また、誤字報告をしてくれたユーザーの皆さんも本当にありがとう、これからも報告お願いします。
シンフォギア世界の錬金術はどこまでできるんでしょうか?というか、ほぼ何でもありですよね。このssの錬金術もそうです。
「まったくどうしていつもお父さんはそうなんですか!確かに、私の手紙は言葉足らずだったし、お父さんに何の説明もしていなかったことは謝ります。けど、殴りこむ前に普通に会いに来るということは出来なかったんですか!?前々からお父さんは一度思い込むと、物事を正しく見ることが出来ずに、暴れまわる悪癖があると思いました!!今回も、こんな風に暴れて」
「いや、ここまで壊したのは俺じゃなくて、あの全裸の変態野郎・・・」
「だまらっしゃい!!!」
「はい・・・・・」
俺は今、サンジェルマンに説教をくらっていた。俺としては、サンジェルマンが騙されていると思って殴り込んだわけだが、サンジェルマンはどうやらそうではないらしく、一度怒鳴られて周りを見たら壁や床が思いっきり剥がれたり粉々になったりして今にもこの施設が崩れるんじゃないかと思えるありさまだった、いつの間にか俺も全裸だったし。そこで、恐る恐る怒鳴り声のした方を見てみると、そこには般若が立っていた。いや、ここはヨーロッパだからなんていえばいいのか。それにしても、怒った顔もアルレウムにそっくりだなと、諦めの境地に至った俺はそんなことを何故か冷静に思った。そこからは今の今まで続く説教だ。
実際のところ、俺だけがここまで怒られるのは納得できず、あのアダムとか言うやつの方が被害大きくしたんじゃねーのと思ったんだけど、すぐにサンジェルマンに見抜かれ説教が長くなった。曰く、そんな事は分かっているらしい。若干呆れ声だったのでサンジェルマンとしてはいつものことすぎて怒る気にもならないようだ。やっぱり、あの野郎にもう一回殴りかかるべきだな、俺はそう決意した。
説教が終わった後、サンジェルマンから代わりの服を貰い後片付けの手伝いを始めた。砕けた破片を箒で集めて外に捨てたり、けが人を医務室まで運んだりしたのだが、会う人会う人にぎょっとした目で見られたり、悲鳴を上げて逃げられたり、目が合っただけで謝られた。・・・こうしてみると、罪悪感が半端ない。いや、こいつら錬金術とかいう手品を行っているが、どうも人だまそうとする詐欺師の類ではないらしい。じゃあ、あの手品は何なのかと考えていたら、サンジェルマンに後で説明するから、今は働けと言われた、グスン。
掃除が終わって新しい服を着た後、サンジェルマンから説明されたのだが、この世には錬金術という物があるらしい、マジか。いや、山を崩せる奴がいる世界で何言ってんだ、お前もオカルトに片足突っ込んでいる、そもそもお前前世あんじゃんとか言わないでほしい。娘がそういうこと言いだしたら慌てるのが普通だろ?
それでもほんとかなぁという目でサンジェルマンを見ていると、ちょっと不機嫌になりだしたので、俺は慌ててサンジェルマンの機嫌を取ろうとした。
「分かった、分かった、サンジェルマンは錬金術を研究して火や水を出そうとしているのね、すごい、すごいぞサンジェルマン!ぶっちゃけ、何に使うか分からんが、とにかくすごいぞ!!」
「分かったは一回!というか、本当に信じてるの?…‥‥分かった、お父さんもここに住んで!」
「えっ」
「そうすれば私が何をしているか分かるし安心できるでしょ。それにお父さんと統制局長の戦いで壊れた個所はまだまだあるの、そこは誰かが直さなければいけないけど、私も他の錬金術師たちも自分の研究を進めたいから、それにあまり労力は裂きたくない。だから、一刻も早く終わるように協力しなさい。」
「…‥‥」
「そ、それに時間が空いた時には、私がお父さんに錬金術を教えます。お父さんはこっち方面の知識はないでしょうけど、老化の減少や新たなエネルギー理論の構築などの研究を進めているわ。私が見る限り、お父さんは肉体を動かす方が得意だけど、こっちの技術的な側面も高いレベルを持っている。パヴァリア光明結社もまだまだ発展途上で優秀な人材はいくらいても足りないわ。」
