ようこそ電撃世界へ!いや、俺電撃使えないんだけど・・・。   作:A i

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第十話です。
ようやく二桁の大台に乗りました。
感無量です!笑

これからもがんばって書いていきますので応援よろしくです!!




仲間

ドタドタとした足音が聞こえた、と思った時には勢いよく扉が開かれていた。

 

「おい、竜崎!大丈夫か!?」

 

入ってきたのは近藤だった。

俺はあまりにも焦った様子の彼に小さく手を上げて言った。

 

「よお。近藤。」

 

「よお、じゃねーよ!!大けがしたって聞いたぞ!」

 

ベッドのそばに駆け寄って心配そうに見つめる彼に俺は苦笑して言った。

 

「そんなおおげさなもんじゃねーよ。」

 

「ホントかよ?」

 

「心配しすぎだ。お前は俺の母ちゃんか?」

 

「友達の入院を心配しない友達はいない。」

 

近藤は一人したり顔でうなずく。

俺は少し驚いたが、すぐにこいつがこういう熱い奴だった、と思い出す。

やはりここまで素直に厚意を表す奴は俺の知合いの中には残念ながら珍しい。

どちらかというと、俺の知合いには傷口に塩を塗りつけて喜ぶドSの方が多い気がする。

どっかの銀髪を筆頭にな。

 

不慣れな厚意に俺は照れくさくなり、鼻を掻きつつ感謝を告げる。

 

「ま、心配してくれてありがとよ。」

 

「良いって事よ!」

 

グッとサムズアップしてくる近藤は二カッと良い笑顔を浮かべた。

 

そのとき、コンコンと控えめなノックが聞こえ、俺は「どうぞ」と声をかけた。

すると、ゆっくり扉が開かれる。

そこから見えた顔に俺は驚きを表した。

 

「な、なんで・・・お前が。」

 

「な、なによ。来ちゃ悪いの?」

 

「い、いや悪くはないが・・・・。」

 

俺が動揺を隠せないのもムリはないだろう。

なぜなら、例の銀髪女である朝比奈がお見舞いに来たのだから。

 

「こんにちは。竜崎君。」

 

ひょこっとその朝比奈の背後から顔を出すのは椎名さん。

 

「あ、椎名さんまで来てくれたのか。ありがとな。」

 

「いえいえ。」

 

「なーんか、反応違くない?」

 

朝比奈が不満げにそう言うので、俺は苦笑しつつ朝比奈にも感謝を伝える。

 

「朝比奈も、ありがとな。」

 

「・・・・・・ふ、ふん!まあ、あんたみたいな奴のところに私がお見舞いに来てあげてるんだから本来、泣いて喜ぶべきところなんだけどね。」

 

「そうかよ・・・。」

 

まあ、こいつはこういう奴だ。

 

お二人さんは扉を閉め、近づいてくると、手に持った紙袋を手渡してくる。

 

「これ、お見舞いの品よ。ありがたく受け取りなさい。」

 

「中にはベタですけど果物が入っています。」

 

憮然と手渡してくる朝比奈に補足説明をする椎名さん。

俺はその紙袋をありがたく受け取り、近藤の横にある椅子を勧める。

 

「で、あんた誰?」

 

近藤に気づいた朝比奈が聞く。

聞き方があまりにも恐ろしい。

もう少し丁寧な言葉遣いとかできないのかな、と思うが彼女からすると別に悪気はなく、いつもの調子で聞いただけだ。

でも、それを近藤が分かるはずもなく、嫌われていると思ったのかめちゃくちゃビビりつつ答える。

 

「あ、あの私、重力学専攻一年近藤です。よろしくお願いします。」

 

「そ。よろしく。私の事は知ってるの?」

 

「はい。朝比奈さんですよね!?」

 

「ええ。そうよ。こっちの超かわいい女の子は椎名文っていうの。」

 

そう言って椎名さんを見る。

すると、紹介にあずかった椎名さんがぺこりとお辞儀して言った。

 

「よろしくです。」

 

「あ、どうもよろしく。」

 

近藤は恐縮しっぱなしであったがとりあえず、三人の顔合わせも終わったようなので、話を本題に写していく。

 

