東方日常日記   作:sameragi

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どうも、少しお久しぶりです!
楽しんでいただければ幸いです!


別れ、そして新たなる出会い!……なんか終わりみたいだな。

「――なんでいるの?」

 

その言葉は、唐突だった。

 

「別に唐突でもないと思うけど……」

 

「心読むな。で、なんでいるの、とは?」

 

「いや、だってもう――君、三日もここにいるよね?」

 

「今日もお客来ませんねぇ」

 

「そうだね……って、話の逸らし方が露骨過ぎる!」

 

オマケに、店に対しての台詞としては失礼だ!と、喚く霖之助さんを見て、欠伸をする。

 

「暢気だなぁ……」

 

「暢気じゃないと、生きていけませんよ。日常はね」

 

呆れ気味の霖之助さんに、素気なく返す。

それにしても、眠い。退屈だ。

 

 

――あれから三日。

進展なし。紫にも藍にも逢えず、帰る場所が無い。

 

「仕方がないでしょう?来る筈の迎えが来ないんですって」

 

あいつらは、仮にも大妖怪なので、具体的な名前は避けておく。

 

「それでも……ここに泊まるのは一日だった筈だろう?」

 

「おやおや、霖之助さん。そんな台詞「言ったよ」……あれ?」

 

記憶を辿る。

「一日だけなら、ここにいてもいいよ」――あー、ちゃっかり言っている。

こうなると、弱い。もう反論の余地はない。全面的に悪いのはこちらになってしまった。

 

反論の余地が無い時は――

 

「暇ですねぇ……」

 

「また話を……」

 

――反論しない。

俺は無駄なことはしない性質だからな。

 

「そもそも、その迎えっていうのは、本当にここに来るのかい?」

 

香霖堂の緑茶を勝手に淹れ、啜っている俺を半眼で睨みながら聞いてくる。

 

「それは、どういう意味ですか?」

 

「だから、迎えが来る場所を間違えているんじゃあないか?」

 

 

――残念だが、それはない。

奴の能力が有れば、どこへでも来ることが出来る筈だ。

まぁ、そうなると、今ここに紫が迎えに来ていない理由が分からなくなるけどな、普通は。

 

 

「若しくは――迎えに何か有ったか」

 

「それこそ、有り得ません」

 

あいつ等に何か有った?

そんなことが起こる筈が無い。たった、1週間程の仲だが分かる。殺したって死なないような奴らだ。何かしら強力な能力を持つ者なら、別だが。

 

「信頼しているのかい?」

 

「畏敬の念を抱いているのかも知れません」

 

若しくは、崇拝とか。

 

「君が畏敬の念?」

 

「俺だって、誰かを敬うことくらいしますよ?」

 

力が完全に上のものには、しっかりと、従順なのさ、俺は。

いやまぁ、俺でなくても、殆どの人間はそうだろうけどね。逆らわず生きる。これだけで、意外と全うな人生が送れるものだ。楽しい、とかは別物として。

 

「それはもう神様のように!」

 

俺は大袈裟に腕を広げた後、神に祈るように手を合わせる。

 

「ふぅん……」

 

「おや、信じてないんですか?」

 

「いや、君って神とか信じてなさそうだから」

 

「信じてますよ。少なくとも存在は」

 

ランジェとか、間近で見ちゃったしね。

というか、この幻想郷には神が存在するんだろう。確か。

 

「まぁ、『信仰』とは別ですが」

 

居ると分かっているのであって、居ると信じているわけではない。

その二つは、全く別物だ。

 

「―――――で?」

 

「で?」

 

「元々、そんな話はしていなかっただろう!」

 

あぁ、バレテーラ。

 

「どんな話でしたっけ?」

 

俺はわざとらしく肩を竦める。

 

「早く出てけって話」

 

あるぇー?何か表現きつくなってませんか?

 

「……今日もいい天気ですねぇ」

 

「話を逸らさないでくれ」

 

「嫌です」

 

「即答!?」

 

いつも直球ドストレートやられてるからね。偶にはこっちからも投げさせてもらわないと。

 

「全く……融通の利かない方ですねぇ」

 

「随分と利かせた方だと思うんだけど」

 

俺はか弱い一般人なんだから、もっと大事にしてくれてもいいんじゃないか?