話している途中で顔を赤く染めたサンジェルマンを見ながら考える。説明の中で学院の話が極端に少なく、その内容もあまりよいものとは言えなかった。結局のところ娘が学院でしっかり勉強してると思ってた俺の目は節穴だったということだ。どうも学院は思ったものとは違う物であったらしく、勉学ではなく派閥争いなんかに勤しむものが多かったということか。‥‥‥そういえば村でサンジェルマン達と土で戯れているうちに忘れていたよ、貴族がどういう物かを。そのせいで、サンジェルマンはこっちの道に流れ着いたということか。
さて、どうしよう。錬金術という物に興味があるかといえyesだ、話を聞く限り錬金術とは文字道理金を錬成するだけではなく多くのオカルティックの技術を総称したものだ。まさしく魔法の様な技術も存在していて、実際心惹かれるがどうしてもこれは裏の技術で、まっとうなものじゃない。しかし、サンジェルマンはこれに入れ込んでいるようで、その思いを否定して学院に戻れというのは心苦しい、俺の教育方針は「子供の好奇心は伸ばせ」だからな。錬金術も表の世界で役立つかもしれん。ちょっと不安だが、俺が傍にいて、これはやばいと感じればサンジェルマンを連れてここを出て行けばいいか。‥‥‥本音を言えば、サンジェルマンの傍に入れるのは嬉しいし、錬金術という未知なるものに子供心を呼び起こされた感じだ。
「分かった、俺もここに残るよ。サンジェルマンは一生懸命自分の道に励んで立派な錬金術師になりなさい。ただし、おかしいと思ったらすぐに知らせろ、ここをぶっ壊してでていくからな。それとアダムとかいう裸族に近づくのはやめなさい。」
「そう!よかった!こ、これでお父さんと一緒にいられるわ‥‥」
‥‥‥もしかしてそれが本音か?嬉しいが、結構やばいのかな、これ。教育方法間違えちゃったかな‥‥。俺も子離れできていないしな‥‥‥
薄暗い部屋の中、アダムは風呂に浸かっている。しかし、その顔にはいつもの薄ら笑いはなく、その完璧な頭脳を活かして常人とはかけ離れた思考スピードで例の侵入者、サンジェルマンの父親について熟考していた。
(‥‥‥特別な家系の生まれではなく、その身にいかなる聖遺物の痕跡もない。僕の様なカストディアンから生まれたわけでもない普通の人間だ、それなのに彼は戦いを挑み、僕は決着をつけることが出来なかった。付いてきた、完璧な僕に不完全な人間が…)
アダムは考える、何故彼があそこまで強いのかを。アダムは人間を不完全なものとして見下しており、実際彼に及ぶものは今までおらず、彼が今まで見てきた人間の中で最も優れているサンジェルマンでさえ、戦えば必ず自分が勝つと考えてきた。
だが、今回はどうか?無論、アダムは戦いで本気を出していない、出す必要すらなく擬態した姿のままで戦った。本来の姿であればその巨体で彼をすりつぶすこともできただろう。しかし、それでももしかしたらという疑念が頭から消えなかった、もしかしたら自分が負ける未来が針の孔ぐらいでもあったのではないか。
(何故奴はあそこまで強くなった?何故奴はこの身にその拳を届けることが出来た?なんの神秘も持たぬのに‥‥分からない‥‥‥)
『テメーが俺の娘を、サンジェルマンをだましたのか!!!』
(まさか奴は自身の娘の為に戦ったからあそこまで拳が重かったのか?僕の錬金術を防ぐほどの頑強さを持っていたのか?‥‥‥フッ、そんな馬鹿なことがあるものか、感情で人が強くなるなどあるはずがない。そうであるならこの僕だって、あいつらに‥‥‥カストディアンどもに‥‥‥)
(まあいい。当分の間、奴は僕の目的の手助けをしてくれる、ここにいて錬金術師たちの研究を進めて。奴の観察はその間にすればいい。それにいまだ錬金術という物は非力で脆弱なものにすぎず、僕が使ったところでたかが知れているが、サンジェルマンと奴のおかげで、錬金術はさらなる発展が望める。せいぜい、僕のための肥やしとなっておくれ。)
