(習作)終末の痕跡   作:雑兵(仮)

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すいません。時間が掛かりました。
次回はもっと早く出せるようにします。
今回も説明回ですが、次回からは原作に出てきた人々も多少は出てき始めると思います。


2話 Sleeping Beauty

その後の話は、此処が研究施設ではなく元は遺跡だった所を改造したものらしいとか、キャロウさんが入っていた筒はコールドスリープ装置でその装置の原型品は遺跡に元々あったものなのだとか、なんだか詳しい説明を求めると話が脱線しかねないことばかりだったので質問も程々に聞いていた。

現状の理解に役立ったかと言われると正直、微妙だ。

唯、色々としゃべっている内に、キャロウさんが銃を仕舞ってくれた。

何とかこちらが人畜無害な人間であるということは理解してもらえたようである。

 

「できれば地球に帰りたいんだけど、やっぱりそういうのって無理かな?」

「……もし外の技術が私の知っている頃より発達していたら、もしかしたら帰れるかもしれない」

 

なんだか望み薄っぽい言い方だな。

自分でもなんとなくわかってはいるが。

 

「キャロウさんは何年くらい眠ってたんだ?」

「さあ?外の環境が人が生活できる状態だと装置が判断したら目が覚めるように設定されていたみたいだからどのくらい眠っていたのか十年だか、百年だか……」

 

外の環境?

人が生活できる?

 

「その言い方だとまるで外では人が生きていけない状態だったみたいだな」

「……その話は外に出てから。外がどんな状態か自分の目で確認してからのほうがキリヤにとってもわかりやすいでしょう」

 

もっともらしいことのようにも聞こえたが、なんとなくはぐらかされたような気もする。

まあいいか、どのみち外がどうなっているのかは知りたかったところだ。

俺は言わずもがな、キャロウさんはさっきまでコールドスリープ装置の中に居たし、服を入れたトランクにかなりの埃が積もっていたので彼女の知っている風景が拝める機会はないかもしれない。

 

そんなこんなで外に向かうことになったのだが、彼女が案内してくれた外へ続く自動扉は自動で開かないどころか、二人がかりで押そうが、引こうが、銃弾を撃ちこもうが、ビクともしなかった。

まあ、こんなに埃を被るほど放置されていた施設なのだから壊れていても可笑しくないか。

 

結局、キャロウさんが提案した

 

「ストームソーダ―FXのビームキャノンで壁ごと打ち抜く」

 

ことで外に出られるようになった。

私有物でビーム砲持ってるってどうなってんだこの惑星……。

時代の所為なのか、土地柄なのか。

というかよく見ると二機とも大層な武装がくっ付いてる。

翼の付け根下あたりについている腕のようなバインダーには左のほうに先程のビームキャノン二門と実弾砲二門、右のバインダーには10mはあろうかというほどの長砲、ほかにも武装があるのだろう。

なんとなくそんな気がする。

 

話を戻そう。

俺達は溶けた壁が固まるのを待って外を出た。

 

溶けた壁を越えた俺達の眼の前に広がるのは一面の荒地と星空。

それはこれまでの人生中でもっとも綺麗な星空で、そして初めて見る星空だった。

 

「本当に、遠いところに来てしまったんだな」

 

改めてそう思う。

この星々の中に俺がよく知る太陽があるのかもしれない。

ないかもしれない。

あっても見えていないのかもしれない。

でも今はそんなことも忘れるくらい俺は目の前に広がる空に見入った。

 

星空だけを眺めようと地面にしていたとき、隣で何かが倒れる音がして振り向いた。

この場には自分以外には一人しかいない。

そこにはやはりというかキャロウさんが死んだように倒れていた。

コールドスリープの副作用でもあるのかもしれないが、その場合どのような症状がでるのかなんて専門家でも医者でもない俺は知らない。

よく見ると肩が上下しているので死んではいないようである。

顔も穏やかなもので、多分眠っているだけなのだろう。

そういえばさっきから彼女が何もしゃべっていなかったな。

もしかして先程からすでに眠かったのだろうか。

 

「そういや、なんでコールドスリープなんてしてたんだ?」

 

ふと出た疑問も解答者が寝ていては返事は返ってこない。

 

「よっこらせっ」

 

とりあえず、このまま放置しては風邪をひいてしまう。

俺はなんとかキャロウさんを背中におぶって施設の中に戻って先程扉を開けられそうな道具を探すついでに見つけた毛布をかけて彼女が入っていた筒の傍に転がしておいた。

ついでに穴の開いた壁はそこいらに転がっていた物を使って塞いだ。

 

いっそ俺も眠ろうかと思って横になってみたが、全然眠れない。

当たり前ではある。

この数時間おかしなことばかりで、尚且つ驚かされてばかりなのである。

寧ろ、ぐっすり眠っている奴がおかしいのだ。

 

「まったく、さっき出会ったばかりの男の近くでよく熟睡できるもんだな」

 

やはり返事は返ってこない。

 

やることもなかったが、電気がついても薄暗い場所がある施設の中をうろうろするのも一人でやる気にはなれなかったので、自分の鞄の中身をもう一度確認したり、中に入っていた雑誌のクロスワードをやったりして彼女が起きるのを待った。

 

 

 

 