 

「ハァッ……全く我儘……いや、いいですよ。もう」

 

「何故僕が悪いみたいな雰囲気に?」

 

「出て行きます。俺は大人ですから」

 

「僕が大人じゃないみたいな!?」

 

いやぁ、一々突っ込むとは律儀な人だ。

 

「――って、出て行く?」

 

「はい。俺、嘘吐いたこと一度もないんですよ」

 

どの口が言う。俺の口か。

だが、出ていくというのは本心で言ったものだ。

 

「本当?」

 

「信じてくださいって。霖之助さん――俺としても、いつまでもここに居るわけにもいかないし」

 

霖之助さんは安堵したような呆れたような悲しそうな微妙な表情を――

って、『悲しそう』?

 

「――もしかして、霖之助さん……俺が居なくなるのが寂しいんですか?」

 

俺はニヤけ、からかうように言う。

 

「なっ、そんな訳無いだろう!」

 

「男のツンデレとか、誰得ですか」

 

俺は鼻で笑って、口端を吊り上げた。

霖之助さんは不満そうな顔で、立ち上がった俺を見上げた。

 

「霖之助さん」

 

「……何だい」

 

少し苛立ったような声を出す霖之助さん。

 

「もし、迎えが来たら――俺は人里に行ったと言ってください。多分来ませんが」

 

「人里へ向かうのか?」

 

「じゃ、俺はもう行きますね」

 

俺はサッ、と後ろ向いて呟く。

霖之助さんが後ろで何か言っているような気がするが――無視した。

 

「ちょっと、生!」

 

「霖之助さん」

 

「……?」

 

「有難うございました」

 

霖之助さんは少し驚いたような顔をしていた。

 

「……君もお礼を言うのか」

 

「そこっ!?俺も人並には他者に感謝を示しますよ」

 

失礼な。お礼はちゃんとしましょう!って、小学生でも知ってるぞ。

俺の常識は小学生以下と思われていたのか。

 

「こちらこそ、楽しかったよ」

 

「その台詞、物凄く恥ずかしいですよ」

 

「なっ!?」

 

本当に反応がいいな。この人は。

 

「それじゃあ。また」

 

「あぁ……また」

 

俺はゆっくりと歩を進めていった。一度も振り向くことはない。

 

「――随分と静かになるなぁ」

 

そんな声が、どこからか聞こえた気がした。

 

 

 

 *

 

 

 

「さて、と……」

 

俺は今、魔法の森にいた。

人里に行く為に、ここを通る必要性はない。遠回りというか、寧ろ逆方向だ。

 

「別れは済んだの?」

 

突如、背後からの声。

普通なら驚くが――身構えていたので、そこまで驚きもしなかった。

俺が振り向いた先に居たのは、つい先日『お友達』になった――

 

「よ、ルーミア」

 

「別れが長いわ」

 

手厳しい。別れを惜しむ心くらい誰しもが持っているのだから、長引くのは寧ろ当然というものだろう。

 

「あんたがそんな心を?」

 

「……何故、幻想郷の住人は心を読むんだ?」

 

というか、鼻で笑ったよこいつ。

なんだ?霖之助さんといい、失礼な奴らしかいないな。

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

「どこにだ?」

 

俺は首を傾げ、手を肩の横で平行に広げながら訊ねる。

 

「あんたの行きたい所」

 

「―――――解った」

 

少し間を置いた後、返答する。

ルーミアは俺の返答と同時に、森の中を歩き始める。

 

俺も付いて行こう――と思い、再度香霖堂を向く。

 

「有難うございました」

 

そして、すいません。

 

届きもしない言葉を吐いた。

直ぐに、風に飲まれていった。

 

 

 

 *

 

 

 

「着いたわよ」

 

俺とルーミアがいたのは、大きな池。

近くにはまた大きい山。

 

「これが――妖怪の山か」

 

俺達は『妖怪の山』にいた。

 

「あんた、瘴気は?」

 

到着の感慨に浸る暇も無く、ルーミアが問う。

 

「あぁ……『普通』長い時間森にいたんだ。耐性が付いてるだろ」

 

「随分適当ね……」

 

「平凡と言ってくれ」

 

呆れた様なルーミアに、笑みを零しながら返す。

 

「じゃ、私はもう行くわ」

 

「おや?もう行くのかよ」

 

「暇人じゃないのよ」

 

そりゃ、暇『人』じゃないだろう。お前は。

 

「そっか……綺麗な景色を眺めながら、俺と愛を語り合ったりはしてくれないか」

 

「あ、愛!?」

 

「冗談だ」

 

ルーミアは怒ったように俺を睨む。

だが俺は、自分には関係ない。というように、その目線をスルーした。

 

「私は、あんたが怖いわ」

 

「俺、じゃなくて『八雲紫』だろ?」

 

「いえ、あんたもよ」

 

何を言ってるんだ、こいつ?