この前の、父の滞在許可を貰いに来たサンジェルマンの顔を思い出す。必死に自分の中の思いを隠そうとしていたが、口元が引くつくほどの喜びがあふれていた。父が傍にいてくれることがよほど嬉しいのだろう。その感情が錬金術の研究にプラスに働いている。この分だと予定の目標にも、神の力にも早くたどり着けるかもしれない。いくら数千年単位の計画だろうと早く終わるならそれに越したことはない。
そこまでに思考がたどり着くと、奴にも計画にも考えるのをやめ、入浴を楽しみ始め、表情にもいつもの笑みが戻る。
アダムにはまだ分からない、気付かない。不完全である人間が、不完全であるがゆえに完全を超える力があることを、それが何から生まれるのかを。それを知るのはまだ先である。
俺がここパヴァリア光明結社に所属するようになってから数年が経ち、まったく知らなかった錬金術も基礎を超えてサンジェルマンの次ぐらいの実力を手に入れた。とはいっても錬金術の研究はまだまだなので、錬金術で出来ることは俺が生身の肉体でやった方が早いぐらいである。それでも、サンジェルマンと一緒に錬金術を行うのは楽しかったのでそれで錬金術を研究する価値はあったと思う。
だが、それでも俺は錬金術を戦いに持ち込めるほどの発展は出来なかった。それは致命的なことであり、だから
ある日、パヴァリア光明結社の拠点に軍隊が攻め込んできた、俺たちが錬金術などという怪しげなものを研究している異端者でありいずれ街に被害を及ぼすかもしれないというりある意味至極もっともな理由だった。とはいえ、黙ってやられるはずもなく俺たちは抵抗した。あいにくアダムはよその拠点に言って留守ではあったが、相手は剣や槍ぐらいの武装しかない、それなら一般錬金術師でも勝てるし最悪俺が出張って殴り飛ばせばいいと、最初は簡単に撃退できると思っていた。実際、兵士どもはすぐに全滅した。
問題は軍を率いていた将軍だ。将軍は明らかに普通の人間ではなく、俺たちよりもはるかに高度な錬金術やそれ以外の人外の異能を用いて俺たちを蹂躙した。尋常ならざるものを感じたため俺は他の奴らに逃亡を命令し自分はそのための時間稼ぎをしようとした。
「駄目!私も戦う!!せめて、お父さんも一緒に・・・」
「悪いな、サンジェルマン。お父さんはお前の命が一番大事なんだ。」
‥‥‥サンジェルマンは俺と一緒に残ろうとしたが、腹を殴って気絶させた後他の錬金術師に運ばせた。娘に暴力を振るったのはこれが初めてだし、ひどく罪悪感を感じたがこの結果を見るに大正解であったようだ。
戦いは崩壊しかけた拠点を飛び出し、その外で始まった。俺は奴の体に拳を当てようと接近するが、奴はそれを巨大な電撃、あのアダムですら出したことのない規模で俺を近づかせなかった。なんとか近づこうと近くの森の木をへし折って槍として投擲するが紫色の壁が出現して防がれた。足で砕いた地面や奴と比べれば貧弱な錬金術による風の刃も木の槍と同じ結果をたどった。
届かない、あの武芸者たちに鍛えられた拳が、サンジェルマンと研究した錬金術が、あのアダムにさえ少しは通じた攻撃が目の前の敵には届かない。対して、俺の拳は砕け、足は裂け、体の魔力は枯渇し徐々にじり貧になる。
それでも、せめて、せめて一撃は届けたい、笑いたければ笑うがいい、それが俺の意地で、俺は最後の攻撃に出た。残った魔力を使って巨大な火球を作り出し、相手に向かわせる。それをさっきの頑強な紫の壁で防ごうとしたところを、ぶつかる瞬間わざと爆発させ、火で視覚、音で聴覚をふさぐ。そのすきに後ろに回り、足を地面が陥没するほど叩き込め、構えを取り拳を引き、体全体で攻撃を放つ。俺の放てる最高の拳だった、これで多少なりともダメージを与えられるはずだった。
‥‥‥けれど、結果は残酷だった。俺の今までの最高の一撃は、奴の盾にひびさえ入れられず逆に拳は完全に砕け、即座に奴の電撃で体を焼かれて吹き飛ばされる。結局俺は奴に一矢報いることさえできず無様に這いつくばった。その時、奴の兜が外れ、長く薄い金髪があらわになり敵の顔を拝むことが出来た。
「お、おん、な、か。」
