェルマンを精一杯抱きしめることしかできなかった。

 

その後、医者に対して金を払おうとすると、医者は助けられなかった患者から報酬は貰えん、その金は娘のために使えと言って帰っていった。

 

その後、夜にアルレウムを棺に入れ埋めて、サンジェルマンを寝かしつけた後俺は酒を飲みながら泣いた。サンジェルマンを起こさないように声を押し殺し、けれど目からは体中の水分が尽きるかと思うぐらい涙を流した。

 

村の連中がアルレウムを弔うために鳴らした別れの鐘が俺の砕けた心に染み、アルレウムとの思い出を思い返してさらに泣いて、けれど最後の思い出、サンジェルマンをお願いという遺言を思い出し、アルレウムの為に泣くのはそれでやめて寝た。

 

明日からはサンジェルマンのことを第一に考えなければいけない、その時・・・アルレウムへの思いは俺の頭を鈍らせる・・・

 

 

 

 

 

 

それから十年とちょっと、サンジェルマンを知識人の集まる学院みたいなところに入れた。

 

サンジェルマンはお母さんの遺言どうり、誰かを救えるぐらい優しい人にならなければいけないと言って家の中の本や俺の知識を全て聞き、それでも満足できず新たな知識の場を求めた。

 

正直言って、俺は驚いた。サンジェルマンはアルレウムが死んだあと俺にべったりだったからだ。あいつが死んだ悲しみを俺への愛で消し去ろうとし、あいつがいない寂しさを俺のぬくもりで満たそうとした。

 

子供ならいざ知らず、十とちょっと、前世の感覚で中学生ぐらいの、年頃の娘が父親にべったりというのはさすがにまずい気もしたが、俺も可愛い娘を甘やかしてしまい好きにさせた。

 

・・・俺もサンジェルマンが、娘がずっと一緒にいてくれるというのは本当にうれしかった。娘の成長が逐一わかるし、娘への愛を思う存分伝えられたからだ。

 

そんなサンジェルマンが俺のもとを離れるというのは娘もそれぐらいの年に、大人になったかと寂しくもあったが感慨深さもあり、知り合いのつて、かつてアルレウムを美しいといって口説きはじめ俺が思いっきり殴った古くからの友人の一人に頼りなんとか入れてもらった。学費が結構かかると言われたが、あの時医者に払わずじまいの金と、そこらにいた盗賊どもから奪った金を支払った。

 

・・・ただ気になるのは、サンジェルマンが血の涙を流していたことだ。お父さんと離れるなんてとか、悪い虫がつくとか、私だけのお父さんがとか、でもお母さんの遺言がとかぶつぶつ言ってたことだ。

 

そういえば、ある日二人でクマを狩っての食事のとき、いい年だし気になる人でもできたかと何とか口を開き全身から出ようとする嫌な汗を引っ込め首を絞めようとする腕を細胞ごとおさえてなんとか笑顔(歪み)をしながら聞いたところ、何も言わず真顔でこっちを見ていた。もう完全に、無感情でだ。

 

・・・そうか!小さい頃は、お父さんのお嫁さんになるとか言ってたもんな!!サンジェルマンもまだまだ子供だな!でも、お父さんは嬉しいぞ!!!

 

とまあ、いろいろありながらもサンジェルマンは学院に出発した。馬車に乗る際、馬車に足を掛けるのを迷ったり何度も何度もこっちをみたり、やっぱりやめようかなと呟き始めたので急いで抱きしめて呆けたところを馬車に突っ込んだりもした。

 

けどまぁ、だいたい一日おきに手紙は来るし、俺も二、三日ごとに木の影から見に行ったので大丈夫だろう。あの子は、いずれ立派な学者になり世のため人のために働く、俺も天国のアルレウムも安心できると思っていた。

 

 

 

 

そう、思っていた。過去形である。昨日手紙が届いて俺の思いは過去形になった。

 

 

 

 

 

 

さて、問題だ、親として子供について最も心配なこととは何だろう。

 

いじめられること?残念、俺がそいつを殴る。

 

就職?この時代の知識人が職に困ることはない、文字を読める奴すら少ないのだ。

 

‥‥‥男?そいつは確かに心配だ。でもまあ、サンジェルマンが選んだ人に間違いはないと思うし、少しでも娘に粉を掛けようとするやつは俺がぶち殺す、この肉体に誓ってだ。

 

正解は…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥娘が怪しい宗教に嵌ることだ!!!!!!!!!!!!!

 

なんだよ、パヴァリア光明結社って!!!!!錬金術?そんなものあるわけないだろいい加減にしろ!!!!!!!

 

 

お父さんは、お父さんは・・・・・許しません!!!!!待ってろよ、サンジェルマン!!!

 

今、助けに行ってやるからな!!!!!!!!!!

 

 

・・・・なになにP.S?今日もアダムは全裸です?

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブッコロス!!!アダム、ブッコロス!!!!!!!!!




次回、パパVS無能

または 全裸VS全裸
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