東方日常日記   作:sameragi

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楽しんでいただければ、幸いです。


こんな八雲家的日常、どうでしょう?

「生、今日の御夕食は何かしら?」

 

「今日はカレーを作ろうと思っている。晩飯の定番だろ?」

 

「カレー?なぁ、カレーとはなんだ?」

 

「あぁー……まぁ食べれば分かる。ちゃっちゃと作るからそれまで待っててくれ」

 

「分かったわ。楽しみにしてるわね♪」

 

「じゃあ、私は掃除の方をしておくよ。紫様、部屋まで」

 

「おう、そんじゃ後でな」

 

八雲家に住み始めてから約1週間が経った。

今ではもう紫とも藍とも、随分と打ち解けたものだ。

……まぁ、紫は最初から異様に馴れ馴れしかったような気もするが……

 

それは置いといて、いやむしろもう思い出さないようにどこかに捨てる勢いで。

ここに住み始めて直ぐ、「居候なんだからなにか家事でもやらせてくれ」と申し込んで、俺はとりあえず料理係に任命された。

 

任命された――のだが、俺はいざキッチンに行って絶句した。

 

ここは幻想郷。炊飯器もオーブンも無く、全て歴史の教科書にでも出てきそうな釜戸なんかしか無かった。

当然、俺はこんなもので料理をしたことは無い。

だが、自分からやると言ったのだから何とかしないといけない。というか、何とか出来なければ滅茶苦茶格好悪い。

 

といっても、どうしようも出来ない。悲しきかな、それが現実である。

どこをどう見ても、使い方など分かるはずも無く、そもそも考えることもそんなにしなかった。無駄だと思ったから。

 

恥を忍んで、藍とかに聞くか?いや、だがそれは……

そんなことを考え、無駄すぎる時間を消費しながらなんとなく、

 

「『普通』、炊飯器くらいあるだろ……」

 

と半分冗談でぼやくと、俺の目の前に炊飯器が出てきた。

 

……え?一瞬状況が理解できなかった。だが少しして、一つの結論に辿りつく。その間、32秒。

 

「あ、能力が発動したのか!」

 

俺の能力は『普通にする程度の能力』世界を自分の思う普通、常識に作り変える能力だ。

 

そうか、今の呟きが現実になったんだ。というか、この能力無意識で発動することが多い気がする。便利のような不便なような……微妙な感じだ。

本当にチートだなぁ、とりあえずランジェに感謝して置こう。なんて思いながら俺はそこにあった食材で料理をはじめた。

 

その日、得意料理であるハンバーグを作って出したら二人(妖怪とその式神だが)はハンバーグを知らなかったらしく、食べたらとても美味しいと言われた。

それから、俺は美味しい料理を知っているということで、正式にちゃんとした料理係に任命された。

 

と、回想終えて現在――

 

「ふんふ~ん♪」

 

俺は鼻唄を奏でながら、サクサクとカレーを作っていく。

転生前でも、家の料理を担当していたからこのぐらいは余裕だ。

いや、カレーぐらいなら普通に誰でも作れるが。

 

「よしっ!そろそろ完成だな」

 

キッチンにはカレーのいい匂いがただよっていた。

スパイスの香りとは、実に空腹を増加させるものだ。俺は思わず、唾を飲み込んだ。

 

「おぉ、いい香りだ」

 

突然の声に振り返ると、そこには藍が笑顔で立っていた。

 

「よ、藍、掃除は終わったのか?」

 

「まぁね。それにしてもおなかが空いてきたな」

 

「後少しだから、待っててくれ」

 

そう言って、俺はカレーをよそって口に入れる。

 

「よし!いい味だ!」

 

「あら、いい香り。もう夕食はできたの?」

 

そこには、カレーの匂いに釣られてきたのか、紫が居た。

 

「あぁ、完成だ。二人とも皿を持ってこい」

 

二人は頷くと自分用の皿を持って俺のもとへとやってくる。

その皿にカレーを装ってやると、二人は目を輝かせていた。

 

子供みたいだなぁ、そんな風に思った。でも実際は有り得ないくらいに俺の方が年下なんだけどな。

俺はそんな二人を見て、苦笑しながら自分の分をよそって椅子に座る。

 

「お前ら、ちゃんと手は洗ったか?」

 

「洗った」

 

「失礼ね、ちゃんと洗ったわよ」

 

「OK、じゃ、手を合わせて」

 

三人同時に手を合わせる。パチン、といい音がなった。

 

「「「いただきます」」」

 

その言葉と、ほぼ同時に皆が食べ始める。お腹が空いていたんだろう。さっきも言ったが、スパイスの匂いを空腹を増加させるしな。

 

カレーを一口頬張る。

おぉ、自分で言うのもなんだが、結構うまい。

色々なスパイスを使ったのが良かったのだろう。心地よいとも言える絶妙の辛さが口の中に広がる。

 

「どうだ?二人とも」

 

どうだ?というのは味の感想だ。二人は始めてのカレーらしいから、口に合うといいのだが……

二人は俯いていた、口に合わなかったか……

そう思った瞬間、二人がハッ、と顔を上げた。

 

「うッうまい…!芳醇な香りが口の中に入れた途端に広がってくる」

 

「スパイスの香りか?」

 

「ウンまあ~いっ!こっこれは~っ!この味わあぁ~っ!ハーモニーっつーんですかあ~、味の調和っつーんですか~っ!」

 

「で、結局?」

 

「「美味しい!!!」」

 

「……そりゃ、良かったよ」

 

確かにカレーは美味しかった、が。こいつらと食べたからかもっと美味しく感じた……誰かとの食事は良いものだ。疲れたけど。物凄く疲れたけど。

 

 

 

 *

 

 

 

「平和だなぁ~……」

 