「で、だ。まず、なんで俺が入院してること知ってんの?」

 

今、一番気になったことを聞いてみた。

すると、先ほどもらった紙袋の中の果物をむきながら椎名さんが答える。

 

「えーと、ですね。」

 

「いや、待て。まず、なんで果物剥いてんだ?」

 

「食べようかと思って。」

 

「え・・・・自分で?」

 

「はい、雷ちゃんの分も用意しようと思ってましたけど。はい、あーん。」

 

「あーん・・・うん、おいしい!さすが青森のリンゴは最高ね!甘みと酸味のバランスが絶妙だわ!」

 

椎名が剥いたリンゴをおいしそうに頬張る朝比奈。

なんとも仲むつまじい美女同士の戯れで、見ている側としては目の保養になる。

実際近藤なんて瞳孔開いてガン見してたからな、今のあーん。

 

だけど、美しさとか目の保養とかは置いといて、言いたいことがある。

それは・・・・。

 

「それって、俺のお見舞いじゃないの!?」

 

俺の絶叫にも近いツッコミに朝比奈は不思議そうに首をひねって答えた。

 

「あれ?そうだっけ?」

 

きょとんとする朝比奈に俺は頭痛を感じ、こめかみを押さえる。

 

「お前は今すぐMRI検査で脳に異常がないか見てもらえ。海馬が死んでるぞ、絶対。」

 

「うるさいわね!冗談よ、冗談。ただ単に味見してあげただけよ。これだから食い意地張った下民は嫌だわ。」

 

そう言って、フフンと鼻で笑う朝比奈。

整った顔がバカにし腐った顔をするとどうしてこうもイラッとするのか。

不思議だ・・・。

 

俺は朝比奈の様子にこめかみをピクピクと震わせていたが、椎名さんが俺の前にズイッと何かを差し出してくるのが見える。

 

「ほら、あーん・・・・。」

 

至ってまじめな顔でぐいぐいリンゴを近づけてくる椎名さん。

どうやら俺にもあーん、をしようとしているらしい。

 

「え・・・。」

 

「だから、あーん、してください。ほら、あーん・・・。」

 

爪楊枝に刺したリンゴをぐいぐい唇に押しつけてくるので俺はついに口を開こうとしたそのとき。

 

「ちょっと、何しているのよ椎名!別にこんな奴あーん、しなくて良いって。」

 

「えー・・・。でも、竜崎君、怪我してるし。」

 

「いや、でもあんたがやる必要は・・・。」

 

「なら、雷ちゃんがやって上げれば?」

 

「え?」

 

「私がやっちゃダメっていうのなら雷ちゃんやってあげなよ。」

 

「嫌よ!なんで私がこいつなんかに・・・。」

 

「なら、私がやるよ。」

 

そう言って椎名さんが爪楊枝に刺さったリンゴを俺の口元に持っていこうとするので急いで朝比奈がそれを止める。

 

「あー!もう!分かったわよ。私がやれば良いんでしょ!やれば!貸して!」

 

ひったくるようにしてつまようじをつかむと、俺にリンゴを近づける朝比奈。

 

「そ、それじゃあ、行くわよ・・・・。」

 

「う・・・ああ。」

 

訳もなく高鳴る心臓。

呼吸も少し荒くなっていると自分でも分かる。

顔も熱いので、もしかしたら赤くなっているのかもしれない。

だけど、それも仕方ないだろう。

性格はともかく見た目だけは美少女の整った顔がすぐ近くにあり、しかもその美少女にあーん、をして貰えるのだから。

 

見ると、彼女の頬も桃色に上気し、瞳は潤んでいる。

微かに開いた唇から漏れる吐息が俺の鼻孔をくすぐった。

 

意を決したように彼女は俺の口元にまっすぐな視線を注ぎ、そしてついに・・・。

 

「あーん・・・・。」「あー・・・っ!」

 

気づくと、喉の奥にリンゴがあり得ない深さで入り、気道を塞いでいた。

 

「うぐ!ゴフゴホッ!!死ぬ!」

 

「竜崎!大丈夫か!?」

 