俺のような一般人、ルーミアにとっては、取るに足らない存在だろう。

 

「妖怪の私に冗談を言ったり、妖怪の山で暢気に景色のことを言えたり、ね」

 

その行為は、怖がられるようなものなのか?

単なる、友人とのスキンシップと、新たな地へ来た瞬間の感想じゃないか。

 

「あんた……本当に人間?」

 

挙句の果てに、人外を疑われるって……

 

「俺は極普通の人間だ」

 

もう、この台詞を使うのも慣れてきたな。

 

「嘘ね。少なくとも『普通』ではない」

 

これ以上何を言っても、納得してくれそうにないので、俺はルーミアの言葉を無視した。

 

「ハァッ……じゃあね」

 

「じゃ、な」

 

素気ない別れの挨拶。このくらいが、程々で良い。

 

ルーミアの気配が無くなるまで、俺はその場から動かなかった。

徐々に、徐々に薄れていく気配。俺はその変わり行くものを、のんびりと楽しみながら、空を見上げた。

 

――どれくらい時間が経ったか?

そんなには、経っていないんだろう。

ルーミアの気配が完全に消えたところで、俺は歩を進め、山を登っていく。

 

「おーい」

 

どこからか声が聞こえた気がした。

 

「おーい」

 

気がした、じゃない。どこからか、声が聞こえている。

 

「おーい」

 

……ポルターガイスト?

 

本当にそうだったら、どうしよう。

返事をしたら、どこかに連れて行かれるとか……

 

「おーいおーい」

 

増えた。

 

「おーいおーいおーい」

 

トリプル入りましたー

 

と、ふざけていても、状況は進まないので、俺は声のする方、気配の有る方を向いた。

 

「はーい」

 

投げやりな感じに返事をすると、何も無かった、空間に、いきなり女の子が出現した。

ウェーブのかかった青い髪を、結んでいる。そして……出たよ帽子。何故か東方キャラが被っていることが多い帽子。

 

「……幽霊?」

 

「誰が幽霊だっ!」

 

幽霊も、突っ込みをするものなんだな。勉強になった。多分、普通に生きていくには全然必要ない知識だが。

 

「だから幽霊じゃないって」

 

「だから心読むなって」

 

なんなんだよ、この天丼ネタ。もういいよ、流行ってんのか。

 

「私は谷カッパの……」

 

「あ、待ってください。河童?」

 

どこかで見覚えが有る。つまり、こいつは原作キャラだ。

何故、こうも悉く原作キャラに出逢うんだ。確立おかしいだろ。

 

「あー少し待ってください」

 

えっと……河童、河童。思い出せ。誰だっけこいつ――

 

「そうだ。お、値段以上!」

 

「にとり♪」

 

そう、彼女の名前は『にとり』だ。

思い出した。確か、河童というとお値段以上、だと覚えていたんだ。

 

「私のこと知ってるの?」

 

「えぇ、御噂は兼兼」

 

「そう?照れるなー」

 

よし。こいつちょろい!

 

「それで、何の御用でしょうか、にとりさん?」

 

「うん。単刀直入に。帰ったほうがいいよ?」

 

……は?

何言ってんだこいつ。

 

「申し訳ありませんが、俺は帰るわけには……」

 

「なら力付くでも!」

 

おおい!おいおい、待て待て!

何なんだ、いきなり!?

 

「俺も、ここに用事が有るんですって!」

 

「問答無用!」

 

「話聞いてくださいよ河童さぁん!!!」

 

 

 

クソッ!今日は大丈夫で終われると思ったのに!




香霖堂に別れを告げました!
そして新キャラ出ました!『河城にとり』!
次回からは妖怪の山編ですかね……
感想ご指摘など、どんどん年中募集中です!
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