食事も終わり、縁側で夜空を眺めながら、のんびりとお茶を啜る。

東方の世界に行く、って時はどうなるかと思ったが、随分と平和的な日常を過ごしている。

 

「そうねぇ。平和だわ……でも、その感じちょっとおじさんぽいわよ?」

 

横にいる紫がいきなり話しかけてきた。ってか、一人でお茶飲んでたはずなのにいつのまに隣にいたんだ?全く気づかなかった。

 

「いつから居たんだお前は。ってか俺をおじさんというならまず自分を見な「何か言った?」いや何も言ってません。すいません」

 

物凄い殺気が隣から伝わってきた。うわぁ、凄い、凄い笑顔だよ紫さん。笑顔が一番怖いみたいなことを聞いたことがあるけど本当だったんだな……

 

「それにしても、少し平和すぎてつまらないわ」

 

「いいじゃないか。平和な日常ってものは何よりもいいものだぞ?」

 

特に俺はそう思うね。一度死んだ身だしな。

 

「貴方はそれがいいでしょうけど、刺激が全く無いのもつまらないものよ?」

 

刺激、ねぇ……確かに刺激を求めることは人として普通のことだろう。俺だって少しぐらいは変わったことが有った方がいい。

 

「そうか、刺激かぁ……」

 

少しでもいい、なんかいい感じのことは無いだろうか?

そうやって考えていると、掃除が終わったのか藍が縁側にやってくる。

 

「おぉ、藍いいところにきてくれた」

 

「何やってるんですか?」

 

「まぁ、座りなさいよ藍」

 

「あ、はい。それじゃあ失礼します」

 

と、藍が俺の横に座る。それによって俺は必然的に両手に花状態になってしまう。

 

「こんな美少女二人に挟まれて嬉しいかしら?生」

 

「お前、美少女って、少女とか「何かしら?」イエ、トテモウレシイデス」

 

「片言になってるぞ……」

 

藍が呆れ顔でこちらを見てくる。だって!殺気ヤバイんですよ!俺はまだこの年で死にたくない!ってか、せっかく転生したんだし!

 

「そ、それよりだ、藍。突然だが、何か刺激的なこととか、暇じゃなくなることは無いか?」

 

「ん?刺激的で暇潰しになること……うぅん……何か遊び道具でも用意する?」

 

「遊び道具なんてあったかしら?」

 

「それは……無いですね」

 

「いや、無いのかよ」

 

ハァッ、と溜息を吐く。遊び道具……前の世界では暇だったらゲームとかがあったんだが……こっちはそんなもの無いからなぁ……

 

「ん?あ、そうだ!」

 

俺は一つの選択肢を思いつく。これが漫画だったら俺の頭の上にはピコーン!と『!』マークが出ていることだろうと思う。

 

「えっと、『普通』一家庭に一つくらいゲーム機とか、有るんじゃないか」

 

そう言うと、突然出現するゲーム機。機種はP○2だ。うん、これぞチートの有効活用。物がいきなり出現するのは普通なのか?なんてのは無粋な突っ込みだ。

 

「凄いわね……で、これどうやってやるの?」

 

「ん、まずはテレビを……いやテレビねーじゃん!」

 

「どうするのよ……」

 

「うぅむ……じゃ、もう一回。今度は携帯ゲーム機でも……」

 

そう思い、さっきの台詞をもう一度言うが……

 

「あれ?出ない」

 

どういうことだ?

 

「生、さっき一家庭に一つって言ってたじゃないか」

 

「え!?だからなの?もうP○2が有るから、出してくれないってことか!?」

 

何このチート!融通が利かないんですけど!

 

「どうするのよ!」

 

紫はさっきと同じ台詞を、今度は呆れ気味ではなく、怒り気味に言う。

 

「うぅー……そ、そうだ!『普通』一家庭にゲームくらい有るだろ!」

 

そう叫ぶと、目の前にカードの束が出現した。

 

「……トランプ?」

 

「あれ、知ってるのか?藍」

 

「あぁ、まぁ見たことくらいはある」

 

これは意外。トランプは有るのか、幻想郷。

 

「でも、なんで出てきたの?」

 

紫が首を傾げる。まぁ、これは俺も賭けだった。

 

「さっきはゲーム『機』って言ったからな。電子ゲームじゃなければ出せるだろうと」

 

「成程、ね……だからトランプ。ま、そんなのはいいわ。早くやりましょう」

 

「OK、まずは、紫抜き、ならぬババ抜きでも――」

 

 

 

 *

 

 

 

「どうして勝てないんだ!」

 

あれから一時間。

勝てない。

藍にも、紫にも。

 

「なんかイカサマとかしてるだろ、おい!」

 

「あら?してないわよぉ?ねぇ、藍」

 

「はい」

 

二人は飽くまでそれ以上を口にしない。

 

「つ、次だ!普通に初めてやる奴に負けるとか、プライドが許さん!」

 

「いいわよ、やりましょうか」

 

「手加減無用だ!いくぞ!」

 

ババ抜き神経衰弱七並べポーカーブラックジャックダウト大富豪etc...

 

 

 

 *

 

 

 

鳥の鳴き声が聞こえる。

朝日が異様に眩しかった。

先程まで悪魔のように見えていた二人の顔も、眠っていると、天使のように見える。

あれから続けた結果―――――

 

241敗2勝。

 

 

 

俺はもう、暫くトランプはしないと誓った――大丈夫な、わけが無かった。




また少し遅れました。直りませんね、はい。
今回の投稿と同時に、今までの話を少し修正しました。といっても話の大筋は全く変わりません。が、暇あれば読んでください。ふざけんな、という人はスルーしてください。
感想、指摘など、待ってます。
ではでは、次回は早く出せるよう頑張ります。
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