「しまったわね・・・緊張で突き刺しすぎたみたい。」

 

「雷ちゃん!?のんきなこと言ってないで助けないと竜崎君死んじゃいますよ!!」

 

「仕方ないわねー・・・ほい!」

 

空気を求めてあえいでいた俺だったが急につっかえていた塊がなくなった。

 

「かはっ!死ぬところだったー。」

 

「大丈夫か?竜崎。」

 

「いや、まじで命の危機を感じた・・・。」

 

呼吸を整えること数秒。

その後キッと視線を彼女に向けて言った。

 

「おい!!お前俺を殺す気か!?」

 

「う・・・・でも、助けて上げたでしょ!しかも、別にわざとじゃないし。私だって緊張したんだからおあいこよ!」

 

「どう緊張したらあんなに深くまでリンゴ突っ込むんだよ・・・。」

 

「う・・・ごめん。」

 

呆れてものも言えない俺に対して、珍しくしょんぼりした様子を見せる朝比奈。

俺は彼女の珍しくしおらしい姿に驚いた。

今回は本当に少し反省しているようだ。

俺はそんな彼女の姿に苦笑を溢しつつ、切り替えるように明るい声を出した。

 

「いやまあ、助けてもらったからもういいよ。でも、今どうやってリンゴが消えたんだ?」

 

「え、普通に電気分解だけど?」

 

「うん、聞かない方が良かった。」

 

前言撤回。

反省とか以前の問題だった。

口腔内で電気分解なんて何を考えているんだ、こいつは・・・。

 

「一つ間違えば俺、死んでたんじゃないのか?」

 

「大丈夫よそれは。基本の電気分解程度の操作ミス、私はしないわ。こんなのでミスっていたら人間失格でしょ?」

 

「そう言う問題じゃない気がするんだが・・・。」

 

長い銀髪を振り払う動作とともに不遜な表情になる朝比奈に俺は呆れ半分につぶやいた。

文句の続きを言おうかとも、思ったがこれ以上言っても埒があかなそうなので、諦めて話題の転換を図る。

 

「あ、そうそう。話がずれたな。で、なんで俺が入院したことを知ってんだよお前ら。」

 

「ああ。それは、あんたの父親が生徒会に連絡してきたのよ。例の研究所襲撃についてね。」

 

「昨日のか?」

 

俺がそう尋ねると椎名さんがうなずく。

 

「はい、そうです。その話の関連で竜崎君も怪我したって聞いて・・・それで、雷ちゃんがどうしても竜崎くんの様子を見に行こうって聞かなかったのでこうしてやってきたのです・・・。」

 

「椎名!!」

 

神妙な顔でとんでもないことをカミングアウトした椎名さんに朝比奈は見ていても分かるほどに顔を紅潮させた。

椎名さんにくってかかる朝比奈の焦り方が面白い。

俺が少しほほえんだのを見た朝比奈はベッドに乗りかからん勢いで言葉を吐き出す。

 

「あんた、勘違いしないでよ!?別にあんたが心配なんじゃなくて、事件についての話が聞けると思ったから来ただけだから!!別に他意とかないから!!」

 

「分かったよ、そんな鼻息荒く言わなくても・・・。」

 

「鼻息荒くない!」

 

ゼーゼー荒い息を吐きながらそんなこと言われても・・・・と思わなくもないが、それを口に出すとややこしくなりそうなので、口には出さず、俺は近藤に同じ事を聞く。

 

「二人は分かったけど・・・じゃあ、お前は?お前生徒会でもないし。」

 

「ん?俺か?俺は飯室先生から連絡が来たんだよ。お前が怪我して病院にいるからお見舞いに行ってやれってな。私は行くのがめんどくさい、とも言ってたな。」

 

「あの先生、まじめそうな生徒に面倒を押しつけるなんて。なんてゲスなんだ。」

 

「まあ、俺はそのおかげでお前の見舞いに来れたんだし全然気にしてないんだけどよ。」

 

「そうか。ありがとな。」

 

「よせよ。気にすんな。」

 

照れたように頭を掻く近藤に俺は感謝を述べた。

 

「で?」

 

