「痛ぇ……」
どうも、転生者です。
前回はテンプレ的に落とされたわけだが……痛い。当然ながら、落ちたら痛いよ。痛いで済んで良かったのかもしれないが、もう少し一般人である俺にも優しくしていただきたい。
「というか、ここどこだ……?」
落とされた先は鬱蒼とした『森』
風が強く、少し肌寒い。風で落ちた葉が辺りに舞う様子は正に『幻想的』で、見惚れてしまいそうだったが、直ぐに今現在の自分の状況を見直し、溜息を吐いた。
「こんなところもテンプレ通り、か……」
神様や運命というものは、とことんテンプレが好きらしい。だが、実際森の中に落とされるなんて、堪ったもんじゃない。下手したら死ぬぞ。転生直後に。
それがテンプレ、というものなのだが……如何せん納得出来ない。
というか、今はいつだ?何時代だ?人間もいないとか、止めてくれよ、おい。
「安心してください。人はちゃんといますから」
「HEY!?な、なんだ?」
突然、背後から声が聞こえた。さっきまで、風の音、葉が擦れる音なんてものしかしていなかったのに。心臓に悪いってレベルじゃねーぞ!
ん……あれ?、今の声はもしかして……
「ランジェ、か?」
声のした方に体を向けるとやはりというか、そこにいたのは先程の件で異様に見慣れてしまった幼女の顔だった。
「はい、正解です!」
「なんだ、いやぁ驚いた……」
素でビビりました。
「あぁ、すいません。おどろかすつもりはなかったんですが……」
ランジェが申し訳なさそうに項垂れる。さっきもそうだったが、感情の変化が激しいやつである。
「いや大丈夫だ。突然だったから、少し驚いただけだ……で、どうしたんだ?」
ここにいる、ってことは何かしら俺に用件が有るんだろう。出来れば、時代や場所のことも教えてくれると有り難い。
「あ!そうでした!あなたのいる場所と能力について説明しにきたんですっ!」
やはりそんなところか。そういえば俺、能力手に入れたんだっけ。ついさっきの事だが……興味が無さ過ぎて忘れていた。
「あなたは今、幻想郷にいます」
ふむ、成程。では今の時代は少なくとも幻想郷が出来た後ってことか……ま、大昔に行くよりはいいけどな。普通に面倒だし、やっていける自信ないし。
「ですが、幻想郷といっても、まだ、東方の主人公である、博麗霊夢さんなどが生まれるより前になっています」
ふ~ん。まぁいいけどね、そんなの。原作キャラと関わったら俺の日常壊れそうだから関わる気ないし。もう壊れているかもしれないが。
とりあえず、こちらから干渉しなければどうとでもなるだろ。
「つぎに能力の説明です」
問題はこれだな。能力しだいでは物凄く有名になってしまったり、直ぐに妖怪とかに殺されたりするかもしれないしな。
俺が頼んだのは飽くまで『普通』の能力だから……大丈夫、だよな?
「あなたの能力は……」
おい、そこで溜めるって何だよ、どんな拷問だよ。生憎俺は、焦らしプレイには興味がないんだが?こんなにも気になってるんだから、というか不安なんだから早く言っちゃってくださいよランジェさん。某クイズ番組の司会者じゃないんだからさ。普通、溜められると余計に早く聞きたくなっちゃうもの何だが?
「あなたの能力は………」
「もういいよ早く言えよ」
そろそろ精神ももたなそうだ。俺は普通に豆腐メンタルなんでね。悪いが、突っ込ませてもらう。
「あなたの能力は、普通にする程度の能力です!!!」
そんなドヤ顔で、発表されても、普通に反応に困る。そんな自信満々し言われても困る。なんだ俺は、どうすればいいんだ。「キャー!すっごーい!」とか言えばいいのか?