そう、俺が一撃も入れることのできない、アダムさえ完全に超えていた最強は一人の女であったのだ。
女は拠点をつぶして数多の錬金術師を骸に変え、最後に俺というおもちゃで遊んだことで満足したのか、死にかけの俺にとどめすら刺さず、一人で帰っていった。
「ふ、ふ、ふふふふふ、ハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」
別に気が狂ったわけではないが、ここまで、完全に負けると涙さえ出ず笑うしかなかった。だが、この笑いには確かに喜びも混ざっていた。なぜなら、サンジェルマンは逃げることが出来たのだ、なら俺の勝ちだ。
「…けど、まだサンジェルマンと一緒に、いたかったな。」
一人残してしまうけど大丈夫だろうか?ここ数年で、少女から大人の女性に変わることが出来たのに、まだまだ、親離れが出来ていなかった。それじゃあ、まだ子供だ。そんなサンジェルマンをあのアダムのところへ残していいのだろうか?そこんところが心配だ。けどまぁ、何とかなるだろう。俺とアルレウムの娘だ、アダムの闇、笑みの奥に隠した何かにもきっと対抗できる、そう信じている。
「‥‥‥アルレウム、約束、破っちまったよ。」
『ごめんなさい、サンジェルマンをお願い』
「けど、お前も悪いぞ、あんなに早く行きやがって。そっちで、の、お説教は、短めに、たの、む、ぞ‥‥‥」
目がかすんでもうあまり見えない。呼吸もすくなくなって、心の臓の鼓動も小さくなってきた、体の熱も消え氷のような寒さが襲ってくる。ああ、もう眠い。もう寝てしまおう‥‥起きた時にはアルレウムにあえるかな‥‥‥
「お父さん、お父さん!!」
「ひどいね、これは。消えかかっている、命の火が、生命の鼓動が。」
「黙りなさい、アダム・ヴァイスハウプト!!医療班、医療班はまだか!?」
「君だってわかっているだろう?助かることは出来ない、単純な医療なんかじゃね。ではどうしたらいいか?‥‥‥使えばいい、こういう時の為に研究していた君たちの錬金術を。」
「けど、あれはまだ完成していません!まだ、データがそろっておらず、人体の分解どまりで、再構築には‥‥‥まさか、お父さんを実験台にしろといいたいのか!!!」
「いやいや、そうは言ってないさ。でも、このままでは死んでしまう。本意ではないだろう、それは、君にも、そして僕にも。まだ、頑張ってもらいたいのさ、彼には。そのためには僕も協力は惜しまない、前に手に入れたあれを利用して僕の膨大な魔力で多少のことは力づくさ。さあ、こじ開けよう、真理の扉の一端を、踏み入れよう、新たなる世界へ、手に入れよう、さらなる錬金術を!!!!」
「‥‥‥医療班、彼を私の研究所へ運びなさい。例の実験、『人体再構築』を実行するわ‥‥‥‥」
「お父さん、私は親不孝者です、お父さんを人間ではないものにしてしまうかもしれません。けれど…絶対にその命をお母さんのもとへは行かせません。お父さんを助けるためなら‥‥‥私はどんな罪も背負うし、どんな罰も受け入れます。死んでも、お母さんには会えないとしても‥‥‥私は、目の前のお父さんを救いたい‥‥お母さんは許してくれますか?・・・・」
松明の火に照らされた部屋、サンジェルマンの研究室で、描かれた陳の上に今にも命の火が消えそうな男の体が横たわる。白い髪の女は、傍にたたずむ男から
その時のこの場で言えるのは、一人の人間が死にかけ、神秘的な何か、後の世では聖遺物と呼ばれるものによって命を紡ぐという、これまたのちの世で行われることが太古の昔にもあったということ、それだけである。六日の間、部屋に錬金術の光が満ち、最後に一日を祈った。
サンジェルマンが再び父親に会うのは、これから千年と数百年後のことである。
いったいどこの超古代文明の巫女なんだ・・・?
最期に時代が飛んだのは、作品の空白期間を書くことが出来ると作者には思えなかったからです。
次回は決闘の名前を冠した人型兵器に乗ってそうな名前をした父親と人参みたいな名前をした娘が出る予定(つまり未定)です。