声のした方に目を向けるとムシャムシャとリンゴを頬張る朝比奈がいる。

 

「で?とは?」

 

俺が彼女に顔を向けながら聞くと、リンゴをゴックンと嚥下した朝比奈が強い語調で再度問うてくる。

 

「だから、あんたはなんでそんな大けがをしたのかって言う話よ。」

 

「あれ?事の顛末は親父から聞いてるんじゃなかったのか?」

 

さっきこいつらは確かにそう言っていたと思うのだが。

だが、椎名さんがその疑問に答える。

 

「いえ、私たちが知っている事はそう多くありません。生徒会でも新人の私たちには伝えられる情報が少ないので。」

 

「ホント、腹立たしい限りよ。」

 

脚を組み銀髪を振り払う仕草があまりにも似合っているので、不覚にも一瞬目を奪われるが、鋼の精神力とわずかなプライドによって見惚れることはなく、話を続けることがなんとか叶う。

 

「・・・まあ、仕方ないんじゃないか?組織なんてどこもそんなもんだろ?」

 

「そうだけど・・・。」

 

釈然としない朝比奈の様子に俺は苦笑を漏らしつつ言う。

 

「ならどこまで知っているんだ?」

 

「大規模な爆破テロにあんたが巻き込まれたことしか知らないわ。」

 

「そうか。でも俺も知っている事はそんなに変わらないぞ。」

 

「それでもいい。聞かせて。」

 

「なら・・・・・。」

 

そこから、俺は三人に一連の事件の流れ、神代博士の殺害、反物質捜査の研究所の爆破、今回の高エネルギー加速器研究機構の爆破を説明し、そして犯人の女の能力、そして耳元に輝く深紅の三日月についてを話し終えた。

 

「てな、感じなんだが・・・・。」

 

「なるほど、反物質か・・・。」

 

「危険な香りしかしないですね。」

 

「でも、要はその女をぶっ飛ばしたら良いのよね?簡単じゃない?」

 

一同がマイナス思考に囚われる中、一人あまりにもポジティブな、いやアグレッシブな考えの方がおられる。

もちろん朝比奈だが・・・。

 

「お前な。そこまで簡単な話じゃ無いと思うぞ?」

 

「そう?次の狙いを予測して先動き。女が登場してきたところを取り押さえれば良いんじゃない?目的とかは捕まえたあとに聞けば問題無いでしょ?」

 

「まあ、それはそうだけど。肝心の次の狙いの予測はどうするんだよ?」

 

「それはこっから考えるわよ!」

 

「はあ・・・。」

 

頭がいたい。

朝比奈は基本的に向う見ずだとようやくわかってきた。

おそらく、頭の回転や思考の明晰さ、という以前に、もしかしたら彼女は「不可能」という言葉を知らないのかもしれない。

このまま行くと、そのうち「我が輩の辞書には・・・。」などと言いかねない。

そうなれば、この国はこの銀髪女の手によって独裁国家になってしまっているであろう。

あな恐ろしや。

 

ぞっとしない未来予想図に一人頭を抱えていると、話は知らぬ間に朝比奈の突飛な案を基軸に進んで言ってしまっていた。

 

「ということは、次の敵の動きにあたりをつけなくてはいけませんね?」

 

「そうだな。」

 

「ええ。でも、敵の動きに関連性はあるのかしら?」

 

「反物質関連である、と言うことぐらいしか分からんな。」

 

「はい。しかも、反物質関連の研究所は今となってはかなりの数存在していますし絞り込むことは難しいかと思います。」

 

「そうだな。今回だけではなんとも言えないな。」

 

「そうね。」

 

学年ではそれなりに優秀な三人でもやはり情報が少なすぎて敵の目的にはたどり着けない。

ちなみに俺はこの会話には参加していなかった。

 

「ま、警察が動いてくれているから俺たちが何かをやる必要はないと思うぞ?」

 

俺がそう言うと、椎名さんが黒縁の眼鏡をクイッと押し上げて言う。

 

「いえ、そういうわけにもいきません。今度の日曜日何があるかご存じですか?」

 

「いや・・・・。」

 

俺が首をひねっていると、横合いから近藤が答える。

 

