転生オリ主ドロップアウト   作:クリネックス

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次話投稿での場面転換が楽すぎて短めになっちゃう、、、。


厄災の予感ー2

冷静になって考えてみれば自分が霊感を使って異能力者を感知できるのであれば、相手からもこちらを認識できてもなんらおかしくはない。ましてや向こうは持っている力の大きさだけ見ても格上だ。

俺?魔眼使わなきゃパンピーですよ。白羽さんみたいに謎オーラとか出せないし。

 

しかしこれからどうしたものだろうか。白羽さんのあのキラキラとした目は、一瞬ではあったが明らかに自分だけに向けられていた。

自分が転生者であるとバレたのだろうか?だとしたら非常にまずい。

ファーストコンタクトが挙動不審だった時点で向こうから少なからず警戒されているはずだ。このままシリアスルートに持ち込まれるのだけは避けなければならない。

 

担任の女教師が年間の行事予定を説明している中で春彦は思案する。

いっそのことこちらから接触を図るべきであろうか?いや、危険すぎる。自分よりもはるかに強大な力を持った相手だ。自分の異能は確かにチートではあるが、発動までにラグがある。具体的にはめっちゃ目を凝らさないと発動しない。仮に戦闘に持ち込まれれば勝ち目はないに等しいだろう。というかそもそも女の子相手に自分から話しかけられる気がしない。

 

「うん、無理だ、諦めよう」

 

さて、自分から行動を起こさないということであればこのまま大人しく高校生活を送ろうではないか。そもそも相手の力量的に仮に自分が異能力者であるとバレていてもモブの一味と認識しているのかもしれない。そもそもあの時向けられた目線も自分以外の生徒に対してもそれぞれ送っていたのかもしれない。早とちりで自滅しては元も子もないだろう。自分の行動方針はあくまで生存なのだ。

 

そういって落ち着いたところで改めて白羽さんについて考えてみる。

白羽=ラフィエル=エインズワース

名前からしてもう転生オリ主であることは確定しているが、問題は彼女が女性の転生者であるということだ。

女の子の転生者の思考回路ってどうなっているんだろう?自分が前世で読んでいたネット小説などでは大抵が男が主人公であり、その皆が転生先では派手に行動していた。

しかし、白羽さんは女性である。女性なのである。女性で前世の知識持ちとなるとやっぱり銀魂とか好きなのだろうか?仮に会話をする機会があればテンション高く突っ込めば無理やりギャグ時空に持ち込めるのではないか?いや、やはり彼女の前世が女性であると確定したわけではない。確か流行っていたジャンルにTSというものがあったはずだ。だとしたら前世は男?え?それってアブノーマルすぎない?転生した先で性転換を望んだ挙句チート能力まで手に入れて現代社会で無双しようとか業が深すぎるだろ、どんな前世歩んできたんだよ。

 

 

 

 

「彼は一体何を考えているのでしょうか……」

 

予測から想像を通り越して妄想にまで突入している春彦の顔を尻目に捉えながらラフィエルは考える。

春日野春彦。彼が自分を見つめていた目は他の生徒とは違い疑念を含んでいた。目を合わしてからの態度はぎこちなく、挨拶の順番が回ってくるとまるで死地にでも向かうような顔で立ち上がり、かといって挨拶自体は平凡そのもの。その後も何かを警戒するような、怯えるような目で自分を見てきたかと思えば急に考え込み、そして今の百面相にいたる。

 

側からみれば変人以外の何者でもないが、あいにくラフィエルは普通からはずれた感性の持ち主であった。

天使学校を次席で卒業し、待ちに待った下界での学生生活。お堅い教師や同級生はおらず、全てが新鮮な環境。そんな中で自分に対して異常なまでに感情を揺れ動かす人間。彼は一体何を考えているのだろうか?少なくともこちらでの生活を面白いものに変えてくれるのであれば嬉しいのだが。

まぁ何はともあれ新しいおもち……面白い友人候補はできた。同じクラスなのだからこれから親交を深めればいいだろう。

先の生活を想像し、期待を寄せながらラフィエルは教師に注意されるまで続く春彦の百面相を眺めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、新学期早々ひどい目にあった……」

 

完全に自分の自業自得ではあるのだが、初日に教師から目をつけられるとは思わなかった。それもこれも全て白羽さんというイレギュラーの存在のせいである。

 

ホームルームが終わり下校の時間となった教室で他の生徒が親交を深めようと会話をしている中春彦は荷物をまとめながら考えていた。いや、本当はそんなことを考えずに自分も会話に混ざって友人を作りたいのだが、初日から変人奇人としか言いようのない行動を起こしていた春彦はクラスでは明らかに浮いていたし、自分自身それを自覚するのが辛いが故に今後のことに意識を傾ける。

 

荷物をまとめおわり教室を出る際にチラリと白羽さんの方に目線を向けると、彼女は新しくできたであろう友人との会話に花を咲かせていた。アレ?自分に接触してこないの?転生オリ主帰っちゃうよ?

 

声をかける勇気もないので大人しく下校する。白羽さんはおろか、誰にも声をかけられることなく下駄箱へとたどり着いてしまった。

なぜだろう、何故だかすごく今日の自分の行動が馬鹿馬鹿しく感じられてくる。自分の人生の転機について深く思案していたつもりだったが、もしかしてこれはクラスメイトに自分の印象を奇人で確定させ、これから一年をぼっちルートで確定させただけだったのではないか?本当は白羽さんは転生者ではないのではないか?そもそも仮に彼女が転生者であったとしても、自分が娯楽として読んでいたネット小説の登場人物のような壮絶な過去を持っているはずがないだろう。普通に前世は自分と同じパンピーだろうし、だとしたら死ぬとか殺すとかありえないんじゃないか?

 

いや、ダメだ。自分の目的はあくまで生存なのだ。1ミリでもそれを脅かす要素があるとすれば用心するに越したことはない。

 

そう納得しないと羞恥心と後悔から涙が出そうになったため無理やりでも自分を納得させる。とにかく家に帰ろう。帰って今後のことに関してより深く考えなければならない。その後は夕飯を食べ、温かいお風呂に入り、早めに眠ってしまおう。そうすれば今日あったことは全てなかったことになるような気がするから。

 

現実逃避を決め込み春彦は帰路につくのであった。

 




シリアス、、、?

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