とか言いながらもミリタリー色はあんまり強くないです。
初投稿ですので色々変なところがあると思いますが。
気付いたときにでもご指摘願います。
目を開けたとき、視界に何一つ明かりがなかった。
大学近くの下宿先は周りが山と田んぼばかりで灯りそのものが少ないこともあって、たまに深夜に起きてしまったときなどが特にそんな感じだった。
だが、今目の前に広がる暗闇はそんな暗さではない、どちらかというと子どものころによくやったかくれんぼでよくお世話になったクローゼットや物置の中のような“暗い”ではなく“黒い”暗さだ。
……なんでこんなところで寝てんだろ
起きたばかりの体で辺りを見回すがわずかな光さえもないようだ。
そもそもなぜ、自分は眠っていたのだったか。
だがそれよりも一番気になっているには、
「何処だ此処、なんでコクピットに……コクピット?」
何でそう思ったのか、自分でもわからないが、何故かそんな気がする。
視覚的に理解したのではない目に映る景色は先程の一印象と然したる違いはない。
依然、真っ暗だ。
だが、その見えない向こう側にあるコンソールや操縦桿の位置も、その操作方法、自分が乗っているモノの名前だってわかる。
わからないのはどうして知っているのかとそれが何なのかだ。
眠る前に何をしていたのだろうか。それがはっきりすれば手っ取り早いのだが、さっぱり覚えていない。
とりあえず、物の位置がわかっても見えないのは不便だったのでそれっぽいボタンを押してみるとコクピット全体が明るくなったのと同時に正面のモニターが外を映した、薄暗くてはっきりしないがどうも外も屋内のようである。
中が明るくなったのを機にコクピット周りを見まわしていると、コクピットと壁の隙間に見覚えのあるのカバンが挟まっていた。
「俺の鞄?これもなんであるのかわかんないけど、あるならいいか。確か携帯を入れてたような……よし、これで……あれ?」
自分で独り言が多くなってる気がするなんていうまた宛のわからない違和感を増やしながら探した携帯はすぐに見つかったが、肝心の電源はどれだけ押しても入らなかった。
その後、粗方物色してから中で見つけた懐中電灯を持ってコクピットを出た。
後になって考えてみると、呼吸できるのかとか、危険な生き物(人も含む)がいるんじゃないかとか、あまり考えてなかったが、そのときは自分の置かれた状況もよくわかってなかったのでそもそも危機感があまり湧いてこなかった。
コクピットを出て周りを電灯で照らしたとき、初めて自分の乗っていたモノを正面から見た。翼竜のような、なんだかよくわからない何かだった。
汚れてはいるが無機物っぽい表面から爬虫類ではない。生物ですらないだろうとは、何故か考えなかった。
コクピットがあったのはちょうど口にあたる部分で、食される虫の気分でも味わおうとでもいうかなんてつまらないことを思いながら、ニヤけようとしたが失敗してしまった。
懐中電灯で周りを照らした結果わかったのは、
此処が人工物の中であること、
自分の乗りこんでいたもの同じものががもう一機あること、
二機ともに水道管ほどの太さのケーブルが繋がっていて、壁際の大きい機械に繋がっていること、
人ひとりが中にすっぽり入りそうでガラス質な筒が、さっきのものと同じケーブルに繋がった状態で直立して置いてあることだった。
懐中電灯の光しかないゆえの暗さが映画で見るようなSF的研究所を連想させるが、とくにその筒は昔見たホルマリン漬け標本に似ている気がして不気味に思えてくる。
中に生き物でも入っていそうな大きさが十分あるのが余計そう感じさせる。
いや、懐中電灯で筒を照らしてみると人の腕のような何かが入っているようである。
もしかしたらここは何か映画のセットの一部なのかもしれない。
そんなことを考えながらも筒から目を逸らせないのは、どこか心の片隅で、違うんじゃないか、ここはもっと怖いところなんじゃないか、と疑っていたからかもしれない。
ちょうどそのとき、さっきの筒にいやな音を立てて亀裂入った。
「うひゃ!」
おもわず変な声が出てしまった。
いや、映画のセットなら問題はないじゃあないか。
そう自分に言い聞かせようとしたがうまくいかない。