「学園都市元帥サミット・・・。」

 

「お見事・・・その通りです。」

 

感心したように小さく手を叩いた椎名さんが説明をしていく。

 

「学園都市元帥サミット。今回は大阪で開催されます。と言うことはつまりこの東京に元帥はいなくなる。学園都市のトップがいなくなるのです。これがどれだけ危険な事かおわかりで?」

 

ちろり、と視線を向けられるので、つっかえながらも答える。

 

「ま、まあ。トップの護衛に少なからず精鋭もここを離れなくちゃ成らないだろうし、こっちは手薄になりがちだわな。」

 

「ええ、まさにそうです。このサミット中には多くの生徒会メンバーがかり出されますし、もちろん警察もかり出される。敵もバカではない。二つも大がかりな襲撃をすれば少なからず警戒されると踏んでいるはず。ならば、次に動くとするとこのサミット期間しか考えられません。」

 

「なるほどな・・・・。」

 

「はい。なので、この期間中に何かが起きれば私たちでなんとかしなくてはならない可能性が高まります。だから、今のうちに知っておけることは知っておいて準備しておかなくてはならない。他人事として捉えていては生徒会の仕事は勤まらないんですよ。」

 

柔和な笑みを浮かべる椎名さん。

彼女のプロ意識の高さには舌を巻くしかない。

 

「そっか・・・・さすがだな。」

 

「椎名かっこいい!!」

 

「い、雷ちゃん苦しいよ・・・。」

 

「えへへー・・・。」

 

朝比奈が目をハートにして椎名に飛びつく。

椎名は抱きつかれて苦しそうに見えるが朝比奈がとんでもなくだらしない顔をしているので全体的には幸せそうな光景だ。

 

ほほえましいその光景に目を奪われていた俺と近藤であったが、朝比奈の腕の中にいる椎名さんの言葉に我に返る。

 

「竜崎君。」

 

「なんだ?」

 

「竜崎君は敵の姿を見たんだよね?どんな姿だったの?」

 

三人の視線が俺に注がれる。

俺は記憶をたどる。

 

「俺もそのときは戦いに夢中であんまり覚えていないんだが・・・。」

 

「はあ!?覚えてないの!?」

 

朝比奈がわかりやすくキレる。

俺は「でも・・・」と続ける。

 

「でも、そいつは赤い三日月のイヤリングを着けている女だ。しかも、かなりの美人。」

 

ピクッと方を震わせ朝比奈がドスのきいた声を出す。

 

「かなりの・・・・美人、ですって?」

 

「ああ。」

 

俺は正体不明の悪寒に襲われながらそう答えると、椎名さんが言う。

 

「そうですか・・・。今のところはその情報だけが有力な物ですね。」

 

「そうだな。」

 

ブツブツと何かを呪怨のように唱え続ける朝比奈を放っておいて俺たち三人は話を続けていたが・・・。

 

「少し調べたいことができましたので私たちはそろそろ行きます。ありがとうございました竜崎君、近藤君。」

 

「おう、役に立ったなら良かったよ。」

 

「はい。では・・・行きますよ?雷ちゃん。」

 

「あう・・・・」

 

なぜか、魂の抜けたような状態になっている朝比奈を引きずるようにして病室から出て行く二人。

俺と近藤はヒラヒラと軽く手を振り見送ると、近藤も立ち上がり言う。

 

「それじゃあ、そろそろ、俺も帰るわ。」

 

「そうか。気を付けてな。」

 

「お前こそ、早く退院しろよ?」

 

「ああ、任せておけ。」

 

「じゃあな。」

 

「ありがとよ。」

 

「良いって事よ。」

 

最後にグッとサムズアップして近藤も病室を後にし、俺は一人残される。

 

窓から見える、青空は春らしく霞がかった水色。

俺は入院したというのに、あいつらと会ってからはなぜか晴れ晴れした気分だった。

そんな自分の気分がおかしくて知らず知らずのうちに笑みが浮かんでいた。

 

 

 




いかがでしたか?
日常の描写が楽しいので多めに書きました。
楽しんでくれてたら嬉しいです。
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