「……眠い。どうしたのキリヤ、そんなに慌てて」

 

結局、キャロウさんは日が高く昇るまで起きなかった、いや、起こした。

 

別に徹夜なんて大学に入って何回もやったことだし、自分が目を覚ましたがそもそも夜だったので、それほど苦でもないが、問題は別にあった。

 

「キャロウさん。ないんだよ食べ物」

「食べ物が、ない?」

「此処には食べ物がない。水も。それに外は荒野だ」

 

ここまで言えば幾ら寝ぼけていてもわかったのだろう。

少し考える素振りをした後、言った。

 

「此処を出ましょう」

 

 

 

 

そんなわけで現在施設の中にある物で使えそうな物は持っていこうということになり、埃だらけの施設内部を二人で物色中である。

キャロウさんが言うには此処の持ち物は彼女が許可したら好きな物を持っていって構わないそうだ。

とはいえ、携帯用の機械はほとんどの物が壊れていたし、修理しても使えるかどうかわからない物も多い、そんな中見つけた真空保存されていた小さな物は動力源さえ確保できれば動きそうだ。

 

「問題は動力か」

 

そうやって物を漁っているとき、ふと、気になる物を見つけた。

人が頑張れば二人くらい入れそうな大きさのコンテナだ。

 

「おーい、キャロウさん。このコンテナには何が入ってるんだ?」

「ちょっと待って、今そっちに行く……それと」

「それと?」

「名前で呼んでもいいのよ、キリヤ」

 

何だろうか。

やけに機嫌が良い。

所謂フラグ的な何かそれっぽいことにはまったく心当たりがないのだが。

そのうえ、なんで俺は苗字呼びなんだ。

まあ、呼んでいいというのなら勿論呼ぶけれど。

 

「シャマーラさん、もしかしてなんだけど……」

「さん付けもなしで」

「シャマーラ、さっきも言いかけたけど……俺が勘違いしてるのなら別にいいんだけど、俺のフルネームは墨谷孝成、墨谷が苗字で、孝成が名前だから」

「……えっ、そうなの?」

「そうなんだ」

「……」

「……」

「……ところで何か用があって呼んだんじゃないの?キ……タカナリ」

 

あ、言い直した。

少し彼女との間に変な空気が流れたうえに、なんだか俺が呼んでほしくて言ったような感じになってしまったがまあいいか。

 

「おお、そうだった。このコンテナなんだけどさ」

「それの中身はバイクよ」

「バイク……シャマーラの?」

「いいえ、父さんのバイクよ」

 

彼女のお父さんということはおそらくもうこの世にはいないのだろう。

ということはこれは遺品だろうか。

じゃあこれはこのままそっとしておいたほうがいいのだろう。

遠出するのにはストームソーダ―があれば十分だ。

そう彼女に伝えるより早く当人はさっさとコンテナを開けてしまった。

 

「どうしたの?中身が気になるんでしょ?」

「え?ああ、そうだね」

 

少し意外だったので拍子抜けてしまったが、気になっているのは事実だ。

地球のバイクとどれくらい違うのか見てみたい。

 

コンテナの中に入っていたのは聞いていた通り厚そうな袋で厳重に密封されたバイクだった。

保存状態は今日見た物の中でもかなり良さそうだ。

 

「ついでだからこれも持っていきましょう」

「え、バイクを?」

「一応使えそうだし、今は使えなくてもこれくらいならどこかの街で修理くらい出来るでしょう」

 

まあ、シャマーラがそうするというのなら従ったほうがいいだろう。

人里内じゃあバイクのほうが普通に便利そうなのは確かだ。

 

そんなこんなで出発の準備が整った。

あとはストームソーダ―で壁に大穴を開けて飛ぶだけだ。

だというのにシャマーラが見当たらない。

大声で呼んでも返事が返ってこない。

此処は元々遺跡だった場所に機械を持ち込んだという関係上、どうしても入り組んだ構造になっている。

そもそも俺は物色していたとはいえ、それほど散策したわけではないので彼女なしであまりうろちょろすればそれこそ迷子だ。

だが、腹が減っている所為でこのまま待つのも結構キツイ。

そうこう考えた結果、少しくらいは探すことに決めた。

 

シャマーラは簡単に見つかった。

近くにいたというわけじゃない。

単に積もった埃の上にクッキリと足跡が残っていたからだ。

 

そして辿り着いた場所は礼拝堂のような造りをしていた。

いや、嘗てはそうだったのだろう。

そこには五つの棺が並べられていた。

シャマーラはちょうど真ん中の棺の前で膝つけ、手を顔の前で組み、何かお祈りしているように見えた。

おそらく、別れを言いに来たのだろう。

数分程そうしていただろうか。

彼女は立ち上がり棺達に言った。

 

「じゃあ、行ってくるね」

「もういいのか?」

「……お腹減ったんでしょ」

「減ってるけど十分くらいなら我慢できる」

「大丈夫、此処にはまた来れるから」

「そっか、じゃあ急かすようだけど行こうか」

「うん」

 

そして俺達はストームソーダ―を駆って大空へ飛んだ。

 




実際、ストームソーダ―とストームソーダ―FXの差は字で書くと原型と改良型なんですが、外見とか性能がかなり違います。ストームソーダーっぽくはあるんですが。
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