セットにしては作りが精巧すぎる、室内なのに非常時の誘導灯の明かりさえない、そしてなにより人がいない。
「くそっ、なんでこんなときに気付く」
だが、今は自分に悪態ついている場合ではない。
俺はわき目も逸らさず目を覚ましたコクピットに向かって走り出した。
後ろで鳴り止まない何かが割れる音を無視して。
当たり前だが、逃げるだけでは事態の解決などしない。
助けを呼ぶ当てもなければ、方法もない。
しかし、世の中何が起こるかなんて案外わからないもので今回なんてまさにそれであった。
俺はコクピットの中からモニター越しにひび割れた筒だったものを睨んでいた。
いや、その筒から出てきた人の形をし、金色の髪と薄桃色の肌が艶めかしいナニカ。
女性に見える。
その何も纏わぬ姿の女性は、女の子座りのまま微動だにしない。
実体のない幽霊のようなものでないかぎりこいつで戦うことが俺にはできるはずだと、妙な自信を持ってトリガーに手をかけたままモニターを凝視していた俺は突如画面の向こうが明るくなったことで目に入ってきたその姿に正直どうしていいのかよくわからなくなっていた。
研究所っぽい印象だった其処はやはり研究所にしか見えなかったが、灯りがついたことで印象が随分変わる。
やけに老朽化の激しいケーブルや砂埃を被った大きな機械、その周りに転がっている古くなって用途不明になってしまった人工物。それだけ見れば唯の廃墟だが、灯りがついたのとほぼ同時に電源が入った機械もあるようで判断がつかない。
一部には岩盤が露出している箇所が見られるため、もしかしたらここは地中なのだろうか。そうやって辺りを見回していると、目の前の女性が気だるげに頭をあげ、こちらに目を向けた。
「へっ?」
その眠たげな目が一瞬合った気がしたが、すぐに視線を逸らした彼女はそばに転がっていた埃被ったトランクを徐に開けてその中から真空圧縮された衣服を取り出すと着替えはじめた。
そこで慌てて目をその肢体から逸らした。
さすがに相手がよくわからない存在でもこのまま眺めるのはまずいんじゃないかと思い始めた。
寧ろ他人の着替えなら尚更見てはいけない。
「……これはさすがに良くない」
俺としては彼女がこの摩訶不思議の原因と関係があるんじゃないかと勝手に疑っていたのだが、何か違うんじゃないかと思い始めた。
そういえばさっきまで筒に入っていたんだから寧ろ彼女も摩訶不思議の一つだ。
そういえば、“何か”に入れられていたところは俺も同じだろうか。
少し思考に耽ってからそろそろ着替えが終わったろうかと慎重に彼女のほうに顔を向けるが、
「あれ、いない?」
件の女性は着替えどころか、その場から立ち去った後のようだった。
しかし、どこに行ったのだろうか、こっちは此処がどこかさえわからないというのに、
「……しまった、もしかしたら何か知ってたかもしれないのに!」
もし何も知らなくてもこのまま籠っているだけじゃあ埒が明かない。
慌ててコクピットを開いて動き出そうとしたそのとき、
真横から硬い物体を突き付けられていた。
「貴方、誰?」
先から耳に触れている物体はもしかして銃なのだろうか。横目に見た限りだと拳銃のように見えるがブラフかもしれない。
「どうやって入ってきたの!というか、私のゾイドよ。とっとと降りなさい!」
「いや、そんな立て続けに言われても、痛っ、ちょっとまって降ります、降ります」
声の主はやはりさっきまで見えていた女性だった。
俺が余所見していた間に回りこんできたのだろう。
脇目に見えるその衣服は民族衣装のようでとりあえずポリエステルとかではないようだ。
俺は彼女に言われるがままコクピットから降りたが、やはり先程の問には応えなければいけないのだろう。
このまま相手の質問に答えることでお互いに自己紹介という流れになればいろいろ聞けてありがたいんだけどなあ。そう思いながら口を開いた。
「えっと、俺の名前は墨谷孝成。何で此処にいるのかは自分でもよくわからなくてね。知っているなら此処がどこか教えてほしいくらいだよ」
自分でも驚くぐらい舌が動くが本音であることには違いない。
いきなり銃を突き付けられた状態では嘘や黙秘の余裕がなかったのもある。
というか、こんな質問をとばしてくるということは相手にとっても俺がここにいることは想定外ということなのだろうか?
