結局、カネキケンは私と同じあんていくのバイトになった。こないだのことを気にしてるのか時折こっちを見てきてるみたいだけど、私は敢えて知らないふりを決め込んでいる。大体、怯えるような視線向けられて応えるわけないだろ。
「トーカちゃん」
「・・・はい?」
「次の休み、カネキ君のマスク作りに付き合ってあげてくれない?」
「・・・私が、ですか?」
「うん。だめかい?」
「いいですけど。カネキさんはそれでいいですか?」
「え、あ、ぼ、僕は、いい、けど・・・」
「なら決まりだね。トーカちゃん、頼んだよ」
「はい」
ああー、うん。そうだよねーマスクは必要だよねー。四方さんなんでもっと早く登場しないんだろ。そうすれば私が案内するなんていうイベントは起こらずに済むのに・・・
そしてマスクを注文した帰りもひたすら無言だった。
「あの」
「はい?」
「ありがとう、今日は付き合ってくれて」
「いえ。私は頼まれただけですし、マスクがないと危険ですから」
「そ、そっか。」
「はい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「それと・・・」
「?」
「あの時はごめん」
あの時・・・ああ、あの路地か。蒸し返さずにそのまま流すって手もあるだろうに律儀なのか小心者なのか。
「・・・気にしないでください。あの発言はある意味正論です。人間が人間を食べるって倫理的にだめなんでしょう?それ、喰種の子供も同じこと思う子もいますしいいんですよ、それで」
「・・・ありがとう」
「・・・じゃ、帰りましょう。遅くなっても面倒ですし」
「うん」
まあ、とりあえず。カネキケンの株は原作とかそういうの関係なく上がった。
今日はテスト。でも嫌な予感がする。明日もテストあるけど一応あんていくに寄っていこうかな・・・リョーコさんとヒナミ、今日もいるのかな・・・
「こんにちは」
「ああ、トーカちゃん。試験はいいのかい?」
「いえ、明日までなんですけど。ちょっと嫌な予感がして・・・そういえばリョーコさんとヒナミは?今日は来てないんですか?」
「リョーコさんとヒナミちゃんならさっき出てったよ。これからは自分たちで頑張るそうだよ」
「そうですか・・・ヒナミに借りた本、返したかったんですけど、もう来ないんですかね」
「さっき出て行ったばかりだから今なら間に合うと思うよ」
「!私、行ってきます」
「気を付けてね。前にも言ったけど白鳩がうろついているから」
「はい」
私はあんていくの二階にある変装に使う制服の隠れるフード付きロングパーカーを着ると兎のマスクとヒナミの本を持って二人の匂いを追いかけた。
それで、私は今、あんていくの二階に寝かされている。
「くそ、ミスった・・・」
私の嫌な予感は的中した。リョーコさんとヒナミは捜査官に見つかり、リョーコさんは殺されそうになっていた。迷う暇なんて、なかった。
両方とも結構な手練れだった。それに対して、私は左腕を切断され、挙句袈裟斬り。・・・完敗。いわゆるボロボロになりながらリョーコさんを抱えてあんていくまで走った。ヒナミが逃げおおせられたのか不安だったけどヒナミはカネキケンが保護しあんていくに戻ってきたので無事だった。よかった。いつまでもリョーコさんに腕を持っててもらうのも悪いので返してもらい傷口にくっつける。うーん再生力も落ちてるな・・・やっぱ弱いな私。明日までに治るかなコレ・・・テスト出ないと評定とか進路とかに関わるから直さなきゃ・・・
「トーカちゃん、ごめんなさい私のせいで・・・」
「いいんですよ、私が勝手にしたことですし・・・それに治りますから」
リョーコさんが気負わないようにフォローしておく。すると頼んでいた針と糸とハサミと替えの包帯を持ってきたヒナミ、はいいとしてカネキケンと四方さんが入ってきた。
「お姉ちゃん、これ・・・」
「ん、ああ。ありがとねヒナミ」
「ううん。私の方こそ、ありがとう。お母さんを助けてくれて」
「私がしたくてやったことだから。ヒナミこそ無事でいてくれてありがとう。本、返したかったんだ」
「!うん」
そして下で店長とこれからの話をするためにリョーコさんとヒナミは部屋を出て行った。
で、残っているのは気まずいメンツである。
「・・・言ったはずだ。なるべく白鳩とは交戦するなと」
「すみません」
「・・・それに、その怪我も本来のおまえならもうほとんど塞がっているはずだ。・・・余計なものを食うな」
「・・・はい」
「・・・・・・俺からはそれだけだ」
そういうと四方さんは部屋を出て行った。
「それで、カネキさんはどうしてここに?」
「え!?いや僕はその・・・」
しどろもどろになるカネキケン。そろそろ縫合したいんだけど・・・そうだ。
「なにもないのであれば私の腕支えててください。これから縫うので」
「縫う!?」
「はい。明日のテストにはどうしても間に合わせないといけませんから。見なくていいですよ、支えてもらうだけでいいんで」
「あ、うん・・・」
こうしてなんとか縫合を終えた私は翌日のテストに出席しなんとか復帰したのだった。
あーあ、抜糸面倒だな。
実はこれで一方的にカネキくんの方から距離が縮まってます。主人公はそんなつもり一切ないけど。