「で、なんだ?普通にする程度の能力って?」
変な能力だ。何をどう、普通にするんだよ。普通の考え方なんて、地域、人によって全然違うし。
「この能力を使うと、まわりのものをあなたの思う普通の状態にすることができるんです!」
「俺の思う普通の状態?」
なんだそれ?と思った俺は多分普通だと思うな。
「たとえばですね、病気になった時とか、普通自分の病気はすぐなおる。とか思えば、そのとおり早く病気が完治したりするんですっ!」
ふ~ん……なるほどな。自分が普通だと思えばそれが普通に……って、え?
「なぁ、その能力って、たとえば普通自分はもっと身体能力が高いと思ったら、身体能力が上がったり、普通相手の攻撃が弱いものだと思ったら、相手の攻撃が弱くなったりすんの?」
「はいっ!あなたがそれを普通だと思えば、なんでも実現しますよっ!」
ランジェがとてもいい笑顔でそう言った。笑顔は一番の化粧?前言撤回。発言によっては、笑顔は笑顔でも、悪魔の笑顔になることが判明した。
純粋な気持ちで言っているで有ろうということが、想像できるのも精神的にきつい。
で、出来ちゃうんですか……あぁそうですか、はいそうですか……
「チートじゃねぇかぁあああああ!!!」
「ヒッ、いきなり大声だしてどうしました?」
「いや、どうしましたでもこうしましたでもねぇよ!それ、チートじゃねぇか!最強じゃん!普通相手が俺に負ける、とか思ったら絶対に勝てるじゃん!!!」
俺が最も恐れていたチートじゃないすか!やだーー!
「はい!あなたに言われたとおり、普通の能力にしておきました!」
いやいやいやいや、ランジェさん?普通の意味が違いますから。チート能力なんかいらない、って言ったら、有り得ないチートが来ちゃいましたから!
そんな俺の考えも知らず、ランジェはとても純粋無垢な笑みをこちらに向けている……
「ハァッ……」
「どうしました?」
「いや……なんでもない……」
もう諦めた。もういいよ、俺はこのチートで普通に生きていってやるよ!チートでとしてではなく、飽くまで普通にな!
「そうですか?では、能力については終わりで、最後に名前はどうします?」
「は、名前?って……今までの名前じゃ駄目なのか?」
俺は普通にそのつもりだったんだが……
「はい。転生する時は、もとのなまえは使えない決まりなんです」
「ふ~ん。変な決まりだな、誰が決めたんだよ……そっちがそう言うなら従うが……名前、か」
当然だが、全く、全然、考えていなかった。どうするかなぁ?
普通に常識的に平和的な日常を送っていくための名前……普通に日常を生きる為の……ん?そうだ。
「じゃ、
ぶっちゃけ、即興で考えた。なんとなくだ。語呂も悪いし、つくづく変な名前だと思う。
だが、思いついたんだから、仕方が無い。
ランジェはふふっ、と微笑み、俺を見上げた。
「日常を生きる、ですか。あなたらしいですね」
「まぁ、な」
軽く返したが、その言葉は誉められているのだろうか、貶されているのだろうか。
多分、どちらでもないのだろう。
「それじゃあ、その名前で。私はもういきます」
そう呟くいた瞬間、ランジェの体が薄くなっていった。
「そっか。もう失敗しないようにしろよ」
「はい!それじゃあ、第二の人生、楽しんでください!」
「おぉ、また、な!」
そう言って消えようとするランジェを見送る……って、ちょっと待て。
「おい、ランジェ!この森はなんだ!」
まだ肝心の詳しい場所を聞いていなかった。
「あぁ、ここは『魔法の森』です。しばらくいると瘴気で『死ぬ』ので気をつけて!それじゃまた!」
……行った、か。また失敗してこの世界に新たな転生者が来るとか、勘弁だぜ?
「……って瘴気で死ぬ!?」
なんでそんな大事なこと早く言わないの!?それじゃ、最終手段『野宿』も出来ねぇじゃん!
「と、とりあえず……歩く!」
そう言って俺は、足早に森を進んで行った……大丈夫、じゃねぇよ!
今回も説明回ですね。まだ原作キャラが出てきません…
次回も、お楽しみに!