「じゃあ……どこから来たの?」
「○○市……って、そういえば此処って一応日本の中だよね?」
さっきから彼女は日本語を喋ってない。
なんだか英語っぽい言葉を使ってるようだ。
それに対して俺もそれを理解して同じ言語で返事をしている。
さっきから非常識なことばかり起きているからどうせこれもその一つなんだろうが、そのせいで此処が何処なのか余計わからなくなる。
「日本って、何処の大陸の?」
「何処の大陸って、島国だよ。ユーラシア大陸のそれまた東にある島国!」
「ええと、ごめんなさい、この時代の地名はわからないの。西方大陸、またはエウロペ大陸ってわかる?」
どうも話が合わない。
彼女が“この時代”と言ってるあたり意味不明だ。
というかお互い知らない地名を言い合うなんてこれじゃあ話にならない。
さっきから俺と彼女では認識の不一致がみられる。
もしかしたら自分の想像もしないところにいるんじゃないかと思った。
「いいや、さっぱり。ヨーロッパのこと?エウロペって名前はギリシアの豊穣神が由来であってるかな?」
「ええ、地球の女神からとったんじゃないかって話は聞いたことがあるわ」
「……もしかして此処は、地球じゃない?」
「地球なわけないでしょ。なんでいきなり6万光年も離れた惑星の話に……もしかして、貴方、地球人?」
「そうだけど。いや、もう面倒なんでお互い知ってることを全部喋ったほうがいいと思うんだ。其方も現状をあまり把握できてないみたいだし」
「……そうね。まだ貴方は信用できないけど、それには賛成ね」
そう言って彼女は銃を下げたが、手から離れないところを見るに多少の警戒は残っているのだろう。
目の前にいる金髪黒眼の女性の名はシャマーラ・キャロウという。意外にも彼女は18歳で俺の方が一つ上だった。
わかってることをなるべく話した――お互い言ってないこともあるだろうがそれなりに喋った――結果、此処が惑星Ziと呼ばれている地球からすると銀河系のちょうど正反対にある惑星であることがわかった。
御蔭で俺が純粋な地球人だと説明すると随分と疑われた。
その所為で目が覚めたときのことを少し説明せねばならなくなったのは危なかった。
キャロウさんから聞いたこの惑星の大雑把な歴史からして未来か異世界であるようだ。
それというのも”地球移民”という集団の存在である。
彼らはその名のとおり地球からこの惑星Ziにやってきた人々で、その彼らからこの惑星に様々な技術を齎したらしい。
その地球側にとって今が何年なのかは定かではないが、技術がかなり進んでいるのだろう。
俺の知っている地球は6万光年も離れた宇宙どころか太陽系外に出ることすらままならない状況なのである。
正直、あまりのスケールの大きさに実感が湧かないが、もしそうなら帰るのは絶望的だ。
実感が湧かないうえに混乱の所為で今は特になんとも思わないが。
話を戻すがこの惑星は当然ながら地球とは似て非なる自然環境を有しているが中でも際立っているものがある。
「それがゾイドか。そういえば俺が乗ってたやつもそうなのか?」
「ええ、でも本当に何も知らないのね。地球には金属細胞を持った生物は存在しないんだっけ」
「ああ、だから金属生命体って言われてもピンとこないよ」
ゾイドは惑星Zi固有の生物であり、正確にはゾイドコアを持つ生物の総称であり、そしてこの惑星での主戦力でもある。
地球に置ける生物と兵器のあり方のどちらも当てはまる地球にはない括りの生物のようだ。
実際、野生の個体はほとんど絶滅していて人の手が加えられていたり、DNA培養されたものもいる状態で、その分、兵器的な側面が強くなっているのかもしれない。
そもそもコクピットは野生種だったものの系譜などでは後付けだったりするものらしい。
「でも彼らは生きてるし明確な意思があるわ。だからゾイドによっては乗り手だって選ぶ」
「それってこいつに乗ってるときに操作方法がわかったりすることと関係あったりする?」
「勿論。それなら名前も教えてもらったんでしょ?」
疑問が幾つか片付いた。
御蔭で自信を持って告げる。
「ああ、こいつはストームソーダーだ」
ジェネシスで翼竜型ゾイドとか無理じゃね。とか、思われるかもしれませんが、
勿論、かなり無理をしてますが、それなりに理由付けはしています。
ちなみに主人公には自信満々に名前をよばせましたが、
正確にはストームソーダーFXです。